投資方針に忠実に退屈な投資で資産形成

トーカイの決算が開示されています。
noteの記事にUPしておりますので、リンクを貼っておきます。
以下の画像よりご参照下さい。

内容としては特に変化もない決算ですが、
増税による薬価改定の影響で調剤全般にどういう
影響が生じてくるのか注目しています。

介護や医療などの現場に近い所で安定的な業績を期待している一方、
先進的なソリューションの導入に期待をしているところですが、
このあたりがなかなか動きがみえてこない所が、
もどかしいですね。

なお、ヘッダーの金神社はトーカイの拠点でもある
岐阜市内にある金運の神様が祀られている神社です。

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【決算精査】 9729_トーカイ(19年3月期_3Q決算)

■銘柄分析シート(表紙)
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■銘柄分析シート(詳細)
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■銘柄分析シート(事業モデル)
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1.サマリ
総合評価:「2」 (☆☆☆★★)
※総合評価は5がポジティブ、3がニュートラル(想定通り)、1がネガティブの5段階レーティング


MAの効果もあり売上高は引き続き過去最高を更新しています。
一方で利益は2Qまでの状況と同じで減益が続いています。

2Qまでの状況を個人的に見立てた際に、
今期はMAX10%程度の利益未達を想定しているところですが、
その状況も引き続き同じ状況です。
ただ、実際には10%までは掘らないかもしれませんね。
(あくまで私が皮算用しているだけで、会社は通期予算は据え置いています)

調剤については、トーカイだけでなく、
どの会社も苦戦していますが、その背景も明確です。
ただ、とても厄介な事に変わりはありません。
国策として乱立する調剤はけしからん、はこれからも続くでしょう。
また、薬価の扱いについては製薬の研究開発の領域にも議論を巻き起こし、
そして流通面においても様々な課題を孕んでいるようです。

こういった様々な背景を踏まえて、規制対応の点数稼ぎや、
課題への対処をいち早く取れればいいのでしょうが、
では目先の規制や様々な動向へきめ細かく対処していくことが
本当に長期的な価値向上に資することなのか、
とはいえ、そこに対応していかないと経営成績が出ないということで、
経営としては難しい所なのではないかなと素人ながらに思います。

手をかけてもそれが点数にならなければ、
仮に患者さんに受け入れられても投資家には受け入れられない。
難しいな、と改めて思います。

健康生活サービスの中で同社の基軸とは少し離れるクリーニング設備製造は
落ち込んでいるようですが、病院回りの事業は好調のようです。
また環境サービスも前期に一過性のコストが生じていたこともあり利益は大幅伸長です。
そして大きく足を引っ張っているのが調剤ということで、
まぁある意味わかりやすい決算かなと思います。

この事業期間では引き続きMAを駆使しながら規模拡大を目指していますが、
なんにせよ調剤がなかなか回復してこないと、
大幅な人材投資(採用や処遇改善)を吸収できないわけですね。

決算の評価としてはやはり引き続き計画に対して
出遅れ感が拭えないのかなという感覚です。
従って総合評価としては「2」(ややネガティブ)です。
ただ、個人的には既に控えめに見ているところからみれば、想定通りなんですけどね。


2.定量数値の確認


(1)売上・利益の状況

■売上-粗利率
9729_トーカイ(19年3月期_3Q単)売上ー粗利率費推移

売上は累計で+6.2%の増収、3Q単でも6.6%の増収です。
セグメント別にみると、健康生活サービスと環境サービスが2桁増収ですが、
特に主力の健康生活サービスが+12.2%の増収となっています。
環境サービスは母数が小さいですから全体への影響は限定的ですね。

そして調剤は2.6%の減収となっています。
これが響き、全体では増収率は1桁となっています。
MAの効果もあれど、順調に規模自体は大きくなっていると思います。

そして粗利率ですが、実は前期と変わらない水準なのですね。
粗利率は3Q累計で24.3%となっており、これは前期とぴったり同じです。
3Q単でも前期比でぴったり同じです。

有報によると原価構造は材料費2、労務費2、外注費4、経費2といった具合です。
仕入コストが上がるとか労務費や外注費があがるなどありますが、
増収効果もあってうまく維持出来ているのだと思います。



■販管費
9729_トーカイ(19年3月期_3Q単)販管費推移


販管費率は18%台で推移しており、3Q単でも18.2%となっており、
前期比で1.1%上昇しています。
販管費の構造はほぼ人件費ですから、薬剤師など新規採用に加えて、
処遇改善をしていることもありますし、
新規分野への投資もあることから、全体として販管費が嵩んでいるということでしょう。

予算作成上、人材を始めとした投資により販管費が増える事は想定していたと思うので、
予算上はやはりトップラインが足りないということになるんでしょうかね。
本来であればもう少し調剤で規制対応の効果に加えて、
調剤領域における各ステークホルダーとの間でもう少しうまくやれるということだったのでしょう。
これはトーカイの経営というより、やはり業界の問題でもあり、
根が深いのかなと思います。

トーカイとしては粛々と人材育成を行って、
現場をよくしていくこと、また規制対応に向けて出来る部分をやっていくということで、
頑張っているのだと思いますが、まぁそんなに一筋縄ではいかないのでしょうね。


■営業利益
9729_トーカイ(19年3月期_3Q単)営業利益推移

粗利率が変わらない中で、販管費率が向上しているため、
営業利益率も下落しています。

通期予算の営業利益率も6.2%となっており、
確かに3Q累計で5.9%となっているので、
実はそこまで乖離をしているわけではありません。
とはいえ、この規模での売上だと0.1%の違いでも1億以上利益は動きますから、
ばかにはできないのですよね。


(2)今期予想について

今期達成のための4Qのハードルは以下の通りです。
あくまで私の妄想に基づき勝手な皮算用であり、
会社予想はあくまで通期予算の見通しを変えておりません。


売上    : 29,719百万円
営業利益 :  2,046百万円(利益率6.9%)

前期の4Q実績は以下です。

売上    : 27,272百万円
営業利益 :  1,810百万円(利益率6.6%)

というわけで、前期比でみると、9.0%増収13.0%増益ラインとなります。

3Q単の増収が6%程度ですから、MAの寄与などでどこまで4Qで入るのかなど
詳細をろくに確認はしていないのですが、
9%程の増収は少しハードルが高い気もしますが、
まったく無理でもない気もします。

ここでは多少3Q単より伸びて7%程度の増収で皮算用してみます。

ざっくり売上は1,160億程度でしょうか。
その際の営業利益率は販管費の構造が変わらないこともあり、
多少コスト圧縮でリカバリをかけたとしても6.3%程度でしょうか。
すると営業利益は4Qで1,840億となり、
累計では70億にぎりぎり手が届くかどうかとなります。

ちなみに、この試算ですと未達率は3%程度で済みます。


ただ多少保守性を持った見立てとなると増収率は5%程度でみます。
というのも、過去数期の増収のトレンドをみると、
やや4Qでの伸びが抑制されるような気がします。
また利益率も人材投資の状況は変わらないことから、
4Qだけ利益率が上がるという構造も強い論理性がありません。
営業利益率は6.0%程度でみます。

すると売上は1150億、営業利益は69億弱となります。
この場合の未達率は5%程度でしょうか。


まぁ皮算用なのですけどね。


3.定性情報の確認

事業モデルを図解化しています。

9729_トーカイ(19年3月期_2Q)事業モデル

特に変更はありません。


4.その他情報の確認


(1)株価推移の状況

9729_トーカイ(19年3月期_3Q)株価推移

株価は減益の割には堅調ですよね。
不思議なものですね。



(2)IR照会の状況

今回は現時点でIRへは照会していません。
また必要に応じて照会を行い、
ここにメモを残せるものがあれば追記したいと思います。
あくまで私の主観が入りまくった私見に脚色されますけどね(笑)。



(3)セグメント別状況

前述の通り、健康サービスと環境サービスは問題ないでしょう。
調剤も問題はないのですが、今後の対応が気になります。

そして新規事業の部分は気になるのですが、
特に言及がありませんね。

投資家としてはベースの領域も大事ですが、
まだ数値には出てきていないかもしれませんが、
ウェアラブルの事も含めて新規の展開や研究開発の活動についても
もう少し言及してほしいなとは思います。
それが投資家にとっては、とりわけ長期投資には夢を抱くネタでもありますからね(笑)。


5.さいごに

今年の総会もいきたいのですが、
集中日だとどうしても地方なので行かれなくなるんですよね。
あの総会の雰囲気は嫌いでないので、今年もいけるといいのですが・・・。




【決算精査】 9729_トーカイ(19年3月期_2Q決算)

■銘柄分析シート(表紙)
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■銘柄分析シート(詳細)
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■銘柄分析シート(事業モデル)
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1.サマリ
総合評価:「2」 (☆☆☆★★)
※総合評価は5がポジティブ、3がニュートラル(想定通り)、1がネガティブの5段階レーティング


1Qより減益幅は縮小していますが、
増収は維持して過去最高を更新しています。

同社は人材不足の環境下においても、
積極的に人材採用を行いながら、処遇改善を進めたりする中で、
人件費がどうしても重くなり、特に今期は利益面で苦戦をしています。

また利益を押し下げているもうひとつの要因は調剤事業です。
当事業では、今年から報酬改定を含めた様々な逆風環境の中で、
大幅な減益という痛みを伴い推移しています。
当然ながら、新店や技術料向上へ向けた取り組みはもちろん、
訪問調剤を含めた地域コミュニティ参画などを通した
規制動向への対応など自社で取り得る努力は進めているようですが、
急激なお上の声には抗えず、
当面はそれに対応していくことを余儀なくされています。

この辺りの影響は当初の想定していたよりも、
更に厳しい面があることも感じられ、
今期の進捗という部分にだけ目を向けると、
やはり決算としては数値がビハインドだなという印象は拭えません。

一方で中長期的な視点で見たときに、
同社の扱うヘルスケア全般の分野というのは
今期苦戦を強いられているようにお上の鶴の一声で収益は振らされてしまうものの、
事業としての需要や意義はとても深いものを感じています。
またいわゆるヘルステックのような技術革新にもスピード感は遅いものの、
自社と懇意にしている病院や先生などと取り組みは一歩ずつ進めています。
同社の事業が介護事業や調剤薬局に対する規制動向によって、
その時々の業績に凹凸が出てしまうのはひとつのリスクではありますが、
私の場合、今期の業績達成可否に賭けて投資をしているわけではありません。
これは綺麗ごとかもしれませんし、実際それでは儲からないのかもしれませんが、
投資判断を下した時に、当分野の有望さと実直な経営を好んで投資をしています。
投資は投資前提が崩れない限りは出来るだけ一貫性を持っていたいですから、
このような外部圧力の影響で一喜一憂せずに応援したいと思っています。
(もちろん資産管理の一貫でそこまで比率を割けないわけではありますが)

というわけで、私個人の心証としては、
まぁ規制動向など影響を受けて厳しいのは仕方ないし、
今は重くなっている人件費も徐々に付加価値をより高めてそれが数値になって
現れてくれればいいなというくらいいい加減な展望です。
しかしながら、決算の評価という面でいれば、
やはり様々な状況を鑑みると業績達成が危ぶまれる状況ですから、
総合評価としては「2」(ややネガティブ)となります。

場中決算でしたので、開示後、どうなるかなと見ていたのですが、
案外下落せず踏み留まった感じですね。
週末にきちんとエクセル叩き、
未達を許容できない立場の投資家(それはそれで立派な判断だと思います)から、
更なる売りが出て一旦収束でしょうか。
(未達であるかはわかりませんよ、もちろん。リカバリを真に期待しています!)
株価の動向は全くわかりませんが、
私は自分のしがない拘りをもって、同社を応援したいと思います。



2.定量数値の確認


(1)売上・利益の状況

■売上-粗利率
9729_トーカイ(19年3月期_2Q)売上ー粗利率費推移

売上は5.9%の増収となり、通期進捗率は49.2%となります。
同社は1Qのレンタル資材の展開や調剤の新店などで
若干下期偏重です。過去の水準からみるとなんとか、
売上は計画線の範囲内で推移しているのではないかと思います。
また、粗利率は昨年とほぼ同水準の24.4%を確保しています。
原価要素の約4割程度が外注費であり、
この部分の人件費を含めた経費も高くなっていると思うのですが、
売上と粗利だけみているとそこまで出遅れ感はないように思えます。


■販管費
9729_トーカイ(19年3月期_2Q)販管費推移

販管費は過去の有報からほぼ人件費です。
そして薬剤師などの増員もある中で販管費が急増しています。
過去は年比較でだいたい数億円程度の増加だったわけですが、
今期は前期に比べて2Q累計で12億超の増額となっています。
これにより増収効果はあれど販管比率は+1.2%となっています。
2Q単計でも+1.4%とその比率は増勢となっています。
粗利益ベースではそこまで出遅れ感がなかったわけですが、
販管費、すなわち人件費が大きな重荷となっていることがわかります。
本来であれば、この人件費上昇をカバーするだけの
トップラインが稼げれば増益基調になるわけですが、
規制政策の動向などもあり、どうしてもそれが叶わないということで、
予想も実績も減益となっているわけです。


■営業利益
9729_トーカイ(19年3月期_2Q)営業利益推移

営業利益は当然販管費の増勢に伴い、利益を圧迫しています。
営業利益率は2Q単計で6.3%となっています。
1Qの5.5%より改善していますが、いずれにせよ前期より悪化しています。
2Q累計の営業利益率は5.9%で前期の7.0%より下落しています。
ただ、業績予想の営業利益率は6.2%ですから
元々低くなることは一定程度は考慮されています。
なお過去2期の進捗率は概ね50%程度です。
今期は47.1%となりますからやはり苦しいでしょうか。
ただ、前々期より前は45%程度の進捗率のときもありましたからね。



(2)今期予想について

今期達成のための下期のハードルは以下の通りです。

売上    : 59,407百万円
営業利益 :  3,805百万円(6.4%)

前期の下期実績は以下です。

売上    : 55,117百万円
営業利益 :  3,813百万円(6.9%)

というわけで、前期比でみると、7.8%増収0.2%減益ラインとなります。

進捗率の面からみると、売上は49.2%、営業利益は47.1%となります。
前期が各々49.6%、50.1%、前々期が49.5%、49.8%ですから、
まぁ売上は射程圏ですが、利益はやや苦しい印象でしょうか。

ただ前期は調剤の改定前の状況での実績であり、
それが多少落ち込むとしても6.4%の利益率は、
今の状況を考えるとなかなかのハードルだと思います。

3Qを見ないとわかりませんが、
下方修正まではわかりませんが、
私としては未達を覚悟すべきだと感じます。

皮算用となりますが、下期の利益率5.8%で売上も1%程度未達として
概ね営業利益で計画比10%程度の未達を計算しておきます。

ただ、あくまで今期の着地としてはだけで、
今後のEPS成長の基軸は現時点ではこれまでの見込みを踏襲したいと思います。

ですので、決算精査資料のP1の独自予想を会社予想より下方修正しています。

もちろん、会社経営としては一生懸命やっていることなので、
私はそれには期待をしていますし、頑張ってもらいたいとは思っています。
あくまで自分のリスクの受け止めとして冷静にそれはそれで受け止めるために、
皮算用をしています。



3.定性情報の確認

事業モデルを図解化しています。

9729_トーカイ(19年3月期_2Q)事業モデル

改めておカネの流れを追うと、
原価項目は外注費が多数を占めており、
またここには表記出来ていませんが、販管費の大多数は人件費です。
こうやって図解化してみると色々自分の無知が露呈しますね。。。


4.その他情報の確認


(1)株価推移の状況

9729_トーカイ(19年3月期_2Q)株価推移

株価は横ばいでしょうか。長い目で見れば緩やかに上昇していますけどね。


(2)IR照会の状況

IRにお電話させて頂きました。
なお、いつものことですが、見聞きした内容はあくまで、
私が主観的に捉えたことを脚色してメモとしており、
事実と異なる可能性があります。
ですので、あくまで私個人の妄想としてご参考程度として頂ければと思います。
また、当メモ記載にあたっては、諸々の事情に配慮をしているつもりですが、
なんらかの支障をきたすなどの事情が生じた際には、
即座に公開を見合わせます。



健康サービスの利益率について、1Qから向上しているものの、
2Qはセグメント利益率が10.6%となっている。
これは前期、前々期の12.0%水準に満たないが何か理由があるか。


人件費が重荷になっているということもあるが、
それ以外に、レンタル機器の仕入れコストが期初に発生するために
1Qの利益率が相対的に低く、その資材が売上化していくことで、
下期に向けて売上が立っていくので、期が進むと改善するといった中で、
その仕入れコストの計上が1Qと2Qで期跨りになることもあり、
今期は結果としてこのようなバランスとなっている。
全体でならすと計画通りの状況で推移していると認識している。


調剤薬局の利益減が通期予想に対する遅れにも現れているように思えるが、
当該要因への対処としてどのようなことを考えているか。


ジェネリックの処方や訪問調剤の取り組み、技術料の加点が狙えるような体制を構築し、
営業部隊と一体となってやっていくことに尽きる。
規制に対応していきながら、しっかり対応していきたい。
(一部やり取りの記載を割愛)


これまで業績達成可否の状況に応じて、予算達成のためのコストカットとして、
従業員の方の給料(ボーナス)などを大幅にカットするような政策を取ったことはあるか。


これまで記憶によるとないと思う。
もちろん、ボーナスなど業績連動となる部分もあるため、
若干の浮き沈みはあるものの、大胆なカットというものはなかったと思う。
予算達成は必達であるという認識はもちろんだが、
中長期的な視点で人材確保や定着が大事だとも考えている。


当局発の外部要因としての影響で同社だけではコントロール出来ない部分と、
それを踏まえて自社内でマネジメント出来る部分があります。
前者はどうしてもやむ得ず数値にも顕在化してしまう部分もありますが、
後者は長期的に見た時に同社の優位性を築いていくためには避けられません。
改定の政策動向に対して、加点を得られるような様々な取り組みが
どのように進捗しているか、
いわゆる自社内のマネジメントの事は質問が出来なかったので、
今度は機会があればこの部分の勉強をさせて頂こうと思います。

改めて、毎回とても親切なIR対応に感謝です。
こちらが不勉強なことでも懇切丁寧に説明頂けるので、
本当に助かりますし、良きも悪きもきちんと語って下さるので、
投資判断を下していく上で、納得感もより高まりますからね。


(3)セグメント別状況

セグメント毎の状況としては、健康生活サービスは強いですね。
介護レンタルやリネンなど堅調なのでしょう。

調剤は2Q単でのセグメント利益率が4.5%と
だいぶ落ち込んでいます。
このあたりの改善はすぐには改善出来ないだろうなと思う所ですが、
ある程度規制の動向などでこのようになることは想定しているわけなので、
様々な難題に対処をしていく事を応援したいと思っています。

環境サービスは1Qが好調だったところから見ると息切れ感もありますが、
ただ、それでも2Qも好調を持続しているように思えます。

やはりセグメント別にみると、調剤が課題ですね。


5.さいごに

調剤の改善は様々な面で収益性の回復が遅れている印象ですが、
この辺りは状況もよく見通せる状況です。
同社の悪さではなく、当局の対応や業界への逆風が影響している印象です。
地域の方は調剤薬局は必要としているわけですし、
求められるような店作りをしてヘルスケア企業として頑張っているわけですから、
私もその流れが大きく逸脱する、自社の悪さが露呈しない限りは、
応援していきたいと思います。
こういうことではまた株価調整にお付き合いしてしまうのかもしれませんけどね。
でもいいんですよ~。



【決算精査】 9729_トーカイ(19年3月期_1Q決算)

■銘柄分析シート(表紙)
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■銘柄分析シート(詳細)
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1.サマリ
総合評価:「3」 (☆☆★★★)
※総合評価は5がポジティブ、3がニュートラル(想定通り)、1がネガティブの5段階レーティング


事前に調剤薬局を展開する各社の決算を横目で見ていて、
その大幅減益ぶりにげんなりしてその甚大さを改めて実感していました。
報酬改定と薬価改定の同時試行の影響は不可避であり、
トーカイにおいてももう覚悟はできていました。

内容については、調剤サービス事業で減収減益となりましたが、
各社が大きく減らす中で、3%程度の減収にとどまり、利益も3割程度の減で
持ち堪えた印象です。
3割減益ってそれなりに目が回るわけですが、
事前の覚悟もあり案外すんなり受け入れれました。
ここは原因も取るべき行動もはっきりしていますし、
本決算時の決算説明資料から読み取れる計画値からも、
違和感があるものではないので、徐々に対策がなされて、
点数などの要件を満たせるように対応されていくことを期待するだけです。


売上面でこの調剤薬局の改定影響による下押し要素を
はねのけて増収としたのは健康サービス事業の貢献です。
環境サービス事業も伸長率からすれば貢献していますが、
額面ではまだ軽微な範囲で、メインは健康サービス事業の貢献です。
介護用資材のレンタルなどがメインで同社のメイン事業でもあり、
そこの売上が好調なことは安心材料です。
MAの効果もありますが、2桁の増収となっています。
一方で人件費や資材費などの高騰もあり、利益面では微減で横ばいです。
資材費は当然、レンタル需要が広まれば、それを準備するための
初期コストが嵩みますからコストも先行してくるでしょう。
需要が大きいが故に、イニシャルコストを要するというのはやむ得ないと思います。
一方で人件費の高騰は、元々計画上も利益の下押し要素として、
あらかじめ明記されていたこともあり、特段驚くものではなく、
最近のトレンドなのですが、この人件費の高騰が単に社外の委託費による
キャッシュアウトの増加で垂れ流しているのではなく、
自社内の人材面の手当や従業員への還元によりモチベーションを高める
正のスパイラルに乗せられている活動であれば嬉しいなと思います。

調剤薬局の政策動向への対処はもう少し時間を要するでしょうが、
足下ではまずはなんとか持ち堪えているという印象ですし、
健康サービス事業では環境は好調で需要も多いことはわかります。
以上のことから、特段ネガティブな要素もポジティブな要素もなく、
概ね会社見通し、また私の見通し通りに推移していると考え、
総合評価は「3」(想定通り)となります。



2.定量数値の確認


(1)売上・利益の状況

■売上-粗利率
9729_トーカイ(19年3月期_1Q)売上ー粗利率費推移

売上は調剤サービス事業の改定影響はあったものの、
健康サービス事業などで挽回して増収です。
そして粗利率も前年より24.0%と過去期の水準で推移しています。



■販管費
9729_トーカイ(19年3月期_1Q)販管費推移

販管費が初めて四半期単位では50億を超過し53億水準となっています。
販管費率も急伸しており、このあたりが利益の下押し要素に影響しているように思います。
人件費の高騰は主に原価要素だと思っていましたが、
粗利率はそこまで変わらずだったので販管費で支出したんでしょうか。
新卒採用も強化しており、その最初の研修は販管費扱いなのかもしれませんね。
このほか、資材購入コストや調剤薬局の政策動向への対応などで
販管費で支出しているものもあるのでしょうか。
この構造はあとで確認してみたいところです。


■純利益-EPS
9729_トーカイ(19年3月期_1Q)純利益ーEPS推移

経常利益以下でも特筆すべき事項はありません。
営業外損益や特別損益があまりないのですね。


(2)今期予想について

上期予想を開示していないので
測るとしたら通期に対する進捗率でしょうか。

ただ、利益への影響度が大きい調剤の動向が影響する年でもあり、
あまりこの時点で評価するのも意味がないだろうと敢えてここでは計算しません。
現時点では概ね、計画通りなんではないでしょうか。


3.定性情報の確認

事業開発本部での活動に期待をしているところです。

医療機器としてのウェアラブル端末は
一部の大学病院などとのPoCのような活動が奏功し、
いよいよ展開されていきますが、画期的なデバイスのはずですから、
ぜひ頑張って展開して頂きたいです。

そしてその後にも派生ビジネス、または新たなビジネスは
とりわけ広大なマーケットをターゲットにしているわけなので、
可能性があるものと考えています。

一番のネックは、人材タイプの不足だと思います。
同社は地方の会社ということもありますが、
良くも悪くもまじめで実直な会社という印象です。

調剤にしても介護レンタルにしても
きっと顧客に寄り添い日々のお仕事にはどこまでも
真摯に対応していることと思いますが、
一方で、マーケットインの発想や現場を見ている中から、
プロダクトアウトの視点においても新規性の開拓というところへは
まだ課題があるのではないかと感じています。
(あくまで私の印象なんですけどね)

事業開発本部を任されている今道氏は、
まだ若くそのポテンシャルがあると直感で感じたところですが、
そういった引っ張っていける方がもっと人材タイプとして出てくると、
いいなと思っているところです。

そのためにも人材獲得や育成の考え方も変化させねばならない面もあるかもしれません。
同社は体育会系色が意外にも強く、
現業タイプが多いのかなと思ったものですから、余計にそこへの期待をしたいところです。



4.その他情報の確認


(1)株価推移の状況

9729_トーカイ(19年3月期_1Q)株価推移


こう見ると、長い視点でみると私も割安さはやや妥協して
買い付けを始めている印象がありますね。
どうしても株主総会に行きたくて、
最初の買い付けは少し前のめりでしたしね。
でも総会に出てみて、会社を知れたのはよい経験でした。

参考:株主総会レポート記事


(2)IR照会の状況

販管費の動向や人材育成の状況などは聞いてみたいです。
調剤の政策動向の走り始めの印象もそうですね。
いずれも拙速に電話するものでもないかなととりあえずまだ照会はしていません。

8月の日経IRのイベントにブースが出ますし、
そこで直接対話をするのもいいかなと思っています。
とはいえ、電話してしまうかもしれませんが(笑)。


(3)セグメント別状況

すでに冒頭でも言及していますが、
セグメント別の状況も、決算精査資料から抜粋して貼っておきます。

■セグメント売上
9729_トーカイ(19年3月期_1Q)セグメント売上推移

■セグメント利益
9729_トーカイ(19年3月期_1Q)セグメント利益推移


5.さいごに

同社も四国の店舗で西日本の豪雨災害の影響を受けています。
またリリースには出ていませんが、岐阜県を中心に大雨で孤立した地域などもあり
現場では患者さんへのフォローをされたことと思います。
これも私が勝手に美談にしてしまっているかもしれませんが、
各現場で患者さんに寄り添って真摯な対応をしてくれていると思います。
損益上は利益を削る事も多そうな気もするのですが、
しかし、自分の投資先がこういった苦労を乗り越えて、
エンドユーザーに必要とされる企業であるというのは嬉しいことです。
それはそれ、これはこれという考えもあるかもしれませんけどね。


トーカイの株主総会に行きました。
聞き間違いや、私の主観によるメモとなりますが、
記事にUPしておきます。

※あくまで個人的な見解も含んでおりますので、
ご参考程度としてお読み下さいませ。

※当記事が会社からの指摘も含めて何かしらの不都合が示された場合は、
即座に公開を取りやめます。




トーカイのビルは地域でも目立つ高層ビルです。
駅からは少し離れていますが、
前泊していた駅前のホテルから街中を見渡すと、
周辺でひとつ頭が出ていて、すぐにトーカイのビルだとわかりました。
ちょっとわかりにくいですが右側が本社のビルですね。
隣の広告の看板は本社の駐車場の裏の別館なのでしょうかね。


20180628_soukai_2.jpg

もう63期になるんですね。
新参者の私が畏れ多い感じもしますね。。。

20180628_soukai_1.jpg




■過去の株主総会
今回が初参加です。
従って、過去の総会のレポート記事はございません。

■当日の流れ
10:00 社長挨拶で開会
10:02 議決権数確認(社長自ら)
10:03 監査報告
10:09 報告事項(動画ナレーション)
10:17 対処すべき課題(社長プレゼン)
10:26 報告事項に対する質疑
10:53 議案上程・審議・質疑応答
11:02 退任・新任の挨拶 
11:05 閉会

■議決権行使の状況
 株主数    : 1,282人/3,107人(41.3%)
 議決権個数 : 301,882個/359,788個(83.9%)
 ※数値の聞き取り苦手でメモ間違ってるかも。


■前置き
前日は富山でアイドママーケティングコミュニケーションの
株主総会に出席しておりました。 → レポート記事はこちら
そしてそこから帰京せず、ローカル線の高山線を特急でやり過ごす
無粋の策で岐阜にやってまいりました。
はい、まだ惰性の旅行記は封印して総会の中身にいきます。


■全体通しての所感

トーカイは清掃と健康をテーマとした会社であり、
主に病院と介護の周辺領域で事業を行っています。
となると、当然ながら地域密着とか大事にしているのかな、
なんて想像していたわけです。
そしてその想像通りの印象を強く受けました。
出席されている株主を見渡しても
地域の方と思しき方や、
地元金融機関の方も多かったように思います。
事業においても開会前に会場で流されていた会社紹介の動画も、
地域への奉仕という面にフォーカスされており、
各々の現場で泥臭いながらも貢献をするという姿が印象深いです。
まぁ介護とか病院というのは総じて
そういう印象になりがちではあるわけですけどね。
でもとてもよい動画だったので、
ぜひWebで公開して頂けるといいのですがね。
利用者の方の笑顔も沢山映っており、
Webでの公開が難しいという面もあるのかもしれませんけどね。
いずれにせよ、総会の開会前に、事業そのものの紹介よりも、
利用している方にフォーカスされていたり、
地域活動の様子などが豊富に盛り込まれている辺りは、
いかにも、そういう会社なのだというメッセージだと受け止めました。
このような事で、まずは想像通りの私好みの会社ということです。
もちろん、このような貢献や地域密着といったことが、
直接的に事業の成長に繋がるかは未知数ですし、
純粋な投資家目線で見た時に、この姿勢には賛否もあろうかと思います。
ですが、私はこういう会社が好きなんです。

それから、当株主総会へ初めて参加するにあたり、
関心事のひとつであった社長の雰囲気を知りたかったわけですが、
こちらは想像していたより、若くバイタリティがある印象を受けました。
単純な見た目上の年齢的な若さということより、
議事運営上の対処の仕方などを拝見してもしっかりされており、
想像していたより機敏で物事の判断も的確だなと思いました。
(いや、事前のイメージがどれだけおじいちゃんを想像していたんだという話ですが)
イメージとしては保守性を重んじつつ、攻めることも頭の中にはあって、
でも長く続く会社を支え次世代に引き継がねばならないという責務の中で、
やはり実直にやっていくんだという佇まいに感じました。
私自身がそういう目線で見ているからそう感じるだけかもしれませんけどね。
いずれにせよ、社長は決してIT会社のようなバリバリの切れ者というわけでもないですが、
真面目でしっかりしている経営者とみえたので、私はとても安心しました。

次に印象に残ったのは、
質疑の時に積極的に答弁を他の役員に振っている所です。
最初の質問で、いきなり取締役ではない
最後列に座る執行役員に答弁させるというのは、
実際にはなかなかやらないと思うのです。
執行役員を同席させる会社は多数ありますが、
社長を含めた取締役が答弁するのが通例だと思いますが、
そういう質問を敢えてしたからというのもありますが、
即座に執行役員に答弁をさせていました。
もちろん事務局からのカンペメモも一切なしです。
そして執行役員も大変優秀な方ですので(東証IRの時にお世話になりました)、
当然ながらアドリブでもきちんと自分の言葉で的確な答弁をされます。
この他にも営業、人事、などそれぞれの所掌役員へ
ほぼ全ての質問を振っておられました。
しかし、その後社長が補足として更にフォローするシーンも何度かあり、
社長は決して他人事として受けとめているとか、
自分が答弁できないからというわけではなく、
育成あるいは全員試合でという意識が強いのかもしれません。
取締役会などでもこのように様々な意見を聞き運営されているのかな、
なんて想像をしたところです。
そういえば、社員に対しても食堂などで積極的に交流を図っているようですからね。

ビジネス上の印象としては、
トーカイ自身が俺が俺がという会社ではない、
つまりアグレッシブな印象は薄く、
そういった肉食系でガシガシやっていくのが好みの方にとっては、
力不足を感じるかなと思います。
多くの事業で政策動向を睨みつつ運営していくことが望ましいですが、
そのために当局へガシガシ情報収集にあたったり、
先んじて攻め手を見出し、自らが訴求していくという姿勢はあまり感じません。
しかし、例えばウェアラブル端末の開発経緯を聞いても、
ある地元の病院の医師からこういったものがあるとよいと、
アドバイスをされて、トーカイとしてなんとかやれないかという声で
開発されたものであるというエピソードのお話がありました。
そういえば、たんぽぽ薬局も病院側からの依頼で始めたんでしたね。
このように悪く言えば受動的対応ということかもしれませんが、
よくいえば、現場の声を真摯に聞ける対応力や、
それを形にしていくボトムアップ型志向が強いともいえます。
もちろんトーカイとしても完全なる受動的対応は本望でないため、
御用聞きの徹底やそれをより新しい仕組みに繋げていく活動を加速するために、
事業開発本部を新設しているものと私は理解しています。
身の丈にあった形で地に足をつけてやっていく姿も、
加速度は高まりづらいかもしれませんが、この姿勢も私は好きな姿勢です。
ただ前述の通りアグレッシブではない部分もありますから、
定量面でみても、成長率などとても穏やかですね。
この辺りは投資判断におけるスタンスによって評価も分かれると思います。

所感としてだいぶ思い込みが介入していると自覚していますが、
全般的によい印象を受けました。


■総会の流れ

岐阜駅からは徒歩ではそこそこ距離があるため、
バスまたはタクシーでの移動になります。
とりあえずバス乗り場に少し迷い、一本乗り遅れてしまい、
現地到着は9時を回ってしまいました。(十分早いですけどね)
駐車場には既に数台が止まっていて、私がバス停から歩いてくる途中でも、
何台かが過剰な係員に誘導され駐車場に車が入っていきます。
本社入口では挨拶部隊と受付業務をする部隊とが
出揃って挨拶をして下さいます。
なんだか丸和運輸機関の総会に来場したようです。
(同日開催の丸和運輸機関は今年は私は忸怩たる思いで欠席です)
いや、丸和運輸機関ほどの元気もないし、
ある意味でトーカイは普通の会社なんですけどね。
丸和運輸機関は桃太郎文化の浸透で圧巻のお出迎えですからね。
エレベーターでご案内ですが、エレベータの乗り場でも、
箱内でも到着階でも完璧な連携プレーです(笑)。

会場は机なしの椅子だけの席が100席程度用意されています。
後方にはアクアクララの水サーバーが置かれています。
トーカイも代理店として展開していますからね。
そこそこ広い会場ですが、
駅から反対側の長良川とその先の飛騨方面の山々の景色を
何も冴えぎるものもなく眺めることが出来ます。
やや曇天だったのが残念です。

質問事項は既にノートに纏めてあったので、
特に復習もせずにその景色に没頭していると、
前面に会社紹介の動画が流れてきます。

ふつうこういう映像はサービスや製品にフォーカスが充てられるのですが、
そうではなく利用者の声や地域活動の様子、
社員の姿勢にフォーカスの重きが置かれているように感じました。
いい映像ですね。何度かループ再生されていたので、
席についてそれを視聴します。

私の隣にはトーカイの主要取引先銀行の方と思われる方が
座っておられました。
こういう場で前列に座られるんだなと少し意外にも思いました。
だいたい背広族って後の方で退屈そうにしているのが、
通例だと思っていたのですが・・・。

そうこうしていると役員がひとりひとり深い礼をもってひな壇側の席に着きます。

ここからは冒頭記載の通り、粛々と総会は進んでいきます。



■株主からの質問

【Q】
当社が事業をなすヘルスケア分野においては、
未来投資会議2018においても今後の対処方針が議論されており、
ウェアラブル端末を含めた遠隔医療・介護への対応が提言されている。
そんな中において、当社にとっては追い風であると認識しているが、
一方で政策動向を適時適切に捉えて対処を図るために、
当局あるいは顧客などから政策動向に関して、
情報収集や連携を深めていく必要性があると考えている。
今後政策動向を適切に捉えていくために、
具体的にどのような情報収集や外部との連携を図っていくのか、
何か工夫をされていくものがあれば教えて欲しい。
とりわけ、事業開発本部を新設されたということもあり、
その組成の意味合いも踏まえての回答を頂きたい。

【A】
(執行役員 事業開発本部長 今道氏)
東証主催のIRは私が担当して頂いた。当社への投資感謝している。
IoTを活用したヘルステック分野への進出をプレスリリースを通して、
本腰を入れて参入することとした。
その動向を掴む方法については、
当社には1000の病院、2000を超える介護施設のお客様と
お付き合いをさせて頂いているし、
たんぽぽ薬局を通して20万人を超える患者さんとも接している。
更に10万人を超える在宅介護のお客様ともお付き合いをしている。
そういった様々なお客様、とりわけ医師や医師会という組織から、
ニーズ収集の声を聞けるという強みがある。
当社が開発してリリースするウェアラブル端末についても、
ある医師の方から色々なヒントを頂き開発をしてきたものである。
政策動向についても、医師会がその全容を把握して協議しているものでもあり、
組織としての連携を図ることで厚労省へは医師会を通して、
情報収集や政策提言を共に行っている。
また経済産業省への対応については、
経産省が直接企業からヒアリングをする場を設けるという性格もあり、
未来投資会議に参画している同領域のメンバーにも直接、
当社ウェアラブル端末についてプレゼンをすることもして認知度・存在感を
アピールしている。
また、医療の分野では医師会とは別に疾患別に学会が設立されているのが特徴でもあり、
その学会で様々な医療行為の在り方や動向が議論されることも多い。
当社としては、こういう学会別のトップキーマンの方と人脈形成や、
今後の動向への意見交換を図ることで、情報収集に努めている。

(社長補足)
ウェアラブル端末はある病院の先生からの声が発案となり、
トーカイでなんとかやれないかという声に真摯に対応して開発してきた。
我々は常にお客様からの声から様々な機会を頂いて仕事を任されている。
(調剤にしてもリネンにしてもそうでしたね)
我々のビジネスには常にお客様の声があるので、
そういった中で我々が今後なすべきことを捉えてやっていくことが大事だと思う。
医師や医師会というもの以外にも、
例えば看護部長やケアマネージャーの方など
より現場に近い立場の方の声もとても大事なものである。
そういう声を出来るだけ聞いて集めるというところが我々の使命であるとも思っている。
そしてそういうバックグラウンドの下で対応を図るので、
真に現場に必要なものへの対処となるために訴求力も高いものになりやすい。


【Q】
調剤薬局事業では足元で報酬改定もあり、
足元ではその政策動向へ対応するための対策を
取られている事と認識している。
報酬改定の方向性として、かかりつけ薬局の役割など、
地域密着という観点に重きが置かれている中で、
当社が展開するたんぽぽ薬局は、
郊外の大型病院隣接の門前薬局として、
高度で専門性の高い投薬スキルの強みなどがあり、
訪問調剤やかかりつけ指定といった所には
必ずしもマッチしない部分もあろうかと感じている。
このような中で今後どのように対応をしていくのか教えて欲しい。

【A】
(たんぽぽ薬局社長 松野氏)
かかりつけ薬剤師を育成し、全店でかかりつけ薬局としての役割を担えるように、
対応をとっている最中である。
局内に留まることなく、外部に対して様々なお薬の説明会や健康相談会などの
情報発信を推進しているところでもある。
また、門前一等地という中で、たんぽぽ薬局に来られるお客様は、
多くが難病を抱えて高度医療を求めている方である。
そのため、たんぽぽ薬局としてもより専門性を高めるための施策を
今年度より着手している。具体的にはガンや糖尿病といった疾患毎に
専門性を磨くための援助を会社として整備し、その底上げを図っていく所存。
在宅調剤は、全店の8割程度で既に対応をとっており、
とりわけ施設への訪問調剤は医師と帯同するなどして訪問機会を持ち、
個々の患者さんの食事も踏まえた連携を図りながら指導をするような
役回りで活躍してもらっている。現状はこの取り組みの経験を積む事、
そして店舗の薬剤師とのノウハウ共有を図りながらスキルの底上げをしていきたい。


【Q】
(コメント)
当社は地域密着で大変意義ある活動をしている会社であると考えている。
東証主催のIRイベントへの定期的な出展など精力的にIR活動をされていることに
感謝をしており、今後も継続的にIR活動の充実を図って頂きたい。
IRページへの動画等での情報開示の拡充や、
個人投資家向けのIR活動の充実による機会を増やすなど、
現状でも十分やって頂いている認識であるが、今後も期待したい。

【A】
(社長)
貴重な意見。当社としてはまだまだ株主数が足りないという危機感を持っている。
更にトーカイの存在を知ってもらうための機会を
積極的に儲けていくことが大事だと認識している。


【Q】
当社は中部地域を中心に事業をされており、全国に展開はしているものの、
東北や九州は進出数も少なく、人口対比でみればまだ首都圏にも
まだ拡大余地はあるものと認識している。
当社の成長戦略のひとつとして、このエリアを拡大していくという考えもあると思うが、
どの位積極的にエリア拡大を考えているのか。
その際には、今後も、当然ながらMAも選択肢になると思うが、
一方でMAは市況が高いという環境もある中でどう拡大戦略を描いているか。
そもそもエリア拡大より既存の深堀を優先するという事であればその旨も教えて欲しい。

【A】
(専務 白木氏)
まずシルバー事業については、関東から九州まで展開している。
そのような中でエリアの進出の考え方は隣接地を埋めていくドミナント戦略である。
地域でのシェア率をあげていくことが大切であるということで、
新規のエリアを攻めていくというより、
既存エリアの中で深掘りが出来る意識の下で徐々に展開をしていくイメージである。
リネンや衛生といった病院関連事業については、
どうしても工場が必要になることから、その工場を設置しているエリアの中で、
深掘りをしていくことになる。(ハード的な要件があるというのは当然ですね)
またMAについては、特にトーカイの事業との親和性を
慎重に判断していくことになると考えている。

(社長補足)
シルバー事業の中でもとりわけ介護機器レンタルについては、
今後都市部と地方部とではより明暗が分かれてくると捉えている。
成長はだいぶ異なりやはり都市部が中心となってくる。
そのため、トーカイとしても伸びる都市部に特に重点を置いて対処していきたい。
病院のリネン等の事業はほぼ成熟市場であると認識している。
今後は人件費やエネルギーコストも上昇してくるし、
地方では特に人材そのものが不足していく中で、
売却をしたいという会社も増えてきて、
今後MAの機会も増えてくるのではないかと考えている。
調剤薬局についても、今回の報酬改定で厳しいものがあるので、
益々業界再編が進み、同じくMAの機会が増えてくると考えている。
MAについては、エリアを拡大していく上では有効な戦術であると理解しており、
積極的に検討をしていきたい。


【Q】
人材の採用や育成は大きな経営課題という認識を示されているが、
これはどの会社も同じである。そのような中で、当社として採用あるいは育成といった中で、
どのような特徴をもって優秀な人材の確保、育成に取り組んでいるか、
当社ならではというものがあれば教えて欲しい。

【A】
(執行役員 人事部長 高木氏)
積極的な採用について、まず当社単体において、
昨年比ほぼ倍増の98人の新卒採用を行い、
またグループとしては202人の採用を行うことが出来た。
この狙いは事業の拡大に備えるという面と、
既存の職場環境を改善する(つまり残業ありきでなく人を張るということですね)
目的もあって採用を積極化した。
採用の工夫としては、会社説明会を全国各地に赴き対応しているが、
これに加えて、Web上での会社説明会を行い、
学生への認知度や訴求力を上げる活動を行った。
(ここは後に、IR向けにも動画配信を!と改めてリクエストしておきました)
採用後の育成については、入社後3年間を立ち上げ期と明確に定義し、
育成キャリアを明確に本人とすり合わせるだけでなく、
本社主導でメンタルケアを含めた対応を取っている。
また専門性をしっかりつけるという事も大変重要であり、
競合会社と優位に戦っていくために、職能別の研修体制をしっかり構築し、
育成に当たっている。
ダイバシティ―の観点でもとりわけ女性活躍の推進に注力している。
具体的には、女性のキャリアデザイン研修を2年前から本格着手している。
仕事とプライベートとの両立をしていかに輝いて生活をしていくと共に、
会社に貢献をしてもらえるのかを考える機会を提供している。
現状では新管理職登用制度という中で、女性自ら頑張りたいという声に報いている。

(社長補足)
付け加えると、当社ではユニ・チャームが導入している、
SAPS経営というものをやっている。
営業マン各自の目標を週単位で設定し、
行動計画を策定し、結果を振り返り翌週に繋げるという
PDCAをチーム単位でやって組織力の底上げを図っている。
このプロセスでは上司や先輩からの過去の事例などを踏まえた
アドバイスももらえるし、相互理解にも繋がる機会となっている。
通常であれば月に1回程度であるが、当社ではこれを週単位で行っている。
このためスピード感をもって効率的に
学びの機会を提供出来ているとも考えている。
(これは実際自分が新入社員の立場になると辛い時期もあるだろうなと思います。)


【Q】
たんぽぽ薬局で処方されている中で、ジェネリック医薬品はどの程度の割合か。
日本の医療制度を考えた時に、ジェネリックの活用は非常に大事である。

【A】
(社長)
現状で73%。今期は77%とする目標である。
国の目標は3年後に80%であるが、当社としては来期には目標達成出来るように頑張りたい。


【Q】
ウェアラブル端末はどうやって展開していくのか。私も高齢でありながらまだ健康であるが、
ぜひ使ってみたい。どうしたらもらえるのか。

【A】
(社長)
今年の8月から発売予定。病院や介護施設を通して医療機器としての提供となる。
医師が必要と認める患者さんへ使用されるものなので、
健康な方はいらいないんです(一同、笑い)。


【Q】
第二号議案について、
取締役が7人から6人となり、1人減員となるが、業容拡大が続く中での減員は問題ないのか。

【A】
(専務 臼井氏)
退任する者が所掌していた業務については、
後任に引き継ぎ執行役員もおることから全くもって問題はないと認識している。
今後、業容拡大が益々大きくなってきたときに、
ガバナンスも含めて必要に応じて機動的に対応していく。
現状では執行側との間でも十分に意思疎通が図れているため問題ない。


■最後に

もう少し他の株主からも積極的な質問があると
活気もあって好ましいかなと思いました。
会社側も真摯に質問に対応して下さる姿勢がありますので、
質疑の時間も大変興味深くお話を伺うことが出来ました。

総会閉会後に、役員の方、またIR担当の方などから、
声をかけて頂きました。お礼を言われましたが、
こちらがお礼を言いたい位でした。

特に専務の臼井氏はいち早く声をかけて頂き、
とても嬉しかったです。
そしてその臼井氏が総会後の取締役会で、
代表権がつく人事がリリースされました。
2代表制になるわけですね。
なんだか身近に感じていた所でのリリースでより嬉しく感じました。


帰り際、現場の社員の方だと思いますが、
新たにIR担当になられた方からも声掛けを頂き、
少しの間雑談をしました。
今後色々お世話になると思いますので、
記憶に留めて、お土産のリースキンを頂き会場を後にしました。

株主総会に出るために、
今期予想が減益予想となることを覚悟で単元だけ取得し、
この総会にやってきたわけですが、
自分の感覚の醸成という意味でも経営陣とのファーストコンタクトは
とてもよい機会に恵まれました。

◆最近のお気に入り