投資方針に忠実に退屈な投資で資産形成

オムニチャネルという言葉を最近聞かなくなった気がします。
一時期、顧客との間で様々なチャネルを持つことがもてはやされ、
ネットとリアルの融合の可能性が話題になっていました。
今でもこの潮流は続いているものと思いますが、
これが当たり前になったということなのでしょうか。

先日、このオムニチャネルサービスを消費者として利用したのですが、
そこで感じたことついて少しお話をしたいと思います。
結論としては、いくらチャネルの「仕組み」が高度化しても、
根源的に人材あるいは現場力が大変重要だなということです。


オムニチャネルというと、
一般的には小売店がリアル店舗とEコマースとの融合がイメージされ、
実際にオムニチャネルを前面に出した戦略が打ち出されています。
(もちろん、金融機関をはじめ、小売業以外でのオムニチャネル化は進んでいます)

ユニクロはリアル店舗を持ちながら、Eコマースへの誘導が鮮明です。
店舗で買い物をして、Eコマースでのクーポンを撒いたり、
サイズや色の在庫も店舗では欠品があっても、
Eコマース上では比較的在庫も豊富に取り扱われています。
一方でEコマースで注文した際の配送については、
逆にリアル店舗での受け取りによる店舗活用や、
コンビニ各社等と連携することで、
少額配送に対しても集中配送による効率化で対応しています。
ユニクロのこの戦略が奏功しているかは評価が分かれる所と思いますが、
利用者目線では確かにオムニチャネルの実現により便利になったと感じる所です。

私が保有するシュッピンという会社は、
Eコマース特化の意識が高い会社です。
カメラや時計といった高額商材のリユース品を中心とした商材を扱いますが、
私は同社においてもオムニチャネルを実感するところです。
実はカメラ、時計とそれぞれに1店舗ずつのリアル店舗がありますが、
ここでの専門知識を有したスタッフや実際のリユース品の品質管理など、
リアルに体験することが出来ます。
その状況を見ることが出来るからこそ、
ネットを介して安心して買い物ができるという面もありますし、
逆にネットで吟味して取り置きをした上で店舗で購入なんてケースは、
特に時計では多いようです。
また、一言でネットで販売といってもそのきっかけとして
PCはもちろんスマホやタブレットいったハード毎のチャネルを意識していたり、
写真共有サイトのSNSに関心を持ってもらって誘導するなんて
新たな試みにもチャレンジしており、
これも広義的にオムニチャネルの一環と理解しています。
(リアルで撮影した写真の投稿やその情報と購買への結びつけ、ネット活用という点で)


オムニチャネルは、様々なチャネルで顧客と接点を持つことで、
利便性を向上させるだけではなく、
購入機会をより増進させる効果を出すという側面があります。
このサイクルがうまく機能するとより顧客から支持されますし、
結果トップラインも伸びていくというわけですね。

しかしです、このオムニチャネルという構想を実現したとしても、
それを機能させるかどうかは、やはり人材、現場力がものをいうわけです。


一つ目の事例として、以前に株式を保有していて、
利益こそ出たものの私の中では失敗投資となったジーフットについてです。
ASBEE等の靴屋さんを展開する同社は、
イオン系列ということもあり、モール内などに積極的に店舗展開をしています。
同社では接客コンテストなんて催しながら、
顧客満足度をあげる取り組みを重ね、
商品展開もPB化を進める中で、店舗拡大によるトップラインの向上と、
PB化推進による原価率低減が相まって成長を続けてきました。
店舗でもタブレットを活用したリアル消費動向のチェックなどの施策を
経営サイドが進める中で、当然ながらネット販売との融合にも対応してきました。

靴は洋服以上に在庫管理が難しく(バリエーションも多く箱も大きい)、
ABCマートのようなドミナント戦略に基づく
在庫融通の仕組みも取られてませんでしたから、
店舗とネットを融合する着目点は面白いと思ったわけです。

サイズ×色の希望の品が欠品していても、
店舗で決済を済ませて後で自宅に商品が配送されてくるというのは、
購買機会の獲得も漏らすことなく魅力ですし、
ネットで取り寄せしておき、リアル店舗で試着して購入判断をするわけで、
きちんと機能すればとても良い仕組みです。

しかし、残念ながら私が消費者としてASBEEに行って、
一度たりともこのオムニ戦略のオの字を感じることは出来ませんでした。
そもそも試着していたり商品を探していても、
店員さんから声を掛けられることもないですし、
こちらから声をかけてサイズを申告しても、
「今在庫ないですね」、以上みたいな(笑)。

私の中の期待としてはせっかくオムニチャネルの仕組みがあるのであれば、
商品を探している時に、店員さんがサイズや色を聞き、
場合によっては店舗陳列がない色までもタブレットとかで見せてくれて、
なんなら荷物にならないように配送しますか?くらいの提案が欲しいです。
そして、あと1品買ってもらえれば配送料も無料になるので、
お子様の靴もいかがですか?くらいあってもいいですよね。
もしタブレットで顧客情報取れれば過去の購買履歴から、
よりフィットした商品を提案してくれれば満点だと思います。

しかし、残念ながら、そもそも店員さんのモチベーションが低いのか、
単に経営が用意しているオムニチャネルの仕組みを知らないだけなのか、
真意はわかりませんが、せっかくの仕組みを死なせてしまっているなと感じるのです。

一度、株主総会でこの件を踏まえて、人材や現場力について質問しました。
せっかくの仕組みが活かされていない課題を踏まえた、現場力への対応についでです。
しかし、経営の認識としては人材育成には力を入れているし、
今後も頑張るという薄い回答でした。
これが2年続き、この無策ぶりに我慢出来なくなって株式を売却しました。



二つ目の事例として、もうひとつの残念な事例を最近体験しました。

セブンアンドアイホールディングスが展開する、
イトーヨーカドーでの買い物のシーンです。

某店舗で日用品の買い物をしていたのですが、
たまたま私の欲しい商品だけが欠品していました。
(イトーヨーカドーでしか買えないものだったのです)
そして、店員さんに在庫がないか確認をするわけで、
まぁよくある話です。

在庫があれば問題がないわけですが、
在庫がないとなるとまぁ普通はお取り寄せしましょうかの
ルートに入っていきますよね。

当然ながら在庫がなかったわけですが、
限定品なので取り寄せは出来ないというわけです。
仕方がないので、近隣の店舗で在庫があるか
確認してもらうことにしました。
すると数駅離れた店舗に1個在庫がありますということでした。
ですので、改めてそれを取り寄せは出来ないのか聞いたところ、
店舗間の在庫融通はできないんですといわれてしまいました。
まぁ仕方ないか、では取り置いてもらって、
その店舗まで足を運ぼうと思ったのです。(定期圏内でしたしね)
すると、取り置きもこの店からは出来ないというのです。
え?じゃあ、その1個を競ってダッシュするってことですか、、、。
この辺から既に嫌気がさしてきます。
もちろんクレーマーになりたくないので、
店員さんとは穏便に相対しましたけどね。

お店を出て、その在庫を持っているという店舗に電話します。
(普通ならここでもう諦めますけど、事情があって絶対欲しかったのです)
担当売り場につなぎますと転送され、一旦担当者いないから折り返すということで、
ようやく担当売り場の方とお話をします。
そして該当の商品の取り置きをお願いすると、快諾して対応してもらえました。
ん?取り置きできるじゃんって思いますよね。
そして定期圏内とはいえ、
今から電車に揺られ買い物に出掛ける面倒さに辟易しながら、
お店のゲートを出ると、そこにオムニセブンの旗がなびいています。
ん?まさかと思ってオムニセブンのサイトをネット検索すると、
私の欲しい商品が普通にオムニセブンで買えることが判明しました。
配送料も近場の店舗受け取りなら無料です。
早速ネットで注文をして、取り置きしてもらった商品をリリースしてよい旨を電話して・・・。
商品の受け取りは取り寄せも取り置きも出来ないといわれた店舗ではなく、
更に近場のセブンイレブンにしましたけどね。


はっきり申し上げて、イトーヨーカドーの日用品の売り場なんて、
閑散としていて、私が在庫確認した際も、店員同士が雑談をしている位、
ヒマな感じなんですよね。
そんな中で、取り置きも受け付けず、まるで売る気のない店員が残念でなりません。
鳴り物つきでオムニセブンを始めてもう数年が経った気がしますが、
せめて在庫確認の時に、オムニセブンからのネットなら買えるようですよ、
くらいの提案があっていいですよね。
なんなら、自店舗を受け取り店舗にして発注する(実質、取り寄せみたいなもん)にしても
いいと思うわけです。
なぜこれをやらないのか、やれないのかと考えた時に、
やはり人材及び現場力の問題なのかなと思いました。


ジーフットでもセブンアンドアイでも共通しているのは、
オムニチャネルの仕組みはそこにあるのです。
きちんと、いや普通に使えれば、消費者におお気が利くねと思ってもらえる
基盤がそこにあるのです。
そんなに扱うのに難しいものではありません。
なにせ、個人がスマホでピッツピッやればモノが買えてしまうわけですからね。
でもそれを普通に仕組みとして活用しようという気が現場に全くないのです。

オムニセブンがアマゾンに勝てるのかなんて、この仕組みが始まった頃、
記事などでも取り上げられていましたが、
そもそもその次元ではないのです。
なにせ基盤だけあって現場が全く使う気がないのですから。
商品数が少ないとか配送網の工夫など、
様々なネット融合に対する課題対処への議論が交わされていましたが、
一番の問題は当たり前の結論ですが、人材と現場力の欠如ということだと思いました。


投資家としては、
最近は何かとIT化、業務効率化、AIなどなど言われており、
どういう仕組みが入るかということに関心が向きがちですが、
その大前提として、人材そして現場力が備わっているかという点に
改めて注目しないといけないなと感じたところです。

逆に仕組みが脆弱だったとしても、
人材や現場力が高ければなんとかなるのかもしれませんし、
それを仕組みにより高められれば伸び代はとても大きいものなのかもしれません。


経営目線では、組織が弱体化しているから、
何か新しい仕組みを導入してイノベーションを起こそうとなると思うのですが、
それは順番が間違っているのでしょう。
人材の底上げや現場のモチベーションをまずはあげるための施策を考え、
もっとやりたいという現場の声に応えられるような
効率化やスケールする仕組みを入れていくという順番なのだろうと思います。
(理想であり難しいとは思いますけど)

私もサラリーマンとして働く中で、
仕組みを導入するもしくは検討する立場にもありますが、
そもそも人材レベルやモチベーションが一定水準以上ないと、
いくら仕組みを入れても活用されませんし、
改善より寧ろ改悪に向かっていくということを実感しています。
よくある形骸化というやつですね。

ですので、人材や現場力が高い、すなわち組織力に秀でていると感じること、
そしてそれはその会社が好きになることにも通じるので、
そういう会社を選んで、自分が末永く納得して投資していける会社と
歩みを育んでいきたいなと思います。


事例として挙げたのはあくまで私が体験した不幸な所にフォーカスした内容で、
両社そのものを否定する趣旨ではありません。
ただ、身に降りかかった事実を記載しており、他意はありません。
主張したいことは、人材や現場力は大前提として必要な要素であり、
いくら高度化した仕組みもその要素が欠けると活かされないということです。
そして、自分が投資先として選ぶ際には、
仕組みとしてすごいことをやっている(やろうとしている)という視点の前段に、
それを活かす人材や現場力があるかという点を注目しようということです。


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