投資方針に忠実に退屈な投資で資産形成

主力銘柄のサンセイランディックの株主総会に参加しました。

参加人数は概ね70人位でしょうか。
数えたわけではないので正確にはわかりませんが、
用意された席はその3倍、4倍の席が用意されており、
会場も広いためガラガラ状態でした。

改めて「そういう銘柄」を主力にしているんだな、と
実感をしたところです。

事業報告、決議事項の一括上程はよくあるパターンです。
社長は決してスマートな振る舞いではありませんが、
元気よく、少し早口ではありながら熱意を感じる語り口調で、
粛々と議事を進めておられました。

社員の対応はふつうに良かったですが、
特段感激するようなこともありませんでした。

それより凄いなと思ったのは、
壇上に控えている書記兼調査事務局のような方たち。
各質問に対して即座に回答に必要な基礎データを社長にメモ連携していました。
質問の中には、離職率や社員数、管理職配置状況、育休取得者数、
売上・収支の数値データなど定量的なものも織り交ぜた議論がありましたが、
質問者がマイクを置く位のタイミングでは既に紙のメモが渡されていました。

もちろんパソコンで調べれば直ぐわかるのですが、
その場で育休取得者数をそらで何人ですとか答えられるのは
日頃から所掌の数値情報をきちんと抑えてビジネスされているのだろうなという事を伺い知れる
よい機会になりました。

ちなみにあまり興味はないかもしれませんが、
お土産は社名入りの定規でした。
三角形の断面の測量などで使われるような出で立ちの定規です。


さて、本番の質疑応答の件です。
まず、質疑応答全体を通した感想です。

・エイリリンクらの競合戦略はやや具体性に欠けて、勝てる確証が絶対ではないな
 →蓄積ノウハウの強みは魅力に感じていますが、これだけで説明がつくのか少し迷います

・社員の関係が比較的良好なのではないかな
 →総会前の社長と社員の会話とかが聞こえてきますが、よいコミュニケーションを取っておられますし、
  質問の中での離職者との関係性などを見ても良好な関係にあるように感じます。
  人材はとても大切なので、重要なことです

・民泊に過度の期待は禁物かな
 →皆が質問するようで、逆に社長の方向から主な質問と回答のシリーズの中で説明があった位、
  民泊への期待は大きいようです。
  一方、その事業への進出による可能性の広がりへの答弁はありましたが、
  民泊という規制がまだ高い状況の中で、
  コストについての言及がなく、なかなかステークホルダー(管理会社など)が多いので、
  利益が生まれにくいのではないかなと感じました。


質疑応答の主なやり取りの様子は冗長になりますので、
興味のある方は「続きを読む」へお進み下さい。







質疑応答の内容です。

なお、今回ペンを忘れるという愚行により、
頭の中の小さなメモリに書き込みをせざるえない状況でした。
このため、途中書き込みエラーで誤認されている可能性が、
いつもに増して可能性が高いと思いますので、
その点、ご容赦ください。


エリアリンクや日本商業開発など競合と渡り合うための、
サンセイランディックの強みや競争戦略はどうするのか。
(エリアリンクは複数の株主から個別名称が上がり質問があり感心が高いと認識しました)


エリアリンクも今後注力して全国規模で展開されてくると認識しているが、
サンセイランディックは既に全国の底地や空き家の情報を収集できる
体制面が確立されているというアドバンテージがあると考えている。
また底地を扱う上で『不動産の売買』という範疇だけでなく、
その一連の取引の中に存在する様々な人的ケアへも配慮出来る点も、
一朝一夕で築けるノウハウではないと自負している。
日本商業開発は、主に商業地など規模の大きい底地を主戦場とされていると理解している。
それに比べ、サンセイランディックは主に住宅など小規模の底地を主戦場としている。
同社とは、サンセイランディックが上場する前から、
うまく事業を棲み分けして底地ビジネス全体の業界を盛り上げるために、
よく社長とも交流を持ってやっていた(最近そういえば会っていないけどと仰っていました)。
両社とも今後のビジネス展開においては競合となっていくことも視野に既に入れており、
競合他社の動向は常に営業本部で調査をして幹部で戦略議論を行っている。
サンセイランディックとしてはこれまで築いてきたノウハウを元に、
多少は競争により利益率が落ちることも覚悟しているし、
更に数社程度は競合が出現することを前提に中長期の戦略をきちんと立ててやっていくことで、
負けるとは考えていない。



四半期の業績ブレが大きい中で、ストックビジネスビジネスの安定性にも期待しているが、
今後の業績安定性を確保する取り組みはどのように考えているか。


会社として、業績の安定性という点は課題と認識している。
空き家などのストックを売買で積み上げることがこれまでのモデルの前提であったが、
これを民泊などに応用して長いスパンで運用することで、
ベース部分の業績安定性にも寄与出来ないかを考えている。



IRの活動について前年度に比べて今年度のIR説明会の実施回数が減っている。
IR活動に消極的になりつつあったとも捉えられなくもないがどう理解すればよいか。
またもう少しIRニュースなど積極的にアピール活動もすべきではないかと考えている。
その点、どのように考えられているか。


IR活動についてはご指摘のように回数そのものはタイミングの問題で減っているものの、
IR活動に積極的にやっていく姿勢に変わりはない。
ただ、単なる会社説明会というこれまでの形態では地方も含めて多く実施してきており、
マンネリ化している部分もあると課題と捉えており、そのやり方などは社内で検討していきたい。
また、IRニュースリリースも社内で情報発信の工夫について議論を始めている。



住宅地の底地を中心に事業展開しているが、
今後底地は増えずビジネスは長期的に見ればシュリンクしてしまうと考えているが、
その課題を克服するには、何か大きなブレークスルーが必要と考えている。
例えば、日本商業開発がやられているようなより規模の大きな物件を手掛けるなど、
何か検討していることはないか。


(はっきりとは明言はしなかったが)商業地の大規模の物件を手掛けにいくということはしないような答弁でした。
また、中期的にはまだ全国の底地取引の情報が同社に確実に集まるまでには達しておらず、
底地の総量は増えずとも、サンセイランディックとしてお手伝いできる取引の拡大余地はまだ存在しているため、
ここをしっかりやっていきたい。



サンセイランディックにおいて人的ケアも含めたきめ細かな配慮を求められる仕事の特性上、
女性の活躍が適合しやすい環境と理解している。
国策としても女性活躍と言われている中で、サンセイランディックとしての取り組み状況はどうか。
具体的に育休制度などで制度があるということだけでなく、
実績としてどういう状況であるか。


現在育休取得中の社員は3人いるし、既に復帰している社員も多数存在している。
特に現在〇〇支店長の管理職も女性で育休復帰後に邁進してもらっている。
もちろん、その中で時短勤務などで業務と稼働の調整などで課題は日々あるが、
社内で議論して対処していっている最中である。
女性の取締役も早期に1名はアサイン出来るように、育成を頑張っていきたい。



仙台支店開設による、復興や災害を想定した不動産取引のコンサルなどの
事業展開はどのような状況か。


率直に申し上げて、これまでの底地取引のノウハウだけでうまくはいかない諸問題が、
震災後5年という中で徐々に出てきているのが実態である。
ここで新たなノウハウをきちんと吸収して、
東北復興地域における事業を頑張っていきたい。
またそのノウハウを今後災害を想定した都市計画など自治体さんへのコンサルサービスなども、
拡充していくことを視野に入れている。



勤続年数5年程度というのは短い印象だが何か問題があるのか


新入社員を中心に若い会社ということもあり、
またここ最近人員を拡大しており、
勤続年数は押し下げられているとご理解頂きたい。
離職率は直近で5.8%となっており
結婚や出産などのライフイベントで離職することも考慮すれば、
問題を抱えているという認識ではない。
また、離職者の多くも地元の家業(不動産)を継ぐというケースも多く、
こういった離職者に対しては、今後底地ビジネスにおいて、
サンセイランディックとお付き合い頂けるよう、離職後も良好な関係構築に努めて、
それが各地域のアンテナにもなりえる形でよい方向になるように配慮している。



BS上の投資有価証券に8千万円とあるが、
どういう銘柄をどういう目的で保有しているものか。


投資先は「百戦錬磨」である。
民泊にサンセイランディックとしても参入していくために、
事業シナジーの創出としてとして投資をさせてもらっている。
なお、仮に百戦錬磨社が上場した時には、
投資額相当の分は売却する旨も表明しており、
そこでの一定のキャピタルも入る得ると考えている。
(百戦錬磨の上場可能性については一切言及なし)



今期の業績予想において増収率が更に伸長しているが、
東海・近畿地域の新たな進出を考慮し、
前期4Qの仕入も高水準とはいえ、
どのように実現されていくのか。また利益率がそれに比べて伸びないのはなぜか。


直近の仕入状況は非開示ではあるものの、
仕入は順調に進んでおり売上は十分達成出来る状況となっている。
※利益については言及がなかったように聞こえました。
この時は社長ではなく営業本部長が回答されましたが、
やや要領を得ない回答だったと記憶しています。


実際にはもっと複数の質問がありましたが、
ある程度集約したことと、
私のメモリから漏れたものは表記していません(笑)。

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コメント
この記事へのコメント
こちらの記事とSBSHDの株主総会記事を拝見させて頂きました。

私のPFではリニカルだけが大阪本社の会社で、総会にできれば出席したいと思っています。
しかし私は株主総会に出席したことがないので、どのような雰囲気なのか?開示される決算資料から読み取ることのできない情報をどのような視点からみると、うまく掬い取ることができるのかがよくわかり、とてもありがたい記事でした。

SBSHDの記事からは、生産年齢人口減少時代を迎えたことで、人材の確保・定着は業績を伸ばすうえで非常に難しく重要なテーマであることがうかがえましたし、サンセイランディックの記事からは特に以下の部分で

もちろんパソコンで調べれば直ぐわかるのですが、その場で育休取得者数をそらで何人ですとか答えられるのは
日頃から所掌の数値情報をきちんと抑えてビジネスされているのだろうなという事を伺い知れるよい機会になりました。

まるのんさんと同様に優秀な人材の定着を計るために、働きやすい会社、人を大切にすることを重要視している社風が垣間見えて好感が持てました。

私は人手不足のこれからの時代は、ブラック的経営で利益を伸ばしてきた企業は、ゼンシヨー、ワタミのように、それが世間に明るみにでることによって業績凋落のきっかけになるリスクを常に意識しなければいけないと思っていますし、働きやすい環境で、社員のモチベーションを高く保ち、人を大切に育てようという社風が根付いてる会社は逆に伸びると思っています

監視銘柄エリアリンクの競合ということもあり、サンセイランディックは自分でも調べてみたくなりました。

ためになる記事をありがとうございます
2016/03/31(木) 23:13 | URL | sun #-[ 編集]
>sunさん
こんにちは、sunさん。
丁寧なコメントを頂きましてありがとうございます。

株主総会は会社によってだいぶ雰囲気が違いますね。
エイジアのように個人株主なんて私と他2、3人しかいないとか、
逆に225採用銘柄のような大企業では、大きなホールで経営陣の顔も見えない位後列まで、
びっしり満席というようなところまで様々です。

進行を通して社長のファシリテーションを垣間見れたり、
特に事業報告の説明のトーンなどを注視して聞くようにしています。

質問は様々な思惑で投資している株主がおられるので、
中には自分の中ではなぜそんなことを質問するのかなと、
失笑してしまうものもありますが、
そういう立場の方もおられることもまた勉強になります。

サンセイランディックは業績成長はもちろん大事と捉えていますが、
人に対するケアが私は素晴らしいと思います。
社員に対してもこの業界では珍しく(?)コミュニケーションが取られている様に感じますし、
顧客に対しても様々な背景で不動産を手放される方の立場に立つということを徹底されています。
もちろん、社会貢献事業ではないので、適正な利益を追求する必要があるわけですし、
株主として最終的にはそれを望むわけですが、
その背景に大事にしているものがあるということは私には琴線に触れて好感が持てるのです。

エリアリンクの件はかなり意識もされていましたし、
株主も私も含めて質問多数出ていました。
エリアリンクの株主総会に出られた方は、
エリアリンクの社長は底地ビジネスで1位になると新規参入を表明していたようですが、
サンセイランディックの社長の答弁を伺っていると、
そこまで不安は感じませんでした。
ただ影響は必ず出てくるとも感じたので、今後の競合戦略は注視が必要と感じました。

最近、新興成長銘柄においても人材不足や育成がとん挫して
落ち込む会社をよく目にするようになりましたので、
sunさんも仰っている様に、人を大事にするという当たり前の社風を本気で作り上げている企業が、
強さをより増して格差がひろがると思いますので、
人材育成に対する所見はその後の日本管理センターでも相当しつこく伺いました。

こういう生のコミュニケーションを経営陣と図れる総会は
非常に貴重な機会で、何より自分の勉強になります。

これからも積極的に参加していきたいと思っています。
(本業のサラリーマンの仕事との棲み分けをしつつですが)
2016/04/01(金) 01:09 | URL | まるのん #-[ 編集]
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