投資方針に忠実に退屈な投資で資産形成

理系・工学分野に特化した人材派遣事業をコアとした
WDBホールディングスの決算説明会に参加してきました。


直近の上期決算を受けての東証ホールでの開催です。
決算の内容は 銘柄分析シート をUPしています、。





上期の決算としては、売上、利益共に
計画未達に終わり、社長としても「低迷」していると述べられておりました。

派遣人材は労働力不足を背景に獲得合戦になっており、
同社も今期には営業所の新設、育成のための研修所の開設など、
積極的な投資を実施しています。加えて、各地での営業人材として、
パートの女性を大量採用し、顧客へのアプローチを深めております。

そんなわけで、主に販管費支出が増額となっており、
減益予想ではありましたが、数%とはいえ、
更に減益幅を拡大しての着地となっています。


中野社長はいつもそうなのですが、包み隠さず、
逃げも隠れもせずなので、自社の現状を「低迷」と表現され、
特に言い訳や希望を持たせるような発言もされません。

本来アナリストの前では、もう少し言い訳がましく要因を列挙したり、
改善プランをアピールするものだと思うのです、
そういうわけでもありません。
そういうところが、この会社らしいところです。

聞いているこちらがちょっとドキドキしてしまうのですが、
実直でまっすぐな方です。
実際終わった後に少しお話をさせて頂きましたが、
低迷は低迷で、すぐには回復は難しいことも事実で、
そこで変に期待や夢を持たせるようなことも言いたくないと仰っています。

株価の動きにはいつも敏感であると社長自身公言されていますが、
一方で、つけ刃のような夢物語が通用しないこともよくご存じなわけです。

正直に現状を語ってくださるので、
質問の回答も比較的実態に沿った回答をされているように思います。


同社は競合の目を配慮していたりという事情があり、
決算説明資料は開示していません。
当日は配布されますが、粛々と計画未達であること、
また積極投資は投下してきたことなどを説明されました。
といってもかなり駆け足で20分程度で流した感じだったでしょうか。
この説明の中でいくつか短信からはわからなかったこともあります。


・派遣単価の値上げには成功し数%の単価上昇が実現できた
・これに伴い、粗利率は計画を上回って推移した
・しかしながら投資効果の発現が遅れ、受注・売上が想定に届かず利益額は計画未達となった。
・CROは国内は堅調、海外は欧州が若干利益改善、米国とインドはほぼ横ばい
・ドコニコの品質が実運用基準を満たせず、運用貢献していない点が想定外事象。
・当該プラットフォーム整備によるオペレーション効率向上が織り込めなくなったのが痛手

以上の説明を聞いた上で、質疑応答です。
なお、このメモは私の思い込みと願望と妄想により脚色されており、
事実と異なる可能性を多分に含んでいます。
ご了承の上、扱って頂ければと思います。

Q
上期としては計画未達で、
体制強化の先行投資を受けて受注が伸び悩んでいるとの説明がありました。
特にトップラインについては、上期は稼働日数の減という要素があったり、
景況感の変化によってとりわけ製造業のお客様のマインドが影響しているのかなとも感じてますが、
このトップラインの停滞の要因と下期以降の対策はどのように検討されているでしょうか。

A
労働環境に変化は見られず、現状の低迷の要因は、自社のオペレーション上の課題にある。
派遣社員の総数も増え、自社側のマネジメントや顧客側とのチャネルにおいて、
効率化が至上命題となっている中で、ドコニコの活用によるオペレーション改善寄与には
大いに期待をしていたが、品質基準を満たせず実運用に耐えられない状況となっている。
派遣社員の求人そのものは相応に確保できているが、
オペレーション上の課題がより顕在化しており、うまく受注に結びつけられない環境下におかれ、
苦戦をしているのが実情。労働環境に変化はないので、自社側の課題が改善出来れば、
再び2桁成長に回帰して飛躍できると考えているが、
下期はまだこの効果が発現できないこともあり、
オペレーションの課題も残ることから無理して受注もしないで
出来る対策を講じながら頑張っていく。
なお、ドコニコの改修には時間を要し、その効果が発現できるのは、
来期下期からとなる見通し。


Q
WDBココのIPO承認について、
CRO事業は1000億企業への成長のエンジンとして
新領域の位置づけだったがと思いますが、POの意図はどういったものでしょうか?
当面は過半数維持とありますが、
将来的にはCROを切り出し人材事業への選択と集中をする意図なのでしょうか。

A
WDBココの事業環境は、将来性や安定性もあると考えており、
現状安全性評価の市場で180億の市場規模に対して20億程度であるため、
成長余地もまだ十分だと考えている。そういった背景もありIPOする運びになった。
なお、WDBグループとしては今後も同事業を保有し概ね7割程度の株は保有維持するつもり。


Q
営業リソースの拡充や研修所の新設などの投資を進めておられるが、
販管費投下も計画より若干少なめであるが、
計画に対してどの程度の投資を終えられたのでしょうか。
また足元の効果発現の状況を踏まえて、投資の進め方を変えられる等の事を考えられていますか。

A
リソースとしては通期の計画に対して8割超の確保を既に達成している。
残りの2割弱程度は足元の状況を踏まえると、
やや抑制していくことも検討している。
いずれにせよ、上期のように販管費を使うことはもうないと認識してもらってよい。

Q
今期上期で概ねの投資を終えたとなると来期の利益は回復すると思いますが、
そのような見立てでよいのでしょうか。

A
ドコニコの改修効果のよるオペレーション改善は来期下期くらいでの顕在化を見込んでおり、
来期上期もオペレーション上の改善が見られないと、
そんなに増勢というわけでもなく、むしろ落ち込むことすらありうると危機感を抱いている。
下期で回復する見込みとはいえ、少し時間がかかると思う。




というわけで、まぁざっくばらんに回答してくれますね。
包み隠さず、変な夢や期待を持たせることなく。

まず足元の数値という面からすると、
今期下期も本格的な回復基調とはならぬ見込みで、
下手をすると下方修正含みなのかなと思います。
また来期に回復するというのもまだ楽観視し過ぎで、
引き続き規模拡大に伴う体制や今後の効率性を追求するための
我慢の時が続きそうな印象です。

社長はその先を見越していて、すででこの分野では高いシェアを取っており、
今後はこういった優秀な人材を確保、育成することであり、
ここはある程度見通しが立ちつつあるという中で、
今後は付加価値の高い現場へ機動的にアサインして就業してもらうための
オペレーション整備が追い付かないと、
成長の足かせになるという認識の元、システム化を急いでいます。

このドコニコは中野社長の創業からの拘りでもある、
内製化至上主義により、自社内システム部門で構築したものであり、
QCD管理には課題が元々あったわけですが、それが顕在化しているわけです。
普通に考えるとコアコンピタンスではないシステム構築領域は
外注した方がよいとなるのですが、
そういう発想ではない会社であることは認識していますから、
ここは我慢をするしかありません。
ただ、次の総会の時には突っ込んで課題提起はしたいところですが。

いずれにせよ向こう数年の配当はコミットしていますから、
多少の未達や減益も我慢してその後のオペレーション改善による、
効率化や更なる総量受け入れ余地の拡大によるスケールが
見られる日を待つというスタンスです。

但し、今の私のスタンスではこのようなリスクを過大に取れないので、
引き続き、PF低位でモニタリングを続けるという対応になると思います。


マーケットからはどのようにみられているかなと気になりますね。
人材派遣そのものの曲がり角感はなんとなく漂っている雰囲気はあるのですが、
同社の場合、その影響というより、自社のシステム構築の遅延や、
それによって受けられる仕事を抑制せねばならなかったり、
そもそも効率性が向上できずにいるというところだったりしますからね。
足元の受注や売上の弱さも、このプラットフォームの整備不足という説明ですが、
それだけであれば時間が解決するという考え方もできますが、
例えば、自社のサービスレベルの低下や人材不足というものの影響が
潜んでいるとなるとシナリオ崩れにもなるため、
慎重に投資判断が求められる局面ですね。
もちろん、そういう時だからこそ、不確実性が高まり、
投資リターンを大きく取りにいこうという立場もあろうかと思いますからね。

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