投資方針に忠実に退屈な投資で資産形成

2751 テンポスバスター JASDAQ 【卸売業】

去年の3月に一度購入を検討して、
分析したことがありました。 (→記事

結局その時の株価から一度上昇したものの、
結局往って来いのような展開になっています。
株価の動きはとりあえず置いておいて、
今のこの相場の急落を受けて、
改めて優待であさくまステーキが頂ける絶好の機会ではないかと邪念が湧いて、
とりあえず分析だけUPDATEしておこうと思いました。

こんな相場が大変な時に、
優待に目が眩み、特定銘柄の分析を呑気にやっている場合か!?とも思いますが、
とはいえ、ジェットコースターの先物市況と対峙していても、
何もアイデアなんて浮かばないので・・・。
前回の記事から大きく見立てを変えていませんし、
思い立ったのも優待目当てというところからきているので、
まぁゆるい感じの分析になります。

まずは定量情報は以下に纏めています。
(PDFファイル直リンクとなっています)

 銘柄分析シート 2751 テンポスバスター


1.事業内容
同社WEBサイトの事業内容では、「フードビジネスプロデューサー」を標榜しています。

外食産業が店舗を構え、飲食サービスを提供していくプロセスにおいて、
コンサル、機器導入と運営をサポートするお手伝いということです。

その中でも主力は、厨房機器などを販売する物販事業です。
特徴は中古の厨房機器も含めた提案を行う点にあるのと、
物販を行う事に特化せず周辺系のサポ―トとして、
例えば開業資金の調達面を政策金融公庫と提携してサポ―トするなど
付加価値を高めたトータルコーディネートに意識が高いことが挙げられます。
また、プロパ網の他にキッチンテクノを仲間に取り入れており、
M&Aにも積極的な点も気に留めているところです。

飲食道場とか88作戦、00作戦など
社内での様々な施策取り組みにも積極的ですし、
やや宗教的な面がみられることは、行き過ぎずまたリーダーが強力であれば、
よい効果が大きいように思います。
この辺りは丸和運輸機関の和佐見社長のことを想像しても同じです。
(テンポスバスターは丸和運輸機関程ではないと思いますが)

外食産業は居抜きで安く開業することで、
魅力的な店舗も散見されるようになっていますが、
外食産業は良くも悪くも流行り廃りが激しい分野であり、
厨房機器についても単価が高い割には入れ替わりもあるということで、
中古ビジネスが成立しやすい割に、
強力な新規参入組も明確に表れず、
実質的にテンポスバスターの独断場が続いているという状況です。
ニッチで成功している企業ですから、なんとなく私好みの感じです。
しかも前述のように付加価値への意識が高いですから、
単に中古機器販売業(業種でいう卸売業)という感じでは捉えておらず、
コンサル(サービス業)の魅力を持ち備えていると考えています。
今期の上期累計のセグメント収支で営業利益率は8.8%ですから、
機器販売の卸売としては利益率が高いのです。


次に情報サービス事業では、
いわゆるEコマースとしてテンポスドットコムの運営が主体でしょうか。
物販事業で対面チャネル以外にも、
Eコマースで必要なものをインタ―ネットを介し、
しかも全店在庫を確認しながら探せる点は利便性が高そうです。
ただシュッピンでもそうですが、中古品を扱う際には、
品質への信用度が大事です。
シュッピンのカメラなどのように美品とか良品などとレーティングをしていますが、
テンポスドットコムではどのようにこれを担保しているのでしょうか。
実際に初見でいきなりネットで買うというより、
まずは店舗で買い満足感を得た顧客が
Eコマースを活用していくという流れでしょうか。
大袈裟に言えば、オムニチャネル戦略が機能していくようなイメージかと捉えています。
また個人向けにも楽天などのチャネルを用いてリーチしているようで、
私は料理好きですので、少し興味がありますね。
認知度が上がれば面白いのではないかなと思います。
ただこの事業は営業利益率は6%弱程度ですので、
そこまで収益性が高いわけではありません。
Eコマースなので高いはずとも思うのですが、
新品販売も含めての物品販売がメインになるので、
この部分は卸売に近い業態となるので、この程度なのは妥当かなという印象です。



規模はだいぶ落ちますが、第二の情報サービス事業としては、
販促支援のための情報提供を行うサービスも展開しています。
集客やPR戦略など特に開業時のリスクに対して、
支援をしてくれるという点でそのナレッジがどこまで強力な優位性があるのか、
そこは私にはわからないのですが、
事実として法人マーケ支援ではダントツのトップシェアであることや、
この事業での営業利益率は16%弱という点からも優位性は高いと想像できます。


このほか、リースや不動産管理、内容施工など周辺系のサービスも展開しています。
POSに機能を拡充させた販売は営業利益率も2桁ありますし、
そこそこ規模も拡大しているので楽しみですね。



最後のセグメントである飲食ですが、
なんといってもステーキあさくまです。
いつになったら上場するのかということですが楽しみですね。
営業利益率が10%t程度で外食にしては高いかなと思いましたが、
ブロンコビリーなどと比べるとそうでもないのですかね。
(というかブロンコビリーが優秀過ぎる?)
あさくまはFC含めてもまだ50店舗以下ですから、
そこまで成熟感は見られません。
ただ、ブロンコビリーにしてもいきなりステーキにしても、
ステーキ専業業態は競争も激しいですから、
今の店舗戦略(ハレの日、キッズ体験など)が奏功していってくれれば、
緩やかに広がっていってくれるのではないかとは考えています。
一時期のいきなりステーキブームのようなことはないでしょう(笑)。

またビュッフェなど新業態にもチャレンジしています。
ここは相当なリスクだと思います。
外食ブランドを立ち上げる局面では投資をするわけですが、
それが消費者に受け入れられるかどうかは、
とてもリスキーだと思います。
確かにテンポスバスターズが手掛ける物品とノウハウで、
失敗リスクは低減はさせられるでしょうが、
今後の拡大戦略の中では失敗もあるでしょうから、
今後減損損失のお知らせ的なIRを見ることだってあるかもしれません。
そのことは覚悟しておきつつ、
主流で緩やかに拡大していってくれればいいと思います。



2.成長性について

まず、過去のPL情報の推移を確認します。

2751_PL.png

今のような相場なのでまず目がいくのはリーマンショックの時にどうだったかですね。
純利益はだいぶ落ち込んでいるのがわかります。
しかし営業利益ではそこまで落ち込んでいないので、
案外耐性が強いのではないかと思います。

前半5年はリーマンショックや民主党政権時代の不況期が続いた影響もあったのか、
外食産業全体もあまり元気がなく、横ばいでした。
しかし後半5年は右肩上がりですし、特に前期は大きく伸長しています。
M&Aの効果もあったでしょう。
問題は前期の成長律はたまたま大きかったですが、
継続性という点でみると成長率見通しは慎重に見ておく必要がありそうです。

店舗拡大は今期苦戦していますが、
これは余地がないというより、立地面の条件が合うものが見つからなかったというもので、
無理な出店をしない表れでもあるのではないかと思います。
同社の出店戦略は緻密でしょうから、
妥協して出店はしないという判断もあったと思います。
つまりエリア拡大による成長限界が来たということではないと捉えています。
ただ、その可能性を完全には否定出来ず、
今後の出店戦略が鈍化すると成長性も落ちるというシナリオも念頭には置いておく必要もありそうです。

成長率はCAGRで前回は15%としていましたが、
飲食事業での経費増の要素も今後顕在化しそうですので、
少し保守的に見て、12%とみたいと思います。

 
3.株価水準について
 現在の株価は1,495円です。

 時価総額:214億
 PER(15.4期実績):20.2倍
 PER(16.4期会社予想):18.2倍
 PER(16.3期四季報予想):18.2倍
 PBR:0.4倍
 ROE(15.4期実績):17.4%
 DOE:1.4%
 ※優待あり(8000円食事券)
 (優待込み)配当利回り:5.8%

成長率12%見込みで予想PER18倍水準となると
PEGレシオは1.5倍となりますので、
PER指標面からは買う水準ではないかもしれません。
元々冒頭でもお伝えした通り、
優待目的で興味が再燃しているところもあり、
その利回りを見ると確かに魅力的です。
ただどこまでこの優待が続くのかは未知数です。
特にあさくま上場した後の扱いも気になりますし。
とりあえずステーキは魅力ですし、
利回りは確かに魅力ですね。

4.リスク要因
リスク要因ですが、景況感の後退がくすぶる中で、
外食産業全体の落ち込みへの影響は気になります。
インバウンドも含めて外食産業は今絶好調なはずで、
だからこそ同社にとっては追い風の状況と理解しています。
しかし、外食産業が落ち込みを見せ始めた時の影響については
最大のリスクだと思います。
給料が減ると外食費は格好の節約対象ですからね。

またこれに関連して、同社の飲食事業では前述の通り
新たなブランド立ち上げに際しては減損リスクなどが高いです。

それから同社の社長先行はユニークですが、
それが故に経営に対する一貫性という意味で、
うまく機能しなくなることによる社内混乱の影響は気になります。
社長の選考が風通しよく決まるという意味では面白いですが、
軋轢や思惑が絡んで社内が一枚岩でなくなるようなことが、
今後生じることは一般的な昇格人事とは異なる、
多様なリスクがあるような気がしています。
もっともこれは社内一致団結の良い面を引き出す効果もあると思われ、
ネガティブリスクだけではないかもしれません。


5.目標株価について
目標株価ですが、12%成長として19.4期のEPSはざっくり115とみます。

評価PERですが、
今の安定性と業界でのニッチリーダーによる安定性があることに加え、
積極的にM&Aして成長させ上場させていく意思が高いこともあり、
市場からは一定の評価が継続すると考えます。
また、形式要件も満たすでしょうからいずれ本則市場へ昇格することも想定されます。

現在無借金ですし財務もまぁ良い部類ですから、
増資リスクそこまで高くないとは思います。
(証券会社に誘われて形式的にやるかもしれませんが)

以上からPERは20倍と評価し、
目標株価は2,300円とします。
ちなみにこの目標株価で
現状の優待込み利回りを算出してみても3.7%ありますから、
案外さくっといくような気もします。


6.サマリ
私の通常のPERを起点とした計算をしてみると、
なかなか魅力的な銘柄であるなとは思います。
業種も地味ですがニッチで光るものがあります。
好みの銘柄ですが、今の市況で不安が台頭している中で、
敢えて買うかということもありますが、
一方でそんな時だからこそ、
優待目当てに潜ませておいてもいいかなとは思います。
ブログ外で買ってもいいのですが、
投資判断プロセスは基本的に同じプロセスを経ていますし、
決して今のメイン方針に合致しない銘柄ではないので、
正々堂々と(?)買えばいいような気もしています。
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