Author:まるのん |
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1.パフォーマンス
まるのんPFは年初来で +3.3% となりました。
前月比は +0.3% で推移しました。

2.全体所感
3月も印象としては堅調に推移したように感じていましたが、
案外指数は微減だったのですね。
マザーズ指数のみが4.6%と年初から3ヶ月連続で続伸です。
1月下旬のサンバイオショック前の高値を伺う勢いですね。
ちなみに私のPFも3ヶ月連続続伸です(苦笑)。
マザーズ +10.5%(1月)→+13.0%(2月)→+17.7%(3月)
まるのんPF +2.0%(1月)→+3.0%(2月)→+3.3%(3月)
国内の景況感は生産や在庫の状況などを見ても
決して予断を許さない状況と感じています。
もちろんそれを今の株価がある程度織り込んではいると思いますし、
だからこそ、指標面では割安感が台頭しているものと認識しています。
海外は既に飽きてきた感じもするのですがブレグジットの状況が
引き続きどうなっていくのかということもあります。
国内では選挙もあります。
そして改元ですね~
株価の今後の動向はどうなっていくかはやはりわからないのですが、
企業が長い目で事業価値を高めてくれるように期待しつつ、
目先の株価や業績の凹凸に一喜一憂せずに腰を据えていたいなと思っています。
いつもいつもいつも同じことをいって、
冴えない言い訳のように唱えていますが、それでいいのだと本気で思っています。
3.銘柄に対する所感
各銘柄の月間パフォーマンスは以下の表の通りです。

エイジアや翻訳センターは四季報の記載がよかったからでしょうか、
やや強い動きになったようです。
エイジアは今期の着地はそんなに冴えないと今でも思っているのですがどうでしょうかね。
しかも今年は増税があり増税の影響を以前も受けており短期的にみると
増税後の影響も注視が必要だと理解しています。
もちろん、そのことで同社の潜在的な価値が変わるとも思っていなのですが、
なににつけても拙速な手の平返しをする相場の中で煽りを受けるのではないかと思います。
翻訳センターも万博や英文開示の促進などテーマは持ち上げられますが、
同社の一番のボトルネックである翻訳家の人材獲得とコスト高については、
構造的にどうしても成長をマイルドにさせる可能性があるもので、
やはり今の比率から大きく買い増せない状況である認識を持っています。
どちらもいい会社だと思いますし、だから中位で保有を継続しているわけなんですけどね。
WDBホールディングスは2000円台半ばから3000円超の間でゆらゆらしている感じですね。
前月までの落ち込みから反発していますが、更に高値をとっていく印象はありません。
来期の見込みもそんなに驚くような成長はなく、むしろ海外CROの件が
どの程度数値を下押しするかは少し気掛かりにも思っています。
ソーシャルワイヤーは下落がきついですが、
こちらも四季報で足踏みとか書かれたことが影響しているのでしょうか。
来期が足踏みだろうがそうでなかろうが、まぁそれはどちらでもいいのですが、
比較的に手応えのあったという1年を経て、どういう成長を遂げてくれるのか楽しみです。
PERが20倍程度あるので一気に主力級まで買い上げれないのですが、
900円前後から800円台へいくようであれば、再度買い下がっていきたいところです。
トーカイの下げも大きいですが、こちらはこれまでが気持ちが悪いくらいに
値を保っていたので当然の調整だと受け止めています。
来期の調剤の回復は増税による薬価改定の反映もあり引き続き苦戦が予測され、
レンタルが堅調ながらそれこそ足踏み状況になると考えています。
株価はそれをきちんと織り込んでいるでしょうか。
4.運用来パフォーマンスについて

まるのんPFは運用来(2014年1月基点)で+209.0%となりました。
同期間のTOPIXが+122.2%となっています。
5.ポートフォリオ構成について
前月末と今月末のポートフォリオ構成の変化です。
◆月初のポートフォリオ

◆月末のポートフォリオ

順位に目立った変化がありませんが、
WDBホールディングスが復帰しています。
というか、決算時に誤って現物を売却してしまったのを
ようやく買い戻しました。
きちんと権利もとったので、今年こそ、
姫路に行ってかつ姫路城を眺めてみたいのです。
3月月間の売買は以下の通りです。
■買い
3929 ソーシャルワイヤー 買い増し
■売り
なし
ソーシャルワイヤーはやや買い増しが早すぎましたかね。
いや、その後に株価が下がっているからそう言っているのではなく、
基準としてもう少し待ってもまぁ良かったかなという程度のことです。
なお、資産の状況及びポートフォリオの各指標については、
それぞれ以下の通りです。


5.さいごに
いつも月間記事もすぐに更新をかけるのですが、
週末と被ったこともありますし、桜のシーズンでこの週末は家族で出かけていたこともあり、
今更の更新となってしまいました。
今年の桜は寒暖の巡りの影響か、
もう満開になっている部分とまだ蕾のままの箇所があったりで、
全体的になんか美しくないな~という印象です。
幹に近いところは比較的満開に近いのですが、
枝の先の方はまだ全然咲いていなかったりで。
たまたま私の観に行ってところがみんなそうなんですかね。
いずれにせよ、行楽にはとてもいい季節となりました。
この週末は結構冷えましたけどね。
また明日から新年度、頑張っていきましょう!
1.パフォーマンスa
まるのんPFは年初来で +3.3% となりました。
前週比は ▲0.4% で推移しました。

微減ですね。
日々1%を超える騰落があって目が回ります。
2.全体所感
バイオなどの銘柄の一角が強くマザーズ指数が堅調ですが、
その他の指数は一旦一休止となったようです。
最近は米国での逆イールドに騒々しくなっていましたが、
まぁマクロはよくわかりませんので、ふ~んと思って眺めています。
個別銘柄のボラが相変わらず大きく、
私のPFでも1日の間でも比較的に上下に大きく振れているようで、
そんなものに一喜一憂しているとどんどん消耗していきますから、
本当にあまり気にしないようになりました。
もちろん、そういうボラで効率的に儲けることを標榜されるスタンスの方は、
徹底してそれを突き詰めてもらえばいいと思いますが、
私は残念ながらそんなに上手く出来ないわけなので、
余計に距離を置いたほうがいいなと思うわけです。
本来は生粋の投資家であれば、こんな時は、地道に銘柄の価値を見出す作業に専念し、
手持ちの案件を増やしておくように準備をしておけばいいのに、
四季報そっちのけで趣味や家族との時間に当てているあたりは、
やはり私は平凡なんだなーと思います。
まぁそれでいいと思っているんですけどね。
それから今週は株主総会に参加しました。
やはり年に1度、定点観測のように経営者の方にお目にかかり、
色々お話を伺い、質問をさせて頂くことは、
自分がその会社へ投資しているということを実感できますし、
それは独りよがりな思いかもしれませんが、自分が投資をしているということに
より納得感を得るきっかけになります。
普段はなかなかお目にかかれないような方たちともお話出来るのは新鮮です。
そんなことを考えながら、引き続き、マイペースに投資を楽しんでいきたいと思います。
3.ポートフォリオ
本日時点のポートフォリオ内訳は以下の通りです。

特に構成は変わっていません。
保有銘柄の週間騰落は以下の通りです。

3月権利落ちもあって、ルネサンスや全国保証など
優待に注目度があるような銘柄の下げが大きかったようです。
もちろん優待や配当以上に権利落ちでは株価が下がるのはいつものことですが、
まぁ本当に不思議なものですよね~。
そこで売っている人って毎回どういうつもりで取引しているのかなと興味津々です。
(もちろん、非難や否定しているわけではないですよ)
ルネサンスは少し業績面で未達懸念や来期の状況が読みにくい部分もあるのですが、
それにしてもそんなに権利落ちしますかね。
確かに株価は決して安くないので、きっかけということかもしれませんけどね。
保有銘柄の各指標は以下の通りです。

こちらも特に変化はありません。
4.個別銘柄トピックス
保有銘柄の中で、
個別にトピックスがある銘柄について、コメントを残しています。
なお、株価の動きを踏まえた率直な思いも適宜メモしていきます。
■ステップ
大学合格実績が日々更新されているようですが、
国立大学の後期の結果も含めてほぼ確定した感じでしょうか。
国立大学は前年の180人から若干減少して168人となっていますが、
中身をみると旧帝大などの難関校、医学科の状況などをみると
大きく状況に変化はないかなという印象です。
校舎が増えていない中で一定の合格率とみればこんなものでしょうか。
そしてそれより定員厳格化の影響で私大は難化しているという中で、
前年より上位行の実績が伸びているのは、
その数値以上の実力なのだと理解しています。
全体で見れば、今年の実績も素晴らしいものになりました。
■サンセイランディック
株主総会に出席しています。
【株主総会レポート】3277_サンセイランディック(2019年3月開催) https://t.co/MuzyBB2DU7
— まるのん (@marunon_invest) 2019年3月27日
■日本管理センター
株主総会に出席しています。
【株主総会レポート】3276_日本管理センター(2019年3月開催) https://t.co/eIvh9XW2b0
— まるのん (@marunon_invest) 2019年3月28日
また有価証券報告書が出ています。
とりあえず借入金の利率だけみたのですが、
ここ2年は0.28%だったのですが、0.22%になっています。
長低金利ですね~(笑)。
■ソーシャルワイヤー
新橋拠点のフリーレントキャンペーンが出ていますね。
8月オープンで6月までの申し込みということですから、
相当先立ってのキャンペーンですね。
それから月末の社長コメントが更新されています。
年度を振り返っての定性コメントで、まぁ色々充実していたことも滲んでいますし、
今後に向けた手応えのようなものもあったようでよかったですね。
数値的にはそんなに急伸はしないと思うので、地味になると思いますが、
株価はだいぶこなれてきました。
■東鉄工業
経企の役員をみずほ証券から招聘される人事が出ています。
いわゆる天下りなのでしょうかね。
みずほGで主に法人分野を担当されていたので、
一定の経営手腕は有されているものと思いますが、
経企となると今後の成長シナリオを描く肝でもあるので、
どんな方か気になります。
■コンドーテック
Webサイトがリニューアルされたようです。
全ページスマホ対応のほか、商品情報を拡充したり、
技術情報をより高めて現場で使ってもらいやすいように工夫されているようです。
5.資産状況
資産の状況は以下の通りです。

特にコメントはありません。
6.雑記
春休み期間なので本来はもっと子供と共にする時間を過ごしたいのですが、
株主総会に出席したり、窓際でも年度末ということで色々忙しなかったりして、
なかなか思うように時間が取れません。
週末は家族で出掛ける予定ですので、
リフレッシュしてまた新年度を迎えたいと思います。
というわけで、明日は早朝、車が空いている間に移動です。
皆さんも素敵な週末をお過ごしくださいませ~。
日本管理センターの株主総会に行きました。
聞き間違いや、私の主観によるメモとなりますが、
記事にUPしておきます。
※あくまで個人的な見解も含んでおりますので、
ご参考程度としてお読み下さいませ。
※当記事が会社指摘も含めて何かしらの不都合が示された場合は、
即座に公開を取りやめます。

■参考
1年前の株主総会 → リンク
2年前の株主総会 → 残念ながら欠席(家族旅行の日とバッティング)
3年前の株主総会 → リンク
■当日の流れ
10:00 開会
10:03 議決権数確認
10:04 監査報告
10:05 事業報告(事務局口頭説明)
10:08 対処すべき課題(社長口頭説明)
10:12 付議事項の上程
10:14 質疑応答
10:25 決議
10:28 取締役挨拶(一言)
10:31 閉会
10:33 会社説明会プレゼン開始
11:00 質疑応答
11:45 質疑終了
※例年の懇親会はなし
■議決権行使の状況
株主数 : 1,327/4,207(31.5%)
議決権個数 : 134,638/181,924個(74.0%)
■全体所感
前期は売上の下方修正を余儀なくされ、
また今期予想も大幅な減益見込みということに加え、
MSワラントの発行などで失望感も台頭する中での総会となりました。
懇親会も中止ということで、なにか全体的に後ろ向きな印象が付きまとう中で、
しかしきちんと状況を確認していきたいと今年も総会に参戦しました。
同社は株主総会は目的事項に関する質問のみを受け付ける運営で、
それ以外の質問については、総会後の会社説明会にて質問して欲しいということで、
総会自体はシャンシャンで終わらせたい意向が滲んでいます、
これは毎年のことですし、まぁ本来総会は目的事項に照らしてなされるべきで、
どうしょうもない質問(世間話みたいな)のは無駄なのでそれはそれでいいと思います。
決算説明の動画などで、武藤社長が元気がなさそうとか、
個人投資家IRもスルーされたので、どんな感じかなと思いましたが、
いつものように雄弁に語られていて、元気そうで何よりです。
ただ、数値をまくし立てて某企業群をディスるような口ぶりは抑制され、
自社が原点に返り今後の機会を得ていく部分をきんと説明していました
特に現状の不動産業界全般の不安台頭については、
当社にとってフォローの風が吹いているという言及があったのは少し驚きました。
確かに足元でフローの売買が落ち着くことで減益になりますが、
一方でストックの部分は今まで少しリソースを薄くしていたところを
原点回帰して宣言は力強いものでした。
またその判断に至るまでに、昨年は色々悩まれたとも吐露されており、
この原点回帰で改めて管理戸数というストックを追求していくという判断は
熟考の上で戦略的に考えられた様子もうかがえました、
かつて、リーマンの時など不動産市況が不安の中にある中で、
保証という枠組みで成長したSSLを再度磨き上げて、
今後の景況感の反転に万全を期すということでしょう。
各取締役からの答弁でも営業観点ではだいぶオーナーマインドの変化がみられ、
足元では大変好調な状況が続いているようです。
その数値は2Q以降に顕在化してきそうとのことでそれが楽しみですが、
まぁ言葉通り受け止めれば株については、今は買い時かなという感じがしました。
ただ、こういう洗脳下であまり投資行動を大きく傾けていくのも憚れるので、
ゆっくり見守っていきたいと思います。
内向きな話としては、やはり人材の育成や定着といったところには苦労をしているようです。
現取締役が基本的にモーレツ世代でそれを是とする方々ですから、
現代の若者とのギャップには色々戸惑いながら、気を配って経営しているようです。
懇親会がなくもう少しざっくばらんに話を伺いたかったのですが、
でも、武藤社長はもちろん、各取締役の方々も元気そうで何よりでした。
今年は場所の兼ね合いだったようで、会場がオアゾでの開催となりました。
このことで懇親会が中止となりましたが、来年は従来の国際フォーラムで実施予定で、
懇親会も含めて復活する予定とのことです。
ネガティブで対話の機会を持ちたくないということではなかったようです(笑)。
感覚的には50人位の出席者があったでしょうか。
年齢層も比較的若い方も散見されました。
従来通り机があればタイプ出来て楽だったんですけどね。椅子だけでした。
あとお土産にモバイルバッテリーと水を頂きました。嬉しいですね~
■会社説明会のメモ
・売買のフローと管理戸数のストックの2階建ての収益構造。
売買が不動産市況の変化で落ち着きがみられ、フロー部分が落ちると見込んでいる。
不正融資などの問題で融資姿勢はだいぶ硬化しており、現場の声もかなり厳しい声があがっている。
なので、保守的に今回見積もっている。
経営者として一度も利益予想未達はないので、今回も今のガイダンスがミニマムだとみてもらっていい。
・今まではオーナーマインドが強気でスプレッドが小さくなり収益性が得られず、
ストックのトップラインが緩慢となっている。
・しかしながら市況の変化、オーナーマインドの反転から、
積極的に投資していこうという決意表明が新株予約権発行の判断であった。
・人口は減るが、世帯数は急増していく見込み。
しかもそれは40歳以上、とりわけ高齢者の比率が増えていく。
そのため、1Rや1Kは選ばれないし、高齢者住宅なども含めた広めの物件が伸びる。
・現状の不動産問題に端を発した諸問題については、
事業モデルとしてはメーカーと異なる立場なので、当社にとってはフォローの風だと認識。
(単に建てる理論では通用しない、がついに現実のものになってきている。)
・去年1年色々反省した。どうやってトップラインを伸ばすか本気で悩んだ。
もう1回商品を見直し、磨き上げていくことでテコ入れをして
あの時の高成長のように再び成長エンジンとなるように喚起していくんだという判断になった。
SSLの特徴を生かし、かつ競合商品に勝る仕組みを設計してきた。
・数を増やすプラットフォームを拡大していく×1戸当たりの収益性を伸ばすをやる。
デフレスパイラルの中で成長してこられたのは、
マインドの転換によってプラットフォームを拡大していくには絶好の時だと感じている。
そのためにSSLを軸に各種商品のラインナップを刷新した。
・サ高住の管理戸数は既に学研の迫る3位。いずれ1位の旧メッセージを追いかけていく。
・従来、1棟丸ごと借り上げを徹底してきた。家賃設定などがバラバラだと難しいから。
しかし、現状空室のところから順次借り上げをしていく先行投資をしていっている。
いずれ全戸借り上げという状況を作っていきたい。
・会社が大きくなり創業しばらくは営業要員ばかりだった会社も内勤者の比率が大きくなっている。
今後は営業要員を倍増したい。
しかし人を単純に増やすのは難しいし一人当たりの収益性を落としたくない。
一人当たりの収益性は高い会社でありたい。
(東証一部上場で一人当たりの営業利益は99位だそうです)
今後は人が採りにくい環境になっていくので、人が採れるという前提に立たず、
人の規模をあまり課題にせず、すなわち労務で悩みたくないがモットーである中、
しかし営業要員を増やすために、
定型業務などAIを活用して省力化していくことを考え一部着手している。
具体的には契約書作成、家賃設定シミュレーション、入居審査の定型チェックあたりは
十分できる。音声認識を含めた部分をコールセンターなどに対応していくことは、
少しハードルがあがるがここも含めた効率化を目指したい。
・意思決定を早くするために東西+首都圏でカンパニー制を敷いた。
この施策は相当機能している。
・入居率は91.4%を誇る現状を今後より伸ばすためには家財保険や延滞保証を取り込んだ。
(ここまで周辺系を埋めていかないと更に高次元にはいかない)
・MA資金が一番必要だった。まだIRできるものはないがパラレルで色々話をしている。
それが資金調達の意図だった。
・高ROE、高配当といったところの割にPERは低い。(忸怩たる思い)
・ストックは何の問題もない、むしろフォローになっていく。
フローはどうしても社会情勢によって影響を受けるため、理解してもらいたい。
■株主からの質問
【Q】
加盟店収入が減収となっており、
パートナー企業の数そのものも伸長が止まっているがどういう状況なのか。
【A】
既に1400社超のネットワークを既に構築しており、各地域での有力なパートナーを締結している。
ネットワークの拡大という部分にも取り組んではいくものの、
既存のネットワークを機能させることに注力していきたい。
特に前期は規模の広がりより、パートナーとの関係性を深める活動により重きを置いてきた。
もちろん全体の規模数から見ればまだ規模の拡大も狙える余地はあるのでそこも狙ってはいくが、
ネットワークを機能させる、より深く連携をさせていくという部分にも力を注いでいきたい。、
(所感)
確かに規模拡大というより質や深度を深めるのは大切ですね。
ただ、収入そのものが減っているのはやはり気になるので、
加盟の純増数ではなくトップラインにより注目していきたいと思います。
【Q】
AI活用などのIT投資の課題対処については、事務の効率化などが期待されるものと理解しているが、
具体的にどの程度の投資を終え、どのような効果が発現しているのか。
【A】
IT基盤を強化することは効率性を高める意味で間違いなく今後も収益性を改善できる余地がある。
AIについては、3つのことをやろうとしており、そのうち2つは進行していて1つはこれから着手する。
とりわけ営業部門でのセールスフォースやTeamsの導入によりコミュニケーションの活性化や
効率性が高まっている実感がある。
(所感)
セールスフォースは昨年から聞いていましたが、
MSのTeamsはSNS上でコミュニケーション充実にはよさそうですね。
【Q】
前受金と長期預り金の内容はどういうものか。またこの費目が急になくなってしまう可能性があるのか。
【A】
預かり保証金は入居者の敷金に相当するものであり、急になくなってしまう性質のものではない。
前受金は家賃を先に頂く関係で翌月分の家賃を先にもらっている分を計上しており、
こちらも急になくなるものではない。
家賃の集金についてはパートナー企業が集金しているものも一部あることはあるが
いずれにせよ、大きく毀損する可能性はないと考えてもらってよい。
【Q】
賃料が減るリスクに対してアリアンツの保険をつけていたものを
昨年解約したと思うが、その結果、どれくらいの数値がプラスまたはマイナスに寄与したか。
【A】
実際に過去に保険金請求をして受け取った事例は2件であり、
ほぼ請求をしたことがない。
(保険金請求をする位マイナスになった時だけ)
基本的に請求せずに終わって掛け捨てのような構図になっていた。
一部返戻金を受け取れるものの、ざっくり1億弱が保険支払いがなくなったことでプラス寄与している。
(所感)
保険の必要がないという判断で外したので当然プラスですよね。
定量的に回答されていたので安心しました。(上記記載は少し濁して表記しました)
【Q】
MSワラント発行についてなぜこのような判断になったか。MAに必要というのはわかるが、
元から借り入れでもよかったのではないか。
【A】
段階的に希薄化するからよいと思ったという点と、
当社の事業運営上、自己資本比率50%程度を維持していることから
金融機関からの信用を得るためにも最適な状況であると理解しており、
借入ではなくエクイティファイナンスを選択した。
今後は業界平均の自己資本比率が33%程度であることを鑑み、
現状の自己比損比率49%程度であるところを40%程度まで下げて借入も視野に入れつつ、
MAやAI投資を進めていきたい。
(所感)
段階的な希薄化は証券会社の営業の誘い文句ですからあまり納得感がないです。
確かに設計的にそういう要素はあるのでしょうが、それ以上に特定の証券会社にのみ
有利に働くという構造の歪みの方が気になります。
【Q】
今後は新株予約権の発行はするのか。
(発言者の)個人的な印象としては攻めの経営のためのリソースが必要という観点から、
むしろエクイティファイナンスをやるべきだったと思い直している。
【A】
先行きのことはあらゆる可能性があるため確定したことはいえないが、
現中計のうちは可能性は低いと思ってもらっていいのではないか
(もちろん絶対ないという趣旨ではない)。
【Q】
(コメントとして発言)MSワラントについては証券会社へメリットがあり、
既存株主に不利な状況であると理解しており、
段階的な希薄化とはいえ、それ以上に信頼が失墜する悪しき手だと理解している。
自己資本比率の確保などで借入金もコントロールが求められる中で、
市場からの調達が必要なのであれば、まだ公募増資を選択して欲しい。
成長のために必要だという訴求があり、正面から公募増資するのであれば、
まだ受け入れられる。
【A】
コメントとして承る。
(所感)
やはりMSワラントについてもう少しフリーでざっくばらんに語りたかったですね。
来年への宿題です。
【Q】
社会情勢の変化に応じてオーナマインドの変化が当社事業において
追い風となっている部分と逆に脅威になっている部分の双方があると思うが、
現場の中でマーケットに対してどのような雰囲気を感じておられるか。
今後原点回帰で復権していくという期待がある中で、
どのような機会があるのかという所に特に期待を寄せているので、
現場の体感について教えてもらいたい。
【A】
(社長)
この後、各カンパニープレジデントから回答させるが、
全体感としては脅威の部分は株価については、風評被害も含めて
かなり痛手になっているという認識を持っている。
一方で事業そのもののマーケット環境としてはかなりのフォローの風が吹いていると理解している。
また実際に足元大変好調であるといっていい。
但し、これが数値となってみえてくるのは、
2Qからとなるため特に2Q以降の数値に着目してもらいたい。
(東日本プレジデント 武井氏)
ここ3-4年は子会社の立ち上げをしていたこともあり、
久々に改めて現場に戻ってこられた。そこで感じるのはやはりオーナーマインドの不安は
かなり大きくなっている印象である。
人口は減っている中でもまだまだ建物は立っているし、
金融機関の引き締めもプレッシャーがある中で不安台頭は顕著。
みらい短期保証など周辺系の商品も携えて回ることができて、
セットで色々な幅広な提案が出来ることで取りやすくなってる状況である。
また他社の不祥事に関連した物件や、そもそも高値で建築をしてしまったオーナーさんは
戦々恐々としている状況が続いており、管理相談が急増している。
また金融機関側からのビジネスマッチングの相談機会がもたらされるのも、
今年が一番多いのではないかという感触である。
某大手地銀さんからも大規模な管理物件の相談があったりしていて、
足元では大変好調である。
全般契約が取りやすい状況となっているということは、
それは裏を返せばオーナーさんからの不安も大きくなっていることでもあり、
当社にとってもビジネス機会や収益確保の余地が広がっていると考えている。
(西日本プレジデント 池田氏)
この3年くらいは一部屋あたりから得られる収益の効率に重きを置いてきたが、
トップラインの伸長を再び掘り起こす必要が出て来たしそういう機会が巡ってきたと捉えている。
これまでサブリースに対しては潜在的なニーズがあったものの、
市況もよくそこまで顕在化することはなかったが、
ここ数ヶ月で一気にこれが顕在化してきている印象である。
これまではかぼちゃの馬車などシェアハウスのサブリースが問題の発端であり、
ある意味賃貸オーナーさんには直接関係しないケースも多かった。
しかしレオパレスの問題でそれが一気に身近な脅威として
オーナーさんに降りかかってきている状況である。
他社のメーカー系のサブリースに対しても懸念が台頭してきていて、
結果、当社への引き合いに繋がっているとみているし、
実際そういったオーナーさんから個別の相談を承ることも出てきている。
各地でもそれぞれの案件で(記載は個別名もあり割愛します)好調となっており、
今後に期待して頂いてよいのではないかと思っている。
(首都圏プレジデント 上田氏)
首都圏は地主系のオーナーさんは不安が台頭されている方は少ない。
レオパレスで建築された方からの相談は多いですが・・・。
それは当社として扱うかは是々非々。
一方で投資家のオーナーさんは不安が強まっている。
金融機関から多法人スキームがばれてしまったり色々変化に富んでいる。
また首都圏では特に金融機関からの相談件数が急増しており、
ざっくり倍程度の件数をこなしている。
(所感)
この答弁を聞いていると相当期待を持てます。
ただ本当に市況反転によるマインド後退が当社へのフォローが
どの程度数値に現れるかはまだ未知数です。
その辺りをもう少し見てから投資行動の判断を下してもいいかもしれません。
皆さんイキイキと話をされていて、あぁ現場が大好きなんだなと感じました。
【Q】
原点回帰をして再びトップライン伸長に向けたアクセルを踏むという判断のご説明があったが、
このような判断は外部的要因からきたものなのか、内部的要因からきたものなのかどちらか。
【A】
双方あるが、やはり外部要因の要素が強い。環境の変化がチャンスだと捉えてのこと。
(所感)
そりゃそうですよね。内部要因というのは逆にあまりないと思いますけどね。
【Q】
営業貸付金はふるさぽの残融資という理解でいいのか。
【A】
22億の貸付金はイーベストやサポートローンなど当社が貸付しているもの。
もちろん、抵当権は当社が持っている。
【Q】
PR活動についてもう少し強化をしたらいいのではないか。
というのも、(発言者が)相続した時に色々検討するときに、
当社の存在を知りえなかった。認知度を向上させるために日経ビジネスとかWBSのTVなど
様々な手段でもっと事業のPR活動をするべきではないか。
【A】
PR活動については日経ビジネスには掲載しているしCMもやってきたが、
今後はネット系の広告に絞って効果的に投下していきたい。
PR活動が足りないのはご指摘の通りなので注力していきたい。
(所感)
この観点はあまりなかったのですが、
質問者様が実際に相続を経験されていたので感じたのでしょうね。
確かにセミナーは積極的に行脚していますが、ネット広告でもう少し認知度を上げるのは
大事かもしれませんね。
【Q】
レオパレスの物件のようにあまりいい噂を聞かない物件については、
手掛けるべきではないと思うが・・・。
【A】
物件が悪いから当社の借り上げ対象にならないわけではない。
もちろん、建築基準を満たしていない建物は論外であるが、
結局どれだけスプレッドがあるかという話なので、
悪い物件を安く借り上げられれば、十分スプレッドが取れるケースもあり、
その場合は当社で手掛けるという判断になる。
(所感)
はい、そうですね。スプレッドの世界ですから、
逆に悪い物件を超格安で借り上げられるとむしろ利鞘が大きくなるかもしれませんね。
【Q】
元人事マン、猛烈世代の社長には現状は忸怩たる思いがあり、
人材の確保育成・定着には苦労をされている印象があるのだが、
具体的にどのような点に苦労をされていて、
またその中で様々な施策がどう効果として表れているか教えて欲しい。
【A】
今の若者はやはりモーレツ世代とはだいぶ違う。
ただ、違うといいつつそういう人材をうまく活用していくことが大事。
中間管理職に指導させるだけでなく、
役員が直接指導したり、案件獲得などのシーンを共有させるようにしている。
またコンサルタントとして営業一線にいきなり投下するのではなく、
まずはアシスタント(カスタマサービス)として見習い期間を設け、
そこからコンサルタントになる夢を描かせるような設計にしている。
それは仕事の幅やスケールを大きく見せることだけでなく、
処遇の面でも高年収を成果に応じてコミットすることでモチベーションを高めるようにしている。
そしてそこを目指してもらう事で会社の収益性を高めていくことを狙っている。
いずれにせよ、今の若者に受け入れられるように細部に気を遣って運営している。
直近の新卒採用の社員は全員辞めずに残って活躍をしている。
(所感)
少し手応えを感じられているようですね。
相変わらず苦労はされているようですけどね。
【Q】
中計で売買で今期一度沈むようにみえるが、その後緩やかながら回復していくような
グラフを描写されているが、市況が変わるケースも想定すると、
来期以降に売買が回復してくるという見立てはどのような前提で考察されているものなのか。
【A】
売買については、融資のスタンスの影響であり、金融機関のトップとコミュニケーションをとると、
やはり昨今の社会情勢からは当面は厳しさは続くと感じる一方で、
特に地銀などでは永続的に不動産に大して融資を抑制したままにするというのも
立ち行かなくなるのではないかと感じる。
なので、3年後くらいには回復していくようなイメージをもっている。
(所感)
ここはまだ懐疑的です。
もし今のような融資引き締めやより建てる理論が蔓延して歪む中では
益々政策も含めてやりにくい環境が続く可能性もあります。
この辺りが単純に回復していけるかは不明ですが、
元々フローには期待していないのでストックで積み上げて欲しいと思っています。
【Q】
PERをもう少し評価してもらいたいという意向も感じるとこであり、
また株主としても期待をしたいところであるが、
やはり原点回帰、チャンス到来というのであれば、
それをぜひ機関投資家に訴求し、
より機関投資家に買ってもらわないとならないと理解をしているが、
機関投資家向けにどのようなIR活動を展開しているのか。
【A】
機関投資家周りは積極的にやっていて、特に最近は増やしている。
CFOと1日に何社もプッシュ型で回ることもあれば、先方から声がかかることもある。
どうも機関投資家から割安性の観点でスクリーニングにかかる機会が多いようで、
ミーティングの申し込みも増えている。
(所感)
そんな割安と思われる中でまだまだ買ってもらえないのはなぜなのでしょうね。
まぁ株価にアゲインストという発言からも、業界の風評被害もあるのでしょうね。
【Q】
(コメントとして)機関投資家への訴求という点での回答感謝。
一方で個人投資家向けのIRも今後も継続してやってもらいたい。
経緯はわからないが、兜町での個人投資家向け説明会も今回はスルーされていたが、
出来るだけそういう場に出て個人投資家への認知度向上等も図ってもらいたい。
【A】
たまたま都合が合わなかったので申し訳なかったが、今後も個人投資家向けもやっていく。
サンセイランディックの株主総会に行きました。
聞き間違いや、私の主観を多分に含んだメモとなりますが、
記事にUPしておきます。
※あくまで個人的な見解も含んでおりますので、
ご参考程度としてお読み下さいませ。
※当記事が会社指摘も含めて何かしらの不都合が示された場合は、
即座に公開を取りやめます。
昨年は底地くんの写真を撮らなかったので、
今年は撮らせて頂きました。
後ろに東京駅の駅舎がさりげなく写っているあたりが気に入りました。
スマホで撮影したのですが、実は一眼レフも持参していました。
すかもストロボ付きで(笑)。
さすがにそこで一眼レフぶら下げて撮るまでの勇気はありませんでした

■参考
http://tryinvesting.blog.fc2.com/blog-entry-1022.html
昨年の株主総会レポート → リンク
一昨年の株主総会レポート → リンク
■当日の流れ
10:00 社長議長で開会
10:02 事務局より議決権/行使数の報告
10:03 監査報告
10:05 事業報告(映像)
10:18 対処すべき課題について口頭説明(社長)
10:25 IRへ照会のあった主な質問と回答(社長)
10:28 決議事項上程
10:31 株主からの発言
11:30 決議
11:40 閉会
■議決権行使の状況
株主数 : 3,572人/8,810人(40.5%)
議決権個数 : 51,552個/84,443個(61.0%)
※聞き間違いで事実と異なるかもしれません
■全体所感
建築事業の赤字による大幅計画未達の状況や、
不動産市況の不確実性を含んだマーケット状況への対処、
あるいは、それを受けて軟調な株価動向の影響もあり、
色々不満が爆発しそうな可能性もありました。
しかし終わってみれば、例年と同様、至って平和な総会となりました。
もちろんそれぞれの状況への言及やQAはありましたが、
特に違和感を感じるような答弁もなく、認識を変えるようなものもありません。
決して同社が大きく飛躍するとか、何かイノベーティブな事が起こり、
一気に市場からの評価が変わるなんてこともないでしょう。
経営としても実直さが滲む一方で、特筆すべき秀逸さがあるわけでもなく、
一歩ずつ歩んでいく会社だと思います。
(特筆すべき秀逸さがないというのはほめ言葉です。)
建築事業については、答弁を聞いて一転して希望を持てるということもなく、
引き続き予断を許さない状況に変わりはありませんし、
場合によっては事業自体のリストラだってまだ選択肢としてあることでしょう。
市況の変化についても説明があり、
こちらも同社が何の影響も受けずにやり過ごせるわけもなく
実際、今期の利益率も相応に減じて策定されているわけです。
今後、より顕在化した時に、仕入には良い影響がある一方で、
販売側に一定の下押し影響は避けられません。
この辺りの感触も従来と変わるものではありません。
東証市場の再編の影響とか新たねトピックスもQAがありましたが、
いずれにせよ、特に目新しい情報もないので、
以下お読み頂く必要はないかと思います(笑)。
会場が今年から新丸ビルに変更になっています。
オフィスエントランスからの入場となります。
同ビルにはAGCや日興SMBCなど大手企業も入居しており、
朝の時間は颯爽とできる雰囲気のリーマンが行き交い、
また来訪者として高そうなスーツを纏った方が待ち合わせされています。
そんな中、私は汚い私服でカメラをぶら下げ(さすがにカメラバッグに入れてました)、
ノコノコと超一流オフィスビルに入場しました。
私もまだ窓際を決め込む前には、スーツ着てこういうビルを行き来していたな~なんて
変な感慨にふけてました。
早めについたので、ロビーの高そうなクッションチェアに座り、
両隣をスーツ族に囲まれ時間を調整しました。
こんな中をさすがに底地くんの着ぐるみは来られないでしょう~なんて思ったのですが、
ちゃんといましたね。これは驚きました。
受付開始の9時となりエレベータに乗り込みます。
もちろん、全員スーツ族に囲まれ、私だけ一人変出者ですね(笑)。
そんなこんなで、総会が始まります。
■会社側からの説明
冒頭の運営は時間も含めほぼ昨年と同様の流れで粛々と進んでいきます。
映像を使った事業報告ですが、そういえば、底地とは?といういつもの動画は流れませんでした。
確か昨年までは流れていたと思います。
まぁ私はもう見飽きたのでどちらでもいいんですけどね(笑)。
対処すべき課題についても召集通知の内容に沿った説明です。
ほぼ表記通りの説明ですね。
その後、投資家からよく聞かれるQAをあらかじめ説明してくれます。
これも例年通りです。
その概要は以下の通りです。
1)不適切融資の影響による不動産ビジネスの影響について
・当社で金融機関からの融資については現状問題なく融資を受けられている。
(当社の堅実な事業運営の認知度、理解が浸透している現れでもある)
・不動産市況には落ち着きが出始めている。
→当期の利益率は抑制して策定している
(昨年までは高値でも売れる+αがあったものがなくなり平準化したという範疇と思料)
→市況の落ち着きは仕入環境の好転ともいえる
2)今期業績予想で営業利益と経常利益が減益となることについて
・不動産販売事業の利益率を前述の通り抑制しており、増収効果もあり粗利は横ばい前提
・今後の成長のための人材や仕入強化のコスト投下のため販売費を増額計上
・建築事業はコスト抑制の効果や受注回復に伴う収益改善を見込むも単体の減益を吸収できない
・当期純利益は特損がなくなることで増益
・計画の達成はもちろん、これを超える結果となるよう社内で目標を置いて活動していく
3)中計の進捗状況について
・連結営業利益20億を定めているが、今期予想が16.6億でフィージビリティ―について質問多い
→今期の予想は販管費を戦略的に増額しており、その人材の戦力化や仕入積み上げ等で
十分達成できると認識している。
■株主からの質問
【Q】
建築事業のOne'sLifeHomeの前期落ち込みに対し、展示場のリストラなどコスト削減で
まずは黒字化が期待されるところだと理解している。
しかし中計では同社は新規事業のひとつのチャネルとしてのポテンシャルが期待されており、
成長のひとつのネタになるべきだと考えている。
現状、法人営業へ切り替え、Webチャネルの活用といった手立てがどうシナジーを生み、
そのポテンシャルを発揮していこうとしているか。
またそもそも論として難しい判断であるとは思うが、
事業自体のリストラは検討などされなかったか。
【A】
決してコスト削減だけで収益を出そうと思っているわけではない。
展示場の閉鎖もリソースの再配分を検討した結果、
法人営業や新たなWebチャネルをより強化していく方が、
受注を伸ばし仕事を確保していく上で重要でありそれが収益へ繋がるという判断。
本体とのシナジーについては、本来で扱う底地などの販売においては、
状況に応じて建築までをワンストップで手掛けた方が良いシーンもある。
そういったことに備えていくためにも事業としてシナジーを生んでいきたい。
また新規事業との親和性の点では例えば民泊などを手掛ける際に、
建築事業をもっていることが良い面も出てくるものと考えている。
事業の撤退そのものの検討については、子会社単体で見た時に、
資金が続いていくのかという点で判断して、
受注の状況なども見ながら毎月注視をしてきているところである。
足元で前下期から受注も回復傾向を示しており、資金状況も悪くないため、
楽観はせず注視は続けていくものの事業自体のリストラはしないと判断している。
(社長補足)
・取締役会で毎月のように建築事業の状況については議論をしている。
・現状の低迷が続く、あるいは先行きが描けないままであれば、
事業そのもののリストラも決断せねばならない状況にはきていると取締役会として認識。
→そのような判断をしなくて済むように全力として親会社としても支援をしていく所存。
・新規事業においてまだ活用できる余地はあると考えておりシナジーを出して黒字化をまずは実現したい。
(私の所感)
ここは率直にいって答弁は不満です。
まず受注が回復しているという認識は確かに上期から比べると数値的には回復していますが、
まだ底をついたとみるのは尚早だと理解しています。
受注残もまだ積み上がって未消化の案件がある中で、
どこまで今後より新規受注を積み上げられるのかは予断を許されないと考えています。
受注が伸びる前提での答弁ですが、やはり現状はまずはコスト流出を抑えるという
方策にしかみえないのです。
またシナジーの部分ですが、実際、本体で扱った底地、居抜き、所有権を
建売をして引き渡すケースなどほぼなくて、
実際には住宅建売業者などに更地で渡すのがほとんどなはずです。
サンセイランディックがグループとして権利調整後の土地に建売までを手掛けることが、
シナジーといわれると、うーんと思ってしまうんですよね。
その辺は選択と集中の観点からも手を出すべきではないと思うのですよね。
もっと不動産の諸問題への解決という観点でやれることがあるのだと理解しています。
大切なリソースをこの程度のシナジーで配分してしまうのはもったいないなと思います。
好き勝手書いていますが、もちろん、文言では表せられない様々な事情があると思いますし、
従業員の方もおられることですから、安易に撤退などいえないのも確かなので、
なんとか、生き残れるようにはして頂きたいとは思っています。
【Q】
当社の成長のためには人材確保・育成・定着が必至だと理解している。
現状では、職場改善の策を講じると共に、報酬等の処遇改善を進めていると理解しているが、
人材の確保・育成についての現状の状況や今後の取り組みについて
【A】
働き方改革は時差Biz、ノー残業、有給取得、テレワーク試行など様々な改善活動をしている。
育成はOJTを基本として、メンター制度を適用し、新人は1対1でフォローしている。
(社長補足)
マニュアル化による業務標準化を推進しており、社員のボトムアップを図っている。
新卒採用は応募も採用も安定している。東証1部という信頼性も寄与している。
離職率がとても低く、業界平均と比べても半分程度の状況である。
(私の所感)
答弁から人材が成長のネックとは現状は感じられませんでした。
人材不足がネックになっていないかは気になるところです。
例えば、新たな支店を出すにしても人材がいないとなりませんからね。
【Q】
民泊事業について、当社が扱うのはどのような位置づけのものか。
民泊事業は営業日数の規制などを受けて収益性が立ちにくいともいえるが、
過去の実績等を踏まえてどのような状況であるか。
今後の展望も含めて教えて欲しい。
【A】
特区以外は営業日数の制約が厳しく、収益の見通しが立てられるのは事実。
当社として現状手掛けている2棟はいずれも大田区の特区内でありその制約を受けない。
一方で開始するまでに手間がかかるがはじめてしまえば運用出来る。
稼働率が現状では50%程度でこれを向上させることで収益化はできると考えている。
この他、京都エリアで検討をしている。
民泊は京都エリアでは認められていないため簡易宿泊所としての形態となる見込み。
競争もあり物件取得も高価になっていることもあるし、
そもそも当社の民泊はそれをを狙って拡大させていくというものでもない。
既存のスキームの中で民泊転用がいいというものを試行的に転換してやっているもので、
年間何棟やるぞ、と掲げてやるような位置づけのものではない。
もちろん、こういった試行的な積み重ねが相応の規模になりえることはあるかもしれないが、
あくまで付随的なもの。
あとは法律が規制緩和していくともっと選択肢が出るかもしれない。
現状ではノウハウを蓄積していく狙いもある。
(私の所感)
そういえば、民泊と一時期もてはやされましたが、
その後、収益化が難しいとわかると息を潜めましたね。
一部の不動産投資家では一般賃貸より儲かりやすいという話も聞きますが、
このテーマ性は株式市場ではあまり聞かなくなりましたね。
【Q】
権利調整等に係る特殊なノウハウが流出してしまうリスクに対し、
どのような保護を意識して取り組んでいるか。
【A】
外部からの不正アクセスという観点でシステム的な対応をしている。
特殊なノウハウが必要なのは事実で、
それは経験した社員は確実に身になりノウハウが蓄積されるが、
その方が独立されるなどして社外へそのノウハウが流出してしまうことは、
それは防ぎようがない。ただ、OBとして各地で当社のノウハウが正しいやり方として
浸透し活躍されることがあるのであればそれはいいことではないかと考えている。
(社長補足)
非上場の会社も含めてライバルが増えてきて、
また当社のやり方やノウハウを知り模倣していくことはある意味で
ありがたいことでもある。
我々は我々として、正しいやり方を今後も貫いていきたい。
【Q】
建築事業が不調となったのは、何が要因か。
【A】
受注が減少しているのが原因。
その理由は、競争環境が厳しさを増している。
One'sLifeHomeのコンセプトと同様のコンセプトを掲げている会社も増えたこともあり、
競争が激しくなったことが原因である。
(社長補足)
同じようなコンセプトを掲げて進出してきている会社が出ており、
そこに対して有効な手立てを打てなかったのも要因。
なので、業態や方針を大きく変えて、リストラも進めることで生き残りを模索していきたい。
【Q】
仕入が減っているのはなぜか。何か大きな問題が起こっているのか。
【A】
期により浮き沈みがあり、またご縁によるところもある。
前期は所有権で大きな案件を獲得したものの、
足元では仕入価格がまだ高止まりしているところもあり、
そこに無理して仕入をしていないという背景もある。
(社長補足)
案件数は増えてきている。
競争もあるが、ただそこに巻き込まれていくと収益を逼迫するだけ。
成約率をきちんとモニタリングして案件個々に状況を見極めていくことが大事と認識。
勝負する、勝負しないというメリハリをつけて事業判断をしていくことが肝要。
また全国各地の底地情報がまだ当社に入ってきていない現状もあるため、
情報収集により一層努めていきたい。
【Q】
株価が軟調であるが、株主は関心を持っている事と思う。
ここ5年で株主数は約7倍になっている。
一方で上位10位の占める比率はここ数年で83万株減っている、
つまり機関投資家が売っているという構図だと認識している。
当社の事業は社会的意義も高く、
もっと長期の機関投資家に評価をしてもらいたいと考えているが、
そのような先にどのようなIR活動を展開し訴求しているのか。
【A】
機関投資家への浸透が図れていない課題は十分認識している。
今年は海外を含めて機関投資家への訴求の機会を
より増やしていきたいと考えている。
社会貢献活動もESG投資に適合したい思いもある。
最近では、東証の市場見直しの再編への懸念を示されることも大きい。
機関投資家の訴求をしつつ、なかなか当社だけの立場でどうにもできない部分もあり、
個人投資家を育みながら機関投資家を探していきたい。
株価は業績拡大を続けていくことにまずは邁進する。
決して今の株価で満足していないから努力をしていきたい。
(私の所感)
単に株価への不満をぶちまけるのではなく、
機関投資家の持ち分の減少を定量的に示し質問されており、
面白い質問だなと思いました。
でも、なんで機関投資家にそんなに人気ないんですかね。
【Q】
66百万円の設備投資のうち、基幹システムへの投資はどの程度か。
また、IT活用は拠点数が増えてくる中で規模拡大を目指す中で
もう少しITの推進を図り効率化を目指すべきであると思うがどうか。
【A】
システムは主に仕入、販売を管理するもので大掛かりなシステムではない。
IT投資については、社員にスマホなどから社内業務が出来るような
堅牢なシステム構築を進めて実現している。
生産性向上などにも寄与している。
当期は約20百万円の投資を予定している。
(社長補足)
将来的にはAIを活用して、定型的な業務は自動化していきたい。
一方でお客様と対峙して人間がやらねばならないところに
人のリソースは特化させていきたい。
人手をかけるところと機械化できるところを識別して対応していきたい。
【Q】
決算説明会において、回転期間短縮を訴えていたが、
3年超の滞留在庫が5%程度あるということであるが、
これは要するに塩漬けになっているということではないかと思うのだが、
どういった認識を持っているか。
【A】
地代収入を得られているところもあり、長期在庫が収益を圧迫している状況ではない。
但し、今後不況期が訪れた時にキャッシュ化をしていくことは必要でもあるため、
不良在庫とはなっていないのだが、キャッシュ化をしていくことは意識していきたい。
地代収入があるとはいえ、在庫滞留をそのままにしておくことがよいことともいえないため、
景況感の変化に適切に対応していくためにキャッシュ化を進めておきたい。
【Q】
東証市場再編の影響については気になっているが、どうよ。
【A】
時価総額500億が閾値になるとすると時価総額を上げていくことくらい。
IR活動を充実させてもなかなか5倍にはならない。
従って業績拡大を継続していくことしかないと考えている。
また既存株主への還元もより強化し、今後も出来る限りの報いをしていくことを
続けていくことしかない。
そのような姿勢を理解してもらい、引き続き支援を頂きたい。
(私の所感)
結構このネタで盛り上がっていました。
私としては特に気にしていないというか、
どうせ再編されるのですし、そこまで価値評価が下がるんですかね。
既にPERは5倍ですけど(笑)。
【Q】
社外取締役選任の件について継続して仕業の方をお二人選任されているが、
不動産事業に係るより特化した知見を持つ方を選任する検討はしなかったのか。
また今回も選任されるお二人からは具体的にどのような知見を得てこられたのか。
【A】
不動産事業に特化した方を内部に取り込むとガバナンス上の問題で、
取引が出来なくなるという制約があり、外にいて頂いた方が良いという判断もある。
高橋氏は他社での経験を踏まえて社会の醸成を学ばせてもらっているし、
IT関連の動向にも発言を頂いており参考にしている。
荒巻氏については税理士として税法や税理士とのコネクションの確立などに加え、
メディア戦略(新Webページなど)についても助言頂いており、今後もお願いしたいと考えている。
なお、女性の取締役の選任という観点で、現在具体的な検討は進めている所である。
(私の所感)
昨年も女性取締役、社外かもしれないけどという話題があり、
今期もそのことに敢えて社長が言及されたので、
いよいよ来年あたりには新たな女性取締役が誕生するかもしれませんね。
まぁ女性であればいいというわけではないのですけどね。
【Q】
営業職の女性比率はどのくらいか。
強面イメージがあるので女性が活躍するといいのではないか。
【A】
営業は概ね2割程度。全社でみると31%程度であり、また管理職の女性比率は15%程度。
処遇において男女の区分けはしておらず、引き続き女性にも活躍してもらいたい。
1.パフォーマンスa
まるのんPFは年初来で +3.7% となりました。
前週比は +0.2% で推移しました。

指数が高値を取っていく中で、
今週もわがPFは横ばいですね~
2.全体所感
JASDAQとマザーズ指数はまだ高値更新とはなっていませんが、
日経平均、TOPIX、東証2部指数は年初来高値を相次いで更新しています。
SNSでみえている個人投資家の状況を見ても、
雰囲気はとてもよいように感じます。
まぁそういう部分だけがよくみえているだけかもしれませんけどね。
私は各指数にも及ばずで昨年後半の落ち込みから
いまだ挽回出来ていない状況ですが、
とりわけ焦りもなければ自分を必要以上に卑下する必要もないと思っています。
いや、もう少しこの状況を鑑みて反省した方がいいのでは、
という声も聞こえてきそうではありますが、まぁ反省など特にありません。
自分のスタンスに則ってやっていく中で、
周りの陽転に流されることなく、これからもマイペースに
ゆっくりとやっていきたいと思っています。
3.ポートフォリオ
本日時点のポートフォリオ内訳は以下の通りです。

特に構成は変わっていません。
前述の通り、反省すべき事は特にないわけですが、
ただ、ポートフォリオの構成は常に納得感のあるものにしておきたいため、
今後、自分の投資方針に照らして必要な対処があれば
躊躇なくやっていきたいと思います。
保有銘柄の週間騰落は以下の通りです。

あまり特長のない騰落です。
Hameeが相変わらず底なし沼ということくらいですかね(笑)。
保有銘柄の各指標は以下の通りです。

こちらも特に変化はありません。
4.個別銘柄トピックス
保有銘柄の中で、
個別にトピックスがある銘柄について、コメントを残しています。
なお、株価の動きを踏まえた率直な思いも適宜メモしていきます。
■全国保証
業績予想の修正と増配のリリースをしています。
内容そのものには驚きはありません。
まぁ順調ということですね。
来年は今期に少し変化があったものがどういう風になっていくのか、
少し様相が変わるかもしれませんね。
債権回収もこれまでは転売していたものを自社Gで回収していくとか、
あるいはAIを駆使したエンジンがより本格的になっていくことと思います。
配当推移をみていると癒されますね。。。
当リリース後の無慈悲な株価を見て失笑しましたけどね。
今週はあまりトピックスがなかったですね。
一応全保有銘柄チェックはしているんですけどね。
5.資産状況
資産の状況は以下の通りです。

特にコメントはありません。
6.雑記
今週はイチローさんの引退が発表され、
にわかの私も食い入るように記者会見を生で見ていました。
努力を積み重ねて来た方の言葉の重みや、
一方で案外肩の力が抜けている(ようにみえる)あたりの振る舞いが
とても人間味あふれていて楽しく感じていました。
私はこの偉業の真意とか論じるほど野球に詳しくないのですが、
しかし、きっとこれだけの長い年月、ストイックにやってこられた日々は
幸せだったのだろうなと滲んでくる様々なものを見て感じました。
そして、急に身近な話になるのですが、
最近、子供とカメラをぶら下げ、某所の鉄道ビューの有名な橋で、
電車の撮影に行きました。
そこには子供から大人まで鉄道好きが集っているわけですが、
そこにとりわけ鉄道に詳しいおじちゃんがいらっしゃいました。
周りの鉄道好きの人達に次に○○線に○○が入ってくるぞ~と
いちいち解説をしてくれます。
駅間ですが、通過時刻も正確で、しかも編成番号とか臨時電車の筋(時刻表)も
全て頭に入っています。
それを楽しそうに解説してくれていて、そのおじちゃんもみんなに教えることに
喜びを感じているようで、面白い人だなと思ったのです。
少しプライベートの事を聞いてみたのですが、
なんとJRの運転手さんでした。
午前中に運転を終えてここにいるということで、生粋の電車好きです。
その方がどんな人生を歩んできたかわかりませんが、
好きなものを仕事にしたりそれ一色になることを
毛嫌いするコメントもありますが、でもやっぱり心底好きなことをみつけて、
それを仕事にして、そして人にも教える喜びというか生きがいになっているって
素晴らしい人生だなと感じたのです。
そんなことが最近あって、イチローさんの会見をみたので余計に感慨深かったです。
イチローさんが子供たちへのメッセージというところで、
好きなものを見つけて自分のエネルギーを注げるようにあって欲しいと仰っていました。
また、自分は野球を愛していることは一貫していたとも言っています。
もちろん、そのプロセスで孤独を感じるなど苦労もあったようですが、
しかし、自分が愛するものをみつけてエネルギーを注ぐこと、
それをキャリアとして仕事を邁進していけたことは、
やっぱりとても幸せな事なのだろうと思いました。
わが子は数時間、その場を離れることなく、
そのおじちゃんの話に目を輝かせて、
行き来する電車にシャッターを押し、
珍しい臨時電車に乱舞して喜んだりとしていました。
わが子にとって鉄道というものがどういうものになっていくのかわかりませんし、
イチローさんの野球のように今後何かを見つけてくれるかもしれません。
親として大事なことは、周囲の受験準備の渦に巻き込まれることなく、
そういうものを探せるサポートをしてあげることだと思っています。
投資家としても、自分が何を拠り所にこの活動を続けているのか、
それを明確にして、その明確な拠り所に向けてエネルギーを注ぐべきだと思います。
例えば、投資家へ有益な情報を提供することに精力を上げたいと思っているのであれば、
そういうサイト運営者がどんどん増えてきていますし、
それをビジネスとしてもやっていくことも視野に入れば益々面白みも出てくるかもしれません。
あるいは個人投資家のすそ野を広げたいと情報発信を続けることに注力するのもいいでしょうし、
自分自身がとにかくお金持ちになることを主眼に据えるならそこにエネルギー注げばいいでしょう。
投資家に慕われることを目指すのであれば、
人望を集めるようにするのかあるいはイナゴを従えるようなカリスマを築くべきでしょう。
それぞれの方にはそれぞれの方のスタンスがあるので、
それを相互に尊重しつつ、自分の好きなことにエネルギーを注げばいいのだと思っています。
ただ、そこに、相互の立場を尊重せず、是非の論戦があったりすると見苦しいものになります。
是非の議論もお互いの立場を尊重した上で交わされるものであればもちろんいいと思います。
ただ、単に相手の立場を馬鹿にするようなやり方や、
自己こそが至上なんだという押しつけにはスルーをする方がいいのだろうと思います。
案外この部分で消耗をしているな、と感じるシーンがあるのですが、
私は、そうではなく、自分が納得できるスタンスを維持し、
投資家だけでなく、あらゆる自分の置かれている立場で自分が向かうベクトルに
楽しんで歩んでいきたいなと思っています。
相変わらず支離滅裂ですが、鉄道おじちゃんや、我が子の様子、
そしてイチローさんの会見をみて、なんか自分も好きなもの、エネルギーを注ぐ姿勢を
もっともっと楽しんで追及していきたいなと思いました。
※投資以外のネタとして、現在連載記事をUPしています。
なお、当記事で連載終了となります。
あとがき
第10章 告白 << はじめに戻る
なつみさんとのその後がどうなったのか。
そもそもどのように想いを伝えたのかは、敢えて伏せました。
ここは皆さんのご想像にお任せします(笑)。
学校の文化祭というひとつのイベントにここまで傾注してきたという経験は、
なかなかイメージがしにくいかもしれません。
題材としては部活とかの方がより青春としてイメージがしやすいと思いますが、
あくまで「私の青春」という回想録なので自分自身の経験を忠実になぞりました。
前半で登場したたかゆき先輩は、
物語ではやや私との関係性は冷えた印象を抱かれたかもしれませんが、
実際には、ストーリーの中では割愛してしまいましたが、
その後の交流会でも面倒を見ていただきました。
様々な立場から何度も相談をして的確なアドバイスも頂きました。
今でも年に1回くらいは旧友を深めています。
ありがたい先輩に巡り合え、自分の性格上、馴染まない渉外という部門を
叩き込まれたことが交流会への発案に繋がっていきました。
貴重なご縁を頂いたなーと今でもよく回顧しています。
タツヤは私とは全く違うタイプの人間で、私に多くの刺激を与えてくれました。
衝突することも多く、物語においても一部触れましたが、
何度ももう一緒にはやれないと思ったものでした。
しかし、なんともいえないカリスマ性のようなものがあり、
結局最後まで切磋琢磨し、二人三脚で走り続けることが出来ました。
これには周囲の参加者からの様々なフォローや支えがあり、
そういったコミュニティのありがたみもとても貴重なものとして経験できました。
この経験は、自分と異なるタイプの人間とどう対峙して、
自分の中の釈然としないことをどうぶつけ、その中でどう折り合っていくのかという
基本的な人間関係の進め方を学んだ気がします。
今でも、自分と異なるタイプの人間にも一定の許容度を持ち、
むしろ興味関心が向くのはこのような経験から来るものなのかなと感じています。
新井さんは同年代でとても美人な方でした。
物語でも触れたように長身でモデルのように小顔なんですね。
今回の物語でこんな逸材をほとんど描写できなかった、
というか一度は描写をしたのですが、中途半端になってしまうのと、
更に文字数が増えてしまうのでごっそり落としました。
物語ではわからないと思いますが、他のメンバーも同様ですが、
友達として仲良くなって、高校を卒業後、彼女とも交流は続きました。
実はそんな繋がりが新たな人生のドラマに変わっていきます。
そして、なつみさんですね。
まぁ当然主人公である私目線で書かれているので、
バイアスがかかっているのは否定しません。
でも私のこの期間の青春において間違いなく輝いていました。
書ききれないエピソードも沢山あるのですが、
泣く泣く物語からは割愛しました。
その後のことも含めて、私の思い出として大切にして、
その後については深くは言及しておかないことにします。
また自校の文化祭の準備そのものについては、敢えてフォーカスしませんでした。
実際には自校の準備でも大変な苦労があり、ドラマがありました。
そんな中で交流会との二束のわらじで活動をしていました。
勉強を一切せず、学校に泊まるなんてことも多かった不良学生でしたから、
成績は見る見る落ちて、高校2年の秋の模試では偏差値30まで落ち込みました(笑)。
失うものもありましたが、それに余りある得られたものも大きかったですね。
物語は途中途中で私自身が感じた教訓のことへ言及しています。
総合的な活動を通して、大人になった今でも生きている価値観や、
物事の対応へのスタンスなどが築かれているなと改めて感じます。
高校生という多感な時に、また大人と子供の狭間にある中で、
社会的な面も含めてなかなか経験出来ない機会に触れたことは、
その後の私の社交性を活かす大学生活の礎にもなりました。
執筆の事にも触れておきます。
この物語は概ね全体で8万字となりました。
これを概ね累計で24時間程度で書き下しており、
最後に若干の修正を施しており、それを含めるとだいたい30時間くらいになると思います。
こんなに時間を使ったのかと、その無駄な営みに驚きを抱かれるかもしれませんが、
私にとっては、こんな程度の時間で、タイムスリップして当時を回顧できることは
とても恵まれて幸せな時間でした。
もちろん、おじさんの青春回顧に需要がないという自覚もあります。
投資ブログにおいて趣旨に反してこんなに連投することにも躊躇も多少はありました。
しかし、投資家としての私の人格や性格に至る部分までを出来るだけ
読者の皆さんにも知って頂きたいと思っており、わがままをさせて頂きました。
冒頭にも記載をしましたが、
この長文をここまで耐え抜き、読破された方はいらっしゃらないと思います。
しかし、部分的にも目を通して下さった方がいれば嬉しいです。
そして、その方にとっての青春の思い出が心のどこかに小さくとも蘇り、
ほっこりして頂ける機会が生まれてくれていることを祈っています。
追伸
もし何か一言でも感想を頂けると大変嬉しく思います。
もちろん、非難でも構いません。
なお、当記事で連載終了となります。
あとがき
第10章 告白 << はじめに戻る
なつみさんとのその後がどうなったのか。
そもそもどのように想いを伝えたのかは、敢えて伏せました。
ここは皆さんのご想像にお任せします(笑)。
学校の文化祭というひとつのイベントにここまで傾注してきたという経験は、
なかなかイメージがしにくいかもしれません。
題材としては部活とかの方がより青春としてイメージがしやすいと思いますが、
あくまで「私の青春」という回想録なので自分自身の経験を忠実になぞりました。
前半で登場したたかゆき先輩は、
物語ではやや私との関係性は冷えた印象を抱かれたかもしれませんが、
実際には、ストーリーの中では割愛してしまいましたが、
その後の交流会でも面倒を見ていただきました。
様々な立場から何度も相談をして的確なアドバイスも頂きました。
今でも年に1回くらいは旧友を深めています。
ありがたい先輩に巡り合え、自分の性格上、馴染まない渉外という部門を
叩き込まれたことが交流会への発案に繋がっていきました。
貴重なご縁を頂いたなーと今でもよく回顧しています。
タツヤは私とは全く違うタイプの人間で、私に多くの刺激を与えてくれました。
衝突することも多く、物語においても一部触れましたが、
何度ももう一緒にはやれないと思ったものでした。
しかし、なんともいえないカリスマ性のようなものがあり、
結局最後まで切磋琢磨し、二人三脚で走り続けることが出来ました。
これには周囲の参加者からの様々なフォローや支えがあり、
そういったコミュニティのありがたみもとても貴重なものとして経験できました。
この経験は、自分と異なるタイプの人間とどう対峙して、
自分の中の釈然としないことをどうぶつけ、その中でどう折り合っていくのかという
基本的な人間関係の進め方を学んだ気がします。
今でも、自分と異なるタイプの人間にも一定の許容度を持ち、
むしろ興味関心が向くのはこのような経験から来るものなのかなと感じています。
新井さんは同年代でとても美人な方でした。
物語でも触れたように長身でモデルのように小顔なんですね。
今回の物語でこんな逸材をほとんど描写できなかった、
というか一度は描写をしたのですが、中途半端になってしまうのと、
更に文字数が増えてしまうのでごっそり落としました。
物語ではわからないと思いますが、他のメンバーも同様ですが、
友達として仲良くなって、高校を卒業後、彼女とも交流は続きました。
実はそんな繋がりが新たな人生のドラマに変わっていきます。
そして、なつみさんですね。
まぁ当然主人公である私目線で書かれているので、
バイアスがかかっているのは否定しません。
でも私のこの期間の青春において間違いなく輝いていました。
書ききれないエピソードも沢山あるのですが、
泣く泣く物語からは割愛しました。
その後のことも含めて、私の思い出として大切にして、
その後については深くは言及しておかないことにします。
また自校の文化祭の準備そのものについては、敢えてフォーカスしませんでした。
実際には自校の準備でも大変な苦労があり、ドラマがありました。
そんな中で交流会との二束のわらじで活動をしていました。
勉強を一切せず、学校に泊まるなんてことも多かった不良学生でしたから、
成績は見る見る落ちて、高校2年の秋の模試では偏差値30まで落ち込みました(笑)。
失うものもありましたが、それに余りある得られたものも大きかったですね。
物語は途中途中で私自身が感じた教訓のことへ言及しています。
総合的な活動を通して、大人になった今でも生きている価値観や、
物事の対応へのスタンスなどが築かれているなと改めて感じます。
高校生という多感な時に、また大人と子供の狭間にある中で、
社会的な面も含めてなかなか経験出来ない機会に触れたことは、
その後の私の社交性を活かす大学生活の礎にもなりました。
執筆の事にも触れておきます。
この物語は概ね全体で8万字となりました。
これを概ね累計で24時間程度で書き下しており、
最後に若干の修正を施しており、それを含めるとだいたい30時間くらいになると思います。
こんなに時間を使ったのかと、その無駄な営みに驚きを抱かれるかもしれませんが、
私にとっては、こんな程度の時間で、タイムスリップして当時を回顧できることは
とても恵まれて幸せな時間でした。
もちろん、おじさんの青春回顧に需要がないという自覚もあります。
投資ブログにおいて趣旨に反してこんなに連投することにも躊躇も多少はありました。
しかし、投資家としての私の人格や性格に至る部分までを出来るだけ
読者の皆さんにも知って頂きたいと思っており、わがままをさせて頂きました。
冒頭にも記載をしましたが、
この長文をここまで耐え抜き、読破された方はいらっしゃらないと思います。
しかし、部分的にも目を通して下さった方がいれば嬉しいです。
そして、その方にとっての青春の思い出が心のどこかに小さくとも蘇り、
ほっこりして頂ける機会が生まれてくれていることを祈っています。
追伸
もし何か一言でも感想を頂けると大変嬉しく思います。
もちろん、非難でも構いません。
※投資以外のネタとして、現在連載記事をUPしています。
今回の更新と明日のあとがきで終了予定です、興味ない方はスルー願います。
第10章 告白
第9章 混沌 << はじめに戻る >> あとがき
勢いに任せるからやれることがある。
感情が高ぶっている時だからこそ、一歩が踏み込めるものだ。
大きな意思決定は周到な準備を重ねた先にあるものであり、
最後の決断は勢いであり感情的なものであったりする。
緻密な積み重ねと大胆さの双方がなければならないのだ。
これは間違いなく恋愛感情だった。
私はなつみさんに恋をしている。
紛れもない事実であり、今ではそれは誇らしかった。
最初の出会いから、ドキドキ感の伴う惹き込まれた普通ではない感覚があった。
その出会ったときから予兆はあったが、どこかで確信は持てなかった。
いや、受け入れてはならないものとして、
自分の気持ちに大きく重い蓋を被せていたのかもしれない。
しかし、沸々と湧き上がる感情が気化した際の蒸気の力は生半可なものではない。
そんな重厚な蓋も弾き飛ばすほどに、熱く盛んに発散するエネルギーを持っていた。
今、私はそれを晴れ晴れと自分の中の確固たる感情として受け入れることができたのだ。
恋焦がれることは恥ずかしいことではない。
むしろそんな自分の全てを捧げたいと心を傾け、
苦楽の中をどこまでも共にありたいと思える人がここにあることは、
生を授かった奇跡のように、運命が与えてくれた巡り合わせなのだ。
ちょうど1年前。
私は帰路につくなつみさんに、連絡先を聞くだけですったもんだした。
駅の改札口で大声でなつみさんの名前を叫んで呼び止めた。
そんな勇気とは比べ物にならないくらいの勇気が、
1年の年月を経て、今こそ必要なときだった。
「落ち着いたかな。」
どれくらいの時間が経っていたのだろうか。
なつみさんが私の傍らでそっとささやいた。
私は自らの感情で溢れた涙で湿ったそのハンカチを
どうすればいいかわからなかった。
洗濯をしてあとで返すべきかと思った。
そんな様子に気が付いたのかどうかすらわからなかったが、
なつみさんは、そっと私の手からそのハンカチを手に取り、自分のバッグにしまった。
「ありがとうございます。色々な気持ちが交錯してしまって・・・。
それに、なつみさんが急にここにいるものだから、緊張の糸が一気に切れて、
去年から今までの1年のことが思い出されて、泣いちゃいました。」
私はよくわからないことを言っていたかもしれなかった。
でもそんなことはどうでもよかった。
今の感情など、どんな言葉を選び紡いでも、
自分の心情を説明するには無力だった。
「ふふふ~、本当にお疲れ様だったね。」
なつみさんが笑い、労ってくれる。
私はただその言葉に救われ、笑顔に陶酔し、なつみさんの存在そのものに魅了される。
私の傍らに寄り添ってくれていたなつみさんを、
改めてまじまじと見つめる。
白い肌が透き通っていて、相手を気遣うことの出来るやさしさが表情に満ちていて、
手を伸ばしたくなる衝動に駆られるほどにかわいらしかった。
「ちょうど1年前、ここでなつみさんに労ってもらいましたね。
あの時、とても嬉しくて嬉しくて、心が躍る気持ちでした。
そしてあの時も、なつみさんがやさしくしてくれたから、僕は一歩を踏み込めました。
色々苦しいことばかりだったですけど、でも、こんなにステキな思い出が出来ました。」
心が躍るという表現は私としてはだいぶ突っ込んだ表現だった。
ただ、事実として心が躍っていた。
いや、むしろ躍るというのは控え目だったかもしれない。
不意にもう会えないと思っていたなつみさんが目の前にいたのだから、
あの時はドギマギしているしかなかったが、今は心だけでなく全身が躍動し、
空を舞えるような気さえしたのだ。
あなたを前に空に舞うくらい嬉しかったという表現は、
単に今、なつみさんを困らすだけかと思い、
本望ではなかったが、これでも本心をマイルドに表現したものだった。
「私にとっても他人事とは思えないくらい嬉しいと感じているよ。
あの時に声を掛けてもらったことがきっかけで、
こんなにも私にとってもステキな思い出になったことに感謝しているよ。
それにしても、心が躍るって随分憎いことを言うようになったんだね(笑)。」
なつみさんは、最後にいじわるを言ってみせた。
「いやいや、本当に心躍る気持ちだったんですよ~嬉しかったんですよ~。」
私は自分の素直な気持ちだと、そこは訂正しておかねばならなかった。
いや、実際のところは、空を舞える位に心だけでなく、
体全体が喜びに満ちていたという『真実』は告白できなかった。
「でも、なんでそんなに嬉しく思ってくれて、、、いたの、かな。」
胸のドキドキが一気に高まった。
なつみさんはもしかしたら、私が気持ちを言い出すきっかけをくれたのかもしれない。
いや、私の勘ぐり過ぎかとよくわからなくなり、混乱した。
なつみさんには、薄々、私の真実の気持ちは伝わっていたのかもしれない。
だから自然な形で自分の思いを告白するチャンスだったのだ。
しかし、いざとなると言葉が出てこない。
そもそも、何を伝えるのだろうか。
好きだという恋愛感情はもはや揺ぎ無いものであり、
この溢れ出る想いを伝えたいのは間違いがない。
ただ、それを、『好きだ』という一言でおさめるのは、
的確ではあるのだが、とても十分だとは思えない。
そして、感情をぶつけるだけでいいのか。
受験生という大事な時を過ごすなつみさんへ交際を申し入れるのか。
それは相手の立場を尊重し、配慮がある言動なのか。
いや単に自分の度胸のなさを環境のせいにしているだけではないだろうか。
ならばやはり気持ちだけ伝えればいいのか。
しかし、投げっぱなしの気持ちの伝達でよいものなのか。
そんなややこしいグルグルの渦に私は苛まれた。
あまりに突然の再会だったこともあり、私は踏み込めなかった。
「あの時はですね、なつみさんの学校の文化祭でキラキラしたものを感じていて、
そんなヒロインとまた再び会えたことがとにかく嬉しかったんですよ。」
なんとも冴えない応対をした。
テレビのドラマのシーンであれば、頭を引っぱたきたくなるセンスのない受け流しだった。
こういうところで決定打を打てない自分は男としてやはり未熟だったのだ。
これは一気に幻滅をされてもおかしくないと思った。
「ヒロインだなんて、恥ずかしいね~。でも再会をそんなに喜んでくれていたのなら嬉しいな。」
穏やかな笑顔でなつみさんは答えた。
なつみさんは、大人の対応だった。
私は大きなチャンスを逃したのだった。
でも、やはりどう伝えてよいかわからなかった。
言葉も浮かばなければ、勇気も出なかった。
その後は思い出話に花が咲いた。
たった一年であったし、なかなか会えない時も長かった。
それでも多くのことを話題に盛り上がることができた。
時の長さはたいした問題ではないのだ。
過去を回想する時、それは美化される。
ひとつひとつの思い出は、苦労のばかりのはずなのに、
なぜか全てがよき思い出となっていた。
そんな過去を談笑し、私たちは歩き始めた。
途中、交流会のメンバーや後輩たちがたむろしていたので、
交流会の反省会と引継ぎのため改めて集まろうなどと事務連絡を交わした。
私となつみさんが共にあることを、誰も不思議にも思わなかった。
私はなつみさんと校門のゲートを潜り、駅に向って歩き始めた。
一年前と同じ光景だった。ただ少なくても私の心持ちは大きく変化していた。
私はなつみさんの連絡先を聞きだすために、
一年前、緊張して同じようになつみさんとこの道を歩いた。
月日が経ち、当時は想像も出来ないくらいに多くの思い出を共有し、
そして当時は曖昧だった気持ちは、今、明確な恋愛感情となって今、私の心を燃やしていた。
この期間、恋愛だけでなく、多くの学びもあったし、
普通の高校生活では味わえないような経験も沢山出来た。
男子高での生活において、単なる役得ではなく、
女性とこうやって夜の道を語らい歩ける日が来るとは想像していなかった。
過去の出会いから現在までのあらゆる景色を呼び起こすように、
追憶の糸を辿るように進んでいく時間はゆっくりで穏やかだった。
そんな温かな時間を、このまま駅近くの雑多な喧騒で乱されてしまうのは躊躇われた。
私は街中に出る手前の小高い丘の上にある公園になつみさんを誘った。
古びたブランコに腰掛けて、揺れるでも揺れないでもなく話は続いた。
細く欠けた三日月の佇まいは華奢であり、繊細に私たちを照らす。
夏の終わりのささやかな風が、時々、周りの木々をざわつかせる。
小高い丘から見下ろす景色は慌しく車が行き交い、電車が右へ左へと人々を運んでいる。
私たちの思い出の糸もまた時に喧騒の中で複雑化し、
メンバーの思惑が交錯して衝突もした。
しかし、自分とは異なる人種であったタツヤと、
なつみさんの存在が私を支えてくれた。
自分の青春の1ページは、こうやって支えられてなんとか刻むことが出来た代物だった。
だからこそ、私にとっては、それが大切で価値あるものであるように感じられたのだ。
この公園で感じる月夜の下、夏の終わりの風を受けて、
私の心はじんわりと温まったのだ。
話は過去から遡り、ようやく現在に至った。
これからは振り返るのではなく、それぞれが作っていく未来の話だった。
ブランコを漕ぐ。子供がそうするように、勢いをつけた。
なつみさんも一緒に漕いだ。
ふたりで前へ後ろへと体は押され、また引き戻されていく。
私たちの日々もそんなブランコのようだった。
前へ進む時もあれば、後ろに下がることもある。
勢いがある時もあれば、勢いがなくなってしまうこともある。
前へいくと、後ろへ引き戻され、
後へいくと、前へ押し出してくれる。
そんな単純な反復運動の中にドラマが生まれる。
喜びや苦しみはそんな中で自らを育み、豊かにしてくれるのだ。
未来の話など私自身は浮かばなかった。
今日という節目を迎えて、次のことなど考えられない。
世界を圧倒するアスリートのように、
メダルを取ったその日に次のオリンピックを考えるなど考えられず、
凡人の私には、明日から虚無の時間が流れるに違いなかった。
「なつみさんは、受験どうですか?」
なつみさんは受験生なのだ。
今まさに、将来をどう選ぶか、ひとつの岐路に立っているのである。
センシティブでプライベートなことに言及してよいかとも思ったが、
逆にそこまで気を遣わずに自然と未来の話をする。
「うん、色々迷ってはいるんだ。でもね、ようやくやりたいことは見つかった気がするんだ。
だから今はそれを学べる大学を見つけたから、そこを目指すつもりなんだ。」
なつみさんはどこか噛み締めるように話した。
もしかしたら、他の誰かに自分のその思いを話したのは初めてだったのかもしれない。
その大切に築き上げている将来のことだからその内容に踏み込むのは失礼だと思った。
「そうですか、自分のやりたいことを見つけられつつあって、
目標となる大学もあるなら、また頑張れそうですね。
こうやって誘い込んで時間を奪ってしまって申し訳ないですけどね。」
私はなつみさんの意志を尊重し、励ましというとおこがましかったが、
本当に頑張ってもらいたいという気持ちを込めた。
「今の私の学力ではまず合格できないんだ。
あと少ししかないけど、頑張って勉強しようと思うよ。」
なつみさんは現実と理想の間で苦しんでいるのだと悟った。
そしてなつみさんは続けた。
「でもね、なんか今日過ごした1日はとてもよかった。
悲観的になってもしょうがない、前を向いていこうとエネルギーをもらえた気がするの。
去年、自分が頑張った姿を勝手に重ねて見てたりもしたんだけど、
あぁ、あの時、自分も頑張っていたな、輝いていたなと思ってさ。
だから、、、なんかうまくいえないけど、これからにとってよい1日だったと思う。
本当にありがとう。」
ブランコに乗っているから、横顔しかわからない。
でもそれがよかった。
ゆっくりとブランコを漕ぎながら、
やり取りされる会話はどこか真実が深まっているように感じられた。
素直な心情が表れ、その会話の合間の間もまた自然だった。
受験というものは、己との戦いである。
もちろん、他の受験生に勝ることを求められる競争である。
しかし、自分との対話が何度もなされるものなのだ。
目指すものはなにか、そもそも自分がどうありたいのか、
そのために今、この方程式を解くことが、この論理を説明することが、
あるいは歴史を記憶し、英語の文法を紐解き和訳することが、
どう自分の将来に繋がるのか。
そんなわからないことを手探りでもがきながら、しかし模試を受け評価が下され、
何かもわからないものに向かい走り続けなければならない。
感受性が豊かなこの時期に、
その理不尽さと戦いながら、勉強を進めなくてはならないことは、
進学校にある者同士、宿命でもあった。
思い悩み、苦しんでいる人へ、
大丈夫という取り繕いの励ましは通用しない。
頑張ってというエールの言葉も表面的なやり取りにしかならない。
私もこれまでの実感としてそれを理解していた。
だから、励ましもせず、エールの言葉を投げかけることも控えた。
「そうですか、大変なんですね・・・。」
私は苦労の話については、ただ静かに受け止めた。
余計な言葉は何一つ通用しないのだから。
理解をして一緒に共感することだけが、今の私に出来ることだった。
ブランコの金属同士が軋むギコギコ音が響く。
そして続けた。
「でも、今日という1日が、なつみさんにとって貴重な息抜きとなり、
またステキな時間になったのなら、私はとても嬉しいです。」
今度は力強く発した。
これは私の率直な感想だったし、
この嬉しいの感情の裏には、
自分のなつみさんへの特別な感情も大いに作用していたのだから。
私は私の想いの伝え方について少しずつ整理がついてきた。
しかし、電車の時間は迫っていた。
そろそろ公園を後にしなければならない。
ブランコから降りて、駅へと続く坂を下っていく。
一気に景色は喧騒として、先ほどまでのゆっくりとした時間が嘘のようだった。
周囲には私のクラスメートが、弱肉強食の狩りの世界に打ち勝ちゲットした
女の子と一緒にカラオケ店の前で駆け引きをしている。
そんな横を、私はなつみさんと2人で駅へ進んでいく。
時折、同級生や交流会のメンバーにも声をかけられたが、
全て右から左に受け流した。
邪魔をしているつもりではないのだろうが、今の私を邪魔しないでもらいたかった。
この道がいっそずっと続けばいいのにと思う。
駅になんて着かず、どこか全く違うところでいいから、
束縛のない、自由なところへ、なつみさんと行き着けば幸せだろうと妄想する。
しかし、現実は駅に着くのである。
私は自分の想いをどうなつみさんに伝えるか、心に決めた。
どうすることがベストかは結局わからなかった。
そんな模範解答などどこにもなかった。
ただ、ここで秘めたる思いとしてこのまま封じ込めてしまうのは、
この文化祭という青春のストーリーにおいて大きな汚点となってしまうような気がした。
だから想いを告白する道しか私には残されていなかったし、
そうしたいと心中思った。
それは自分の独りよがりな都合ではあったが、
自分がどうしたいかをまず大切に、
その上で、相手のことへ配慮するやり方をするのだと決心したのだ。
この際、ロケーションはどうでもよかった。
ロマンティックな雰囲気ある場所、
せめて静穏な場所でゆっくりと伝えた方がよいとは思った。
しかし、今の私にはそんな環境の手助けは不要だと感じていた。
想いを告げるときに、雰囲気を作ることは、
女性慣れしていない私でもドラマの影響で当然のことととして刷り込まれていたが、
そんな気取ったことを言うつもりも、求めるつもりもなかったのだから。
切符の券売機で、私は改札を通る入場券を買った。
昨年は自動改札機の前で恥ずかしい思いをしたが、
今回は駅のホームまで降りて見送ることにした。
入場券を買う人を追いかけてドキュメントを作ったら面白いと思う。
そこには様々な人間ドラマがある。
そして、今、私もひとつの青春の1ページを終結させようとしていた。
そのためには、この入場券はどうしても必要なものだった。
なつみさんは恐縮し、ここでいいよと言ってくれたが、
しかし、これは私の問題であったし、なつみさんも強くは私を止めなかった。
いつもは口数の多いなつみさんも、どことなく静かだった。
駅のホームは夜も遅くしんみりと静まり返っていた。
電光掲示板が次に来る電車を知らせているがだいぶ時間が開くようだ。
やや湾曲したホームのその先に見える信号は赤く点灯している。
エスカレーターを降りた私は、なつみさんと共にホームの先頭方向へ進む。
そのホームの端に置かれた誰ひとり人の気配がないベンチに腰掛ける。
スゥーっと大きく息を飲み、そして、ふぅ~と大きく吐いた。
なつみさんはすっかり無口になり、うつむき加減に哀感に包まれていた。
私はゆっくりと語り始めた。
つたない言葉を必死に紡いだ。
無力な言葉に感情を込めて、必死に奏でた。
声は震え、途中で噛んだりもした。
リズムは乱れ、聞くに堪えないぎこちないものだった。
なつみさんはやや下を向いたまま沈黙のまま、
私の奏でる不協和音に耳を傾けていた。
あらかじめ、こう伝えようとセリフを決めていなかった。
というより、冷静な頭でセリフに纏められる程、感情は単純ではなかった。
だから伝えたいことも紆余曲折しながら、
その場で浮かび溢れ出る感情を必死に繋いだ。
自分でも支離滅裂になっているのを感じる。
しかし、そんな自分もまた自分なのだから仕方のないことだった。
スマートに想いを伝えるなんて、最初から無理な芸当なのだ。
私は私の身丈で想いは全て伝えた。
自分の素直な感情を、相手を想う誰にも負けない自負のある感情を、
このようにぶつけることが出来ることは何者にも変え難い感動だった。
なつみさんの頬に涙が伝っていた。
伝った涙がベンチの下に垂れた。
それがどんな涙なのか私にはわからなかった。
ただ、少なくても良し悪しは別にして、
自分の気持ちは伝わったのだと理解した。
「本当に、不器用なんだね~。」
なつみさんは目を真っ赤にして
涙がまだ伝う頬を緩めて、こちらに泣き笑いの顔を向けた。
その表情は、決して私を咎めるものではなかった。
そのことにまずは救われた。
ホームの先の信号が赤から青に変わる。
まもなく、なつみさんが乗る電車が到着する。
それはこの場の別れを意味し、
しかし、新たな出発のサインのようでもあった。
ここで文化祭という1冊の青春の本は終わる。
しかし、ひとつの終わりは、また新たな始まりでもあるのだ。
電車の扉が閉まり、電車はゆっくりと動き出す。
私は手を振って笑顔で見送る。
心の中でどこまでも深い感謝の気持ちを唱えた。
電車がゆき去り、私はスゥーっと心が満たされた。
その充足感は心から溢れ、大きく体を伸ばし全身でこの感情を受け止めた。
家に帰り、なつみさんとお揃いでともらった、あのマグカップをようやく開けた。
ずっと大切に箱にしまったままだった。
なつみさんは受験勉強のさなか、そのマグカップにミルクティーを入れて飲んでいるという。
私も、そのマグカップに甘いミルクティーを作り、啜った。
体に染み渡るその甘さは、砂糖の甘さだけではない。
あらゆる甘さに満ちていて、ほっこりと幸せな気持ちに包まれた。
私の青春の1冊はこうしてそっと閉じられた。
~~ 完 ~~
あとがき へ続く
今回の更新と明日のあとがきで終了予定です、興味ない方はスルー願います。
第10章 告白
第9章 混沌 << はじめに戻る >> あとがき
勢いに任せるからやれることがある。
感情が高ぶっている時だからこそ、一歩が踏み込めるものだ。
大きな意思決定は周到な準備を重ねた先にあるものであり、
最後の決断は勢いであり感情的なものであったりする。
緻密な積み重ねと大胆さの双方がなければならないのだ。
これは間違いなく恋愛感情だった。
私はなつみさんに恋をしている。
紛れもない事実であり、今ではそれは誇らしかった。
最初の出会いから、ドキドキ感の伴う惹き込まれた普通ではない感覚があった。
その出会ったときから予兆はあったが、どこかで確信は持てなかった。
いや、受け入れてはならないものとして、
自分の気持ちに大きく重い蓋を被せていたのかもしれない。
しかし、沸々と湧き上がる感情が気化した際の蒸気の力は生半可なものではない。
そんな重厚な蓋も弾き飛ばすほどに、熱く盛んに発散するエネルギーを持っていた。
今、私はそれを晴れ晴れと自分の中の確固たる感情として受け入れることができたのだ。
恋焦がれることは恥ずかしいことではない。
むしろそんな自分の全てを捧げたいと心を傾け、
苦楽の中をどこまでも共にありたいと思える人がここにあることは、
生を授かった奇跡のように、運命が与えてくれた巡り合わせなのだ。
ちょうど1年前。
私は帰路につくなつみさんに、連絡先を聞くだけですったもんだした。
駅の改札口で大声でなつみさんの名前を叫んで呼び止めた。
そんな勇気とは比べ物にならないくらいの勇気が、
1年の年月を経て、今こそ必要なときだった。
「落ち着いたかな。」
どれくらいの時間が経っていたのだろうか。
なつみさんが私の傍らでそっとささやいた。
私は自らの感情で溢れた涙で湿ったそのハンカチを
どうすればいいかわからなかった。
洗濯をしてあとで返すべきかと思った。
そんな様子に気が付いたのかどうかすらわからなかったが、
なつみさんは、そっと私の手からそのハンカチを手に取り、自分のバッグにしまった。
「ありがとうございます。色々な気持ちが交錯してしまって・・・。
それに、なつみさんが急にここにいるものだから、緊張の糸が一気に切れて、
去年から今までの1年のことが思い出されて、泣いちゃいました。」
私はよくわからないことを言っていたかもしれなかった。
でもそんなことはどうでもよかった。
今の感情など、どんな言葉を選び紡いでも、
自分の心情を説明するには無力だった。
「ふふふ~、本当にお疲れ様だったね。」
なつみさんが笑い、労ってくれる。
私はただその言葉に救われ、笑顔に陶酔し、なつみさんの存在そのものに魅了される。
私の傍らに寄り添ってくれていたなつみさんを、
改めてまじまじと見つめる。
白い肌が透き通っていて、相手を気遣うことの出来るやさしさが表情に満ちていて、
手を伸ばしたくなる衝動に駆られるほどにかわいらしかった。
「ちょうど1年前、ここでなつみさんに労ってもらいましたね。
あの時、とても嬉しくて嬉しくて、心が躍る気持ちでした。
そしてあの時も、なつみさんがやさしくしてくれたから、僕は一歩を踏み込めました。
色々苦しいことばかりだったですけど、でも、こんなにステキな思い出が出来ました。」
心が躍るという表現は私としてはだいぶ突っ込んだ表現だった。
ただ、事実として心が躍っていた。
いや、むしろ躍るというのは控え目だったかもしれない。
不意にもう会えないと思っていたなつみさんが目の前にいたのだから、
あの時はドギマギしているしかなかったが、今は心だけでなく全身が躍動し、
空を舞えるような気さえしたのだ。
あなたを前に空に舞うくらい嬉しかったという表現は、
単に今、なつみさんを困らすだけかと思い、
本望ではなかったが、これでも本心をマイルドに表現したものだった。
「私にとっても他人事とは思えないくらい嬉しいと感じているよ。
あの時に声を掛けてもらったことがきっかけで、
こんなにも私にとってもステキな思い出になったことに感謝しているよ。
それにしても、心が躍るって随分憎いことを言うようになったんだね(笑)。」
なつみさんは、最後にいじわるを言ってみせた。
「いやいや、本当に心躍る気持ちだったんですよ~嬉しかったんですよ~。」
私は自分の素直な気持ちだと、そこは訂正しておかねばならなかった。
いや、実際のところは、空を舞える位に心だけでなく、
体全体が喜びに満ちていたという『真実』は告白できなかった。
「でも、なんでそんなに嬉しく思ってくれて、、、いたの、かな。」
胸のドキドキが一気に高まった。
なつみさんはもしかしたら、私が気持ちを言い出すきっかけをくれたのかもしれない。
いや、私の勘ぐり過ぎかとよくわからなくなり、混乱した。
なつみさんには、薄々、私の真実の気持ちは伝わっていたのかもしれない。
だから自然な形で自分の思いを告白するチャンスだったのだ。
しかし、いざとなると言葉が出てこない。
そもそも、何を伝えるのだろうか。
好きだという恋愛感情はもはや揺ぎ無いものであり、
この溢れ出る想いを伝えたいのは間違いがない。
ただ、それを、『好きだ』という一言でおさめるのは、
的確ではあるのだが、とても十分だとは思えない。
そして、感情をぶつけるだけでいいのか。
受験生という大事な時を過ごすなつみさんへ交際を申し入れるのか。
それは相手の立場を尊重し、配慮がある言動なのか。
いや単に自分の度胸のなさを環境のせいにしているだけではないだろうか。
ならばやはり気持ちだけ伝えればいいのか。
しかし、投げっぱなしの気持ちの伝達でよいものなのか。
そんなややこしいグルグルの渦に私は苛まれた。
あまりに突然の再会だったこともあり、私は踏み込めなかった。
「あの時はですね、なつみさんの学校の文化祭でキラキラしたものを感じていて、
そんなヒロインとまた再び会えたことがとにかく嬉しかったんですよ。」
なんとも冴えない応対をした。
テレビのドラマのシーンであれば、頭を引っぱたきたくなるセンスのない受け流しだった。
こういうところで決定打を打てない自分は男としてやはり未熟だったのだ。
これは一気に幻滅をされてもおかしくないと思った。
「ヒロインだなんて、恥ずかしいね~。でも再会をそんなに喜んでくれていたのなら嬉しいな。」
穏やかな笑顔でなつみさんは答えた。
なつみさんは、大人の対応だった。
私は大きなチャンスを逃したのだった。
でも、やはりどう伝えてよいかわからなかった。
言葉も浮かばなければ、勇気も出なかった。
その後は思い出話に花が咲いた。
たった一年であったし、なかなか会えない時も長かった。
それでも多くのことを話題に盛り上がることができた。
時の長さはたいした問題ではないのだ。
過去を回想する時、それは美化される。
ひとつひとつの思い出は、苦労のばかりのはずなのに、
なぜか全てがよき思い出となっていた。
そんな過去を談笑し、私たちは歩き始めた。
途中、交流会のメンバーや後輩たちがたむろしていたので、
交流会の反省会と引継ぎのため改めて集まろうなどと事務連絡を交わした。
私となつみさんが共にあることを、誰も不思議にも思わなかった。
私はなつみさんと校門のゲートを潜り、駅に向って歩き始めた。
一年前と同じ光景だった。ただ少なくても私の心持ちは大きく変化していた。
私はなつみさんの連絡先を聞きだすために、
一年前、緊張して同じようになつみさんとこの道を歩いた。
月日が経ち、当時は想像も出来ないくらいに多くの思い出を共有し、
そして当時は曖昧だった気持ちは、今、明確な恋愛感情となって今、私の心を燃やしていた。
この期間、恋愛だけでなく、多くの学びもあったし、
普通の高校生活では味わえないような経験も沢山出来た。
男子高での生活において、単なる役得ではなく、
女性とこうやって夜の道を語らい歩ける日が来るとは想像していなかった。
過去の出会いから現在までのあらゆる景色を呼び起こすように、
追憶の糸を辿るように進んでいく時間はゆっくりで穏やかだった。
そんな温かな時間を、このまま駅近くの雑多な喧騒で乱されてしまうのは躊躇われた。
私は街中に出る手前の小高い丘の上にある公園になつみさんを誘った。
古びたブランコに腰掛けて、揺れるでも揺れないでもなく話は続いた。
細く欠けた三日月の佇まいは華奢であり、繊細に私たちを照らす。
夏の終わりのささやかな風が、時々、周りの木々をざわつかせる。
小高い丘から見下ろす景色は慌しく車が行き交い、電車が右へ左へと人々を運んでいる。
私たちの思い出の糸もまた時に喧騒の中で複雑化し、
メンバーの思惑が交錯して衝突もした。
しかし、自分とは異なる人種であったタツヤと、
なつみさんの存在が私を支えてくれた。
自分の青春の1ページは、こうやって支えられてなんとか刻むことが出来た代物だった。
だからこそ、私にとっては、それが大切で価値あるものであるように感じられたのだ。
この公園で感じる月夜の下、夏の終わりの風を受けて、
私の心はじんわりと温まったのだ。
話は過去から遡り、ようやく現在に至った。
これからは振り返るのではなく、それぞれが作っていく未来の話だった。
ブランコを漕ぐ。子供がそうするように、勢いをつけた。
なつみさんも一緒に漕いだ。
ふたりで前へ後ろへと体は押され、また引き戻されていく。
私たちの日々もそんなブランコのようだった。
前へ進む時もあれば、後ろに下がることもある。
勢いがある時もあれば、勢いがなくなってしまうこともある。
前へいくと、後ろへ引き戻され、
後へいくと、前へ押し出してくれる。
そんな単純な反復運動の中にドラマが生まれる。
喜びや苦しみはそんな中で自らを育み、豊かにしてくれるのだ。
未来の話など私自身は浮かばなかった。
今日という節目を迎えて、次のことなど考えられない。
世界を圧倒するアスリートのように、
メダルを取ったその日に次のオリンピックを考えるなど考えられず、
凡人の私には、明日から虚無の時間が流れるに違いなかった。
「なつみさんは、受験どうですか?」
なつみさんは受験生なのだ。
今まさに、将来をどう選ぶか、ひとつの岐路に立っているのである。
センシティブでプライベートなことに言及してよいかとも思ったが、
逆にそこまで気を遣わずに自然と未来の話をする。
「うん、色々迷ってはいるんだ。でもね、ようやくやりたいことは見つかった気がするんだ。
だから今はそれを学べる大学を見つけたから、そこを目指すつもりなんだ。」
なつみさんはどこか噛み締めるように話した。
もしかしたら、他の誰かに自分のその思いを話したのは初めてだったのかもしれない。
その大切に築き上げている将来のことだからその内容に踏み込むのは失礼だと思った。
「そうですか、自分のやりたいことを見つけられつつあって、
目標となる大学もあるなら、また頑張れそうですね。
こうやって誘い込んで時間を奪ってしまって申し訳ないですけどね。」
私はなつみさんの意志を尊重し、励ましというとおこがましかったが、
本当に頑張ってもらいたいという気持ちを込めた。
「今の私の学力ではまず合格できないんだ。
あと少ししかないけど、頑張って勉強しようと思うよ。」
なつみさんは現実と理想の間で苦しんでいるのだと悟った。
そしてなつみさんは続けた。
「でもね、なんか今日過ごした1日はとてもよかった。
悲観的になってもしょうがない、前を向いていこうとエネルギーをもらえた気がするの。
去年、自分が頑張った姿を勝手に重ねて見てたりもしたんだけど、
あぁ、あの時、自分も頑張っていたな、輝いていたなと思ってさ。
だから、、、なんかうまくいえないけど、これからにとってよい1日だったと思う。
本当にありがとう。」
ブランコに乗っているから、横顔しかわからない。
でもそれがよかった。
ゆっくりとブランコを漕ぎながら、
やり取りされる会話はどこか真実が深まっているように感じられた。
素直な心情が表れ、その会話の合間の間もまた自然だった。
受験というものは、己との戦いである。
もちろん、他の受験生に勝ることを求められる競争である。
しかし、自分との対話が何度もなされるものなのだ。
目指すものはなにか、そもそも自分がどうありたいのか、
そのために今、この方程式を解くことが、この論理を説明することが、
あるいは歴史を記憶し、英語の文法を紐解き和訳することが、
どう自分の将来に繋がるのか。
そんなわからないことを手探りでもがきながら、しかし模試を受け評価が下され、
何かもわからないものに向かい走り続けなければならない。
感受性が豊かなこの時期に、
その理不尽さと戦いながら、勉強を進めなくてはならないことは、
進学校にある者同士、宿命でもあった。
思い悩み、苦しんでいる人へ、
大丈夫という取り繕いの励ましは通用しない。
頑張ってというエールの言葉も表面的なやり取りにしかならない。
私もこれまでの実感としてそれを理解していた。
だから、励ましもせず、エールの言葉を投げかけることも控えた。
「そうですか、大変なんですね・・・。」
私は苦労の話については、ただ静かに受け止めた。
余計な言葉は何一つ通用しないのだから。
理解をして一緒に共感することだけが、今の私に出来ることだった。
ブランコの金属同士が軋むギコギコ音が響く。
そして続けた。
「でも、今日という1日が、なつみさんにとって貴重な息抜きとなり、
またステキな時間になったのなら、私はとても嬉しいです。」
今度は力強く発した。
これは私の率直な感想だったし、
この嬉しいの感情の裏には、
自分のなつみさんへの特別な感情も大いに作用していたのだから。
私は私の想いの伝え方について少しずつ整理がついてきた。
しかし、電車の時間は迫っていた。
そろそろ公園を後にしなければならない。
ブランコから降りて、駅へと続く坂を下っていく。
一気に景色は喧騒として、先ほどまでのゆっくりとした時間が嘘のようだった。
周囲には私のクラスメートが、弱肉強食の狩りの世界に打ち勝ちゲットした
女の子と一緒にカラオケ店の前で駆け引きをしている。
そんな横を、私はなつみさんと2人で駅へ進んでいく。
時折、同級生や交流会のメンバーにも声をかけられたが、
全て右から左に受け流した。
邪魔をしているつもりではないのだろうが、今の私を邪魔しないでもらいたかった。
この道がいっそずっと続けばいいのにと思う。
駅になんて着かず、どこか全く違うところでいいから、
束縛のない、自由なところへ、なつみさんと行き着けば幸せだろうと妄想する。
しかし、現実は駅に着くのである。
私は自分の想いをどうなつみさんに伝えるか、心に決めた。
どうすることがベストかは結局わからなかった。
そんな模範解答などどこにもなかった。
ただ、ここで秘めたる思いとしてこのまま封じ込めてしまうのは、
この文化祭という青春のストーリーにおいて大きな汚点となってしまうような気がした。
だから想いを告白する道しか私には残されていなかったし、
そうしたいと心中思った。
それは自分の独りよがりな都合ではあったが、
自分がどうしたいかをまず大切に、
その上で、相手のことへ配慮するやり方をするのだと決心したのだ。
この際、ロケーションはどうでもよかった。
ロマンティックな雰囲気ある場所、
せめて静穏な場所でゆっくりと伝えた方がよいとは思った。
しかし、今の私にはそんな環境の手助けは不要だと感じていた。
想いを告げるときに、雰囲気を作ることは、
女性慣れしていない私でもドラマの影響で当然のことととして刷り込まれていたが、
そんな気取ったことを言うつもりも、求めるつもりもなかったのだから。
切符の券売機で、私は改札を通る入場券を買った。
昨年は自動改札機の前で恥ずかしい思いをしたが、
今回は駅のホームまで降りて見送ることにした。
入場券を買う人を追いかけてドキュメントを作ったら面白いと思う。
そこには様々な人間ドラマがある。
そして、今、私もひとつの青春の1ページを終結させようとしていた。
そのためには、この入場券はどうしても必要なものだった。
なつみさんは恐縮し、ここでいいよと言ってくれたが、
しかし、これは私の問題であったし、なつみさんも強くは私を止めなかった。
いつもは口数の多いなつみさんも、どことなく静かだった。
駅のホームは夜も遅くしんみりと静まり返っていた。
電光掲示板が次に来る電車を知らせているがだいぶ時間が開くようだ。
やや湾曲したホームのその先に見える信号は赤く点灯している。
エスカレーターを降りた私は、なつみさんと共にホームの先頭方向へ進む。
そのホームの端に置かれた誰ひとり人の気配がないベンチに腰掛ける。
スゥーっと大きく息を飲み、そして、ふぅ~と大きく吐いた。
なつみさんはすっかり無口になり、うつむき加減に哀感に包まれていた。
私はゆっくりと語り始めた。
つたない言葉を必死に紡いだ。
無力な言葉に感情を込めて、必死に奏でた。
声は震え、途中で噛んだりもした。
リズムは乱れ、聞くに堪えないぎこちないものだった。
なつみさんはやや下を向いたまま沈黙のまま、
私の奏でる不協和音に耳を傾けていた。
あらかじめ、こう伝えようとセリフを決めていなかった。
というより、冷静な頭でセリフに纏められる程、感情は単純ではなかった。
だから伝えたいことも紆余曲折しながら、
その場で浮かび溢れ出る感情を必死に繋いだ。
自分でも支離滅裂になっているのを感じる。
しかし、そんな自分もまた自分なのだから仕方のないことだった。
スマートに想いを伝えるなんて、最初から無理な芸当なのだ。
私は私の身丈で想いは全て伝えた。
自分の素直な感情を、相手を想う誰にも負けない自負のある感情を、
このようにぶつけることが出来ることは何者にも変え難い感動だった。
なつみさんの頬に涙が伝っていた。
伝った涙がベンチの下に垂れた。
それがどんな涙なのか私にはわからなかった。
ただ、少なくても良し悪しは別にして、
自分の気持ちは伝わったのだと理解した。
「本当に、不器用なんだね~。」
なつみさんは目を真っ赤にして
涙がまだ伝う頬を緩めて、こちらに泣き笑いの顔を向けた。
その表情は、決して私を咎めるものではなかった。
そのことにまずは救われた。
ホームの先の信号が赤から青に変わる。
まもなく、なつみさんが乗る電車が到着する。
それはこの場の別れを意味し、
しかし、新たな出発のサインのようでもあった。
ここで文化祭という1冊の青春の本は終わる。
しかし、ひとつの終わりは、また新たな始まりでもあるのだ。
電車の扉が閉まり、電車はゆっくりと動き出す。
私は手を振って笑顔で見送る。
心の中でどこまでも深い感謝の気持ちを唱えた。
電車がゆき去り、私はスゥーっと心が満たされた。
その充足感は心から溢れ、大きく体を伸ばし全身でこの感情を受け止めた。
家に帰り、なつみさんとお揃いでともらった、あのマグカップをようやく開けた。
ずっと大切に箱にしまったままだった。
なつみさんは受験勉強のさなか、そのマグカップにミルクティーを入れて飲んでいるという。
私も、そのマグカップに甘いミルクティーを作り、啜った。
体に染み渡るその甘さは、砂糖の甘さだけではない。
あらゆる甘さに満ちていて、ほっこりと幸せな気持ちに包まれた。
私の青春の1冊はこうしてそっと閉じられた。
~~ 完 ~~
あとがき へ続く
※投資以外のネタとして、現在連載記事をUPしています。
3月中旬目途まで続くと思いますので、興味ない方はスルー願います。
第9章 完遂
第8章 混沌 << はじめに戻る >> 第10章 告白
涙を流すことは、自分の心と向き合うことだ。
心を解き放ち、内在しているあらゆるものを一度排出する。
それには相当のエネルギーが伴い、それが涙となる。
エネルギーをこうやって放射し、心持ちをなんとか保っていられるのだ。
泣き虫だったが、私はそれは恥じることではないと思った。
それが自分の感情を整理するのに何より効能があった。
人の視線ばかりを気にする自分は、変わっていいのだと自分を許容した。
タツヤと膝を突き合わせて話をした。
この日は朝まで語らった。
あの汚いたまり場で、サシでとことんやり合った。
春先の朝日は優しく降り注いだ。
秩序を保ちながら、多様性を受け入れるためのアイデアを出し合い、
様々な対策を講じることになった。
また、なつみさんのアドバイスもあり、
大きな目標に向けて具体的に動き始めることにした。
各校の文化祭で催すイベントに連続性を持たせたかった。
なつみさんに初めて構想を話したときから、やりたいことは変わっていなかった。
のど自慢やミス(ミスター)コンの優勝者をその翌週に行われる
他校の文化祭にゲストとして繋げ、
それを連鎖していき、最終週に開催する私とタツヤの学校の文化祭で一同に集めるのだ。
そして各校の代表者から最優秀者を選ぶのだ。
単なるより良いアクターを選ぶことが目的ではなく、
各校で閉じていたイベントを連鎖させることで、
盛り上がりを形成することに重きを置いた。
そして最終週にはタツヤの学校と私の学校で紅白のようにチームを分け、
同日同時間に中継を結んで、リアルタイムに双方向で楽しめるようにするのだ。
各週の各校でのイベントの結果を適宜冊子にして配布しその状況を知らせる活動を通し、
より楽しんでもらうきっかけを作ろうとした。
そして最終週には、メディアを巻き込んで中継を結ぶことを考えた。
また、広告宣伝の点から、この交流会での取り組みや、
各校の文化祭の情報をフィーチャーして宣伝する機会として、
メディアに取り上げてもらうことを狙った。
企画書を書きあげながら、メンバーに役割を配布するように工夫した。
私は、広告宣伝の機会を得られるようにマスコミを回った。
また中継を使って2校を繋げてくれるような対応を打診した。
NHKはもちろん、キー局にも企画書を持って訴えた。
しかしそんなに簡単なことではなかった。
むしろよく話を聞いてくれたと思った。
真剣に話は聞いてくれたが、巨額なお金が動かないと、難しかった。
商店街を回り地道に集める広告収入とはまるで別のことだった。
いくら卒業生を頼ってみても、少し高校生が扱うには規模が大きすぎる話だった。
結局のところ、キー局に取り上げてもらうのは難しいと悟ったのだった。
そこで、地域のローカル局に中継の打診をしていった。
また広告宣伝として定期的に取り上げてもらうのは、
何もテレビでなくてよかった。よりリスナーに寄り添う、地元のFMラジオ局を回った。
そして、地元のラジオ局で交流会のことを取り上げてくれることが決まった。
最初の番組がオンエアーされるのは梅雨が明ける7月なりそうだった。
この時は嬉しかった。
立ち上げの経緯やその後3期に入り、参加者も100人を超えるようになっていたので、
コミュニティとしても大きなものに成長していた。
そんな高校生の取り組みの紹介はもちろん、
参加してくれている各校の文化祭にもフィーチャーしてくれた。
事前の打ち合わせもあり、週末の夕方の番組を仕切る番組の人気DJとも仲良くなった。
お調子者ののタツヤと私がその番組に招かれ、私たちの声が電波に乗るのである。
窓ガラスに滴る雫がひたひたと地面に落ちて、チャポンチャポンと水の音を奏でている。
梅雨の雨は、ジメジメと肌にまとわり、決して気持ちのよいものではなかった。
シトシトと降る雨が夜の静寂の中で響き渡っている。
私はなつみさんに電話でラジオの出演を報告しようと思った。
手紙でもよかったが、その嬉しい知らせをいち早く伝えたかった。
自宅の電話を鳴らすのは初めてのことだった。
これまでは手紙でのやり取りや、生徒会室の電話での往来だけだった。
自宅の番号を聞くほどに親しくはなっていたが、
しかし、そこにコールすることは相応の覚悟が必要なことではあった。
なつみさんはその電話をとても喜んでくれた。
そして絶対に、そのラジオを聴くことを約束してくれた。
混沌の中での苦労を知ってくれていたから、
そのひとつの成果の喜びを共有できることは、私にとっても別格の喜びであった。
なぜこんなにも寄り添って喜んだり、悩んだりしてくれるのだろうかと思った。
そこには理由を求めても意味のないことではあった。
だから、そんな疑問は横に置いておいて、
その分かち合えたことを大切にしようと思った。
なつみさんの受験勉強は決して順調ではないようだった。
しかし、こういった類のものは順調だという方が稀だし、
順調だと思っている方が危ないものだ。
危機感があるからこそ、成長するものだ。
自分の道を切り拓くために頑張って欲しいと思った。
ただエールを送るしかできなかった。
なつみさんは自分と向き合い戦っている。
でも、私の今を一緒に喜んでくれた。
私もなつみさんに成果を報告出来て嬉しかったし、
声を聞けただけでも胸が熱くなった。
感情が高ぶると自分の溢れんばかりの気持ちを告白したくなるが、
受験に向き合うなつみさんのことを思うとそんなことは間違っても出来ない。
だいいち、自分が傷つくのも怖かったのだから。
だから、自分の胸の中で、ひっそりと温めておくのが一番よかったのだ。
初めての公開録音のスタジオに入る。
若者に人気のDJだったから、毎週ガラス張りのスタジオには多くのギャラリーが集っていた。
そんな中でゲストとしてタツヤと共に、私はスタジオの中の机に座っている。
大きなマイクがそれぞれの机に備え付けられていて、
音響設備とコードが乱雑に入り混じっている。
現場の仕事場に紛れ込んだ自覚が、私の緊張を高めていった。
交流会へ参加してくれている多くの高校生も
その窓ガラス越しに生中継を見に来てくれた。
会場は異様な人でごった返して、
警備員がその場をおさめるのに躍起になっているのが、中からみてもよくわかった。
スタジオの中から外のギャラリーの様子はよく見渡せた。
自分の声が電波に乗って届けられることに実感がなかった。
一体どのように聞こえているのか、中にいるとよくわからなかったし、
そもそもそんなことを考える余裕もなかった。
番組のオープニングの音楽が流れてくる。
ディレクター席から程なく、DJへキューが出される。
いよいよ始まる。
タツヤはニコニコ余裕顔だったが、私はやはり緊張していた。
そして、どこかで聴いてくれているだろうなつみさんのことを想った。
頑張るからね、と心の中で唱えた。
恋慕の情は儚いものではあったが、私を十分に勇気づけてくれるものであった。
蓋を開けてみると、お調子者のタツヤより私の方が話す機会は多かったかもしれない。
ただ、気が付いたら終わっていた。頭が真っ白となり、
何を話したかはほとんど記憶が曖昧だった。
番組スタッフとDJの問いかけの誘導が素晴らしく、
ただ問われたことに答えていれば、話は盛り上がったし、膨らませてくれた。
プロは凄いなと思った。そしてそんな配慮に助けてもらい、
なんとか初回のライブを終える事が出来た。
スタジオから出ると、そこに来ていた仲間が称えてくれた。
そしてその放送を聞いていた何人かからは、
自分もこのコミュニティに加わってみたいという声もあがった。
文化祭というのは高校生活を象徴する一つのイベントでしかない。
でも、そこにはそれぞれの青春が映る。
それを与えられるものとして捉えるか、
一緒に創っていくものとして捉えるかによって、その人を彩る色の濃淡は変わる。
文化祭でなくてもいい。
私の場合、それがたまたま文化祭でこの交流会だったのだ。
そしてきっかけがあり、そこから更に輪が広がっていく事が嬉しかった。
ひとつのことに情熱を傾けると、
誰かに関心をもってもらえるものだ。
もちろん、うまくいかないことばかりである。
私が立ち上げ期に混沌の中で苦しんだのも洗礼だった。
しかし青春のページを刻むことは、つまりそういうことの連続だった。
失敗の連続の中に小さな一つの光りがあるようなものなのだ。
慣れない生出演に普段とは異なる疲れを感じた。
ただ、とても居心地のよい疲れだった。
なつみさんから私の自宅に電話があった。
お疲れ様という内容の電話だったが、やはり自分のことのように喜んでくれていた。
それだけで十分だった。夜も遅かったので、話は尽きなかったが早々に電話を切った。
放送で何を自分が語ったのかわからなかった。
録音でもしておけばよかったが、そんなこと気が回っていなかった。
数日が立った時、なつみさんから郵便が届いた。
そこには、放送を録音したテープと共に手紙が添えられていた。
なつみさんはいつもこうやって寄り添ってくれた。
そのテープを再生し、その出来栄えは我ながら
よく受け答えが出来ていて自らに感心した。
手紙も温かな内容であった。
その後、毎週のようにラジオに出演した。
日が近い文化祭の宣伝の話をした。もちろん単なる告知では面白くないので、
特徴やそれを企画し運営している人にもフォーカスし、
より足を運んでみらいたいと思ってもらえるように努めた。
また、交流会の企画として学校連動のイベントのことも
より多くの輪が広がって欲しかったから、
参加の呼びかけもした。
最終週に開催する文化祭を中継することについても、
地元のローカル局と話を纏める事が出来た。
予算の兼ね合いもあり、双方に設置できる機器は小規模ではあったが、
連動して企画を成立させるのに十分なものを用意してくれた。
交流会は100人を超える参加者となり、各校の文化祭でのイベント、
そしてその連動企画も順調に進捗していった。
個々には様々な小さな問題は生じたが、軌道に一度乗れば、
組織の中で十分な解決を図ることが出来た。
交流会は、一貫してけじめをつけて真面目に取り組んだ。
中途半端にしなかったから、これ以外にも多くの小さな改革が進んだ。
そして、単に真面目なだけの会にもしなかった。
タツヤが主導して親睦を深める機会を沢山作ってくれた。
夏にはキャンプにも行ったし、海水浴にも行った。
日を追うごとに仲は深まり、そこで男女のカップルになるものもいた。
素晴らしい事だと思った。それぞれの青春がひとつのきっかけで刻まれ、
それを裏で支え、運営出来たことに勝手に陶酔していた。
このようにして、交流会はそのイベントの立ち上げから運営まで、
参加者のそれぞれの役割のおかげで、
またメディアを始め、地域の方からの応援もありいよいよ最終週を迎えた。
各校で選抜されたのど自慢や美男美女を
エリアに分けてタツヤの学校と私の学校のステージに分けて、紅白対決をするのだ。
テレビ局の中継車からその一部始終を捉え、
両校のそれぞれの画面に投影して中継を結んでイベントは進んでいった。
新しい試みだったし、テレビ局が入り、中継まで結んでいたから、
大変な関心が寄せられ、集客も昨年より多かったし、何より参加者もより盛り上がった。
後進のためにも、当日の直接的な運営はできるだけ、
後輩の1年生に任せた。
任せることは投げることではない。
だからきちんと状況は俯瞰し、フォローをした。
自分の思い通りに進まず、思わず口を挟みたくなることもあったが、
それがぐっと堪えた。自分の色を押し付けることはしたくなかったし、
任された立場に立てば、それほどの侮辱はないことを知っていた。
私の先輩も、私に任せるべきところは任せてくれた。
権限と責任に育ててもらったのだ。
一度実績があれば強い。
今年もあの大きな花火を打ち上げる事が出来た。
もちろんタツヤの学校では難しかったから、
まさに最後のクロージングは中継でその花火の打ち上げも共有した。
私は打ち上がる花火の音を聞くと、
校庭の地べたに横たわった。
大の字に仰向けになった。
地面の堅さを背中に感じ、
真上に上がる花々を全身で受け止めるように空を仰いだ。
もちろん、ここ何日かは本番に向けてほとんど睡眠もとれていなかった。
それ位あらゆることを忘れて自分の時間を注いだ。
日が迫るとなつみさんとの連絡も益々疎遠になっていた。
それくらい、私は私の中での自分の時間の有限さに悩まされていたのだ。
なつみさんはもしかして、テレビを通してこの花火を見てくれているだろうか。
そんな期待が脳裏のどこかに巡った。
しかし、疲労のせいか、あるいは全てのことへの達成感からか、
盛大な花火を仰ぎながら、意識がすぅーっと薄れていった。
全てが完遂した。現役をこれで退く。
一年前、私はここで野心を抱いた。
そのすべてが成せたわけではなかったし、
むしろやりたかったことのほとんどは実現させることが叶わなかった。
しかし、青春の思い出は十分に積み重ねる事が出来た。
閉じた目に昨年から今日までの様々な光景が走馬灯のように浮かぶ。
そして、やはりそこにはいつも寄り添い笑いかけてくれるなつみさんの姿があった。
少なくても私にとってはよい恋愛だった。
これだけの思い出を作る上で、なつみさんの存在は大きかった。
心の中でいてくれたことが自分の励みになり、前を向くことができた。
1人の女性の存在が自分をここまで成長させてくれるものなのだとすると、
その存在は一生ものの感謝を捧げねばならないと思った。
もちろん、想いが通い合うことが一番だった。
閉じた目の先になつみさんの姿を想像し、やり遂げられた自分と、
そこへの感謝がこみ上げ、花火が終わったあとも、
薄らぐ意識に身を任せてその場で天頂仰いで、呼吸を整えた。
遠くの方で笑い声が脳に直接作用した。
ふふふ~と、あの寄り添い優しいその笑い声は耳からではなく、
脳内に直接響き、そして心地よかった。
この声に何度救われたことか。
それが現実のものか、薄らぐ意識の中の夢の出来事のようであった。
何分そこに横たわっていたのだろうか。
遠くの方からまだ来場者同士のやり取りと思しき雑踏の音が聞こえる。
多くの出会いがあったようで、楽しそうなやり取りの声に安堵した。
心が満たされた心地よさにまだ宙を浮いているようだった。
そして更にしばらくが経ち、私は瞼をゆっくりと開く。
ぼんやりとした視線の先にうっすらと月明りが滲む。
私ははっとした。
その私の顔を上から覗き込む姿があった。
それは闇の中でも月光に照らされた横顔ですぐになつみさんだとわかった。
驚いたが、体がすぐには起き上がらなかった。
まるで地面に張り付けられたように体は重かった。
「お疲れさまだったね。」
私の頭上にしゃがみこんで、語り掛けてくれた。
「びっくりしました。」
昨年も重役を担う私の心を乱さぬよう、自分の気配を消していた。
今年もまた、こっそり来てくれていたのだ。
それはなつみさんの配慮と、ちょっとしたいたずら心だったかもしれないが、
それにただ驚いた。そして離れていると思っていたものが、
今すぐここに存在してくれていることに、
じわじわと実感はこみ上げていった。
私はようやく体を起こした。でも立つことは出来ず、その場に座ったままだった。
なつみさんも私も次の言葉が出てこなかった。
しばらく沈黙だった。それは気まずいものではなく、自然なものだった。
沈黙の中に様々な感情が2人の間に行き交った。
泣き虫な私はその得体の知れない感情が規定量を超え、
一気に涙を流した。
なつみさんは、そっと自分のハンカチを差し出してくれる。
遠慮なく、それで目頭を抑えた。
感謝の気持ちに片思いの悲恋を孕む感情とが乱雑に入り混じり
この扱いに戸惑うばかりだった。
ハンカチからはいい匂いがした。
女性からハンカチを渡され、涙を拭くなど、
後先考えてもこの1回限りだった。
止め処なく溢れ出る感情の涙はどんどん滴り落ちていく。
私は、そのハンカチで目頭を包み込むように抑えた。
それは、なつみさんの温情の中で全身を抱擁され包まれているようだった。
文化祭を完遂させたそのことより、
この1年間のプロセスが走馬灯のように去来し、
説明できない感情が沸き起こってきた。
無難に文化祭を完遂させるだけであれば、
目新しいことを追いかけ続ける必要はなかった。
過去を踏襲し、歴史を積み重ねていくことでも十分にやりがいがある。
次の世代にバトンを渡し継承していくことは、
変化に富んでいないものであっても、誇れるものなのだ。
しかし私は大きな変化を求めた。
そのために多くの時間を割いたし、エネルギーを注いだ。
なつみさんとの出会いにきっかけをもらい、
連絡先を聞き、1通の手紙を送る勇気が、大きな一歩となった。
立ち上げ期に人の輪が広がっていくことは嬉しかった。
仲間が増えた気がして日々の生活は充実したとも感じた。
自分の視野はさほど広がらなくても、
人脈は多岐に拡がりを持ち、多様性に触れることで自ずと世界は拓けた。
しかし、なつみさんがいなくなってからの交流会の運営は苦労ばかりだった。
時間が経ち、規模が大きくなるにつれて課題は顕在化するものだ。
分かれ道はほんの少しの角度の違いであっても、
行き着くところはだいぶ違うところになる。
秩序と混沌との狭間で、
多様性の大きな海の中で何度も波に飲まれ、そして溺れた。
不器用な私はそれを賢くやり過ごす振る舞い方を知らず、
何度も心がくじけそうになった。
堅物の自分がいない方が、みんなが幸せではないだろうかと、
自分を卑下して逃げ出したくなる日々もあった。
それでも最後まで走り続けた。
そして、今日、多くの交流会のメンバーが来校してくれて労ってくれた。
交流会がきっかけでカップルになった者は感謝をしてくれたし、
やらされ感のあった生徒会活動に希望の活力を見出せたという者もいた。
参加してくれたメンバーがこの交流会を通して、
それぞれの青春を刻んでくれたことは私にとっても何事にも変え難い手応えとなった。
くじけなくてよかった、逃げ出さなくてよかった。
そんな感情が沸々と何度も繰り返し私の心を突き動かし、涙腺を益々緩ませた。
なつみさんは私に寄り添い続けてくれた。
私にとって文化祭は終わり、
そして交流会も次の世代へバトンを渡す。
私の夏は終わったのだ。
第10章 告白 へ続く
3月中旬目途まで続くと思いますので、興味ない方はスルー願います。
第9章 完遂
第8章 混沌 << はじめに戻る >> 第10章 告白
涙を流すことは、自分の心と向き合うことだ。
心を解き放ち、内在しているあらゆるものを一度排出する。
それには相当のエネルギーが伴い、それが涙となる。
エネルギーをこうやって放射し、心持ちをなんとか保っていられるのだ。
泣き虫だったが、私はそれは恥じることではないと思った。
それが自分の感情を整理するのに何より効能があった。
人の視線ばかりを気にする自分は、変わっていいのだと自分を許容した。
タツヤと膝を突き合わせて話をした。
この日は朝まで語らった。
あの汚いたまり場で、サシでとことんやり合った。
春先の朝日は優しく降り注いだ。
秩序を保ちながら、多様性を受け入れるためのアイデアを出し合い、
様々な対策を講じることになった。
また、なつみさんのアドバイスもあり、
大きな目標に向けて具体的に動き始めることにした。
各校の文化祭で催すイベントに連続性を持たせたかった。
なつみさんに初めて構想を話したときから、やりたいことは変わっていなかった。
のど自慢やミス(ミスター)コンの優勝者をその翌週に行われる
他校の文化祭にゲストとして繋げ、
それを連鎖していき、最終週に開催する私とタツヤの学校の文化祭で一同に集めるのだ。
そして各校の代表者から最優秀者を選ぶのだ。
単なるより良いアクターを選ぶことが目的ではなく、
各校で閉じていたイベントを連鎖させることで、
盛り上がりを形成することに重きを置いた。
そして最終週にはタツヤの学校と私の学校で紅白のようにチームを分け、
同日同時間に中継を結んで、リアルタイムに双方向で楽しめるようにするのだ。
各週の各校でのイベントの結果を適宜冊子にして配布しその状況を知らせる活動を通し、
より楽しんでもらうきっかけを作ろうとした。
そして最終週には、メディアを巻き込んで中継を結ぶことを考えた。
また、広告宣伝の点から、この交流会での取り組みや、
各校の文化祭の情報をフィーチャーして宣伝する機会として、
メディアに取り上げてもらうことを狙った。
企画書を書きあげながら、メンバーに役割を配布するように工夫した。
私は、広告宣伝の機会を得られるようにマスコミを回った。
また中継を使って2校を繋げてくれるような対応を打診した。
NHKはもちろん、キー局にも企画書を持って訴えた。
しかしそんなに簡単なことではなかった。
むしろよく話を聞いてくれたと思った。
真剣に話は聞いてくれたが、巨額なお金が動かないと、難しかった。
商店街を回り地道に集める広告収入とはまるで別のことだった。
いくら卒業生を頼ってみても、少し高校生が扱うには規模が大きすぎる話だった。
結局のところ、キー局に取り上げてもらうのは難しいと悟ったのだった。
そこで、地域のローカル局に中継の打診をしていった。
また広告宣伝として定期的に取り上げてもらうのは、
何もテレビでなくてよかった。よりリスナーに寄り添う、地元のFMラジオ局を回った。
そして、地元のラジオ局で交流会のことを取り上げてくれることが決まった。
最初の番組がオンエアーされるのは梅雨が明ける7月なりそうだった。
この時は嬉しかった。
立ち上げの経緯やその後3期に入り、参加者も100人を超えるようになっていたので、
コミュニティとしても大きなものに成長していた。
そんな高校生の取り組みの紹介はもちろん、
参加してくれている各校の文化祭にもフィーチャーしてくれた。
事前の打ち合わせもあり、週末の夕方の番組を仕切る番組の人気DJとも仲良くなった。
お調子者ののタツヤと私がその番組に招かれ、私たちの声が電波に乗るのである。
窓ガラスに滴る雫がひたひたと地面に落ちて、チャポンチャポンと水の音を奏でている。
梅雨の雨は、ジメジメと肌にまとわり、決して気持ちのよいものではなかった。
シトシトと降る雨が夜の静寂の中で響き渡っている。
私はなつみさんに電話でラジオの出演を報告しようと思った。
手紙でもよかったが、その嬉しい知らせをいち早く伝えたかった。
自宅の電話を鳴らすのは初めてのことだった。
これまでは手紙でのやり取りや、生徒会室の電話での往来だけだった。
自宅の番号を聞くほどに親しくはなっていたが、
しかし、そこにコールすることは相応の覚悟が必要なことではあった。
なつみさんはその電話をとても喜んでくれた。
そして絶対に、そのラジオを聴くことを約束してくれた。
混沌の中での苦労を知ってくれていたから、
そのひとつの成果の喜びを共有できることは、私にとっても別格の喜びであった。
なぜこんなにも寄り添って喜んだり、悩んだりしてくれるのだろうかと思った。
そこには理由を求めても意味のないことではあった。
だから、そんな疑問は横に置いておいて、
その分かち合えたことを大切にしようと思った。
なつみさんの受験勉強は決して順調ではないようだった。
しかし、こういった類のものは順調だという方が稀だし、
順調だと思っている方が危ないものだ。
危機感があるからこそ、成長するものだ。
自分の道を切り拓くために頑張って欲しいと思った。
ただエールを送るしかできなかった。
なつみさんは自分と向き合い戦っている。
でも、私の今を一緒に喜んでくれた。
私もなつみさんに成果を報告出来て嬉しかったし、
声を聞けただけでも胸が熱くなった。
感情が高ぶると自分の溢れんばかりの気持ちを告白したくなるが、
受験に向き合うなつみさんのことを思うとそんなことは間違っても出来ない。
だいいち、自分が傷つくのも怖かったのだから。
だから、自分の胸の中で、ひっそりと温めておくのが一番よかったのだ。
初めての公開録音のスタジオに入る。
若者に人気のDJだったから、毎週ガラス張りのスタジオには多くのギャラリーが集っていた。
そんな中でゲストとしてタツヤと共に、私はスタジオの中の机に座っている。
大きなマイクがそれぞれの机に備え付けられていて、
音響設備とコードが乱雑に入り混じっている。
現場の仕事場に紛れ込んだ自覚が、私の緊張を高めていった。
交流会へ参加してくれている多くの高校生も
その窓ガラス越しに生中継を見に来てくれた。
会場は異様な人でごった返して、
警備員がその場をおさめるのに躍起になっているのが、中からみてもよくわかった。
スタジオの中から外のギャラリーの様子はよく見渡せた。
自分の声が電波に乗って届けられることに実感がなかった。
一体どのように聞こえているのか、中にいるとよくわからなかったし、
そもそもそんなことを考える余裕もなかった。
番組のオープニングの音楽が流れてくる。
ディレクター席から程なく、DJへキューが出される。
いよいよ始まる。
タツヤはニコニコ余裕顔だったが、私はやはり緊張していた。
そして、どこかで聴いてくれているだろうなつみさんのことを想った。
頑張るからね、と心の中で唱えた。
恋慕の情は儚いものではあったが、私を十分に勇気づけてくれるものであった。
蓋を開けてみると、お調子者のタツヤより私の方が話す機会は多かったかもしれない。
ただ、気が付いたら終わっていた。頭が真っ白となり、
何を話したかはほとんど記憶が曖昧だった。
番組スタッフとDJの問いかけの誘導が素晴らしく、
ただ問われたことに答えていれば、話は盛り上がったし、膨らませてくれた。
プロは凄いなと思った。そしてそんな配慮に助けてもらい、
なんとか初回のライブを終える事が出来た。
スタジオから出ると、そこに来ていた仲間が称えてくれた。
そしてその放送を聞いていた何人かからは、
自分もこのコミュニティに加わってみたいという声もあがった。
文化祭というのは高校生活を象徴する一つのイベントでしかない。
でも、そこにはそれぞれの青春が映る。
それを与えられるものとして捉えるか、
一緒に創っていくものとして捉えるかによって、その人を彩る色の濃淡は変わる。
文化祭でなくてもいい。
私の場合、それがたまたま文化祭でこの交流会だったのだ。
そしてきっかけがあり、そこから更に輪が広がっていく事が嬉しかった。
ひとつのことに情熱を傾けると、
誰かに関心をもってもらえるものだ。
もちろん、うまくいかないことばかりである。
私が立ち上げ期に混沌の中で苦しんだのも洗礼だった。
しかし青春のページを刻むことは、つまりそういうことの連続だった。
失敗の連続の中に小さな一つの光りがあるようなものなのだ。
慣れない生出演に普段とは異なる疲れを感じた。
ただ、とても居心地のよい疲れだった。
なつみさんから私の自宅に電話があった。
お疲れ様という内容の電話だったが、やはり自分のことのように喜んでくれていた。
それだけで十分だった。夜も遅かったので、話は尽きなかったが早々に電話を切った。
放送で何を自分が語ったのかわからなかった。
録音でもしておけばよかったが、そんなこと気が回っていなかった。
数日が立った時、なつみさんから郵便が届いた。
そこには、放送を録音したテープと共に手紙が添えられていた。
なつみさんはいつもこうやって寄り添ってくれた。
そのテープを再生し、その出来栄えは我ながら
よく受け答えが出来ていて自らに感心した。
手紙も温かな内容であった。
その後、毎週のようにラジオに出演した。
日が近い文化祭の宣伝の話をした。もちろん単なる告知では面白くないので、
特徴やそれを企画し運営している人にもフォーカスし、
より足を運んでみらいたいと思ってもらえるように努めた。
また、交流会の企画として学校連動のイベントのことも
より多くの輪が広がって欲しかったから、
参加の呼びかけもした。
最終週に開催する文化祭を中継することについても、
地元のローカル局と話を纏める事が出来た。
予算の兼ね合いもあり、双方に設置できる機器は小規模ではあったが、
連動して企画を成立させるのに十分なものを用意してくれた。
交流会は100人を超える参加者となり、各校の文化祭でのイベント、
そしてその連動企画も順調に進捗していった。
個々には様々な小さな問題は生じたが、軌道に一度乗れば、
組織の中で十分な解決を図ることが出来た。
交流会は、一貫してけじめをつけて真面目に取り組んだ。
中途半端にしなかったから、これ以外にも多くの小さな改革が進んだ。
そして、単に真面目なだけの会にもしなかった。
タツヤが主導して親睦を深める機会を沢山作ってくれた。
夏にはキャンプにも行ったし、海水浴にも行った。
日を追うごとに仲は深まり、そこで男女のカップルになるものもいた。
素晴らしい事だと思った。それぞれの青春がひとつのきっかけで刻まれ、
それを裏で支え、運営出来たことに勝手に陶酔していた。
このようにして、交流会はそのイベントの立ち上げから運営まで、
参加者のそれぞれの役割のおかげで、
またメディアを始め、地域の方からの応援もありいよいよ最終週を迎えた。
各校で選抜されたのど自慢や美男美女を
エリアに分けてタツヤの学校と私の学校のステージに分けて、紅白対決をするのだ。
テレビ局の中継車からその一部始終を捉え、
両校のそれぞれの画面に投影して中継を結んでイベントは進んでいった。
新しい試みだったし、テレビ局が入り、中継まで結んでいたから、
大変な関心が寄せられ、集客も昨年より多かったし、何より参加者もより盛り上がった。
後進のためにも、当日の直接的な運営はできるだけ、
後輩の1年生に任せた。
任せることは投げることではない。
だからきちんと状況は俯瞰し、フォローをした。
自分の思い通りに進まず、思わず口を挟みたくなることもあったが、
それがぐっと堪えた。自分の色を押し付けることはしたくなかったし、
任された立場に立てば、それほどの侮辱はないことを知っていた。
私の先輩も、私に任せるべきところは任せてくれた。
権限と責任に育ててもらったのだ。
一度実績があれば強い。
今年もあの大きな花火を打ち上げる事が出来た。
もちろんタツヤの学校では難しかったから、
まさに最後のクロージングは中継でその花火の打ち上げも共有した。
私は打ち上がる花火の音を聞くと、
校庭の地べたに横たわった。
大の字に仰向けになった。
地面の堅さを背中に感じ、
真上に上がる花々を全身で受け止めるように空を仰いだ。
もちろん、ここ何日かは本番に向けてほとんど睡眠もとれていなかった。
それ位あらゆることを忘れて自分の時間を注いだ。
日が迫るとなつみさんとの連絡も益々疎遠になっていた。
それくらい、私は私の中での自分の時間の有限さに悩まされていたのだ。
なつみさんはもしかして、テレビを通してこの花火を見てくれているだろうか。
そんな期待が脳裏のどこかに巡った。
しかし、疲労のせいか、あるいは全てのことへの達成感からか、
盛大な花火を仰ぎながら、意識がすぅーっと薄れていった。
全てが完遂した。現役をこれで退く。
一年前、私はここで野心を抱いた。
そのすべてが成せたわけではなかったし、
むしろやりたかったことのほとんどは実現させることが叶わなかった。
しかし、青春の思い出は十分に積み重ねる事が出来た。
閉じた目に昨年から今日までの様々な光景が走馬灯のように浮かぶ。
そして、やはりそこにはいつも寄り添い笑いかけてくれるなつみさんの姿があった。
少なくても私にとってはよい恋愛だった。
これだけの思い出を作る上で、なつみさんの存在は大きかった。
心の中でいてくれたことが自分の励みになり、前を向くことができた。
1人の女性の存在が自分をここまで成長させてくれるものなのだとすると、
その存在は一生ものの感謝を捧げねばならないと思った。
もちろん、想いが通い合うことが一番だった。
閉じた目の先になつみさんの姿を想像し、やり遂げられた自分と、
そこへの感謝がこみ上げ、花火が終わったあとも、
薄らぐ意識に身を任せてその場で天頂仰いで、呼吸を整えた。
遠くの方で笑い声が脳に直接作用した。
ふふふ~と、あの寄り添い優しいその笑い声は耳からではなく、
脳内に直接響き、そして心地よかった。
この声に何度救われたことか。
それが現実のものか、薄らぐ意識の中の夢の出来事のようであった。
何分そこに横たわっていたのだろうか。
遠くの方からまだ来場者同士のやり取りと思しき雑踏の音が聞こえる。
多くの出会いがあったようで、楽しそうなやり取りの声に安堵した。
心が満たされた心地よさにまだ宙を浮いているようだった。
そして更にしばらくが経ち、私は瞼をゆっくりと開く。
ぼんやりとした視線の先にうっすらと月明りが滲む。
私ははっとした。
その私の顔を上から覗き込む姿があった。
それは闇の中でも月光に照らされた横顔ですぐになつみさんだとわかった。
驚いたが、体がすぐには起き上がらなかった。
まるで地面に張り付けられたように体は重かった。
「お疲れさまだったね。」
私の頭上にしゃがみこんで、語り掛けてくれた。
「びっくりしました。」
昨年も重役を担う私の心を乱さぬよう、自分の気配を消していた。
今年もまた、こっそり来てくれていたのだ。
それはなつみさんの配慮と、ちょっとしたいたずら心だったかもしれないが、
それにただ驚いた。そして離れていると思っていたものが、
今すぐここに存在してくれていることに、
じわじわと実感はこみ上げていった。
私はようやく体を起こした。でも立つことは出来ず、その場に座ったままだった。
なつみさんも私も次の言葉が出てこなかった。
しばらく沈黙だった。それは気まずいものではなく、自然なものだった。
沈黙の中に様々な感情が2人の間に行き交った。
泣き虫な私はその得体の知れない感情が規定量を超え、
一気に涙を流した。
なつみさんは、そっと自分のハンカチを差し出してくれる。
遠慮なく、それで目頭を抑えた。
感謝の気持ちに片思いの悲恋を孕む感情とが乱雑に入り混じり
この扱いに戸惑うばかりだった。
ハンカチからはいい匂いがした。
女性からハンカチを渡され、涙を拭くなど、
後先考えてもこの1回限りだった。
止め処なく溢れ出る感情の涙はどんどん滴り落ちていく。
私は、そのハンカチで目頭を包み込むように抑えた。
それは、なつみさんの温情の中で全身を抱擁され包まれているようだった。
文化祭を完遂させたそのことより、
この1年間のプロセスが走馬灯のように去来し、
説明できない感情が沸き起こってきた。
無難に文化祭を完遂させるだけであれば、
目新しいことを追いかけ続ける必要はなかった。
過去を踏襲し、歴史を積み重ねていくことでも十分にやりがいがある。
次の世代にバトンを渡し継承していくことは、
変化に富んでいないものであっても、誇れるものなのだ。
しかし私は大きな変化を求めた。
そのために多くの時間を割いたし、エネルギーを注いだ。
なつみさんとの出会いにきっかけをもらい、
連絡先を聞き、1通の手紙を送る勇気が、大きな一歩となった。
立ち上げ期に人の輪が広がっていくことは嬉しかった。
仲間が増えた気がして日々の生活は充実したとも感じた。
自分の視野はさほど広がらなくても、
人脈は多岐に拡がりを持ち、多様性に触れることで自ずと世界は拓けた。
しかし、なつみさんがいなくなってからの交流会の運営は苦労ばかりだった。
時間が経ち、規模が大きくなるにつれて課題は顕在化するものだ。
分かれ道はほんの少しの角度の違いであっても、
行き着くところはだいぶ違うところになる。
秩序と混沌との狭間で、
多様性の大きな海の中で何度も波に飲まれ、そして溺れた。
不器用な私はそれを賢くやり過ごす振る舞い方を知らず、
何度も心がくじけそうになった。
堅物の自分がいない方が、みんなが幸せではないだろうかと、
自分を卑下して逃げ出したくなる日々もあった。
それでも最後まで走り続けた。
そして、今日、多くの交流会のメンバーが来校してくれて労ってくれた。
交流会がきっかけでカップルになった者は感謝をしてくれたし、
やらされ感のあった生徒会活動に希望の活力を見出せたという者もいた。
参加してくれたメンバーがこの交流会を通して、
それぞれの青春を刻んでくれたことは私にとっても何事にも変え難い手応えとなった。
くじけなくてよかった、逃げ出さなくてよかった。
そんな感情が沸々と何度も繰り返し私の心を突き動かし、涙腺を益々緩ませた。
なつみさんは私に寄り添い続けてくれた。
私にとって文化祭は終わり、
そして交流会も次の世代へバトンを渡す。
私の夏は終わったのだ。
第10章 告白 へ続く
1.パフォーマンスa
まるのんPFは年初来で +3.4% となりました。
前週比は +2.4% で推移しました。

今週は少し回復。
といっても年初水準からほぼ変わらずですね~
2.全体所感
今日は日銀の会見もありますが、
概ね景気動向への見通しは海外リスク等に注視が必要だが、
長い目線で見れば国内景気は緩やかに回復基調にあるという認識のようです。
さすがに個人消費とかが足元で弱いとは認められつつ、
しかし長い目線で見れば懸念はないということですが、
さすがに無理があるんじゃないかな、なんて思いながら聞いておりました。
で、マクロのこととか考えてもよくわからないですし、
日々の株価動向のトレンドなど、ほぼ雰囲気で上に下にいっていることでもあるので、
そういった面には無心でありたいな、と思っています。
私は指標面で見ても株式相場は決して高くないと思っている旨は、
先週もここにも書きました。
株式相場が崩れて下がって欲しいとも思っていないのですが、
ただやはり指標面で見たのとは別に、漠然と先行きは増税や海外リスク、
また国内の消費も春闘などみていても先行きは冷え込まないかな、と心配にはなります。
そんな中でみんなが不安に思っているとなかなか下がらないものなのかもしれませんが、
案外株価は堅調に推移していますね。
出来るだけニュートラルにありたいと思うので、先行き上か下か、というのは、
予測できないししないわけですが、どういう局面が来ても自分のスタンスを崩さず、
楽しく投資を続けられればいいかなと思います。
3.ポートフォリオ
本日時点のポートフォリオ内訳は以下の通りです。

ソーシャルワイヤーを買い増ししており、中位となっています。
保有銘柄の週間騰落は以下の通りです。

エイジアが強いですね。年末の安い所からようやく回復しつつあるようです。
ソーシャルワイヤーは今週は結構弱かったんですね。
今週の同社の下落幅は結構大きかったんですね。
四季報に来期も横ばいということで、足踏みなんて書かれたからですかね(笑)。
保有銘柄の各指標は以下の通りです。

ポートフォリオPERは12.6倍と先週に比べて上がりました。
Hameeの下方修正とソーシャルワイヤーの買い増しによりPERも高い方へシフトしました。
4.個別銘柄トピックス
保有銘柄の中で、
個別にトピックスがある銘柄について、コメントを残しています。
なお、株価の動きを踏まえた率直な思いも適宜メモしていきます。
■ステップ
国公立大学の合格者が出ています。
人数だけみると昨年より少ないですが、まだ後期の試験があるでしょうから、
もう少し積み上がる感じでしょうか。
■東鉄工業
新型レール削正車発進式が執り行われたようです。
東北新幹線管内に導入されるようですね。
頑張っていっぱい工事進めて下さいませ。
■コンドーテック
品質保証室を新設するそうです。
こういう業種って規格に適合しているとか品質に係る部分は大事ですからね。
でもなんでこのタイミングなんでしょうかね。
■イオンディライト
日経新聞の観測記事で業績に関する記事がありました。
売上はほぼ計画通り、利益は若干ショートということで、まぁ想定通りでしょう。
来期も増収増益基調ということですね。
自販機事業が課題ですが、来期、どうなるでしょうかね。
足元ではだいぶ底はみえた感はあるという感触でしたけどね。
■ソーシャルワイヤー
asagake collaboの取り組みの第一号の事例がリリースされています。
イノベーティブな活動は全く異なる分野が交わると創出されますが、
そういう機会ってなかなかないですからね。
こういうコラボ機会が創出できると、とりわけ同社の顧客層とのマッチングもよさそうですよね。
■Hamee
決算精査記事をUPしています。
IRにも照会しましたが、懇切丁寧に対応頂けました。
【決算精査】 3134_Hamee(19年4月期_3Q決算) https://t.co/kmYYn2qERX
— まるのん (@marunon_invest) 2019年3月15日
それから各モールで色々賞を取ったようですね。
それから新規ビジネスの開拓に係る役員を執行役員に昇格させるようです。
えぇ、どんどん開拓していってください(笑)。
5.資産状況
資産の状況は以下の通りです。

特にコメントはありません。
6.雑記
四季報きましたよね。
今回こそはきちんと読もうと思っていても、結局漫然となってしまうのですよね
でも読んでいる時間はとても楽しいです。
でももっと楽しいことも他にもあるので、うまくバランスを取りながらやっていきたいです。
以前は徹夜して読み込むとかやってましたけど、
冷めたもんですよね~(笑)。
でもこれくらいの肩の力の入れ方がちょうどよいのかなとも思っています。
【決算精査】 3134_Hamee(19年4月期_1Q決算)
■銘柄分析シート
PDFファイルリンク
(リンク)決算説明資料
1.サマリ
総合評価:「3」 (☆☆★★★)
※総合評価は5がポジティブ、3がニュートラル(想定通り)、1がネガティブの5段階レーティング
iPhone商戦が冷え込む中で、2Qまでの不調が挽回できずに下方修正に至っています。
もちろんそれ以外にプラットフォーム事業でも先行投資が続いています。
サーバー補強のコストやサポートに係るコストなど、
成長と共にリソースを拡充しないとならない中で、
急速な成長を志向していることもあり、
コストも段階的というより一気に投下せねばならない状況が余計に減益要素になっています。
2Qで減益後、株価は一気に急落して株価は半額になっています。
そしてレーティングの目標株価もほぼ半額になっています。
さぁ皆さん冷静になりましょう(笑)。既に目標株価に接近していましたから、ここで終了ですね~ https://t.co/aZss6JqbQ9
— まるのん (@marunon_invest) 2019年3月15日
コマース事業はセグメントでみるとかろうじて増益基調を維持していましたが、
当3Qで減益に転じました。(前期3Q 550→今期3Q 548)
売上は増収ですが、利益率が0.5%マイナスとなっている事が要因で、
これは海外での販売が増えていてポートフォリオが変わっているためと理解しています。
今後、海外展開をより広げていくために要員リソースを更に拡充していくようですね。
iPhone商戦が今後どうなるかわからないのですが、
今期のように国内では比較的顕著に影響が出てしまう、
とりわけ卸なんてすぐに在庫滞留とか、
今回のように逆に物流の問題で欠品となったりでゴタゴタもありますが、
今後は成長というより成熟している感はあるのかなと思います。
その中で、地域や商材力を高めるなどによって、あるいは認知度を上げることにより、
じわりとベースになっていってくれればいいのかなと思います。
そもそもこのセグメントにはあまり期待していないので、数値面でも、
まぁいいんじゃないでしょうか、くらいに捉えています。
プラットフォーム事業は大幅な増収増益となっています。
全社の中ではまだ存在感が小さいセグメントですが、
こちらの成長を期待しています。
プラットフォームを一気に展開するために、
サーバー等のコストを一気に投下すると共に、
サポートも体制、コンサルによる販促コストなど、
様々な費用を纏めて投下しています。
加えてまだどうなるか全く理解できていないHamicBearに係るIoT事業への
先行投資もまた結構な額になっています。約1億強ですからそれなりに影響あります。
同社の置かれている状況はまさに予断を許さない状況ではありますが、
一方で環境の話や課題も成長戦略もとてもわかりやすいとも思っています。
今回は保守的に見積もった予想を下方修正するに至り、
その意味では残念ではありますけど、
逆に変にコストコントロールして経営判断がぶれるよりはよいのかなと思います。
そもそも財務を痛めるような赤字になるような事態では全くありませんからね。
株式市場は決算後、失望されていたようですが、
私は上記の通り、残念な気持ちはないとはいいませんが、
プラットフォーム事業の拡大は色々先行コストが生じる中で、順調だと思います。
外注費などでみえない部分でのコントロールが求められる点など、
目が行き届かなくなるリスクなどはマネジメント上、生じ得やすくなるとは思いますが、
今のところ、いい具合に進捗していると思います。
総合評価は「3」(想定通り)です。
2.定量数値の確認
(1)売上・利益の状況
■売上-粗利率

売上はコマース事業が繁忙となる3Qがもっとも大きくなります。
その意味で増収となっているのでいいです。
ただ、実はコマース事業の増収は3Q期間では僅か+2.4%です。
一方でプラットフォーム事業が+37.7%の増収となっておりこちらが牽引しています。
粗利率は3Q累では51.0%、3Q単では52.3%と比較的粗利率は好調です。
■販管費

販管費率は引き続き高水準です。
この辺りは内訳も決算説明資料にもあり、人件費や外注費など
体制を強化しているが故に投下しているもので要因ははっきりしています。
今後、この投下コストが収益化するかを注視せねばなりませんね。
■営業利益

営業利益率はなんとか10%台を維持していますが、
やはり投資期にあるので前期に比べると3-4%程度下がっています。
(2)今期予想について
修正後のガイダンスを比較すると4Qでだいぶ落ち込む計算になります。
売上 : 2,366百万円
営業利益: 144百万円(利益率6.1%)
これは前期比で+1.8%の増収、▲57.9%の営業減益となる見込みです。
その想定は懇切丁寧に解説されていますが、
4Qのこの減益幅はちょっと驚きますよね。
来期以降も大丈夫か、と心配になるレベルです。
3.定性情報の確認
この後IR照会の箇所でコメントも記載しました。
変化が激しく先行きが読みづらいという点はありますが、
投資先としては面白いなーと思っています。
株価の騰落みているとそんな呑気な事を言っていられませんけどね。
4.その他情報の確認
(1)株価推移の状況

株価の下がりっぷりが凄いですね。
絶賛含み損状態ですがこういう銘柄は需給が冷え込み売られやすいということで、
普通に考えたらショートしたい感じの銘柄でしょうか。
まぁのんびりやりますよ~。
(2)IR照会の状況
IR照会を実施しています。
今回はご担当の方でしたが、しっかりした方でした。
以下メモを残しますが、
あくまで私の主観に基づいて記載しており、
私の認識齟齬や事実と異なる点がある可能性があります。
また会社からの指摘を含めて不都合があれば即時に記載を取りやめます。
■コマース事業について
・iPhoneXシリーズは引き続き軟調な動き
・iPhone8は2Qまで好調だったが3Qでやや失速
・その分、Huwai等アンドロイド端末へニーズがシフトしている
・国内では今後機種の買い替えサイクルが伸びることも想定済
→iFaceに依存した収益モデルではなく、
商材をAndroid対応すると共に、様々なキャラクターやデザイン性を追求し、
自社企画商品のリリースを頑張ることで利益率確保・改善を目指す。
とりわけ女性デザイナーの季節感を持った商材などで、
買い替えやセカンドニーズなどへも対応していく考え。
・海外はキティーモデルなどキャラクターとのコラボで米国現地小売りでヒット
・現状ではアライアンス製品が多くポートフォリオ構成から利益率が低位となり下方要因
→現地の商習慣の兼ね合いできちんと納品できる体制などが評価され信用が高まる。
今後は自社企画商品もMIXさせる余地が出てきており、
こういった商材を展開できると現地での利益率改善にも寄与できると考えられる。
(現地での拡販のために人的リソースも要するため、決して楽観はできない印象。)
・そもそもAndroidでのiFaceに依存しない商材展開といっても
アクセサリー市場はレッド―シャンの認識だけど。
→エレコムが全体の3割強をとっており、Hameeは1割弱。
残り5割強にまだ余地はある。ただ障壁が低いことも事実なので、
自社企画商品でエッジの利いた商材を出すことが大事と考えている。
機種変更のサイクルが伸びたとしても、季節性のあるケースや、
特に女性向けにファッション性に富んだ製品でヒットを狙っていきたい。
(まぁここは結局レッド―シャンの中で戦っていかざる得ないのだろうという印象)
■プラットフォーム事業について
・サーバーコストについては今後も比例的に要するのか。
・規模の経済で、利用者が増えていく中でコストは抑制できる構造にはならないのか。
→現在、クラウド化への移行も進めており、ほぼめどがついた。
従来のサーバーはレンタルサーバーで設備やスペックが古かった部分もあり、
今回5000社を視野にしたクラウド基盤への移行投資もほぼ終えてきている。
一種の先行投資のような部分もあり、今後は抑制されていくように見えると思う
(クラウド化への対応がほぼ完了したというのは、初耳でした(どっかに書いてありましたっけね))
・コールセンター業務の引継ぎによる無駄なコストや、
要件を収集する部分でのコミュニケーションロスによる機能改善等への影響について
→コールセンターへの移行は順調に進捗している。また、現地小田原での対応を行っており、
Hameeも常駐することで、顧客の声やクレーム、要望などを収集できる体制は万全を尽くしている。
そもそも、同社のコマースで運営しているECノウハウも還元されているので、
この商品力を武器になっていると認識している。
(コールセンター業務をより自動化するなどして定型的な部分を効率化する要素はまだ課題もあり
その部分は今後の収益性向上の要素にはなるかなと感じた)
・セグメント利益率が落ちているのはリソースの拡充のためと理解しているが、
今後利益率はどういう方向になるのか。サーバーなどのインフラ投資が落ち着くことで改善するのか、
あるいは更に販促コストなどが嵩み悪化しているものなのか。
→詳細は期末時に中計開示予定でそこで蓋然性のあるものを示したい。
ただ、例えば、現在実証実験を終えてローンチしているリコメンド機能(顧客の売上UPの施策)などは
その後の引き合いも強く、今後有償化なども含めてどうやって価値に対してマネタイズするかを
議論している。そういった高付加価値化に伴う利益率改善は当然視野に入れている。
■その他
・自己株買いがなぜ1週間後から?何か重要事実でも出てくるのか(笑)。
→そんなことはなく、一時的に株価が騰落する局面が想定されるので、
敢えてそこで刺激を与えるようなことをしたくなく、少しの間をおいて、
中長期目線での投資を促したい思いだった。
(これがそれに寄与するのかよくわかりませんでしたが、まぁ実直な会社なのですね)
・株価下がってるけど、社内どんな感じか。
→社長以下、責任を痛感している。これまでコマースでとりわけiFaceに頼った経営になりがちだったが、
より危機感をもって成長をしていくために、
リソース投下して成長エンジンであるネクストエンジンをよりよくしていくことに
邁進したいと考えている。それを実現していくことが肝要であると捉えており、
中長期で応援してもらえるように中計開示も含めて理解を促していきたい。
・長期投資へ報いるために優待やIR開示の姿勢などより足を踏み込んで検討してもらいたい
→ありがたい意見。社長以下真摯に株主に向き合いたいと考えている様子。
今回の修正も底が見えた段階でぎりぎりに出すのではなく早期に出したいという意向。
(3)セグメント別状況
既にふれていますが、コマースが軟調で、プラットフォームは好調ですが、
とはいえ、全体の比率の低さや、先行投資影響もありマイルドになっている部分もあり、
全体として減益がきつい状況ですね。
(4)ネクストエンジン契約数
1月末時点で3511社です。
10月末時点で3440社でしたから順調に増えています。
やや鈍化しているようにもみえますが、
きちんとコメントも入っています。
過去四半期末時点の推移です。
2797→2896→2969→3095→3259→3440→3511
こちらも会社開示の決算説明資料にわかりやすくグラフ化されています。

※会社開示の決算説明資料から抜粋させて頂いております。
(何か問題が生じるようであれば画像引用は取り下げます)
5.さいごに
初めて参加できるかもしれませんが、
今から株主総会が楽しみです。
私のリスク許容度からはなかなか本格的に買うのは難しいのですが、
これからチャレンジしていく様子を応援していきたいと思います。