投資方針に忠実に退屈な投資で資産形成


【決算精査】 3134_Hamee(19年4月期_1Q決算)


■銘柄分析シート
PDFファイルリンク

(リンク)決算説明資料

1.サマリ
総合評価:「3」 (☆☆★★★)
※総合評価は5がポジティブ、3がニュートラル(想定通り)、1がネガティブの5段階レーティング


iPhone商戦が冷え込む中で、2Qまでの不調が挽回できずに下方修正に至っています。
もちろんそれ以外にプラットフォーム事業でも先行投資が続いています。
サーバー補強のコストやサポートに係るコストなど、
成長と共にリソースを拡充しないとならない中で、
急速な成長を志向していることもあり、
コストも段階的というより一気に投下せねばならない状況が余計に減益要素になっています。
2Qで減益後、株価は一気に急落して株価は半額になっています。
そしてレーティングの目標株価もほぼ半額になっています。





コマース事業はセグメントでみるとかろうじて増益基調を維持していましたが、
当3Qで減益に転じました。(前期3Q 550→今期3Q 548)
売上は増収ですが、利益率が0.5%マイナスとなっている事が要因で、
これは海外での販売が増えていてポートフォリオが変わっているためと理解しています。
今後、海外展開をより広げていくために要員リソースを更に拡充していくようですね。
iPhone商戦が今後どうなるかわからないのですが、
今期のように国内では比較的顕著に影響が出てしまう、
とりわけ卸なんてすぐに在庫滞留とか、
今回のように逆に物流の問題で欠品となったりでゴタゴタもありますが、
今後は成長というより成熟している感はあるのかなと思います。
その中で、地域や商材力を高めるなどによって、あるいは認知度を上げることにより、
じわりとベースになっていってくれればいいのかなと思います。
そもそもこのセグメントにはあまり期待していないので、数値面でも、
まぁいいんじゃないでしょうか、くらいに捉えています。


プラットフォーム事業は大幅な増収増益となっています。
全社の中ではまだ存在感が小さいセグメントですが、
こちらの成長を期待しています。
プラットフォームを一気に展開するために、
サーバー等のコストを一気に投下すると共に、
サポートも体制、コンサルによる販促コストなど、
様々な費用を纏めて投下しています。
加えてまだどうなるか全く理解できていないHamicBearに係るIoT事業への
先行投資もまた結構な額になっています。約1億強ですからそれなりに影響あります。


同社の置かれている状況はまさに予断を許さない状況ではありますが、
一方で環境の話や課題も成長戦略もとてもわかりやすいとも思っています。
今回は保守的に見積もった予想を下方修正するに至り、
その意味では残念ではありますけど、
逆に変にコストコントロールして経営判断がぶれるよりはよいのかなと思います。
そもそも財務を痛めるような赤字になるような事態では全くありませんからね。

株式市場は決算後、失望されていたようですが、
私は上記の通り、残念な気持ちはないとはいいませんが、
プラットフォーム事業の拡大は色々先行コストが生じる中で、順調だと思います。
外注費などでみえない部分でのコントロールが求められる点など、
目が行き届かなくなるリスクなどはマネジメント上、生じ得やすくなるとは思いますが、
今のところ、いい具合に進捗していると思います。
総合評価は「3」(想定通り)です。


2.定量数値の確認


(1)売上・利益の状況

■売上-粗利率
3134_Hamee(19年4月期_3Q単計)売上推移


売上はコマース事業が繁忙となる3Qがもっとも大きくなります。
その意味で増収となっているのでいいです。
ただ、実はコマース事業の増収は3Q期間では僅か+2.4%です。
一方でプラットフォーム事業が+37.7%の増収となっておりこちらが牽引しています。
粗利率は3Q累では51.0%、3Q単では52.3%と比較的粗利率は好調です。



■販管費
3134_Hamee(19年4月期_3Q単計)販管費推移


販管費率は引き続き高水準です。
この辺りは内訳も決算説明資料にもあり、人件費や外注費など
体制を強化しているが故に投下しているもので要因ははっきりしています。
今後、この投下コストが収益化するかを注視せねばなりませんね。



■営業利益
3134_Hamee(19年4月期_3Q単計)営業利益推移


営業利益率はなんとか10%台を維持していますが、
やはり投資期にあるので前期に比べると3-4%程度下がっています。


(2)今期予想について

修正後のガイダンスを比較すると4Qでだいぶ落ち込む計算になります。

売上   : 2,366百万円
営業利益: 144百万円(利益率6.1%)

これは前期比で+1.8%の増収、▲57.9%の営業減益となる見込みです。
その想定は懇切丁寧に解説されていますが、
4Qのこの減益幅はちょっと驚きますよね。
来期以降も大丈夫か、と心配になるレベルです。


3.定性情報の確認


この後IR照会の箇所でコメントも記載しました。
変化が激しく先行きが読みづらいという点はありますが、
投資先としては面白いなーと思っています。
株価の騰落みているとそんな呑気な事を言っていられませんけどね。


4.その他情報の確認

(1)株価推移の状況

3134_Hamee(19年4月期_3Q)株価推移


株価の下がりっぷりが凄いですね。
絶賛含み損状態ですがこういう銘柄は需給が冷え込み売られやすいということで、
普通に考えたらショートしたい感じの銘柄でしょうか。
まぁのんびりやりますよ~。



(2)IR照会の状況

IR照会を実施しています。
今回はご担当の方でしたが、しっかりした方でした。

以下メモを残しますが、
あくまで私の主観に基づいて記載しており、
私の認識齟齬や事実と異なる点がある可能性があります。
また会社からの指摘を含めて不都合があれば即時に記載を取りやめます。



■コマース事業について

・iPhoneXシリーズは引き続き軟調な動き
・iPhone8は2Qまで好調だったが3Qでやや失速
・その分、Huwai等アンドロイド端末へニーズがシフトしている
・国内では今後機種の買い替えサイクルが伸びることも想定済

→iFaceに依存した収益モデルではなく、
商材をAndroid対応すると共に、様々なキャラクターやデザイン性を追求し、
自社企画商品のリリースを頑張ることで利益率確保・改善を目指す。
とりわけ女性デザイナーの季節感を持った商材などで、
買い替えやセカンドニーズなどへも対応していく考え。


・海外はキティーモデルなどキャラクターとのコラボで米国現地小売りでヒット
・現状ではアライアンス製品が多くポートフォリオ構成から利益率が低位となり下方要因

→現地の商習慣の兼ね合いできちんと納品できる体制などが評価され信用が高まる。
今後は自社企画商品もMIXさせる余地が出てきており、
こういった商材を展開できると現地での利益率改善にも寄与できると考えられる。
(現地での拡販のために人的リソースも要するため、決して楽観はできない印象。)


・そもそもAndroidでのiFaceに依存しない商材展開といっても
アクセサリー市場はレッド―シャンの認識だけど。

→エレコムが全体の3割強をとっており、Hameeは1割弱。
残り5割強にまだ余地はある。ただ障壁が低いことも事実なので、
自社企画商品でエッジの利いた商材を出すことが大事と考えている。
機種変更のサイクルが伸びたとしても、季節性のあるケースや、
特に女性向けにファッション性に富んだ製品でヒットを狙っていきたい。
(まぁここは結局レッド―シャンの中で戦っていかざる得ないのだろうという印象)


■プラットフォーム事業について

・サーバーコストについては今後も比例的に要するのか。
・規模の経済で、利用者が増えていく中でコストは抑制できる構造にはならないのか。

→現在、クラウド化への移行も進めており、ほぼめどがついた。
従来のサーバーはレンタルサーバーで設備やスペックが古かった部分もあり、
今回5000社を視野にしたクラウド基盤への移行投資もほぼ終えてきている。
一種の先行投資のような部分もあり、今後は抑制されていくように見えると思う
(クラウド化への対応がほぼ完了したというのは、初耳でした(どっかに書いてありましたっけね))

・コールセンター業務の引継ぎによる無駄なコストや、
要件を収集する部分でのコミュニケーションロスによる機能改善等への影響について

→コールセンターへの移行は順調に進捗している。また、現地小田原での対応を行っており、
Hameeも常駐することで、顧客の声やクレーム、要望などを収集できる体制は万全を尽くしている。
そもそも、同社のコマースで運営しているECノウハウも還元されているので、
この商品力を武器になっていると認識している。
(コールセンター業務をより自動化するなどして定型的な部分を効率化する要素はまだ課題もあり
その部分は今後の収益性向上の要素にはなるかなと感じた)

・セグメント利益率が落ちているのはリソースの拡充のためと理解しているが、
今後利益率はどういう方向になるのか。サーバーなどのインフラ投資が落ち着くことで改善するのか、
あるいは更に販促コストなどが嵩み悪化しているものなのか。

→詳細は期末時に中計開示予定でそこで蓋然性のあるものを示したい。
ただ、例えば、現在実証実験を終えてローンチしているリコメンド機能(顧客の売上UPの施策)などは
その後の引き合いも強く、今後有償化なども含めてどうやって価値に対してマネタイズするかを
議論している。そういった高付加価値化に伴う利益率改善は当然視野に入れている。


■その他

・自己株買いがなぜ1週間後から?何か重要事実でも出てくるのか(笑)。

→そんなことはなく、一時的に株価が騰落する局面が想定されるので、
敢えてそこで刺激を与えるようなことをしたくなく、少しの間をおいて、
中長期目線での投資を促したい思いだった。
(これがそれに寄与するのかよくわかりませんでしたが、まぁ実直な会社なのですね)


・株価下がってるけど、社内どんな感じか。

→社長以下、責任を痛感している。これまでコマースでとりわけiFaceに頼った経営になりがちだったが、
より危機感をもって成長をしていくために、
リソース投下して成長エンジンであるネクストエンジンをよりよくしていくことに
邁進したいと考えている。それを実現していくことが肝要であると捉えており、
中長期で応援してもらえるように中計開示も含めて理解を促していきたい。


・長期投資へ報いるために優待やIR開示の姿勢などより足を踏み込んで検討してもらいたい

→ありがたい意見。社長以下真摯に株主に向き合いたいと考えている様子。
今回の修正も底が見えた段階でぎりぎりに出すのではなく早期に出したいという意向。





(3)セグメント別状況

既にふれていますが、コマースが軟調で、プラットフォームは好調ですが、
とはいえ、全体の比率の低さや、先行投資影響もありマイルドになっている部分もあり、
全体として減益がきつい状況ですね。


(4)ネクストエンジン契約数

1月末時点で3511社です。
10月末時点で3440社でしたから順調に増えています。
やや鈍化しているようにもみえますが、
きちんとコメントも入っています。

過去四半期末時点の推移です。

2797→2896→2969→3095→3259→3440→3511

こちらも会社開示の決算説明資料にわかりやすくグラフ化されています。


3134_Hamee(19年4月期_3Q)契約者数


※会社開示の決算説明資料から抜粋させて頂いております。
(何か問題が生じるようであれば画像引用は取り下げます)


5.さいごに

初めて参加できるかもしれませんが、
今から株主総会が楽しみです。
私のリスク許容度からはなかなか本格的に買うのは難しいのですが、
これからチャレンジしていく様子を応援していきたいと思います。



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