Author:まるのん |
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理系・工学分野に特化した人材派遣事業をコアとした
WDBホールディングスの決算説明会に参加してきました。
直近の上期決算を受けての東証ホールでの開催です。
決算の内容は 銘柄分析シート をUPしています、。
ココニコ失敗でオペレーション改善の未達が業績低迷の主因と説明。下期から来期上期位までは現傾向が続き、改修後の効果は来期下期から寄与し二桁成長回帰へ。今期は下方来るかもしれません。労働市場環境は問題なし、投資もほぼ上期にリソースも獲得。オペレーション課題が克服できればいいですね。 pic.twitter.com/KJK7u94wKy
— まるのん (@marunon_invest) November 21, 2019
上期の決算としては、売上、利益共に
計画未達に終わり、社長としても「低迷」していると述べられておりました。
派遣人材は労働力不足を背景に獲得合戦になっており、
同社も今期には営業所の新設、育成のための研修所の開設など、
積極的な投資を実施しています。加えて、各地での営業人材として、
パートの女性を大量採用し、顧客へのアプローチを深めております。
そんなわけで、主に販管費支出が増額となっており、
減益予想ではありましたが、数%とはいえ、
更に減益幅を拡大しての着地となっています。
中野社長はいつもそうなのですが、包み隠さず、
逃げも隠れもせずなので、自社の現状を「低迷」と表現され、
特に言い訳や希望を持たせるような発言もされません。
本来アナリストの前では、もう少し言い訳がましく要因を列挙したり、
改善プランをアピールするものだと思うのです、
そういうわけでもありません。
そういうところが、この会社らしいところです。
聞いているこちらがちょっとドキドキしてしまうのですが、
実直でまっすぐな方です。
実際終わった後に少しお話をさせて頂きましたが、
低迷は低迷で、すぐには回復は難しいことも事実で、
そこで変に期待や夢を持たせるようなことも言いたくないと仰っています。
株価の動きにはいつも敏感であると社長自身公言されていますが、
一方で、つけ刃のような夢物語が通用しないこともよくご存じなわけです。
正直に現状を語ってくださるので、
質問の回答も比較的実態に沿った回答をされているように思います。
同社は競合の目を配慮していたりという事情があり、
決算説明資料は開示していません。
当日は配布されますが、粛々と計画未達であること、
また積極投資は投下してきたことなどを説明されました。
といってもかなり駆け足で20分程度で流した感じだったでしょうか。
この説明の中でいくつか短信からはわからなかったこともあります。
・派遣単価の値上げには成功し数%の単価上昇が実現できた
・これに伴い、粗利率は計画を上回って推移した
・しかしながら投資効果の発現が遅れ、受注・売上が想定に届かず利益額は計画未達となった。
・CROは国内は堅調、海外は欧州が若干利益改善、米国とインドはほぼ横ばい
・ドコニコの品質が実運用基準を満たせず、運用貢献していない点が想定外事象。
・当該プラットフォーム整備によるオペレーション効率向上が織り込めなくなったのが痛手
以上の説明を聞いた上で、質疑応答です。
なお、このメモは私の思い込みと願望と妄想により脚色されており、
事実と異なる可能性を多分に含んでいます。
ご了承の上、扱って頂ければと思います。
Q
上期としては計画未達で、
体制強化の先行投資を受けて受注が伸び悩んでいるとの説明がありました。
特にトップラインについては、上期は稼働日数の減という要素があったり、
景況感の変化によってとりわけ製造業のお客様のマインドが影響しているのかなとも感じてますが、
このトップラインの停滞の要因と下期以降の対策はどのように検討されているでしょうか。
A
労働環境に変化は見られず、現状の低迷の要因は、自社のオペレーション上の課題にある。
派遣社員の総数も増え、自社側のマネジメントや顧客側とのチャネルにおいて、
効率化が至上命題となっている中で、ドコニコの活用によるオペレーション改善寄与には
大いに期待をしていたが、品質基準を満たせず実運用に耐えられない状況となっている。
派遣社員の求人そのものは相応に確保できているが、
オペレーション上の課題がより顕在化しており、うまく受注に結びつけられない環境下におかれ、
苦戦をしているのが実情。労働環境に変化はないので、自社側の課題が改善出来れば、
再び2桁成長に回帰して飛躍できると考えているが、
下期はまだこの効果が発現できないこともあり、
オペレーションの課題も残ることから無理して受注もしないで
出来る対策を講じながら頑張っていく。
なお、ドコニコの改修には時間を要し、その効果が発現できるのは、
来期下期からとなる見通し。
Q
WDBココのIPO承認について、
CRO事業は1000億企業への成長のエンジンとして
新領域の位置づけだったがと思いますが、POの意図はどういったものでしょうか?
当面は過半数維持とありますが、
将来的にはCROを切り出し人材事業への選択と集中をする意図なのでしょうか。
A
WDBココの事業環境は、将来性や安定性もあると考えており、
現状安全性評価の市場で180億の市場規模に対して20億程度であるため、
成長余地もまだ十分だと考えている。そういった背景もありIPOする運びになった。
なお、WDBグループとしては今後も同事業を保有し概ね7割程度の株は保有維持するつもり。
Q
営業リソースの拡充や研修所の新設などの投資を進めておられるが、
販管費投下も計画より若干少なめであるが、
計画に対してどの程度の投資を終えられたのでしょうか。
また足元の効果発現の状況を踏まえて、投資の進め方を変えられる等の事を考えられていますか。
A
リソースとしては通期の計画に対して8割超の確保を既に達成している。
残りの2割弱程度は足元の状況を踏まえると、
やや抑制していくことも検討している。
いずれにせよ、上期のように販管費を使うことはもうないと認識してもらってよい。
Q
今期上期で概ねの投資を終えたとなると来期の利益は回復すると思いますが、
そのような見立てでよいのでしょうか。
A
ドコニコの改修効果のよるオペレーション改善は来期下期くらいでの顕在化を見込んでおり、
来期上期もオペレーション上の改善が見られないと、
そんなに増勢というわけでもなく、むしろ落ち込むことすらありうると危機感を抱いている。
下期で回復する見込みとはいえ、少し時間がかかると思う。
というわけで、まぁざっくばらんに回答してくれますね。
包み隠さず、変な夢や期待を持たせることなく。
まず足元の数値という面からすると、
今期下期も本格的な回復基調とはならぬ見込みで、
下手をすると下方修正含みなのかなと思います。
また来期に回復するというのもまだ楽観視し過ぎで、
引き続き規模拡大に伴う体制や今後の効率性を追求するための
我慢の時が続きそうな印象です。
社長はその先を見越していて、すででこの分野では高いシェアを取っており、
今後はこういった優秀な人材を確保、育成することであり、
ここはある程度見通しが立ちつつあるという中で、
今後は付加価値の高い現場へ機動的にアサインして就業してもらうための
オペレーション整備が追い付かないと、
成長の足かせになるという認識の元、システム化を急いでいます。
このドコニコは中野社長の創業からの拘りでもある、
内製化至上主義により、自社内システム部門で構築したものであり、
QCD管理には課題が元々あったわけですが、それが顕在化しているわけです。
普通に考えるとコアコンピタンスではないシステム構築領域は
外注した方がよいとなるのですが、
そういう発想ではない会社であることは認識していますから、
ここは我慢をするしかありません。
ただ、次の総会の時には突っ込んで課題提起はしたいところですが。
いずれにせよ向こう数年の配当はコミットしていますから、
多少の未達や減益も我慢してその後のオペレーション改善による、
効率化や更なる総量受け入れ余地の拡大によるスケールが
見られる日を待つというスタンスです。
但し、今の私のスタンスではこのようなリスクを過大に取れないので、
引き続き、PF低位でモニタリングを続けるという対応になると思います。
マーケットからはどのようにみられているかなと気になりますね。
人材派遣そのものの曲がり角感はなんとなく漂っている雰囲気はあるのですが、
同社の場合、その影響というより、自社のシステム構築の遅延や、
それによって受けられる仕事を抑制せねばならなかったり、
そもそも効率性が向上できずにいるというところだったりしますからね。
足元の受注や売上の弱さも、このプラットフォームの整備不足という説明ですが、
それだけであれば時間が解決するという考え方もできますが、
例えば、自社のサービスレベルの低下や人材不足というものの影響が
潜んでいるとなるとシナリオ崩れにもなるため、
慎重に投資判断が求められる局面ですね。
もちろん、そういう時だからこそ、不確実性が高まり、
投資リターンを大きく取りにいこうという立場もあろうかと思いますからね。
WDBホールディングスの株主向け事業説明会に参加しました。
事業そのものの足元の状況や将来性の見方について特段新たな収穫はありません。
ですから、儲けるための「ここだけの情報」などこの記事にも当然登場しません。
一方、より経営者の理念や周囲の役員の会社を見つめる「目」に触れて、
それが実に人間味溢れるものでもあり定性的な収穫は大きなものがありました。
足元の事業の状況は課題山積です。
しかし、その課題を包み隠さず、逃げずに、率直に向き合い、
あるいは日常的な深い悩みの姿を垣間見て、
そしてその状況を周囲の役員がどうフォローしているのか、
そんな空気感のようなものがより身近に感じられた点では大変楽しい機会でした。
もっと色々な話を伺い、投資家としてだけでなく、
社会人として、あるいは人間としての学びをもっと得たいなとも思いました。
投資で儲けるという枠組みに捉われず、
経営者や役員の方と話をするというのは、自分にとっては大変刺激のあるものでした。
まず、6月の株主総会後に、東京においてもこのような場を設定して頂き
大変ありがたいことです。昨年に続き、ホテルでの開催で立食パーティ付です。

昨年はパレスホテル東京、今年はインターコンチネンタル東京ベイと
どちらも一流のホテルということで、そのお料理も大変おいしゅうございました。
食べるのに必死で、写真がグダグダですが(笑)。
大海老チリソースやステーキなど豪華メニューも並び美味しかったです。
食べ物は何度も追加され、争奪戦もなくゆっくりと頂けるのもいいですね。

と、早速本題とずれましたね。
この説明会は2部制で1部は事業説明会、2部は立食パーティということで、
一応メインは1部です。
今回の記事は総会レポートではありませんし、
同社の意図を忖度し、詳細の内容についてはここでは割愛します。
ということで、相変わらず意味のない記事になります。
今日は株主向け説明会ということで紙資料が配布されていますが、
同社は決算説明資料を敢えて開示していません。
これは、競合の目を意識されているようで、これには賛否があると思います。
私もIR担当役員や社長とこの件で以前にも会話をさせて頂き、
その思いを聞いて、やむ得ないなと感じているところです。
冒頭はこのパワポ資料に沿って社長が説明します。
プレゼン形態はどちらかというと文字をなぞっていくスタイルです。
そして質疑では質問が途絶えず1時間程度の質疑をこなします。
主な質問内容は以下の通りです。
回答については、前述の通り、ここに記載するのは差し控えます。
・新プラットフォーム「doconico」の状況
・今期営業要員の投資のフィージビリティ―
・売上1000億、純資産300億の目標への見通し
・CROの海外赤字の対策・今後の赤字脱却の対策・時期見通し
・理系派遣のマーケット獲得状況と今後の余地
・派遣スタッフや営業の質的課題
・専門性の高いCROへの取り組み意義・リスク
・国際共同治験への対応
・派遣社員のポートフォリオ(男女比、年齢比)
・営業の生産性の管理方法
・流入コストの状況やモニタリング方法
答弁の中で総じていえることは、社長が「実直」だということです。
ダメなものはダメといいますし、
自信があることは自信があるという顔を全面に語られます。
わからないことはわからないとも仰ります。
これはこれまでもそうでしたし、今回もそうでした。
各答弁の内容はいくつか驚くこともあったのですが、
概ね、自分の認識や想定していたことと同じものでした。
懇親会ではフリーでしたから前半は食に徹し(笑)、
後半は役員の方と色々お話をさせて頂きました。
ちょっと準備不足で思いつきで色々質問をぶつけてしまいましたが、
しかし、今回は少し自分の意見をしてみようと意識していました。
また社外取締役の方とも積極的に話をさせて頂きました。
主なトピックスは以下のようなものです。
・働き方多様化でGWやテレワーク施策等の推進で
就業稼働時間数などに影響はないか。
・国内の生産などの抑制の影響はないか。
・人材獲得の状況
・海外CRO、とりわけ米国の対策の詳細
・システム開発の内製化拘りの是非
・優待制度の見直し提言
・IRの適時開示姿勢と企業価値担保の考え方
この中でいくつかのトピックスについては、
社長の創業からの経営者としての根源的な拘りの部分に関わることが、
大きく経営判断に影響を与えていることがわかります。
この点は安易に是非を外野の私のような素人が口を出すべきではありませんが、
しかし、敢えて意見をぶつけてみました。
特に社外取締役の方と話が盛り上がりました。
何が正解というものはなく、なにより社長自身がとても悩まれている事も伝わりました。
ですから、社外取締役の立場でぜひそれを支えて、
またときに判断の助けをしてもらうためのサポートを多角的にお願いをしたつもりです。
ちなみにこの時の社外取締役の方とは、帰りのゆりかごめの駅で再び一緒になり、
新橋駅まで2人で更にお話をさせてもらいながら帰宅しました。
ちょっと冷静に考えると不思議な光景です。
でも信用金庫の経営をされたり、ブラザーなど他企業の監査なども歴任された方で、
そのような方と電車の中でもサシでお話をして盛り上がるというのは、
コミュ障の私にはハードルが高いものでありました(笑)。
他の社外取締役の方ともお話を伺う中で、
特に創業社長でもあり、あのような実直な方ですから
普段の取締役の様子を伺いました。
ワンマン経営というとネガティブワードのようでもありますが、
一方で強いリーダシップを発揮する点では良い部分もあります。
バランスが大事という事になると思うのですが、
最近では特に意見を求め、耳を大きく広げているようです。
つまり意見をしないと逆に怒られると緊張感をもって臨んでいると仰ってました。
社長はその各自の意見を広く聞いて、また自ら意見を求めて、
意思決定をされているようです。
立ち振る舞いからはあまり想像できないのですが(失礼)、
印象とは真逆のようですね。
特に最近では課題山積、投資による転換点を迎えていることから、
色々難しい意思決定が求められると思うので、
余計に孤独なのかもしれませんね。経営者は孤独ともいいますしね。
それから大塚専務の縁の下の力持ちぶりが今回も顕著でした。
第一部の時もそうでしたが、第二部でお話を伺う中でも、
きちんと事業の事も含めてブレーンになり、
しかし社長を立ててようとしているところなど、いい立ち位置ですし、
なにより所作が美しく、社内でも色々なゼミを行われているようですが、
社員からも人気があるだろうなと、改めて思った次第です。
株の投資判断としては、目先は課題が大きいので、
比較的リスクが高い状況が続くと思われます。
また、社長自身の根源的な拘りを知れば知るほど、
経営上の定量的な結果という所にフォーカスすると
遠回りになる可能性もあり慎重さが求められると思います。
しかし、そういう根源的な部分も見聞きし、
それを応援しようと投資家側も覚悟を決めたのなら、
それを貫くのもまた悪い判断ではないと思います。
私はチキンなので、ブログ外も含めて比率を落としているわけですが、
気持ちとしてはもっと寄り添っていたいなとは思いつつ、
中途半端になってしまっているのは私のいけすかなさなのかなと思います。
来年も東京での事業説明会を開催予定とのことです。
株主でないと参加できませんが、
ホテルでのお料理をゆっくりと頂けて、
経営者ともお話を伺える、しかもなかなか実直で面白いと思います。
普通株価が騰がるとか、利益が急伸するとか、
テーマがあるとかで銘柄をおすすめするのが普通なのですが、
そうではない所で紹介しているあたり、
やっぱり私の真似はしない方がいいんだろうなと
客観的な自分が申しております(笑)。
【決算精査】 2475_WDBホールディングス(19年3月期_4Q決算)
■銘柄分析シート(表紙)
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■銘柄分析シート(詳細)
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1.サマリ
総合評価:「3」 (☆☆★★★)
※総合評価は5がポジティブ、3がニュートラル(想定通り)、1がネガティブの5段階レーティング
前期実績は売上が計画やや未達となりましたが、
利益は特別賞与支払い後でも上振れと全体としては好調に推移しています。
但し、海外CRO事業は引き続き苦戦しており、ここの回復には注視する必要があります。
今期見込みとしては、増収ですが利益は横ばいです。
これは人材と求人をマッチングするプラットフォームであるdoconicoの新規展開を図ることなど、
理系派遣事業における投資増を見込んでいるためです。
増益を死守するという従来の社長コメントにもみられるとおり、
減益にはさせない姿勢も反映されていることと思います。
配当は引き続き中計でコミットメントしている増配を継続しています。
主業の理系派遣事業は順調に推移しており、
海外CRO事業の落ち込みがあるものの全体としてよい決算だと思います。
今期見込みが横ばいという点は市場は失望していますが、
まぁ新たなプラットフォームの投入や競争力強化のための投資をすることは、
長期的な視点で見た時には期待をしたいところです。
総合評価は「3」(想定通り)です。
2.定量数値の確認
(1)売上・利益の状況
■売上-粗利率

売上が計画未達だったという点は少し念頭には残しておきたいなと思います。
同社のトップラインは稼働日などによっても結構影響を受けますから、
例えば災害などの影響で想定していたより稼働数が変わった
というような一過性であればいいですが、
構造的にリセッションの影響を受けているなどの影響がないかは
引き続き注視したいと思います。
そういえば、今期1Qもゴールデンウィークで稼働日が下がるので
減収要素になりますね。
■販管費

販売費も4Qでは賞与支給などの影響もあり
販管費は増加していますが、通期で見た時の販管比率は13.6%と
前年より0.3%の改善となっています。
そしてもちろん、これは過去最低水準ということになります。
■営業利益

営業利益率は4Qは特別賞与の支給もあり10%を割り込んでいますが
それでも前年より0/2%の改善で通期では11.9%となっています。
元々10%水準を目指していたので、好調な状況が見て取れます。
この利益率水準も前期比で0.9%の改善で過去最高です。。
(2)今期予想について
増収で利益は横ばいです。
投資による利益減を見込んでいるようです。
後述しますが、概ね10億程度の投資による減益要素になっているようです。
このうちどの程度が従来の投資水準からはみ出る分かわかりませんが、
利益横ばいより、その投資効果がきちんとその後に顕在化してくれるか、
の方が大切だと思います。
3.定性情報の確認
今期はだいぶ予定から遅れましたが、
人材と求人をマッチングするプラットフォームがリリースされます。
まだなにものかわからないものですが、夏くらいに本格リリースするそうで、
現在は一部のクライアントと派遣登録者のみの
クローズドな中で実証実験中とのことです。
4.その他情報の確認
(1)株価推移の状況

株価は決算前に戻していましたが、
この利益横ばいガイダンスをみてか失望のため株価はこのあと急落しています。
まぁ先行きが見通ししづらいという点ではやむなしってところでしょうかね。
海外CRO事業のこともありますしね。
(2)IR照会の状況
IR照会はしていませんが、東証の決算説明会にお邪魔してきました。
差し支えない範囲で簡単にメモを残しておきます。
あくまで私の個人的な受け止め方に従って書かれているため、
事実と異なる可能性がある点はご了承ください。
お勉強してきました。私以外、背広族でアナリストの方に囲まれるとドキドキしますね。質問も最初遠慮したんですが誰も手をあげないので、もちろん質問たくさんしてきました。楽しかったです。 pic.twitter.com/hkuuk96ccC
— まるのん (@marunon_invest) 2019年5月20日
・海外CRO事業は引き続き苦戦をしている
→欧州:メドファイルズ
売上11億程度の時に買収 → 翌年は好調で12億でりえきりつ10%超で好調。
しかしながら、前期に、メインの取引先の事業戦略変更に伴い、売上減要素となった。
固定費の支出は急には変わらないので売上急減で減益を余儀なくされた。
そのため、前期後半に売上8億で利益率10%程度出るような前提で体制を作り、
一部の事業は撤退・売却をするなどの意思決定で体制改善に努めた。
そのため、これ以上の落ち込みはないと今は見ている。
→米国
自力で拡販を狙って底辺活動すれば何とかなる世界ではなく、
実績に基づく信用がないとなかなか難しいという事を学び、
小さくても実績のある現地法人を買収することとした。
現在当該子会社を使い地道な活動を続けており、元々2億程度の実績のため、
全体の影響からするととても小さなものではあるが、少しずつ米国進出に向けて頑張りたい。
・doconicoの収益貢献
まだ1ヶ月しか経っておらずまだ今後みないとわからないが、
最初の説明を顧客に差し上げた時の印象は、
声としてはとてもよい感触を得ている。
ただ数値に表れてくるまではまだ実際の浸透というところはまだわからない。
従って今期にどれだけ収益貢献してくれるかはわからないという立場なので、
今期の業績予想にも一切考慮に入れていない。
認知度向上などのコスト部分だけを織り込んでおり、なので、利益が横ばいとみえている。
下期から当然貢献をして欲しいという数値はもってはいるが、業績予想にも入れておらず、
その具体的な水準は回答を控える。
・doconicoの認知度向上施策について
日経新聞などの広告に出していくことを考えている。
TVコマーシャルのようなマス広告は必要ないと考えている。
(一般市民にあまねく知ってもらう必要があるものではない)
あとは、顧客先のキーマンを抑えているので、直接リーチできる術もあり、
むしろ各地域の顧客に対して地道な営業活動が必要となり、
そのために現地で裏方作業のためのパートなどを雇うつもりでいる。
高いお金を払って無駄な広告戦略はやらない。
また派遣社員に対しての認知度は既に理学研究職の中では
同社は認知度が高いため、
一定の認知度向上へのリーチは比較的やりやすい環境にある。
・doconicoの優位性
元々スタッフが事前の面談やマッチングなどを行い、
実際に派遣するまでに30日や45日という日時と手間を費やしてきた。
しかしこのプラットフォームを使うと最短1週間で派遣可能のため、
納期の大幅短縮が出来ることだけでなく顧客側にもメリットが大きいと考えている。
このあたりの効率向上や満足度向上が結実して
収益に貢献してくれる優位性を持っていると考えている。
具体的な構想は改めてリリース後の秋の説明会に改めて説明したい。
・利益横ばいの理由
doconicoの認知度向上の投資はそこまで無駄なお金を使わないという方針となると、
なぜ利益が横ばいになるのかというのは、実際には認知度向上のため地域での販促を
地道にやっていくコストも考慮しているし、そのあと育成のために必要となる研修所を急増させていく
事もまた必要だろうと考えている(40か所くらいまで)。この辺りの新設コストなども織り込んで、
概ね10億程度のコストを考慮している。
・doconicoのプラットフォームは派遣者と顧客側双方にメリットがあるようなもの。
派遣者にとっては求人検索やマッチング機能から就業後のタイムシート等の機能を備え、
一気通貫、スマホで全機能を使える。
いちいちスタッフ事前に条件すり合わせなどの面談なども必須ではなく、
簡単にかつ迅速にお仕事探しが実現できる。
顧客側もいちいち就業前の面談でのすり合わせをしなくても
プラットフォーム上で実現できるため省力化につながり利便性向上につながる。
今日はデモの動画あり。まぁよさそう。
顧客側への機能は現在試行中で今日は開示せず。
いずれも夏の盆明けくらいに公式リリースして全顧客、全派遣社員に対してオープンにして、
より使ってもらう事でパイを増やすことに繋げていきたい。
なお、同スキームのツールはまだ競合製品があまりない。
2年かかってようやくリリース。
外注費を抑えるため、また自前調達の意識が極めて高い同社の特徴を生かし、
自社システム部門で開発を遂行させたそう。(すごいですね・・・)
・配当政策について配当性向30%ではなく配当額でコミットしたのは、
元々想定利益率10%を前提にしていたが、
足元でも利益率は12%に達しており、
配当性向のままだと配当額が極めて大きくなってしまう可能性にも留意し、
わかりやすい額でのコミットメントとした。
22年3月期で49.5円配当(19年3月期22.5円)で配当性向30%とすると
EPSターゲットは65円(19年3月期147円)となりますね。
5.さいごに
doconicoのサービスの動向や海外CRO事業の低迷など
課題も多い中で、主業は順調に推移しており、更なるシェアを取るために、
人材や研修所などの新設を積極的に進めていこうという意思は素晴らしいと思います。
株価指標的には一定の評価がされており、
株価は下がっているものの、積極的に買い増しをしていこうという感じでもないため、
引き続き保有比率は極めて低い中ではありますが、モニタリングは続けていきたいと思います。
【決算精査】 2475_WDBホールディングス(19年3月期_3Q決算)
■銘柄分析シート(表紙)
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■銘柄分析シート(詳細)
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1.サマリ
総合評価:「3」 (☆☆★★★)
※総合評価は5がポジティブ、3がニュートラル(想定通り)、1がネガティブの5段階レーティング
簡単にいきます。
主力事業は順調です。
3Qは例年やや偏重をする傾向がありますが、
今期も順調に推移しています。
営業日数が前期より多かったことも売上を押し上げています。
一方でCRO事業はまだ明確に低迷を印象づけるものではありませんが、
数値上も停滞感が出てきました。
トータルでみると主力事業が絶好調ということで、
見た目上は好調を持続しています。
想定外にCRO事業の影響が影を落とすと嫌だなと思っていたのですが、
胸をなで下ろしました。
CROで注視を要するものの、全体としては好調を持続しており、
総合評価は「3」(想定通り)です。
2.定量数値の確認
(1)売上・利益の状況
■売上-粗利率

2Qで少し増収幅が抑制されていましたが、
3Qでは再び過去最高となっていますし、
粗利率も過去最高となっています。
■販管費

販管費も売上の増加によって販管費率は過去最低です。
とはいえ、額は増額トレンドにありますから、
使途すべきところへはきちんと使っていると思います。
■営業利益

営業利益率は3Q単では実に14%となっています。
もちろん過去最高なのですが、元々10%を目指すといっていたのが、
数年前のことです。ここから利益率が上昇しているのは凄いなと思います。
(2)今期予想について
3Qまでの実績から逆算して4Q単のハードルを確認しておきます。
売上 : 11,372百万円
営業利益 : 610百万円(利益率:5.4%)
前期の4Q単の実績は以下の通りです。
売上 : 9,639百万円
営業利益 : 882百万円(利益率:9.2%)
というわけで18%の増収、30%の減益ということになります。
まず売上については、3Q累計で10%増収のペースですから、
4Qでいきなりこの増収率に伸びるというのは難しいかもしれません。
10%程度の増収とみると、4Q単では106億程度となり、
8億弱の未達という皮算用になります。
同社は修正開示基準に満たなければ修正はしないポリシーですから、
未達率が10%まではいかないと思われますので、
下方修正には至らないかなと思います。
一方で利益については、4Qで業績好調のための
特別ボーナスの支給もあるでしょうから、前期同様、
4Qの利益率は落ちるものと思います。
営業利益率10%を超える分はできるだけ還元をという姿勢でもあり、
これは今後のモチベーションの事を考えればいいことだと思います。
営業利益率は10%とみると営業利益率は10.6億、
12%程度まで出れば127.2億となります。
以上の勝手な皮算用を纏めると通期着地想定は以下となります。
売上 : 41,830百万円
営業利益 : 5,050百万円(利益率:12.1%)~5,260百万円(利益率12.6%)
これは業績予想比でみると、売上▲1.8%、営業利益+9.7%~+14.3です。
売上は10%、利益は30%の修正基準には当たらないものと思います。
但し、今後、海外CROの状況が一番のネックなので、
この辺りで特損などの可能性もありますから、
そのあたりもみつつということになるでしょうか。
3.定性情報の確認
特に見立てを変えるものはありません。
4.その他情報の確認
(1)株価推移の状況

CRO事業の懸念が台頭してのことか、
単に買われすぎた所への調整なのかわかりませんが、
株価は軟調に推移していますね。
(2)IR照会の状況
IRに照会をしました。
あくまで私の個人的な見解に基づき記載をしております。
従って、会社の公式な見解と相違する可能性もあります。
・CRO事業について、国内は好調を持続している。
一方で海外(欧州)においては、低迷している状況である。
・主要顧客のマイルストンの状況などで、
顧客の業績そのものが低迷しており、結果発注量が少なくなり、
その煽りを受けているというのが実態である。
AWSの登場などによる新たなスキームの台頭による
構造変化によるものではないと考えられている。
・既に現状の状況からこれ以上低迷することはないというレベルで落ち込んでいるが、
とはいえ、目先で改善の兆しが実感を伴っている状況でもない。
引き続き注視をして改善努力をしていく。
・改善に向けて該当顧客の業績改善が求められる一方で、
WDBとしては新規顧客獲得による規模拡大で頑張っていくことも考えている。
5.さいごに
CRO事業は新しいチャレンジですから当然うまくいかないこともあるわけです。
とりわけ、変化の大きい領域でもありますから、
今後も苦労や失敗もあると思います。
1000億企業の道は険しいですが、こういった低迷期にも率直に向き合い、
野心を持って対応している事と思いますので、
応援したいと思います。
投資戦略としては、買い戻ししたい気持ちはあれど、
今の水準であってもまだ到底株価は安いとまでは思えないので、
状況の大きな好転が見込める、あるいは、バリュエーション上妙味が増すことが
必要なことだと思っています。