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2764 ひらまつ 東証1部 【小売業】

 前々から監視銘柄に入っていたひらまつを簡易分析しました。
 きっかけは優待の権利取り日が間近であるためです(笑)。
 権利取りに向けて9月以降上昇してくると思いきや、
 あまり騰がっていないようですから、
 買えるかどうか見ていきたいと思います。

1.事業内容
 一言で言えば高級レストラン事業です。
 イタリアン、フレンチの高級レストランを運営しており、
 飲食はもちろん、婚札関連は私の周囲でも大変人気が高いです。
 余談ですが、私も結婚式の披露宴の候補として、
 当社運営のレストランを検討しておりました。
 ちょっとグルメな人であれば、ひらまつグループといえば、
 それなりの格式とおいしい料理が頂けるところという
 コンセンサスが存在しています。

 最近では新たにホテル事業への進出を計画しており、
 10年間で段階的に拡充させていく構想を発表しています。
 まずは郊外型のリゾートホテルから着手し、
 ブランディングをしていき、
 最終的には都市型のホテルへ裾野を広げていく計画です。
 こちらは星のやグループとまさにバッティングしそうですね。
 ちなみに、更に余談ですが、
 私は、星のやグループで挙式をしました(笑)。

 当社のビジネスは、
 高級志向のレストランを主軸に全国展開をしており、
 更にホテル事業へ進出ということでよいかと思います。


2.成長性について
 成長性については大変難しい評価となります。
 大きく既存事業のレストランと、新規事業のホテル事業に分けて考えます。

 まず、レストラン事業です。

 レストラン事業において成長性を評価する観点は3つありそうです。

 エリア拡大、集客数の増加による既存エリアの拡大、利益率の向上の3つです。

 (1)エリア拡大について
 当社は日本の各エリアに旗艦店を配し、
 その旗艦店を核としていくつかの店舗を周囲に展開することで、
 商圏を広げていく戦略のようです。

 そして新たな旗艦店構想として、広島と仙台地域が挙げられています。
 広島は中国地域、仙台は東北地域の旗艦店となります。
 これらの地域はまだ未開拓地域ですので、まだまだ成長余地は残されていそうです。

エリア図
※当社、決算発表資料より抜粋


 一方で判断が難しいのは、
 これら2つの地域にそもそもどれだけのマーケットが存在しているかです。
 既に大きな商圏と思われる東京、大阪、福岡、札幌の地域へは進出済であり、
 特に東京、大阪が大きなマーケットであることに揺るぎはなく、
 ここに仙台と広島が加わることで、
 どこまで現状からのストレッチが出来るのかという点が不透明です。
 ちなみに会社発表ですと2エリアで25億円の売上規模を見込んでいます。
 変則決算前の通期実績である2013年度の売上が115億ですから、
 ざっくり20%の増収効果といったところでしょうか。

 あとは既存地域での出店攻勢ですが、明らかに大阪が手薄に感じます。
 既に新店計画はあるようですが、
 今後まだまだ余地はあるのではないでしょうか。
 一方、創業以来の歴史のある福岡はそれなりに手厚い印象です。


 (2)集客数の増加による既存エリアの拡大について
 この商圏拡大に伴う売上増の要素として10%前後といったところでしょうか。
 あくまで感覚論なのですが、
 旗艦店が2店増える際は一時的には20%程度の成長性もありうるとは思いますが、
 周辺店の取り込みというところも考慮していくと、
 継続的な成長という面ではこの程度の評価にしかならないと思われます。

 一方エリア拡大以外の成長余地についてですが、
 前々から言われているように交際費の課税スキームの見直しということで、
 つまり、接待費として支出すると、税務会計上、
 費用化して税金控除が大きくなるものですが、
 こういった消費拡大に向けた政府の取組みもあって、
 特に現状の景気拡大局面では当社にとって集客材料となるはずです。

 また可処分所得が増えている(と言われている)ため、
 当社のような高級路線は中流層の新たな顧客を取り込むことにも繋がりそうです。
 当社はブランド力は抜群ですし、口コミも大変よいようですから、
 こういった新たな層の集客は、リピート客にも繋がると考えられ、
 もう少し成長余力はあるのかなと感じます。

 また外国人旅行者の急増が与える影響は大変難しいですね。
 旅行者は多くがてんぷらやすしといった和食の王道へ集約が集中しているようで、
 わざわざ日本にまで来てイタリアンやフレンチを食べるのかなとも思います。
 ただ、日本のイタリアンやフレンチは本国にも負けず劣らずの力があるとも言われており、
 滞在中、1食くらいは食べてくれるのかなとも思います。
 なにせ、ミシュランの星付きも多いですからね。

 (3)利益率の向上について
 当社の利益率推移を辿っていくと、目覚ましい発展を遂げています。
 リーマンショックの頃は一桁%だった経常利益率は、
 現在20%を超えてきています。
 さすがに上昇は一服感もありますが、概ね30%位を目指すのではなと思います。
 実際に最新の資料などを通読していても、利益重視の姿勢が鮮明です。
 要するにお客様の要望には最大限お答えします、満足度もプレミアムですが、
 料金も適正に頂きますということでしょう。
 この姿勢を貫くと、高採算体質になりますね。
 するとあと5%程度の利益率向上が見込まれるとも思えます。
 売上規模で120億として5%というと6億です。
 今期予想の経常利益が32.5億ですから18%程度のストレッチ効果があることになります。
 数年かけて30%を目指すでしょうから、
 年率の成長率に置き換えればわずかなものかもしれませんが、
 この観点でももう少し成長余地はありそうな気がします。


 以上のことから、何かしらレストラン事業における成長予測を立てる必要がありますが、
 やはり難しいですね。
 レストラン単体での成長率は10%~15%程度かなという印象です。
 (すみません、肝心なところの根拠が甘くて・・・)


 さて、次にホテル事業についてですが、
 こちらはまだ構想自体がはっきり発表されていません。
 ただ、借入金を25億したということはわかっています。
 それから日経の記事で山梨、北海道、静岡などの地域が候補、
 1泊6万程度ということですから、
 まさに星のやグループとガチンコとなるイメージです。

 現状のレストラン事業とのシナジーも出るでしょうし、
 レストランで築いたブランディングも活きるでしょう。
 ただ、レストランとホテル業ではどちらもホスピタリティの精神は同様ですが、
 具体的なオペレーションには差異があり、
 ホテル業ならではのおもてなしスキルは、
 どこまで星のやに対峙出来るのかなとも思います。

 社員の徹底教育やブランディングによる波及効果だけで、
 なんとかなってしまうものなのか、
 では星のやの社長が学んだコーネル大学ホテル経営専攻という、
 ホテル業に特化した専攻が世界的に有名になるのはなぜなのか、
 (つまりホテル業ならではのオペレーションスキルが存在するのでしょう)
 結局、ひらまつがホテル業で真の成功を遂げられるのか、
 そこはよくわかりません。

 ただ、実際会社※としてはレストラン事業も含めた
 成長シナリオとして売上規模で、
 現状の120億から400億~500億の規模を想定しているようです。

 ※最新の決算説明資料を主に見ています。


 つまり売上ベースで4倍位にはなると言っているわけですね。
 ちなみにこれがいつかは明示されていません。

 ちなみに、時価総額3000億超という言葉も踊っています。
 つまり目標株価を掲げているわけで、
 現状300億の時価総額を10倍にするといっているわけですね。
 テンバガー達成を高らかに宣言しているわけです(笑)。

 なぜ売上が4倍で株価が10倍になるのか、
 それはわかりません。IRに今度聞いてみようと思います。
 
 単純に株価が10倍になる=利益が10倍になると考えると以下のようになります。
 (数値は比率算出のための参考値で意味はありません)

 現状:売上100 経常利益25 (利益率25%)
 将来:売上400 経常利益250 (利益率63%)

 いやー、利益率60%などあり得ないでしょうから、
 実際にはPERなど評価がもう少しあがるだろうということも考慮されているのでしょうね。


 というわけでホテル事業単体の成長性という意味でいうと結論として、
 よくわからないということになりました(笑)

 ただ、ざっくりレストラン+ホテルで500億を目指すとして、
 経常利益率は30%と維持できるモデルで算出する、経常利益は15,000百万円です。
 今期予想が3,250百万円ですから4.6倍ですね。
 この場合の時価総額は1,400億円となります。

 ホテル事業が軌道に乗るだろう10年後にざっくり5倍程度になるというのが、
 長期で見た超概算の成長性評価の結論としたいと思います。
 

 ちなみに10年で5倍というと、
 年率平均にすると17%ですから、私の目標とする、年率15%をクリアしていますから、
 この超概算の成長シナリオ(単なる皮算用!?)を納得出来れば、
 投資に値するともいえますね。



3.業績の実績確認
 過去の推移をみると、特筆すべき点が2点あると思います。

過去業績
※2014年は6か月の変則決算となっています。


 1点目は有事の際の耐性についてです。
 これは理由がよくわからないのですが、
 実績として過去の有事をなんなく乗り越えています。
 リーマンショック、東日本大震災、欧州危機などなどです。
 こういう高級路線のレストランのように贅沢なものは、
 まっさきに消費抑制が起こり、
 固定費依存が高い当社のようなビジネスモデルでは、
 集客が見込まれないと真っ先に赤字になってもおかしくないはずです。
 しかし、実際には成長スピードこそ止まっていますが、
 きちんとそれなりの実績を確保しています。
 この点は大きなポジティブ材料だと思います。

 私は高額品になればなるほど、利益率も利益額も大きく期待できる一方で、
 不況耐性に弱く落ち込むリスクも大きいと認識していますので、
 実際にこのような実績を残していて、
 耐性があると確認できることは評価したいです。


 2点目はきれいに右肩上がりである点です。
 以前の記事で過去の実績を重視する旨を記事にしましたが、
 当社のように出店をして成長してきたことを実績の数値がきちんと証明しています。
 普通は出店費用がかさんだとかで一過性の費用という言い訳つきで減益を計上して、
 毎期に渡って出店加速するものだから、なかなか利益が追い付いてこないという
 よくない姿を見ることもありますが、
 当社の場合はそのあたりのケアもしっかりなされているように思います。
 きれいに右肩上がりで成長を遂げている点も、評価したいと思います。


4.株価水準について
 現在の株価は632円です。

 時価総額:307億
 PER(14.3期実績):27.1倍 (6か月の変則決算)
 PER(15.3期会社予想):12.2倍
 PER(15.3期四季報予想):11.9倍
 PBR:4.4倍
 ROE(14.3期実績):16.2%
 ROE(15.3期会社予想):36.0%
 ROE(15.3期四季報予想):37.0%
 配当利回り:2.5%

 ※優待あり(割引券+株主フェア)

 市場からはPER水準から10%前半の成長性という評価なのでしょうか。
 高ROEや株主還元などを考慮すると、若干ですが割安なのかなという印象です。
 あくまで現時点の評価としてという意味です。

チャート

 アベノミクスが指導した13年1月に一気に2倍近く上昇していますが、
 業績好調や公募増資など好材料、悪材料に一喜一憂しながら、
 その後は横ばいが続いています。

5.リスク要因について
 高級路線の店舗展開ですので、
 真っ先に浮かぶのは不況耐性ですが、
 前述の通り実績としてきちんと過去の有事を乗り越えてきています。

 あとはどの企業でも景況感が向上する中で抱える人件費、材料費などの
 費用増なども挙げられますが、これは値上げで対応すると明記もされていますし、
 実際当社のような高級路線では価格転嫁はしやすいでしょう。

 模倣店などによる競争激化も考えましたが、
 そもそもひらまつのような高級ブランディングは一朝一夕でなせるものではありません。
 個々の店舗でメディア露出などで脚光は浴びることはあるでしょうが、
 多店舗展開していて、かつ上場しているとなるとなかなか競合が見当たりません。
 外食というと参入障壁は低いわけですが、
 当社の置かれているポジションにおいては、参入は難しいかもしれません。

 但し、ウェディング関連は新たな企業の進出、
 婚札に関わるニーズの多様化、少子化などのリスクはありますが、
 元々当社の施設は多くが1年前に予約しないと披露宴も挙げられない位、
 知名度、ブランドも確立されていることから、少なくても現時点では脅威ではないと思います。

 と、あまり明確なリスクが検知されないのは、大変危険なサインなので、
 今後も常に疑ってかかっていきたいと思います。


6.目標株価
 レストラン事業だけで評価した場合の向う3年後の成長率は10%+α。
 ホテル事業までを織り込んだ際の平均年率成長率は17%。

 成長率に加えて私が評価したいのは、前述の過去実績の安定的な業績です。
 また株主還元策として配当もそこそこ、優待も充実と来ています。
 この点も評価できると思います。
 (投資家によっては投資期にあまり配当しなくても・・・はあると思いますが)

 一方リスクはやはりホテル事業の失敗でしょうか。
 借入金の水準もそれなりに大きいですから、
 よくいえば、レバレッジを聞かせて効率いいね、になりますし、
 悪く言えば、財務体質が相対的に弱いねになります。

 ちなみに銀行の貸出利率は長期で1%割れですから、
 今の所、銀行は安全と判断しているようですね。

 総合的に考えると成長性に対して少しだけポジティブに捉えられるかなと思います。

 3年後の成長性の+αをどう見るかです。

 またざっくりな話になってしまいますが、
 以下のように考えました。(この詰めの甘さをなんとかならないのでしょうかね・・・)
 3年後を見据えた現時点の適正PERは14倍~16倍くらい(中央値15倍)
 ホテル事業を見据えた長期でPER16倍~PER18倍(中央値17倍)

 約3年後の18.3期の想定EPSを年率15%成長として80。
 10年後の想定EPSを年率17%成長として250

 目標株価は以下のようになりました。

 3年後 : 80 ×15=1,200円(現在比90%)
 10年後: 250×17=4,250円(現在比572%) 
 


 さて、企業価値面からも評価してみます。

 <財産価値>
  現金:53.2億
  受取手形:3.7億
  建物・土地:38.2億
  有価証券等投資:17.0億
  借入金等負債:▲72.8億
 財産価値:39.3億

 <事業価値>
  営業利益32.6億 × 0.6(法人税控除) ÷ 10%(割引率を10%)
    =事業価値:195.6億

 <株主価値>
 財産価値39.3億+事業価値195.6億 = 株主価値234.9億

 理論株価:483円
  ※現在の株価は24%程度割高という結果になります。

 やはり現状の理論株価で評価すると若干割高という結果になりました。
 しかしこの算出モデル自体が目安となるもので、
 しかも事業価値はある断面での資産価値について算出していますので、
 あくまで参考程度です。

7.その他メモ
 ・最低配当を設定し、業績上乗せ分を配当性向30%で還元という安心感
 ・当社はROA(総資産経常利益率)を重視。20%から30%へ
  (ROICを評価して出店検討を実施していると明文化)
 ・高ROAだが借金依存度はそこまで高くはない。(銀行利息は安心水準)
 ・足元の1Q決算は売上は計画未達、利益は計画上ブレ(利益率は低下)
 ・1Qの売上未達は増税反動減と天候という一過性要因あり
 ・IRでかつて実施していた月次発表は中止となっている
 ・投資資金を多額必要となるため、今後も公募売り出しの可能性あると想定

8.結論
 成長余力や実際の成長幅という面でレストラン事業単体で見ると、
 成長性が高いとは評価しにくいですが、不況耐性や高いブランド力を持っており、
 価格コントロールが効きやすいという面もあり安定的に緩やかな成長が望めそうです。
 一方ホテル事業についてはまだ不透明な感じがしており、
 この部分をリスクも含めて許容できるかどうかがカギになりそうです。
 少なくても会社はテンバガーになる意気込みらしいので、
 あとはここをどこまで自分の中で評価出来るかかと思いました。
 皮算用とはいえ、自分の投資対象として目標パフォーマンスは合致していることから、
 引き続き前向きに監視銘柄として見ていきたいと思います。
 やはりまずは優待取りのために打診買いでもするかもしれません。
 (優待に踊らされる様ではそもそもスタンスがブレまくっているわけですが(笑))
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