投資方針に忠実に退屈な投資で資産形成
4245 ダイキアクシス 東証2部 【化学】

 第一印象でピックアップした銘柄が肥大化していることから、
 少しずつですが、分析を通して、
 きちんと実態ある監視を継続するようにしたいと考えています。

 とにかく量をこなす必要があることから、
 即日で浅い分析になりますが、ご容赦下さい。

 本日取り上げる銘柄は「環境創造開発型企業」です。
 とこの文言だけを見て、投資しないなと思われる方もおられるかもしれません。

 如何せん環境とか儲からなそういうイメージですし、
 それを創造するとか、
 なんか胡散臭そうというように思われる方もおられるでしょう。

 儲からず、胡散臭い会社なのかみていきたいと思います。
 (すみません、ホルダーの方、怒らないで下さい、結論として私は有望だと認識しました)

1.事業内容
 環境機器関連事業と住宅機器関連事業の2軸が主事業です。
 これに加えて地下水飲料化事業やバイオディーゼル事業など、
 新規事業も育成中です。こちらはまだ足元では収益化はされていません。

 まず、足元の業績を見ていく上では2軸の主事業を見ていくことにします。

 ◆環境機器関連事業
  水に関わる事業全般で、「上水」「中水」「下水」に対応した機器を開発、販売しています。
  この中で当事業のコアは「下水」であり、
  主に浄化槽と考えればよさそうです。
  この下水システムが浸透した日本で、
  本当に浄化槽のニーズがあるの?とも思うのですが、
  実際には単独(トイレ専用)からハイブリッド(トイレ、風呂、キッチン)システムになったり、
  コンパクトさによる施工性向上、
  材質にポリプロピレンの再利用可能材質を用いることによるエコマーク取得など、
  色々差別化、付加価値要素があるようです。
  自治体が個別に今後更に下水システムを拡充させていけるかは不透明であり、
  頭打ち状態にもあるようです。
 
  また、浄化槽といっても最近マンションなどでも主流となりつつある、
  ディスポーザーの処理槽や工場における排水処理システム、
  更に商業施設やオフィスでの排水におけるニーズもあるようです。

  そして成長性の原動力になるだろう、海外進出です。
  当社はインドネシアに拠点を設けていますが、
  東南アジア地域の新興国では当然ながら日本のように下水システムは未整備です。
  だからといってもいきなり網羅的な下水システムを
  構築するような投資も出来ないのが実情のようです。
  となると、結局今の日本でもそうであったように、
  まずは個別の浄化槽へのニーズが高まるわけです。
  新興国の需要を考えると相当なものがありそうだなというイメージが浮かびます。

  戸建の浄化槽だけを思い浮かべると、あまり成長性もなさそうだし、
  いまいちかなとも思わなくもないのですが、
  実際に詳しく調べてみると色々な要素で需要は堅調に推移しそうです。


 ◆住宅機器関連事業
  主に風呂やトイレ、キッチンなどの商材を扱っています。
  TOTOやタカラスタンダードなどのメーカー品を扱い、
  これらの機器を住宅向けに販売、施工しているようです。

  となると、また住宅関連の指標に大きく影響を受けて、
  足元では反動減でボロボロと思いきや、
  4-6月期の落ち込みはほぼなく推移しています。

  ここはおそらくリフォームなどの需要も堅調で、
  新築でなくてもよいということを表しているように思います。

  いずれにしても、浄化槽の販売とのシナジーも発揮され、
  なかなかバランスがよいなと感じます。

  更に商流もTOTOの特約店としての位置づけの他にも、
  ホームセンターからの商流も持ちます。
  これは元々当社の事業で過去にホームセンター事業を扱い、
  事業分割された経緯もあって、その業界にも明るいということがあるのかもしれません。

  また住宅とは言っているものの、公共施設への展開も積極的です。
  事例として、体育館、プール、貯水タンク、オフィスビルなど多様化されています。

  こちらは、主に当社発端の四国地域が強く、
  広く見ても主な商圏は関西圏に留まっており、今後の成長余地も残されていそうです。
  

 ◆その他(新規ビジネス)
  地下水飲料化ビジネスは既に多くの引き合いが出ており、
  今後一番最初に収益化、そしてコア事業へ移行しそうです。

  大型商業施設や病院、公共施設、学校、スポーツジムなど
  多種多様に採用が進んでいるようです。

  ユーザー側から見ればコスト削減に繋がるようで、
  当社側から見れば10年間のストックビジネスになるのです。
  10年のストックとはかなり長いですね。
  逆にいえばこれだけの期間を見ないと投資回収出来ないとネガティブにも捉えられますが、
  一度入れば転換リスクは極めて低いでしょうから、
  積み上がれば利益貢献も大きくなりそうです。

  バイオディーゼル事業はトピックスとしてセブンイレブンの四国初進出店舗における、
  廃油を使ったビジネス展開に着手しているようであり、
  ここでうまくビジネス化の軌道が描ければ、
  広くセブンイレブン網でのビジネスへ進展することもあるかもしれないと妄想しておきます。
  これも成功すると知名度向上、利益貢献の両面で、
  爆発的なエネルギーを持っているように思います。

  かなり端折って記載しましたが、
  なんとなく、私が最初に持った斜陽産業のイメージからは
  だいぶかけ離れたよい事業、よい環境が整っているなと感じました。


2.成長性について
 成長性についてですが、
 まず「環境機器関連事業」の中で「下水」部分については
 国内ではハイブリッド化の浄化槽へのリプレイスが進んだり、
 商業施設やマンション等でのディスポーザーシステムなどまだ伸びしろはあるでしょう。
 ただ、そこまで大きくはないかもしれません。
 ざっくり10%程度でしょうか。

 海外についてはインドネシアの浄化槽メーカを買収しましたが、
 3年間で利益水準で2倍の目算です。
 もちろんインドネシアを拠点としたマス対応していくでしょうから、
 中長期で新興国全般への展開という成長余力が見込まれます。

 とはいえ、新興国でのビジネスはなかなか難しい面もあるでしょうから、
 こちらはざっくり15%程度でしょうか。

 次に新規事業扱いの「上水」についてですが、
 こちらはストックの積み上がりにより、堅調に成長が見込まれます。
 特に企業の設備投資意欲が旺盛な中では相応に増勢で推移しそうです。
 なにせ、10年間、ほぼ新たな営業費用が不要でちゃりんちゃりんです。
 20%成長といいたいところですが、控え目に見る必要があるかもしれません。

 「住宅機器関連事業」についてですが、
 まず個人向けについては横ばいでしょう。
 メーカー品の卸・施工などいかにも競争激化、人件費高騰などの影響を受けそうですし、
 楽観は出来ません。

 一方公共、法人向けは上場による信頼性の向上や実績の積み上がりにより、
 徐々に展開が進むのではないでしょうか。
 10%程度の成長は望めるかもしれません。

 その他新規事業ですが、バイオディーゼルは当たれば大きいですが、
 こういった類のビジネスはそれなりの投資や研究開発を要するでしょうし、
 収益性という面では厳しいことが予想されます。
 ですから成長性はごく緩やかにくらいで見ておくのが妥当かと思います。

 というわけで、総合的に捉えた上で、会社発表の中計を眺めてみます。

 4245_ダイキアクシス

 利益で年率平均で15%。
 住宅機器関連は売上ベースで横ばい

 なるほど、やはりそれ位の成長性を見込めるわけですね。
 住宅機器関連を慎重に見ているところからも、
 かなり保守的に堅くみていると考えれます。
 社長の説明のプレゼンを聴いても同じ印象でしたし違和感なく聞き入れられました。
 この15%成長はこれ以上疑う根拠もありません。
 (絶対的自信が持てる根拠がないのも辛いわけですが・・・)

 というわけで、当社の成長性は15%とみたいと思います。
 但しそれぞれの新規事業の伸びしろが大きく
 これが当たればもしかすると上ブレするかもしれないという期待感があります。

 
 3.株価水準について
 現在の株価は1,186円です。

 時価総額:74億
 PER(13.12期実績):14.8倍
 PER(14.12期会社予想):13.9倍
 PER(14.12期四季報予想):11.3倍
 PBR:1.3倍
 ROE(13.12期実績):7.8%
 ROE(14.12期会社予想):9.4%
 ROE(14.12期四季報予想):11.5%
 配当利回り:1.9% (配当性向は早々に20%から30%へ向上予定とのこと)
 ※優待あり

4245_gc.gif
※ゴールデンチャート社から出力

 まだ新規上場後日が浅いですが、
 公開時に不人気でしたが、それでもここまでで約2倍ですね。
 あとの祭りですが、PERで1桁で仕込めればよかったです。
 と言ったところで始まりませんね。
 上昇基調が大きく、ちょうど先週後半の下落の影響もほとんど受けていません。
 何気に強い動きだなと感じます。


 4.リスク要因
 住宅設備やオフィス、企業設備投資に関連しますので、
 景気動向には依存しそうです。
 リーマンの時には赤字転落していたようですが、
 東日本大震災の時には影響は軽微のようです。
 ストック型の育成が貢献しているのではないでしょうか。
 ですから景気動向には左右はされるものの、
 そこまで気にかける必要はないのかなという気もします。

 過去の業績ですが、以下の通りです。

plv_4245_5.png
※GMO証券より出力

4245_推移
※四季報CD-ROMから出力

 まだ日が浅いので、あまり参考にはなりませんが、
 概ね右肩上がりだなと好印象です。


 あとは、東南アジアへの進出ということで、
 地政学リスクについても想定をしておく必要がありそうです。

 最近ではタイなどでリスクが高まりましたが、
 まぁここも影響は軽微です。
 (そもそも当社のコア進出はインドネシアなので影響はないか)


 また、今後政府主導で下水システムの導入が本格化すると、
 当社のビジネス領域を浸食する恐れがあります。
 ただちょっと調べてみた感じでは、
 特にそのような動きが顕在化しているようにはみえませんでした。

 人口密度が高い一部の都市部はともかくとして、
 地方へあまねく浸透させるのは、費用対効果も悪く、
 政策としてもないと思われます。
 ですからここもそこまでリスクはないかなと思います。

 最後に注視すべきは財務面の安全性でしょうか。
 自己資本比率30%やっとといったところで、
 負債比率が高いです。
 まだ利益剰余金も現金も少なく、
 そのため、インスタントガバレッジレシオも6倍程度と、
 少々不安が残ります。
 今後増資なども含めてファイナンスもありうるかもしれませんね。

 また有報から借入金の融資利率を見ようとしましたが、記載がありませんでした。
 銀行がどのように判断しているか参考にしているのですが、不明です。


 5.目標株価について
 今期EPSは会社予想で85.42、四季報予想で104.8です。
 私は平均成長率15%を前期実績にかけてEPS予想を92.12とします。

 ここからあと3年後15%成長を続けるとすると3年後EPS予想は140となります。

 評価PERは15倍と言いたいところですが、
 若干新規事業の上ブレ期待と東証1部へ行っているでしょうから、
 17.5倍での評価としたいと思います。

 すると目標株価は2,450円となります。
 現在の株価から2倍ちょっとのGAPがあることになります。
 

 6.サマリ
 こういう銘柄がIPOで低評価となって、
 それをその時に買えなかった自分が情けないなと思いました。
 IPOした時に一度目には留まったのですが、少なくてもPER一桁で推移していたわけで、
 やはり未熟だなと思いました。
 今の株価を見ての結果論だと罵られるかもしれませんが、
 やはりそう思わずにはいられません。

 そしてそんな後悔はさておいて、
 これからでもまだチャンスはあるかもしれません。
 今回の分析でも十分妙味があるような気がしますが、
 YAHOO掲示板などをみると、よからなぬ短期資金も入っていそうですし、
 なんだかな、とも思っています。

 当銘柄はあまり個人投資家の方にも人気はないようで、
 私の着眼点がイマイチなのかもと不安にならなくもないですが、
 こういう地味な銘柄でも十分妙味があればと思っています。
 
コメント
この記事へのコメント
丁寧な分析ありがとうございます
ここはみてる人はみてる銘柄だと思いますよ
2014/10/09(木) 08:04 | URL | #-[ 編集]
良い分析ですね!
私は700円台で仕込みました!(えへえへ
2014/10/09(木) 13:08 | URL | #-[ 編集]
>名無しさん(同一の方でしょうか)
こんばんは。
当分析はいつもに増して深堀できておらず申し訳ないのですが、
実は前々からずっと気になっており、
もう少し早く買っていればよかったなと思っていました。
ですから700円台で仕込まれたというのは羨ましいですね。

私は現時点の価格でも十分に魅力があると感じており、
今週前半に早速購入しました。

もちろんその後、相場の軟調さのおかげで、
早速含み損ですが、
そんなことより1年後、2年後をまずは見据えて、
楽しみにしていたいと思います。
最近失敗が多いので、当銘柄も失敗にならなければよいのですが。。。

さて、大変恐縮ですが、もし今後コメントを頂ける際には、
お手数ですが、名前をご記入頂けますでしょうか。

せっかくコメントを頂いても、
名無しさん宛に返信することになり、
お名前もわからず申し訳ありませんので。

別に「あ」とか「い」とかでも構いませんので、
ご配慮いただきますと助かります。
2014/10/10(金) 01:06 | URL | まるのん #-[ 編集]
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