Author:まるのん |
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【決算精査】 2483_翻訳センター(20年3月期_1Q決算)
■銘柄分析シート
未作成
1.サマリ
総合評価:「2」 (☆☆☆★★)
※総合評価は5がポジティブ、3がニュートラル(想定通り)、1がネガティブの5段階レーティング
翻訳センターは上期で2割の増益予想だったこともあり、
まさかの5割近く減益の1Q着地に、皆さん悶絶ということで、
PTSでもストップ安に売り殺到ということですね。
内容としては、特許分野は好調な一方で、
シクリカル要素の高い自動車分野はもちろん、
医薬分野でも減収となっており、
更に企業の管理系部門からの売上も低迷したようで、
減収をベースとした利益悪化です。
いわゆるグロース系の会社では最悪な状況ですね。
もちろんIR照会をかけていますが、
まぁ足元の状況としてはまだよくわからないというのが率直な所です。
ただ、私はMT翻訳の本格化による効率化による利益好転をメインにして、
長期的なグローバル化への対応といった所に期待しており、
そのメインシナリオが今回の決算で毀損したとも思えません。
短期的に懸念は台頭する一方で、
過敏に事業そのものが毀損していると判断する要素もないかなと思います。
ただ呑気にしていると、景況感の影響がより色濃く出てくると、
シクリカル面で規模の急激な収束がみられるわけでもあり、
そうなれば事態は決して甘くありません。
そしてそれを考慮して、5%以上の準主力以上に
比率を上げられていない側面もあります。
このシクリカル要素の影響は株主総会でも言及があったわけで、
短期的には影響を受ける、
長期的にはフォローだという判断はまだ変わりません。
総合評価は足元の不安が一気に台頭してきたという意味では、
「2」(ややネガティブ)となります。
株価的には残念ながら、相当な失望を買うものと思います。
2.定量数値の確認
(1)売上・利益の状況

売上は2,886百万円から2,735百万円となっており5%減収です。
減収額は1.5億です。通期予算が126億、上期予算が61億ですね。
まぁたかが1.5億、されど1.5億って感じです。
原価率は前期の41.1%に対して42.0%と微増です。
だいたいここ数年は39%から43%の間で推移しており、
今1Qもその範疇での推移です。
(2)販管費の状況

短信の中でも販管費増とありますが、
額にすると前期比で43百万円となります。
一昨年と昨年では+1億ですから、増額の幅そのものは抑制されています。
販管費率は38.8%とここ数年では15・3期の42.4%、
16.3期の40.0%辺りが高かったですが、
そこまではいってない感じですね。
なんにしても売上の抑制があったことが原因だと思います。
なお、有報によると、販管費の使途は半数程度が人件費のようですから、
特別な支出をしたというより、処遇や採用に係る人件費の上昇なのだと思います。
(3)営業利益の状況

販管費の増というより、粗利の伸長が悪い、
すなわちトップラインの伸長が抑制された結果の大幅減益です。
(4)進捗状況の確認
上期予想に対しての進捗率は売上44.9%、営業利益22.0%です。
売上の進捗率は、3年平均で50.7%、5年平均で50.0%
営業利益率の進捗率は、3年平均で48.7%、5年平均で39.1%です。
過去最低では営業利益率10.6%というのが15.3期でしたね。
従って上期進捗からみるとだいぶ出遅れている感じがします。
通期でみると今期は売上で21.7%、営業利益で8.6%の進捗で、
5年平均ではそれぞれ、23.6%、14.4%です。
こちらの観点でも出遅れていますね。
ちなみに5年平均で単純に割り戻すと、売上116億、営業利益6.1億です。
利益は4割ほど予算未達ということになり、
単純に考えるとEPS120程度。
株価を2000円とするとPER16倍位ですね。
大幅減益となったとして、決して割安感が出ないので、
株価も下がるということなのだろうと思います。
(5)配当の確認
特に変更はなしですね。
(6)セグメントの確認
後述するIR照会の結果も一部踏まえて整理しています。
■特許
受注は好調。
特許事務所、企業内知的財産部署からの双方から引き合い堅調。
売上計上も問題なく2桁増収。
■医薬
製薬会社から引き続き大型案件の受注あり。
前期のスポット大型案件の検収分の差額剥落により減収。
元々、相応に長い線表の案件があったのだが、
それが前4Qと今2Q以降に計上される計画となっており、
元々1Qの計上が弱くなる傾向は織り込んでいた。
医薬は新薬のタイミングやその規模やスケジュールによって
検収のタイミングなどもずれてくる傾向があって、
今回はIR担当としても大変見え方に苦心した模様。
(つまり間が悪いということで、そのようにおっしゃっていました)
■工業・ローカライゼーション
エネルギー業界は堅調も自動車業界が受注・売上共に低調。
自動車各社の決算を見ていても業績が停滞している部分もあり、
各社十分な予算取りが取れにくくなっている要素があるのは事実。
(つまりシクリカル面の影響を早速受けているということですね)
一方で自動車各社はグローバル化の流れは止められず、
一定の業務は今後も発生するし、
一時期の停滞感からは足元は脱して営業部門内からは
復調の傾向になってきているようだ。
(ここの復調はまだ眉唾ものですけどね)
■派遣
求人の需要は堅調。但しGWの影響もあり稼働日が減り、
減収要素となった。
■通訳事業
堅調に推移。
■コンペンション事業
堅調に推移
■その他
子会社売却の影響もあり減収
こう見ると、医薬はちょっとタイミングが悪く不幸だった、というように
受け止められなくもありません。
もちろん楽観も出来ませんし、通期の視点でみないと
なかなかトレンドが見えてこないのかなと思いました。
感度が高い方にとってはもうわかるよ、ってことかもしれませんけどね。
自動車については、正直よくわかりません。
もっと悪くなるのかもしれません。
とはいえ、ビハインドであることは認められていましたし、
上期で挽回できるかという点でいうと厳しい印象を受けましたし、
通期も危ぶまれる状況だと思います。
ただ、今期の可否で元々の投資判断を下しているわけではないので、
その先を見据えていきたいなとは思います。
ただ、本格的なシュリンクに繋がるのかは、
2Q以降の動向をよく注視して、
状況次第では対応を慎重に考えたいと思います。
(ポートフォリオ全体の状況次第ですかね。)
3.定性情報の確認
今回は特に新規の施策等の言及はありません。
4.その他情報の確認
(1)株価推移の状況

(2)IR照会の状況
IR照会をしています。
あくまで私の激しい思い込みによる主観に基づき記載されており、
曲解している箇所も含め正確ではない可能性が含まれています。
その点、ご容赦くださいませ。
また、配慮をして書いていますが、
もし会社側を含めどなたかにご迷惑をおかけするようであれば、
即刻記載を削除いたします。
Q
自動車向けが停滞しているとされているが、
その背景はどのようなものか。
シクリカル面の影響を受けている、あるいは競合の関係も含めてどうか。
A
どこかに仕事が奪われているというより、
自動車各社の決算からも業績にブレーキがかかっており、
各社内での予算取りについてはより厳しさが増している事による影響と捉えている。
一方で、自動車業界全般において翻訳需要は必ず求められるものでもあり、
1Qで落ち込んだままで終わるとは考えておらず、リカバリをしていきたい。
Q
リカバリということだが、外部環境がなかなか好転していない中で、
足元の営業活動はどのような状況なのか。
既に底入れしているということなのか、まだ不透明なのか、
あるいはまだまだ底を掘っているという状況なのか。
A
足元の状況として営業現場から聞こえてきている状況は
底入れして復調してきているという状況である。
Q
医薬向けの減収は大型案件もあれど、スポット案件で減収も大きいが、
どのような状況なのか。
A
医薬向けは前期に大きな案件が計上されてきている反動という面もあるが、
元々、足元で検収までにやや長い線表の案件を抱えており、
たまたま前4Qと今2Q以降に計上される案件が内在しており、
今1Qに計上出来なかった要素がある。
IR担当としては悩ましく、間が悪いなというのが率直なところ。
Q
ということは医薬向けのビジネスの状況そのものに
何か変調があるというわけではないのか。
例えば競合に仕事を取られているとか、
医薬全般に需要停滞がみられるということはないのか。
A
特にビジネスの概況は変わったとは思っていない。
但し、新薬の申請などはタイミングや量によっても
案件となる量や線表の長さがまちまちであり、
今1Qに関してはどうしても間が悪く見栄えが悪くなっている。
しかしながら、足元でも大型の案件を受注出来ているため、
表面の数値ほど悪い状況ではない。
※金融・法務分野の管理系部署の低迷についてはここでは割愛します。
Q
上期や通期に対する認識は
A
リカバリが必要な状況である。
元々、予算策定のタイミングでやや自動車向けが弱いことは感じていた。
そんな中で予算策定を行っており、そこから回復基調にあることや、
医薬や特許の受注堅調な状況なども踏まえて修正はしていない。
ただ、出遅れている事は事実なので、頑張っていく。
(主観的には上期は無理、通期でもリカバリは無理かなという印象)
5.さいごに
自動車向けをはじめとして、シクリカル要素の影響を受けていますが、
今後どのように推移するかは注視が必要です。
回復が超長期になると思われるくらいに毀損してしまうようだとどこかで一旦株を売るという
選択もでてくるかもしれませんが、その判断には敢えてもう少し時間を置いてみてみないと
ならないかなと思います。
(その時には既に手遅れかもしれませんけどねw)
投資前提のシナリオを照らして慎重に判断をしていきたいと思います。
なお、同社は原価構造も登録翻訳者さんへの支払いが大変であり、
直営労務費はそこまで高くなく、また材料費等も少なく、
損益コントロールは比較的しやすい構造になっていると理解しています。
実際にIRの方とお話をする中でもそのように感じているわけです。
ですから、仮に予算未達となってもそこまで醜いことにはならない
つまり通期で赤字、なんてことにはならないのかなと思っています。
財務も厚いですしね。
もちろん、同社へはどうやらSNSでも期待が高かったようで、
失望売りは容赦ない気がします。
てか、そもそもなんでそんなに期待が高かったんですかね。
この領域では皆さんロゼッタだと思っていましたよ(笑)。
株価は半値の1250円でPF全体への影響は2%程度ですから、
軽微なわけですが、仮に1250円になったとすると
EPS120円とするとほぼPER10倍ですから、
シクリカル面の影響を受けたとするだけなら、
MT翻訳などの本格化での収益貢献期待が残っているなら、
面白いのかもしれませんね。
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