投資方針に忠実に退屈な投資で資産形成


【決算精査】 1835_東鉄工業(18年3月期_4Q決算)

■銘柄分析シート(表紙)
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■銘柄分析シート(詳細)
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1.サマリ
総合評価:「3」 (☆☆★★★)
※総合評価は5がポジティブ、3がニュートラル(想定通り)、1がネガティブの5段階レーティング


前期着地は大きな未達とはならず、
純利益、EPSについては固定資産売却による特別利益などちょっとずるもありますが、
計画超過となっています。
また、あまり意識していませんでしたが、中計最終年度として総還元性向30%を意識して、
大幅な増配と自己株買いを発表しており、
ザラ場中ということもあり、株価はこれに反応して少し騰がったようですね。

今期予想は売上や営業利益ベースでほぼ横ばいとなっています。
純利益は特別利益や税金効果による前期押上げの反動で
むしろ減益となっていますが、前期の押上げもあり、トータルでみるとまぁ想定線という印象です。


同社については、今後のJR東における安全性を中心とした投資環境に支えられ、
安定業績と還元に期待をしているわけですが、
そんな野望を満たすように新中計も開示されています。
ちょっと定量面で目標が過小にも思えますが、
中身は色々読み応えがあります。

いずれにせよ、同社に大きな成長を期待しているわけではないので、
組織力を高め、今後インフラを裏で支える会社として
ポテンシャルを高めてくれる事に期待していますから、
そういった方針が掲げられており私は長期的展望で満足出来そうです。

ただ、私のような資産上昇を展望する者が保有する銘柄としては異色かもしれません。
もう十分に資産を築いた方が還元や安定重視で保有する銘柄に思えます。
そのことを承知の上で、中位くらいで保有していこうと思っています。


定量面、定性面、特に新しい材料はなく、
見通し通りとなりますので、総合評価も「3」(想定通り)です。


2.定量数値の確認


(1)売上・利益の状況

■年次(売上-粗利率)
1835_東鉄工業(18年3月期_4Q累計)売上-粗利推移


■期次(売上-粗利率)
1835_東鉄工業(18年3月期_4Q単計)売上-粗利推移


安定的に推移していますが、
直近では粗利率がやや頭打ちになっている印象もありますね。
これは人材を含めたコスト高騰の影響もあると思います。
むしろよく持ち堪えているなと思いますよ。

四半期単位でみると、工事完了という観点からも4Qに収支計上が集中します。
4Q単としても粗利率もなんとか上昇させることができているようです。




■年次(販管費推移)
1835_東鉄工業(18年3月期_4Q累計)販管費推移


■期次(販管費推移)
1835_東鉄工業(18年3月期_4Q単計)販管費推移

販管費もきちんとコントロールされているようですね。
販管費率は5%ちょいの所で安定しています。
販管費は今後の種まきでもありますから、単に額が減ればいいという
短絡的なものでもないので、この辺りでよいのではないでしょうか。
ゼネコン事業ですが、営業利益率10%超ですからね。
十分優秀だと認識しています。



■年次(純利益-EPS)
1835_東鉄工業(18年3月期_4Q累計)純利益-EPS推移


■期次(純利益-EPS)
1835_東鉄工業(18年3月期_4Q単計)純利益-EPS推移


特別利益で約92百万円の押し上げ効果がありました。
この他税金関連もありますが、それでも十分リカバリした印象です。
前期は未達幅がやや大きくなるかなと思いましたが、
意味は薄いですが、純利益ベースは増益となりましたからね。


(2)今期予想について

3%の増収、1%の営業増益です。
純利益ベースは前期の押上げ効果の反動で逆に減益ですね。
ただ、中長期的な視点で還元も意識されて、2円の増配です。

私は2桁成長の企業を前提に、成長銘柄への投資を
志向していることもあり、
こんな万年割安株のような銘柄をなぜ?と思うかもしれませんが、
後述の通り、新中計、更にその後の活況な需要へ応えるために、
人材だけでなくハードへの投資も含めて
充電期間が続くようですから、冬眠したように還元もらいながら、
気絶しておくような感覚ですね(笑)。
ゼネコンのようにシクリカルで気絶ってバカなの?と思われるかもしれません。
私もバカなのかもしれないとよく思います。



3.定性情報の確認


人材の教育や働きやすさについて
様々な取り組みがなされていう様子がうかがえます。
もちろん外部の人間にとっては、
表面的なことしかわからないので、期待をしておくしかないのが実態ですが、
IRの電話等で見聞きしている状況からも真面目に対処をされている印象です。

この業界では特に人が大切になりますし、
そういう所へきちんと配慮をもって事業運営されている点は、
とても重視すべきことだと思います。
細かいですが福利厚生の充実や技術者としての育成の仕組みを展開したりと、
人へのフォーカスがきちんと当たった活動形跡が短信上からも読み取れ良いなと思います。


それから感覚的な話になりますが、
JR東以外の業務の請負も増えているように思います。
相鉄や小田急など関東圏私鉄各社はもちろん、九州地方などでの受注もありますね。
採算面ではやや心配になりますが、数少ない鉄道インフラを得意とする会社として
リーダーシップをもって頑張って欲しいですね。



4.その他情報の確認


(1)株価推移の状況

1835_東鉄工業(18年3月期_4Q累計)株価推移


こんな地味な銘柄でもアベノミクスで2倍程度に上昇していますね。
そしてこんな時に買うのもどうかしている気がしますが、
IR担当の方とお話をするようになってからも居心地よくなっています。
あとは天下り社長が実は熱心なのではと思っているので、
そのあたりは一度どこかでお話を伺いに行きたいなと思っています。



(2)IR照会の状況

保有して日が浅いということで、
自分の理解の促進のために些細な疑問をぶつけるために、
勉強だと思い、IR担当の方のお時間を頂きました。
2度目ですが、非常に丁寧な対応をして頂きました。
初回の照会の時のことも記憶して頂いていて嬉しかったですね。
そして、秋頃には恒例の個人投資家説明会もやるので、
ぜひ来てねと案内も頂きました。
お声掛けいただければまたなんでも質問にお答えしまうと。
なかなか惚れてしまいますね。(笑)。

以下は、個人的に主観に基づくメモなので、
会社の公式見解や事実と異なる可能性がありますので、
ご了承下さい。


Q
前中計期間並びに前期着地においても
売上は計画未達となっている。
トップラインの伸長に苦戦をしている印象だが、
どういった課題を認識しているか。

A
まず、前中計については、売上面でやや過大な計画だった点が反省。
JR東以外の民間の仕事をもう少し取れるという前提で策定していたが、
民間の業務は、入札等で場合によっては利益構造を
犠牲にしてまで競合するケースもあり、
利益重視の観点から無理な追求はしなかった。
(やはりこの業界にあってホワイトなのかもしれませんね)
特に土木関連のJR東外の公共入札は無理な価格を入れずに
結果的に負けることもあり、そのあたりでトップラインではショートした。


Q
新中計のトップラインの伸長は今期予想が1350億に対して、
3年後目標が1400億となり辛うじて増収という印象だが、
この程度に留まるとみているのはどのような背景か。

A
まず2020年のオリパラまではJR東はホームドアなど最低限の対処に留まる見込み。
喫緊で整備が必要なインフラ工事を優先させる考えであり、
必ずしも当社が得意とする領域ばかりというわけではない。
従って、当社が対象とするJR東の業務は減ることはないが、
大きな飛躍はないと踏んでいる。
ただ、オリパラが終わった後に、本格的に駅やホーム、橋梁などへの
安全性や拡張を展望した設備投資が旺盛に計画に盛り込まれており、
それまでの新中計期間は充電期間と位置付けている。
また、JR東外の工事については、実は既にゼネコンが衰退を懸念して、
今から手持ち工事を確保するために受注競争が激しくなっており、
当社はあくまで利益を重視する志向でもあり、
手持ち工事を増やすことを第一にトップラインを追求するようなことはしない。
従って、トップラインが大きく伸長するような計画にはしていない。
もちろん、コンサバに作っている部分は否定しない。


Q
一方で利益については、前中計では上方修正を伴う程、
早期に目標実現を果たしている。これはどういう背景か。
また足元でやや利益率が低下しているのは、何か収支モデルが変化しているのか。

A
前中計では駅の耐震工事などで、大量のアンカーを打つ工事が多く、
実は、何本か打つとあとは横展開出来る工事でもあり、
習熟度が上がることによる生産性向上がみられた。
ここに加えて公共工事などJR東外の大きな工事もたまたま重なり、
案件特性として利益が出やすいタイミングがたまたま重なった。
また足元の話は確かに利益率は若干下がっているが、
特に収支モデルの構造が変わっているわけではなく、
案件の特性によるもので、今後ダウンサイドトレンドになるようなものではない。
ごくわずかではあるが最高益となっている。


Q
新中計でもROE10%が掲げられている。
総還元性向を30%で還元意向もあり、僅かではあるが、
堅実な増益を続けていく計画であり、
現状のROE13-14%であることを考えると、
目標が低いように思うのだが、何かこの程度に留めなければならない
背景があるのか。

A
前中計同様、ミニマムラインとして10%をコミットしているにすぎず、
現状よりROEが下がることを意図しているものではない。
認識の通り、還元を続け、増益が続けばROEは向上するものと認識している。
但し、JR東の工事などが今後数年というスパンで見た時に
端境期があった時に万が一、一時的に低下し、
9.9%になることもありうるわけで、そういうことがないように最低ラインとして
掲げているものである。


Q
今期受注見込みが前年から減少見込みとあるが、
受注環境はあまりよくないのか。

A
予想の前提として現状の手持ち案件の積み上げから
このような数値を出している。
当然、経営として、ここをストレッチさせて案件を選別しつつ
伸ばしていけるよう、鋭意努力していく。



(3)目標株価について

2020年のオリパラまでとその後ということで大きく
JR東の設備投資の状況も変わってくるのですが、
逆にそれだけ長期で見る必要がありそうです。

評価起点の期を23.3期として5%CAGRとしてEPS予想は320円とします。
評価PERは同業種から考えると15倍位がいい所のような気もしますが、
途中17倍にタッチすることもあり、やや強気に17.5倍とします。

ついては、目標株価を5600円としています。

なお、暫定的にEPS350×評価PER17倍で6000円と仮置きしてきましたが、
若干下方修正したことになります。
この背景はIR担当の方と電話でお話をして、
JR東の設備投資のタイミングとして、中央線や新幹線の橋梁など、
大きな工事の計上がやや想定より後ろだった
(というか開示されていたのに勝手に2020年頃から計上と解釈していた)ので、
そのあたりを反映しています。


(4)新中計について

新中計がリリースされています。 → PDFリンク


HOP、STEPときたら、JUMPだと思ったのですが、
まさかのPower-UPっていう裏技を挟んで随分マイルドな定量目標を掲げてきました。

ただ中身は一部で、ん?となるところはありますが、
読むほどに奥深さを感じます。
詳細版がUPDATEされるらしいので、改めて言及したいと思いますが、
やはり充電するために人材への投資、ハードへの投資など
盛り込まれていますし、ステークホルダーへの配慮という点では、
株主への還元についても強く意識が継続しています。

もう少し成長への意欲があればと思いますが、
無理にがつがつやらず、適正な収益を求めながらマイペースにやっていくのも
悪くないでしょう。退屈な会社ですが、私は結構好きです。



5.さいごに

同社は銘柄分析もすっ飛ばしているのですが、
もはやここまで低成長ですと、読者の方にも興味無かろうという点と、
精緻な分析を必要としなそうということもあり、
後回しにしておりました。

相変わらず退屈で、もはや定量的視点から開示する意味ある?という感じ
になる方もおられそうですが、私はゆっくり見守っていきたいと思います。


ただ、非常にマイルドで極端に還元や安定に偏っているので、
もし他の銘柄で有望なものがあればスイッチすることも
躊躇なく検討したいと思っています。


1835_東鉄工業(18年3月期_4Q)配当推移

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