投資方針に忠実に退屈な投資で資産形成

IR担当への照会は重要なことだと考えています。

開示内容や外部環境において不明なことや懸念がある場合、
私は出来るだけIR担当へ照会をするようにしています。
確かにIR担当の方にご負担をかけることになるので、
むやみやたらに照会を行うことは一定の遠慮をすべきかもしれませんが、
きちんと調べて自分の見解や聞きたいことのポイントを絞った上で、
照会することには前向きなスタンスです。

このIRへ照会を行うという行動には、
否定的な見方があることも理解しています。
IRへ照会しても開示事項以上のことは原則教えて頂けないものであるし、
仮に何かを教えて頂いたとしても、
インサイダーの可能性も含めて、ルールは遵守しなければなりません。
ですから、照会をしてもメリットは少ないですし、
開示されている事項のみから想像力を働かせて判断することこそ、
投資家としてあるべき姿だというご意見もあるでしょう。

一方で機関投資家の中でも私が注目している
ひふみ投信や鎌倉投信では会社訪問を重視しており、
いい会社を精査してそれを投資判断にも生かしている印象です。
IRだけでなくビジネスそのものとも密接に向き合って、
よりその会社のことを知った上で投資されている点で、
私はそこまでやれることを羨ましいなと感じています。
人と人とが触れ合ってその事業の魅力を深掘りして投資判断を下すということは、
私にとっての投資活動の理想でもあり、
本来はそこまでやりたいとも思いますが、
兼業投資家でかつ弱小個人ということもあり限界がありますので、
せめて自ら疑問に思うことや知りたいと思うことは、
IRへ照会することに積極的になろうというモチベーションとなっています。



IRへ照会する上で注意しているポイントがあります。


まず回答内容を鵜呑みにしないということです。
ある質問をしたとして、その回答が全てとばかりに受容しないということです。

単純な話として、利益率や売上想定から算出すると、
どう考えても計画未達になりそうだという懸念から、
そのリカバリ方策について具体的な施策内容や
それによる足元の効果について質問したとします。
その回答として、
「○○の状況で計画達成は問題なく達成したいと思います」
という回答を得たとして、そうか、IRがそういうなら大丈夫かと
ついつい考えてしまいがちなわけです。
(そんなお人よしはいないですかね)
ただ、そう言われたことで、
プラスのバイアスを無意識に抱いてしまう危険はあると思います。

そんな時にはその回答が合理的なのか客観視した時にもうなずけるものか、
更にいえば、それが必達目標なのか、堅いベース値なのか、
このあたりは会社の色やIR担当の個人の属性にも依ってくると考えます。

ですから、そういう回答を受けた時に、
ではその「○○の状況」を踏まえた上で想像力を働かせて、
改めて独自に利益率などの算出パラメーターを調整したりして、
ごりごりシミュレーションする必要があります。
そこで導き出された結果、やはり未達であれば、
未達を想定しておくべきなのです。
結局、IRからの回答というのは、
自分の考えているシナリオをその時点で最善を尽くして
チューニングするためのインプットでしかなく、
結論としてのアウトプットのための材料ではないのです。


私は自分の稚拙なシミュレーションを
少しでも向上させるために、
自分の中では色々なアンテナを張っていますが、
それをより補完するためにIR照会という行動を取っています。

これは私の大事にしている納得感にも繋がります。
ここまで確認をしていて、そしてその上で最善を尽くして
投資判断を下していたのであれば、
それが失敗してもまだ受け入れられると思うわけです。


次に注意をしたいのは、
自分だけが得られる情報などないということを意識することです。
IRに照会してここだけの話・・・と仮に何か情報を得られたとしても、
それは「ここだけの話」ではなく周知の事実として認識すべきだろうということです。
そもそも「ここだけの話」を期待して照会するのであれば、
それはルール外のことをしようとしていることを意味するので、
即刻、相場から退場すべきでしょう。

私が知りたかったり、確認をしようとしていることは、
「ここだけの話」を捻出することではなく、
現状や将来をどう会社が認識しているか、
それが自分のシナリオと比較して大きな乖離がないのか、
この辺りを注視するようにしています。

中長期視点での成長シナリオを自分なりに組み立てていくと、
いくつかの仮説や懸念や期待が折り重なるわけですが、
それを会社としてどう認識されているのかを聞くこと、
またそこにGAPがあった時にそれが自分の判断にとってネガティブなのか、
ポジティブなのか、そんなことを想像しながら分析を深めていくことは、
とても楽しいことです。


内容を鵜呑みにせず、
また自分だけが出し抜いて情報を得ようとするのではなく、
自分の投資判断を自分なりにアレンジするために、
会社としての展望や見解を聞いて、
それを中長期に活かしていくということ、
これこそがIR照会の醍醐味
だと思います。


もちろんこれは理想形なわけで、
実態は足元の状況が気になってしまって、
そういうつまらない質問をしてしまうことも多々あります。
これはこれでまだ自分が未熟なのだと割り切っていますが、
IRへの照会は何より自分の勉強にもなるので、
とてもよい機会と捉えています。

IRへ照会するとなると、短信を読む目も変わりますし、
より想像力を使って考えるようになりますし、
深く勉強しないとならないわけですからね。


今期で言えば、サンセイランディックなどではとてもよい経験が出来ています。
このブログやツイートでも共有していましたが、
恥ずかしながら四半期毎の業績の波に一喜一憂して、
足元の状況や懸念点などを率直にぶつけていましたが、丁寧にご対応頂きました。
このプロセスを経て、私は前期の計画達成をある程度信じていられましたし、
開示された中計の誠実さも前から認識していた通りの結果となっています。

日本管理センターについても、同じようにIR担当への照会が、
私の判断に相応に良い影響をもたらしてくれました。


ジーフットではIRフェアで対面でお話しさせて頂きましたが、
やはり私の感覚と同様、今期の業績達成が危ういということだけでなく、
翌期以降の成長継続にも少し懸念もあるような印象も残りました。
もちろん、全般的にはポジティブですし、
あまり過度な心配はしていませんが、対面でお話しすると見えてくる、
良い部分、課題な部分がよく整理されます。


当面の懸念であるSBSHDの暴落と決算遅延に絡んでは、
今日も改めてIRへ照会しています。
今の所、単に作業上の遅延だけであり、大きな懸念に発展する事態にはなっておらず、
私は今の水準のまま決算を迎えようとしていますが、
この決算持ち越しも失敗に終わるかもしれませんが、
ここまできちんと確認してベストを尽くしたのであれば、
そういう結果になってもやむ得ないと思います。


これまでもIR照会の結果は出来るだけ、
ブログやツイートを通して共有しておりますが、
今後もそのように対処していきたいと思います。

それによって、その内容をどう見るかで、
読者の方とも違った見解になった時に議論が出来ても勉強になるなと感じています。

コメント
この記事へのコメント
以前にもコメントしましたがまるのん先生のIR説明会感想やIR突撃取材(笑)は好きです。

IR取材を通じて常に有望な銘柄発掘に成功している(サンセイ、日本管理センター等)先生には学ぶところ大です。

IRについて私は数回しか聞いたことが無いのですが以下の通り考えています。
(少し「情報」と「努力」についても言及し話が逸れます(笑))

1.先ずは公開資料を丹念に読み込む。…A

まるのんさんのように分析力に長けていて かつ 時間があれば(中長期で保有)あれば
公開資料だけでも利益は得られると考えています。
同じ公開情報を読んでも、1しか得られない人と10得られる人が出てきます。
会計の知識を当てはめるや外部環境との関連付けで人と差が出ると思います。


余談ですが、公開情報だけでもかなりの「物知り」になると思います。
特別な勉強をしなくても、一般紙でもWEBでも十分、経済や会計の知識は身につくと思います。。


2.その上でIRに照会し、分析する。

自分だけが得られる情報などないということを意識することです。…が印象的な言葉ですね。
周知の情報をパズルのように解くまるのんさんの記事を今後も楽しみにしています。

私の保有銘柄のSBSが心配です。。。。
2016/02/24(水) 21:36 | URL | ゆったり #-[ 編集]
>ゆったりさん
こんばんは、ゆったりさん。
詳細なコメントを頂ましてありがとうございます。

公開資料を丹念に読み込むというのは、
IR照会の前提として必須ですね。
ざーっと目を通してなんとなく把握したというレベルで照会しても、
そもそも何を質問すればいいのか悩んでしまうと思います。


私もなかなかうまく出来ていませんが、
どういう質問をすれば知りたい本質が知れるか、
もしくは自分の疑問を解消できるかをよく考えるようにしています。
そのためにはまずは対象を理解することが不可欠です。

その理解の軸がぶれていると、
ちぐはぐなやり取りになってしまいますからね。

ですから、私もIRへ照会するとなると特になのですが、
資料を読み込み、数値をこねくり回してエクセルで計算してみたりします。
そのうえで、本当に知りたいと思っていることはなにか、
自分が疑問に感じている根本はなにかを出来るだけ深掘りするようにしています。


私も全くの素人なので、ない頭をフル回転させて
自分なりの仮説を持って分析していますが、
当然その精度はまだまだ低く課題も山積と感じています。
ですから数をこなし、同じ投資家の皆様からのコメントなどで叱咤激励を受けながら、
スキルを向上させていきたいと思っています。


SBSHDについては、私も不安です(笑)。
電話で2回ほど直近でお話していますが、
少なくても遅延についてはそこまで大きな問題を孕んでいるとは思いませんでした。
ただ可能性としては問題が顕在化する可能性もありますし、
直近の業績も原油安という追い風はあるものの、
人材コストやM&Aコスト、車代など多くの不確実要素を持ち合わせています。
ですから、もし過度にストレスを感じられるようであれば、
ポジションを調整されるのがよいかなと感じます。

私は現時点で保有比率は5%程度ですので、
仮に20%安を喰らったとして
PF全体への影響はざっくり1%となります。
ちなみに20%安となると、現時点の前期着地予想ベースでみると、
PERは4.2倍となります。
来期減益になろうがもう十分許容できます。
(もちろんその内容はきちんと見極めが必要だと思いますが)
しかし、よく下がりましたね。

2016/02/24(水) 22:19 | URL | まるのん #-[ 編集]
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