十分な教育資金と老後資金のために


 決算書類を見る際には、
 『額』より『率』を重視してみるようにしています。

 売上高が○億円だったとか、
 利益が○億円だったというのは、
 直観として企業(事業)規模を図る上で、
 第一印象としてはよいのですが、
 それを元に深掘りが出来ません。

 例えばトヨタ自動車の当期純利益は2兆円超であるわけですが、
 ここから、日本を代表する大きなビジネスをやっていることは伺い知れます。
 ライバル(?)の日産自動車の当期純利益は4千億程度で、
 トヨタの5分の1程度の利益になっていることがわかります。
 ですが、このことだけで必ずしもトヨタの優位性を示しているとは思えません。
 利益の額が多ければいいという考え方もありますが、
 その利益がどの程度の自己資本から生み出されたものであるか(ROE)、
 またはどの程度の収益性で生み出されたものか(利益率)、
 総資産をどの程度有効活用して生み出された利益であるか(ROA)というように、
 様々な視点からこの利益の源泉を辿って行かないと、
 質的側面で優位性を判断出来ないと思うわけです。

 ですから、『額』だけに注目して多ければよいというのは、
 ある意味では合理的な気もしますが、
 中長期的な競争環境を生き抜いていけるのか、
 もしくはよりよい経営がなされているのかといった視点に立つと、
 『率』を重視していく必要性を感じています。


 では、どんな『率』を重視するかという話ですが、
 これも評価目的によって変わると思います。

 わかりやすいものは、前述のROEのように、
 我々投資家が出資し、内部留保を含めた自己資本に対する利益率でしょうか。
 ROEが10%ということは、自己資本の10%分の利益を生み出せたことになります。
 内部留保や配当などの問題はちょっと置いておいたとしてざっくりいえば、
 10年同じ利益水準を同じ自己資本で創出し続けることが出来れば、
 自己資本分の利益を創出出来たということになります。
 多額の内部留保を抱えて自己資本に厚みを持たせている場合には、
 それを有効活用して投資することにより、
 利益を積み増ししていかねば、ROEは維持出来ませんので、
 自己資本をきちんと有効活用出来ているのかを評価する上では、
 楽ちんな指標だと思います。

 一方、ROEで問題なのは、レバレッジをかけた経営をしている場合に、
 相対的に自己資本が過小になるため、
 そのレバレッジ(つまり借入金)を活かした積極事業展開を行えば、
 ROEはそれなりに高い数値になります。
 単にリスクを取って高いレバレッジ経営をしているだけかもしれません。
 ですから総資産で利益を割り戻すROAとセットで見るべきでしょう。
 ROEが極端に高く、ROAが極端に低い場合、
 それだけハイリスクだと思うようにしています。

 またROEを見る上でもうひとつ留意していることは、
 意図的に高配当を出して内部留保を減らして、
 分母を減らすことでROEを高める政策を取っている場合があるということです。
 ROEは利益÷自己資本ですから、自己資本(内部留保)を減らせば、
 ROEは高まります。JPX400採用が目的化していて、
 配当性向100%などという会社も見られるので、
 それを適正な配当性向を出している企業と単純比較しては、
 不公平ですからね。

 このように投資家の資本(自己資本)に対する利益水準を図る上で、
 経営をうまくやっているか、という観点でいえば、ROEを見ていくのはよいと思っています。


 そしてもうひとつの評価軸として、
 その企業の競争優位性がどの程度あるのかという点です。
 これはROEなどではなかなか推し量るのが難しいと思います。

 というわけで、利益率が業界標準と比べてどういう水準であるか、
 この辺りを見ていけばいいのではないでしょうか。

 そして遣う利益は、本業の儲けを示す営業利益がよいでしょう。

 経常利益では本業外の営業外損益は
 あくまで本論ではないため除外したいですし、
 特別損益も一過性のものでしょうから(そうではない銘柄もありますが)、
 本業部分の競争優位性を図る上では、営業利益が合理的だと思います。

 売上高営業利益率を算出して、
 業界水準と比べてどうか、
 そこに乖離がある場合には、理由を考えてみることで、
 分析の軸が広がると思うのです。

 業界標準より明らかによい営業利益率をたたき出している場合、
 その理由を考えて、それが今後も継続するのか、
 一過性のものなのかを考えていきます。
 例えば寡占状態であり、参入障壁が高い場合には、
 今後も高い確率で高収益性を確保出来るでしょうし、
 それがその会社の何よりの競争優位性を証明することになります。

 一方で業界標準を下回っている場合、
 例えばその業態で過当な競争環境になっていて、
 もはや成長余地がそこから生まれないのではないかと見れば、
 それは競争優位性など存在せず、存続していくことが主題になるかもしれません。
 それでも安定していれば、安定性重視であれば投資対象になるでしょうが、
 成長性重視であれば脱落します。
 下回っている理由が積極事業拡大の過渡期にあって、
 販管費など多額の投資を要しているという場合は、
 それが花開くのかどうかというリスクはあるものの、
 それに確信が持てるなら、有望な投資先になるかもしれません。

 というわけで、以下のことを試みてみたいと思います。

 (1)保有銘柄の3期分の営業利益率を算出してみる
 (2)同業界毎に保有銘柄間の違いを確認する
 (3)業界水準との違いを確認する
 (4)同業界で同規模程度のライバル企業との違いを確認する
 (5)各銘柄について各違いがなぜ発生しているか考えてみる
 (6)投資継続の前提となる魅力やリスクを正しく認識する


 なお、冒頭のトヨタと日産の例ですが、
 営業利益率はトヨタが約10%、日産が約5%程度ですから、
 雲泥の差があります。
 これにより、額だけでなく、競争優位性という観点でも、
 初期判断としては、トヨタに軍配が上がるということになります。

 では、なぜこれだけの差が出来るのかという話を掘り下げていくと、
 トヨタの強み、日産がいつの日かトヨタのような競争力を持てるのか、
 持てないのかなどが見えてくるのかなと思います。

 例えば規模メリットで調達力が下がる効果は、
 一朝一夕にはトヨタレベルまではいかないよな、とかですね。
 いずれにしても、表面的な『額』や『率』を見ていっても、
 トヨタはすごいなと思いました。
 ちなみにホンダやダイハツ、スズキとか色々見てみましたが、
 どこも5%前後のようです。
 そんな中、マツダだけは7%台に乗せており、
 少し頭が出ている印象です。
 過去のトレンドなども調べてみて、
 経年で向上しているようであれば、何か変化が起こって、
 競争優位性が増しているという判断も出来るかもしれませんね。


 早速、私も保有銘柄でこの調査に着手してみたいと思います。
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