投資方針に忠実に退屈な投資で資産形成

【決算精査】 7164_全国保証(19年3月期_1Q決算)


■銘柄分析シート(表紙)
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■銘柄分析シート(詳細)
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1.サマリ
総合評価:「3」 (☆☆☆★★)
※総合評価は5がポジティブ、3がニュートラル(想定通り)、1がネガティブの5段階レーティング

保証債務残高の堅調な積み上がり、
そして雇用情勢等が底堅く代位弁済も低位に推移し、
増収増益の決算となっています。

決算補足説明資料(PDF)も同時にリリースされていますが、
特段大きなトレンドに変化がないものの、
新規保証実行金額が横ばい水準になっている点と、
代位弁済が低位とはいえ少し上がったという点が目に留まります。
どちらもごく軽微な懸念点ではありますが、
気が付いてしまったので、IRへお電話してお話をさせて頂きました。

印象としては、やはり特段大きな懸念は抱きませんでした。
もちろん今後も定量データは適宜確認していくわけですけど、
特に投資判断を変える必要ないと判断しています。

日銀の金利上昇容認するような政策の変更に対して、
今後どの程度か未知数ですが、金利が上昇に転じることで、
どのような変化が出てくるのかなと考えています。

変動金利の方が即座に固定金利に借り換えていくほどの、
大きなトレンドではないでしょうし、
そもそも今後も含めてそんな金利急騰なんてことは、
なかなか生じにくい、
そもそも変動金利でローン実行されている方が、
この程度の変化にどこまで機敏なのか、
大衆の認識を理解する事も必要だと思います。

現時点では特段変化はないと思いますが、
長期金利が動いて数ヶ月した後に、
手応えとして何か変化があるかを確認してきてもいいかなと思います。
今質問しても、想定しかわからないですし、
金利云々の話は想定の範疇での仮定の話をしても
あまり意味もないので、今回は敢えて質問しませんでした。

足元の状況は引き続き従来の環境の良さも手伝い、
増収増益基調を継続しており、好調な決算だと思います。
進捗率などからみてもやや計画を上振れしているようにも感じますが、
元々、コンサバな計画を立てる会社なので、
ある程度想定の範囲内だといえると思います。

ということで、総合評価は「3」(想定通り)となります。


2.定量数値の確認


(1)売上・利益の状況


■営業収益推移 ※売上イメージ
7164_全国保証(19年3月期_1Q単計)営業収益推移

同社は住宅引き渡しが集中する4Qに偏重しています。
1Q対比で見れば2桁の増収イメージとなり好調です。

グラフにはプロットしてませんが、
営業利益率は71.6%となっており、前期より+0.7%と微増です。
前期までは年々数%改善してきていますが、
そろそろ落ち着いたという印象です。
代位弁済のこれ以上の抑制は現実的ではないでしょうから、
この辺りが利益率MAXポイントなのかなと思います。



■純利益-EPS推移
7164_全国保証(19年3月期_1Q単計)純利益-EPS推移


純利益についても営業収益同様、4Qに偏重です。
1Q対比でみると純利益率が51.3%となり前期の51.5%から
微減となっていますが、誤差の範囲で同水準です。
こちらもこれ以上の良化は更なるペーパーレス化や
AI活用などのIT効果がないと難しいかなと思います。
そもそもIT効果といってもそれを導入するためのコストもあるため、
むしろ投資をすれば償却で初年度はむしろ負担になるかもしれません。



(2)今期予想について

4Qに偏重しているので、上期状況を見ても見通しは限定的ですが、
雇用情勢や新規保証実行金額の動向である程度収益は予見できますが、
それが一貫して堅調のため、ある程度安心はできるかなと思います。
(その分、大きな急伸や飛躍というものはないのですがね。。。)

いつも通り、上期の予想達成点から逆算してみます。
2Q単で必要となる収益は以下の通りです。

営業収益: 8,198百万円
営業利益: 5,632百万円(利益率:68.7%)
純利益: 3,996百万円(利益率:48.7%)

前期の2Q単の実績から見ると、
営業収益が+2.8%、6.6%の営業減益(純利益も同率)となります。

同社の営業収益は
住宅の購入(新築や中古)の際のローン実行の際の保証の積み上がり、
また住宅ローンの借換需要の際の保証といったものが積み上がって形成されます。
マクロ環境では住宅着工件数は足元でより軟化しており、
新築のローン実行機会の総量も軟調に推移するものと思います。
そういった中で、全国保証はシェア率を向上させる(行内保証からの引き込み)取り組みで
全国保証が保証出来る総量を積み上げることで、
増収ペースを維持していると理解しています。
この戦略は特にメガや大規模行などでより積極的に行っていく戦略ですから、
個人的には特段減速をする事は想定していません。

その前提からいうと、やはり3%弱の営業収益の増はやや保守的かもしれません。
ただ、新規保証実行金額が前期から減少にも転じているため、
案外この程度に落ち着くのかもしれません。
まぁ変に期待せず、計画通り位に受けとめれば良さそうです。

一方で利益面では利益率が1Q対比前2Q比で大きく悪化する前提となります。
こちらはさすがに保守的ではないかなと思います。


3.定性情報の確認


日銀の対応によって金利が多少なりともボラティリティをもっていくことで、
住宅ローンへの取り組み方にも多少なりとも変化が出てくるかもしれません。
まだまだ全く未知数ですが、この辺りの動向にも少し気を払っておこうかなと思います。



4.その他情報の確認


(1)株価推移の状況

7164_全国保証(19年3月期_1Q)株価推移


株価はそれなりに割安さを持っているように思います。
ただ、やはり環境が変化した際にリスクを負う構造にはなっており、
この辺りが市場からのディスカウント要因になっているのは、
やむ得ない面もあると思います。
もちろん、ストレスチェックをきちんと実施しており、
健全性には大変な守りをもって経営されています。
加えて、石川社長以下経営陣もだいぶ慎重な姿勢だという理解をしています。



(2)IR照会の状況

決算説明資料の中で、新規保証実行金額の減少傾向と、
代位弁済の件を質問します。

※記載内容はあくまで私の主観に基づき記載していますので、
勘違いも含めて誤りや偏りのある見解の可能性があります。
ご容赦くださいませ。

Q
新規保証実行金額が前期に続き減少しているが、
前期では日銀のゼロ金利政策による借換え需要の反動で、
抑制されたものであったと理解しているが、
今期の実行金額も僅かだが減少しているが、
シェア率が下がっているなど事業上の環境的な変化があるか。

A
特にない。銀行さんらから保証依頼が減っているとかそういう要因はなく、
特段懸念を要するような状況ではない。
やはり金利のボラティリティが低くどうしても借換え需要の更なる低位による
影響が引き続き出ているものと考えている。
そして、現状の推移については、会社計画通りに推移している。
(特段問題はなくて十分に好調に積み上がっていると思います。
ですが、これが少し遅れて売上に薄くなることを考えると
総量が多少マイルドになり営業収益もマイルドになるかもしれませんね)


Q
代位弁済が低位とはいえ今期は若干上昇している。
ここ数期連続して低下し続けてきたが、このような反発に至った背景として、
何か借主側のデフォルト率が足元で増えているとか、
返済に寄り添う活動等に影響がみられるのか。

A
こちらも特段変化はないが、既に相応に低位な水準にあり、
多少の凹凸によってどうしてもこのように見えてしまうケースもある状況である。
(もう十分低位ということで、その懸念先の多少の増減が
このような形で影響が出てしまうのですね。逆にその程度低いということでしょう)



5.さいごに

今回のIR照会もお電話でお話をさせて頂いたのですが、
いつもお世話になっている方がご不在だったのか(夏休みですかね)、
他の方に応対して頂きました。
お電話に出るなり、総会の時はお世話になりました、ありがとうございました、
とお声掛け頂き、大変嬉しかったです。
そして完全に覚えられてしまっているんだなと悟りました(笑)。
このブログもありがたいことに認識して頂いているようなのですが、
会社にご迷惑をおかけしない範囲で、
個人の見解としていつも書きたい放題に書いています。
応援する気持ちで時に賞賛し、時に課題を取り上げ、
出来るだけニュートラルに分析をしていきたいと思います。

それにしても、こんな弱小株主の私のような存在にも
きちんと向き合い真摯に、
そして気さくに対応して頂けるので、本当にありがたいなと思います。
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