十分な教育資金と老後資金のために

 9090 丸和運輸機関の株主総会に出席してきました。

 本社は埼玉県吉川市なのですが、
 その本社での開催です。

 通常、都内でアクセスのよい、
 会議室やホテルなどが会場になるのですが、
 珍しいなと思います。
 もちろん、地方を拠点とする銘柄であれば、
 こういったこともありますが、
 埼玉県は地方なのかどうか、微妙ですね。

 最寄駅から田園風景が続く道を20分余り、
 突如として広大な土地の中に、倉庫群がそびえ、
 そこに丸和運輸機関の本社であり、
 拠点となる物流センターが展開されています。

 さて、前々から当社は体育会系ということで、
 私はこれを強みのひとつと考えていました。
 数ある物流会社の中でも差別化の要素と考えています。

 どこまでも顧客主義で、トラックが足りない、人がいないということを、
 絶対にお客様には言わない、
 これが増税反動減の見極めを誤った際にも徹底されています。
 思ったほど荷量が減らず、逆にトラックや人の確保で、
 余計な原価を計上したことで、
 前期1Qはいきなり下方修正を懸念されるほど、
 心配されるものでした。

 私は、この時にIRから見聞きした内容を踏まえて、
 こういう顧客主義の結果であれば、
 きっと挽回するだろうと読んでいましたから、
 そのまま放置を決め込みました。

 もちろんこの判断は、あくまで現時点で正しかったわけですが、
 こういう体育会系の雰囲気はビジネスにおいては、
 あまり相知れないものです。
 効率性を合理的に考えれば、無理して利益を圧迫させる経営など、
 疑問符がつくわけです。
 しかし和佐見社長のどこまでも徹底した体育会系の思考は、
 結果としてこれまでの成長の実績を出してきたわけです。

 当社は上場後、初の株主総会です。
 この体育会系のノリも楽しみに参加をしたのでありました。


 まず駅について、送迎用のバス乗り場を探します。
 しかし駅の改札を出てから、バス乗り場まで、
 ぴしーっと等感覚で案内役の社員が立っています。
 そして、おじぎの角度が半端ありません(笑)。
 きちんと訓練された所作で驚きました。

 バスに揺られること20分余り。
 ようやく本社ビルに入講するのですが、
 従業員、数にして50人程度でしょうか。
 左右に一列に並んでおはようございますっ!と
 規律正しい挨拶でのお迎えです。

 私はバスを先頭で降りたのですが、
 ビルの入り口に至るまで、
 135度を超えるようなお辞儀の中を進みますが、
 もう大名にでもなった(?)ような感覚です。
 ビルに入ると、今度は扇状に広がった従業員が、
 ビル全体に聞こえるのではという声でのあいさつで
 思わずこちらがぺこぺこしながら入るような感じです。

 受付を行い、エレベータで6Fに案内されますが、
 いちいち、エレベータでご案内しますっ!、
 6Fまでご案内しますっ!と大声でのあいさつ、
 6Fに到着すると、会場までまだ一列でいらっしゃいませっ!
 と出迎えられ、そこで、飲み物カウンターで
 好きな飲み物を頂きます。


 着席をして、本日聞くことを整理しつつ、
 持参していた短信などをチェックしていると、
 いきなり、これまでの従業員のあいさつとは一線を画す、
 超大声で「失礼しますっ!!!」との声。
 顔を上げると、そこには和佐見社長が170度はあろうかというお辞儀です。

 もうここまで来ると短信など読んでられません。
 落ち着きませんが、悪い気はしません。
 元気であること、はつらつしていること、
 そしてそれを社長が率先してやっていること。
 何もかもが度肝を抜く総会です。
 というか、まだ総会は始まっていませんが。

 開始の時間になり、進行役の女性のアナウンスにより、
 社長へバトンが渡されます。

 社長がマイクの前に立つと、
 再び挨拶から始まります。

 確か、「株主の皆様、こんにちはっっっ!!!」だったと思います。
 もう大声とか元気という言葉を通り越し、
 応援団の団長のイメージなのですよね。

 そして役員一同起立っっっつ!の声で、
 一斉に起立します。
 練習したのでしょうか、息もぴったりでした。


 その後は、事業報告なども映像も交えて紹介されました。
 ここでも随所で元気よく発言する社長の話に、
 会場内もちょっとぴりっとした雰囲気になります。

 ようやく会社側からの説明も終わり、
 早速質問の時間となります。

 どういう声のトーンで質問すればよいのか、
 迷う位でしたが、私は咄嗟に挙手をして、
 めでたく、当社の上場後、最初の株主総会の最初の質問者となりました。


 他の方の質問の様子も含めて、
 ここに紹介しておきます。
 なお、従来通り、私の主観的に解釈を含んでいますので、
 扱いには留意願います。

(Q)
前期の経常利益において、生産性低下(▲2.3億)とはどんなものか。
また今期以降に同様の観点で利益減の要素は発生しえないのはなぜか。

(A)
上場など株式関連の費用など一過性の費用をロットで表現している。
また、前期に取り組んだ物流システム新設などで一過性の費用を計上したもの。
この他にも費目毎に精査をしており、一過性であるとの認識であり。

(Q)
経営指標の中に、経常利益率8%が掲げられているが、
一方で前期実績では5.7%以前としてGAPがある状況である。
いつ頃までにこの経営指標を達成する目論見であるか。

(A)
2020年のオリンピックの頃をターゲットとしている。
1000億8%経常利益率という目標である。
このためにも、現在取り組んでいる低温物流に経営資源を投下して、
達成したいと考えている。

(Q)
社長の協力なリーダシップが特徴と認識しているが、
取締役会が適正な機能を果たしているか伺いたい。
具体的に取締役会で反対意見を述べたり、
意見が対立した経緯などあれば教えて頂きたい。

(A)
私(社長)は、権限移譲や決まった事であれば、
それをどんどん現場に任せていくことを、
むしろ積極的に意識して対応している。
このため、心配の件には及ばないと理解して頂いた問題ない。
※具体的な事例にまでは言及されなかった

(Q)
前期の上期では増税反動減の影響を受けたと認識しているが、
どのような教訓や期たるべく再増税に向けてどんな対策を検討しているか。 

(A)
増税反動減の影響を受けたことは事実である。
但し、これは顧客至上主義のための結果であり、
我々としてはそこまで深刻には考えていない。
(とまでは発言はなかったが、要するにそういう印象なのだと思った)
今後も状況を見極めながら適正な体制を組めるように善処していきたい。

(Q)
人財について、どのような教育を行っているか。

(A)
社長の八百屋時代の商人たるや、
顧客を第一にということを率先して刷り込む教育を行っている。
これは当社の差別化戦略を越え、格別化戦略なる域になるよう意識している。

(Q)
AZCOMネットの進捗状況、トラック運転手やトラック不足への対応は。

(A)
前期では151社とのネットワークを構築している。
そして現時点で163社と順調に拡大している。
今期末までにはこれを250社位を射程に取り組んでいる。
長期的な目標においても2割程度の上ぶれとなっている。

(Q)
燃料費の上昇リスクへの認識は。

(A)
年間通して安定供給が第一であると考えている。
もちろん価格変動というリスクもあるが、
それ以上に燃料が調達できないリスクは仕事ができなくなるという、
究極のリスクのため、まずは安定供給が大前提である。
その上で、燃料費の増加でも収益が確保できる体質作りが重要と認識している。

(Q) 
後継者問題は。

(A)
生え抜きの優秀な人財が育っており、既に子会社の社長や役員などで、
一線で活躍している人財が多数存在している。
現時点で具体的な後継について言及することは避けたいが、
これから丸和運輸機関を任せられると思える人財へ任せたいし、
そのために教育も徹底していきたい。

(Q)
株主総会には多くの投資家が出席出来ることが望ましいため、
平日の昼開催ではない日次帯での開催を検討できないか。

(A)
今後検討させて頂きたい。
(あまり前向きな感じではなかったですね。まあ仕方ないのかもしれません)

(Q)
燃料費に加えて電力費などの変動はどのようにヘッジしているのか。

(A)
一部は顧客へ燃料サーチャージという形でご負担頂いている。
なお、これらのコストコントロールは月次で社内で確認する仕組みで運用している。

(Q)
車両購入計画についてどのように考えているか。

(A)
毎年計画を立てて、各社毎に精査の上発注をかけている。
発注したとしても納入までは半年以上を要するため、
情勢を見極めた上で慎重な対応が求められる。

(Q)
地元(吉川市)との関係性についての認識は。

(A)
東埼玉テクノポリス(社長が推進理事らしい)の頓挫という状況であるが、
オリンピックまでに高速道が開通することも決まったようで、
今後の発展のため、尽力したいと考えている。
地元吉川で起業してこれまでの成長を遂げられたこともあり、
今後も地元と密着して関係性を築いていきたい。

(Q)
丸和運輸機関の「機関」はなぜ付しているのか。
丸和運輸ではいけないのか。

(A)
この業界でNo.1になるという気概を込めて、
機関という文言をつけている。

(Q)
配当の増額に驚いている。
これは開示済の情報か。

(A)
決算短信で開示済である。
今後の還元には積極的に頑張っていきたい。
(おいおい、短信の1ページ目すら見ていないのか!?と思ってしまいました。)

(Q)
その他事業の文書管理について粗利益20%という高収益で、
むしろこちらに特化していったらどうか。

(A)
今回の文書保管はお国(経産省)の仕事だった。
元々、埼玉県より地元振興の一貫で、
秩父の振興策について相談を受けていた。
そこで、何度も秩父に通い、岩盤が強いことに着目し、
倉庫を造り、文書保管システムを構築した。
そのための子会社も地元秩父に設立した。
そんな取り組みが評価され、国から発注頂けた。
こういうビジネスが何倍にも伸長するというのは現実的ではないため、
今後も低温物流を中心に特化していきたい。
(個人的には前問で地元還元の話題の時には、
正直どうでもいいなと思ってしまいましたが、
そういう意識が言動がこういうビジネスを造るとは面白いなと思いました)


(その他社長のコメント)
・1部指定の際には、全従業員にここからがスタート、甘えるなと叱咤激励をした。
・元気なのは所作としては大事なこと。役員レベルでは元気は数値で可視化をと言い聞かせている。
 (数値にはこだわっているということを言いたかったらしい)
・国家から頂いた仕事をまた主事業の投資に回すことで、よい循環を造っていきたい
・今後も地元密着、振興ということにも配慮してよい関係性の中でビジネスをやっていきたい
・今後の中長期戦略は以下4観点
 ① 低温物流3PLへの特化
   拠点として東北6、関東8、関西4、中四国2の計20程度を
   2020年には50程度まで伸ばし、これで業界TOPになれる。
   売上比を現行の33%から50%程度まで上積みして、
   M&Aを入れないで1000億を目指したい。

 ② 人財システムの拡充・教育徹底
   階層別、中長短の期間別、社内社外海外の拠点別の観点で、
   網羅的に対応をしていく予定。

 ③ 人手・車両不足への対策・AZ-ZOMネット充実
   今後6年間で1200人を新卒採用を予定。
   人やトラックがないという理由で仕事を断るなど絶対しない。
   顧客至上主義を貫く。
   AZ-COMネットの目標は以下の通り。
    短期目標 250社 1日当たり車両3000台
    中期目標 750社 1日当たり車両10,000台
    長期目標 2000社 1日当たり車両30,000台

 ④ 配当性向30%以上をコミットメント
   今後も業界TOP水準を維持。



 全般的に質問に対して、
 必ず、社長が●●さん、ご質問ありがとうございますと応答され、
 真摯な気持ちで対応していたのが印象的でした。
 一方、質問に対する答えはややピントがずれたものもあったの否めません。
 このあたりは、社長も緊張していたのかもしれません。
 気を張って、とにかく元気よくというところに集中され、
 回答の質としてはもっとクレバーなものでもよかったかもしれません。

 ただ、当社は良くも悪くも叩き上げで、
 決してクールでクレバーな要素を持ち合わせているという印象ではなく、
 泥臭いところを体育会系のノリで勢いよく頑張っている、
 元気印のような会社なので、これもご愛嬌なのかなと感じます。


 投資家として冷静に見れば、
 もう少し掘り下げて知りたい部分こそありましたが、
 この元気印の対応は根拠は薄いのかもしれませんが、
 とても安心させてくれる、そしてこれからも応援したくなるものでした。

 合理的に判断をするのであれば、
 もう少しロジカルな部分を期待する方には、やや期待外れかもしれませんが、
 私はとても好印象でした。


 帰り際は出口で社長以下の従業員が多数お見送りをしてくれました。
 お土産を頂けたのも嬉しいのですが、
 社長と両手で握手させて頂き、
 よい質問をありがとう!と感謝されたのもとてもよい思い出?になりました。


 そんな熱烈な会社、なかなかないので、とても貴重でよい経験が出来ました。
 お土産もマツモチキヨシの雑貨ものの詰め合わせて、
 妻には大変喜ばれました。
 
コメント
この記事へのコメント
いつも詳細なレポートありがとうございます。

気合いの入った会社であることがよくわかりました。

自分も以前、運送業では、
トランコムという企業に投資していたのですが、
ブラック企業の風評が気になって売ってしまいました。

仕事は規律がないとダメですが、
自分の理想は、明るく楽しく、
創造的な雰囲気のある会社です。

うつ病で長期療養者を出すような会社には投資したくないですね。

丸和運輸機関は健康的で心配なさそうですが、
ちょっと引いてしまいますね。

高配当は大好きですが、
なんか、自分が吸い上げてる気がして、
敬遠してしまいそうです。

2015/06/29(月) 20:23 | URL | fhiyoshi #a2H6GHBU[ 編集]
>fhiyoshiさん
こんにちは、fhiyoshiさん。

まさに軍隊のような会社ですよね。
私も従業員の立場であればちょっとついていけないと思います。
ただ、投資家の立場から見れば、
自分の主観に縛られ過ぎないようにしたいとも思います。

私は体育会系の人間ではないので、
こういう雰囲気は率直に苦手なわけですが、
最近下火ではありながらもこういう雰囲気が好きだという方もいます。

泥臭いものの、人情味溢れて世話好きな人が多いということで、
居心地がよいと感じている方もおられるのでしょう。

ブラックと揶揄され、そのイメージが先行すると辛いですし、
病人を大量に出すような企業は成長は難しいでしょうね。

トランコムは物流業の中では、
独自の強みを持っていますね。
トラックの配備をバランスよく最適化してくれる仕組みは、
当社の強みですからね。
私もSBSHDなどの投資をする際に、
投資候補にあげていました。

丸和運輸機関であってもこういう相知れない社員が出てしまうことも、
ないわけではないでしょう。
これはやはり仕方のないことなので、
せめて、人財を育成することにきちんと向き合っている、
その姿勢だけは少なくても大事にしたいと思っています。
そういう意味では丸和運輸機関は合格なのですよね。

高配当を吸い上げているという感覚は確かにありますね(笑)。
ただ、投資とはそういうものでもあるかもしれないと、
そこは冷静に割り切って対応していきたいと思っています。
2015/06/29(月) 23:19 | URL | まるのん #-[ 編集]
読み応えのあるレポートありがとうございます!今年は参加したい!
2016/03/29(火) 10:44 | URL | Gany #-[ 編集]
>Ganyさん
こんにちは、Ganyさん。
長文にお付き合い下さりありがとうございます。

丸和運輸機関の総会はなかなか独特でしたし、
今後の展望も含めて私も興味を持っていますので、
今年も参加出来ればと考えています。

どうぞ、よろしくお願いいたします。
2016/03/29(火) 22:58 | URL | まるのん #-[ 編集]
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