投資方針に忠実に退屈な投資で資産形成

※投資に関連しない記事です。
(興味ない方はスルー願います)



この 私の青春の一コマ の続編です。



私の男子校での生活がはじまります。

KさんやNさんとの淡い思い出は、
長い年月で積み重ねてきたものであり、
卒業式から入学式までの慌ただしく過ぎ去る数日で、
その思い出は色褪せていくわけもありません。
むしろ日に日にその切なさ、感謝、愛しい気持ちは募っていきます。

桜の花が蕾から花を咲かしせわしなく散っていく、
そして新緑の葉をつけていくように、
私の気持ちもうまく切り替わればよいですが、
青年となった私の心はそんなに単純ではありませんでした。

そんな感情豊かな思春期真っ盛りの中、
入学式が催される体育館で男一色に染まる、
その異様な光景を前に私は愕然とし、
美化された過去へ戻りたい衝動に駆られます。

過去は美化され、曖昧な記憶は都合よく穴埋めされます。
現状の不安を過去に戻る思考に振り向けて、
安心感を得ようとするのは私だけの思考の癖なのか、
誰しもがそういうものなのかわからないまま、
期待より遥かに大きい不安が重く、
そこから逃れたくてもがくような新生活のはじまりです。

通学の途中で行き交う高校生の中に、
馴染みの旧友を探して、一言挨拶する時の嬉しさ、安堵感。
そして、同じ地元の女子高に進学したNさんを平穏な顔でありつつ、
必死に探す普通じゃないメンタルの私。
そして、気軽に気持ちを吐露し合ったKさんは、
もうこの街から去ってしまった喪失感。

そんな風に過去に引きずられながら、
それでも新たな日々は容赦なく進んでいきます。
進学校としてのハイペースでありながら
自分でなんとかせいという雑な授業で、
徹底した放任主義はまるで中学の時とは違う自由があります。

自由と責任という講釈を聞かされ、
その中で自分がどうありたいのかということに
向き合うべきなのだという
ある意味でとても難解な教えでした。
勉強をするのか、そうではない道をいくのか、
そもそも学ぶとはどういうことなのか、
全てを自分の感性で決めなければならない難しさは、
今にして思うと、とても価値ある校風であり、
そういう中で高校生活を満喫できたことは、
私のその後の人生にもとても大きなものとなりました。

女の子と仲良くなりたければ、
そのように行動して可愛い彼女を作って満喫する奴もいました。
私にはそんな大胆な行動が出来るだけの容姿も話力もなく、
根本的に自分に自信がない根倉ですから(今もですがw)、
そんな言動に繋がる思考は持ち合わせていませんでした。

ただ、過去の思い出を、思い出として風化はさせずとも、
胸にしまい、新たな道を歩む必要性を強く認識していくことになります。

それは様々な個性に触れて切磋琢磨していく
男子校の良い部分かもしれませんが、
そういったハングリー精神のような中で
変わっていくことに意欲を持つようになります。

美化された過去から解き放たれるためには、
今を充実したものにし、今を変えることが大事なのです。



高校1年の夏。
私は沖縄の地に降り立ちます。
機内から望むその海は、青というより緑で、
サンゴ礁が広く生育している水面は輝いています。


沖縄は海の綺麗なリゾート観光地という面もありますが、
一方で、今でも米軍が駐留しており、
かつては戦火にまみれた痛ましい歴史を持つ面もあります。
本州に暮らし軍という存在と無縁の人間からすると、
あれだけ間近に飛ぶ戦闘機の爆音の脅威だけとっても、
異様な光景が広がる場所でもあります。


そんな沖縄に平和学習という名目で、全国から高校生が集い、
現地の高校生のガイドで本島内を巡るというのが訪れた趣旨です。


実際に熾烈な当時の激戦状況を伺い知ることで、
本質的な幸せとはどういうことかを実感することになります。

観光地というと違和感があるのですが、
糸満から更に南に抜けた南端のひめゆり学徒隊の自決の舞台となったその地に、
祈念碑が建てられ資料館で経験談に耳を貸し、
その場に集った全国の高校生の仲間とその悲惨さと、
今の幸せなことにただ感謝をするという
当たり前の事実確認をしていきます。
南端に広がるエメナルドグリーンが映える東シナ海は、
今でこそ穏やかですが、
この海に飛び込まざる得なかった多くの若者に
思いを馳せるとなんともいえない感情がこみあがってきます。

沖縄は戦争時に唯一地上戦が繰り広げられたこともあり、
今でも多くのガマと呼ばれる防空壕のような場が点在としています。
そんな中を実際に巡る中で、必死に伝えようとしている現地高校生ガイドと、
そこに集う全国から来た高校生との絆は日に日に深まっていきます。


当時は関東圏の女子高生といえば、ルーズソックスとミニスカートです。
しかし、ここに集った女子高生はどちらかというと地方から来ていた人が多く、
膝丈よりやや長いスカートでルーズソックススタイルなんていません。
しかし、その姿が純朴で口下手な私でも話しやすく、
深まる絆と共に久しぶりの女子との交流に少し心が躍っていました。
全国各地の方言の良さに初めて感動したのもこの時でした。

悲惨な光景を目の当たりにし、
しかし、現地の高校生が明るく、うつむいて悲しみに暮れるわけではなく、
むしろ平和な今に感謝をして皆でこの交流を楽しもうという形での
運営でしたから、むしろ過去のそういったむごい事実を通して、
今の絆が深まるわけです。
決して不謹慎ではない自然な事だったと感じていました。

多くの学徒隊の記録において、青年と女学生の別れが描かれ、
悲痛な手紙などに目を通すたびに涙があふれ、
本当に大切なことというのを高校生ながらに考え、
またそこでの仲間と語らうことが、
どれだけの机上の勉強では得られない豊かな感性を育むことに
繋がったかは想像に難くないと思います。

そもそも今の時代のようにネット社会ではありませんでしたから、
全国の津々浦々の高校生と交流を持てる機会というのは、
とても限られていました。ようやくポケベルが普及し始めた時代です。
(要するに携帯電話もない時代ということです)
そして、北海道から沖縄までの各県の高校生の中には、
明らかに容姿端麗でかわいい子が沢山いました。
男子校で久しく女子との交流もなく、
余計に舞い上がっていたので余計にそう感じたかもしれません。
そんな子を見て心をときめかして、
談笑したりできることに浮足だっていたのもまた事実です。


ただ、私が忘れられないのは広島から参加していたHさんです。
地味なブレザーの制服に膝丈よりやや長い黒色のスカートに身を包み、
黒髪のショートカットで女性らしさというより、
どちらかというと男性的な印象が強かったです。
しかし、その表情は豊かで、
悲しい事実に触れた時に感情を隠さずに涙したり、
何かを真剣に語り合う時の鋭い目にキリっとした表情、
でも他愛もない会話をしている時のはにかんだ表情と
バリエーション豊かな多面性に富んだキャラクターはとても魅力的でした。

ガマの内部に入る時には、急こう配で足場の悪い中を進むこともあり、
手を取り合い進むわけですが、
自然とHさんの手を取りそんな一瞬にちょっとドキッとしたりするわけです。
多くの人が自決したガマ、今ではひっそりと平和な日本の中に佇む、
しかし悲惨な過去を受け継ぐその現場で、
女の子の手を取る一瞬にそういう感情を頂く自分に葛藤したりします。

Hさんとは、移動のバスの中でも自然と隣り合って座るようになり、
冗談を言い合うこともあれば、
今の幸せの重要性について真剣に語り合う、
そんな青臭いような話にトコトン向き合いました。

目にするものすべてが新鮮でした。
戦史に残る場所もそうですが、
琉球の踊り等の現地の文化にも触れました。
沖縄料理はちょっとグロテスクであったりもしましたが、
本場のがじゅまるの木の灰を練り込んだ
沖縄そばは、絶品でした。

毎日が出会いと悲しみと楽しみで忙しい日々。
そして、最後の日の夜。
もちろん健全な高校生ですから、
部屋に押し掛けるわけではありません。
自然と二人で誘い合い、
ホテルの屋上のテラスで最後の語り合いの時です。

ヤシの木が植えられたそのテラスには、
簡易的な椅子があって、そこに腰かけて話は始まります。


彼女は広島から来たということもあり、
おもむろに祖父母の話を始めます。
そう、ヒロシマのことですね。


祖父母がどのような苦境を生き抜いてきたか、
そして、その中で、自分の親からどのようなことを教わり、
そして自分がどういうように生きていきたいか、延々と語ってくれました。

それはとても刺激的な時間でした。
私は進学校に進学し、Hさんよりは勉強が出来た自負がありましたが、
子供の時から何を大事として生きてきたか、
そして自分は看護師になるんだと夢を語ったその瞳の輝きは、
とても眩しくて、同時に自分の曖昧な生き方への儚さと
恥ずかしさを感じます。

平和を知るために、過去の悲惨さに触れて、
何かに同情して、自分も頑張ろうという漠然とした次元ではない
自分が見えている視野と明確な違いを感じました。
同じ高校1年生でありながら、こうも違うものかと
改めて思い知らされるわけです。

時間は既に日が変わり夜も更けていきます。
それでも最後の夜の話は尽きません。
それは熱い思いを込めた今後の誓いのような話もあれば、
あるいは日常の高校生活の雑多で
他愛もないことまで様々です。

1週間という長いようで短いこの出会いと共に過ごした時間。
しかし、間もなくそれぞれの地に帰るお別れとなります。
それを知っているので、お互いに眠い目をこすりながら、
語り合いは続きます。

そして、やがて徐々に夜明けを告げるように、
彼方に広がる海の水平線の先がオレンジ色に染まっていきます。
そこには間違いなく平和な新たな1日が保証されており、
かつての戦争時の夜明けが来ない日々とは違い、
こうやってゆっくりと語り合えることにありがたさを感じます。
そして、この朝焼けから太陽の日の出を迎えて、
新たな1日がはじまり、そして別れの日がきたことを実感します。

その朝のやさしい光を浴びて、
最後にHさんが涙を流してこの1週間にこみあげてくるものがあり、
そして私へのありがとうを言ってくれました。
私も高校1年生で受け止めるにはあまりに濃い経験と出会いに、
感情が高ぶって一緒に涙を流しました。
別れが寂しいというのはもちろんなのですが、
なんとも言葉にならない感情でした。

夏の沖縄の朝は少しひんやりしていました。
そんな中で私とHさんはそのテラスで握手をしました。
自然とこの時にはドキッとした感情はありません。
女の子慣れをしていない私でも自然とそれを受け入れられました。


結局一睡もしないまま、沖縄のガイドを務めてくれた仲間、
そして全国から集まった洗練された女の子とも、
あるいは陽気な男の子達とも、
皆との別れを惜しみ、それぞれの地に帰ることになります。

最後にHさんと、住所の交換をしました。



その後、Hさんとは文通をすることになります。
文通っていつの時代かと思うかもしれませんが、
当時は電子メールもミクシィも携帯電話もLINEも何もありません。
ただ、その不便さがまた良かった時代なのです。
その後それぞれの学校生活のことや頑張っていることなどの
やり取りをしていました。
ただ、不思議と、あのオキナワやヒロシマでのことは、
あまり話題になることはありませんでした。



この沖縄の経験を通して、私の高校生活は大きく変わります。
それだけのエネルギーを持っていたのです。
勉強には一切手をつけず、
徹底的に自分がこれだと思うことに情熱を傾けます。
その中で多くの貴重な人との出会いをしていくことになります。
それは男女問わずです。


そして、Kさんの喪失感やNさんへの想いは、
過去の思い出として心の大事な箱に大事にしまうことが出来たのです。






さて、だいぶこれでも話をはしょって書きました。

何か感想なり疑問等があればコメント頂けると嬉しいです。

ちなみに、このHさんとは高3で再会を果たすことになります。
コメント
この記事へのコメント
青春シリーズ楽しみに待ってました!
高校生くらいでポケベルが普及し始めたということで、同世代なんだなーと思ったことはさておき、高校生という多感な時期に凄く貴重な経験をされていることは、率直に羨ましいな、と思いました。

私は高校生のときは、そんな難しいことは考えたことはありませんし、自分の周りにある世界が全てでしたので、そこまで深い気付きを得られた経験はありませんでした。 

前回の青春話しは甘酸っぱい話もあり、自分も昔を思い出しながら読んでいましたが、今回はまた違った趣で、昔の自分を振り返らせていただきました。



2018/04/11(水) 20:37 | URL | ありだん #-[ 編集]
>ありだんさん
こんにちは、ありだんさん。
コメントを頂きましてありがとうございます。

まだシリーズ化したわけではありませんが、
ご期待頂いていたようでとても嬉しく思います。

高校生でポケベルなので、年齢はご想像にお任せしますが、
ピンと来られるという事は、きっと同じ位の世代なのかなと思います。
より親近感でも持って頂ければ幸いです(笑)。

高校生は私にとってはその後の大学生へ繋がる礎を築くという意味で、
大変貴重な経験をしたと認識しています。
今回は沖縄編もしかりですが、
机上では学べない経験はとても豊かでした。
そしてそれは与えられるものではなく、
自ら行動することによって得て来ました。

机上の勉強をないがしろにしたことは、
親には大変申し訳ないことをしたとも思っていますが、
しかし、あの時代、あの時の感性があるからこそ、
得られるものがあったのです。

それは歴史と向き合うという意味でも、
遠く離れた人との出会いや、
文化や芸術との出会いと、この沖縄編でも多岐に渡りました。

ちょっとした勇気や、行動してみようと思ったことが、
こんなにも自分にとって大きな影響を与えたことに、
今でもとても驚いているのです。
ぜひ、自分の子供にも自由の中で、
自分の責任を考えながら、我が道を突き進んでもらえるように、
育って欲しいなと思っています。


前回の中学卒業編は、明らかに淡い恋と、
不思議な男女の友情の話でしたが、
今回はまた違った面での話になりました。

Hさんとの関係は、中学のNさんやKさんとはまた異なる、
関係性でしたが、濃密な時間を共にし、
共に心を解き放ち、様々なことに熱中したことで、
鮮烈な出会いになりました。

色恋とはまた違うわけですし、
長い年月をかけて育んだ友情というわけでもないのですが、
精神的な距離は高校生になったということもありますが、
近い距離で触れ合うことが出来たかなと思います。

当時、那覇空港から帰るシーンにおいて、
それぞれの空港に向けて搭乗する時には、
それはそれは涙の嵐だったんですよ。
今回はその部分の描写は割愛しましたが、
高校生にもなって、こんなにも感情を表に出して、
笑ったり涙をしたりすることができたことは、
今振り返っても貴重な経験だったなと思っています。


もう少し細かい描写をしたいのですが、
さすがにあまりに事細かく書くと色々支障も出てきそうですので、
やや抽象的にふわふわしてしまうことはご容赦下さいませ。

今後また青春シリーズを続けたいと思いますが、
きっと甘酸っぱい要素はあまり全面には出てこないかもしれません。
次に書くとしたら、「文化祭編」となるのですが、
どうやってオブラートに包むか悩ましいです(笑)。


まぁこの文化祭編はすっ飛ばすかもしれませんが、
まぁ期待せずにお待ちくださいませ。

いずれにせよ、反応頂きまして本当に嬉しく思います。
今後とも、よろしくお願いします。


2018/04/12(木) 22:38 | URL | まるのん #-[ 編集]
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