Author:まるのん |
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■3762 テクマトリックス 東1
巷ではAI、IoTといったIT系銘柄は人気となっている。
同社も情報インフラの構築とアプリ開発を生業にしている成長志向会社。
クラウド型にも強みがあるようだが、このような会社に対して強みは何か。
AIやIoTの可能性という一般論としては可能性が拡がるのは定説だが、
一方でこの領域を生業にしている会社は中小ベンチャーも含めると数多あるからこそ、
本質的な会社の強みがどこにあるのか。
同社の場合、少し資料や動画を視聴すると、
「クラウド」、「医療」、「セキュリティ」辺りが挙げられそう。
医療分野のクラウド型サービスは、黒字化してきたということで、
クラウド型という事から考えると今後収益は急拡大する可能性がある。
しかし、医療分野での電子カルテなどの広域医療情報システムは、
CEホールディングスなど専業もある中で、どうも凹凸がある。
医療法人は案外、設備投資には消極的な印象があって、
高齢化という医療ニーズが増す中で成長しそうでありながら、
どうも先行きに自信が持てない部分がある。
セキュリティは同社の起業の頃からの注力領域ということで、
今も一定の優位性はありそうだが、一方で今はセキュリティなくしては
情報基盤構築などありえないので、圧倒するものがないと評価が難しい。
結局、キーワードに挙げた部分で一定の強みがありそうだが、
どこまでのポテンシャルがあるのかは確信が持てないという印象。
ただ、社長の動画の様子やWebのメッセージなどをみていると、
創業からのサクセスストーリーや中計へのコミットメントもあり、
どこかコムチュアを思わせる。
今期のガイダンスは中計未達を示唆しているものの、
そのトレンドに沿ったものという説明も動画であり、
数値へのコミットメントがどこまであるのかも少し気になるところ。
いずれにしても、もう少し真面目に各商品・サービスの優位性評価をしないと、
詳細な分析が不能。
市場からの需要が引き続き堅調であることもあり、
当面は高成長で推移しそうであるが、
CAGR20%は少し強気かとも思う。
時価総額が400億~500億の会社が更に倍となり
1000億の規模になるとすると、
何せ人材育成などの投資も益々増加するだろうし、
会社のガバナンスコストも一層高まるところとも思う。
CAGR15%程度でみておくのがよさそう。
その目線で目標株価を算出してみると、
22.3期EPSは140で評価PERは20倍~25倍くらいとすると、
2800円~3500円で中央値の3150円となり、
今の株価から4年後に2倍までいくかどうかといったところ。
医療分野のクラウドサービスが黒字化した後に、
どの程度のスピード感で拡大していけるのかという点と、
セキュリティ分野でAIやIoTというテーマを背景に、
同社の商品サービスがどこまで優位性を持って導入していけるのか、
このあたりの進捗状況次第では大きく化けそうではある。
コムチュアと同じ匂いがするんだけど、
金融分野に強みがあるコムチュアであれば、
医療に強みのあるテクマトリックスという印象。
もちろん、金融や医療だけではなく、
他業態や領域に進出しようというのも同じ流れ。
コムチュアはNRIへの売上が大きいが、
テクマトリックスはNECへの売上が大きい。
NECは大手ベンダー系のSIerの中では劣勢という認識があり、
一方でNRIは金融に強みがあり、
顧客基盤という面からも少し心配もあるかなー(気にし過ぎかな)。
過去業績の安定性の面からもコムチュアに軍配。
■4595 ミズホメディー JASDAQ
臨床試薬の器具、消耗品、検査薬などを扱う。
インフルエンザ検査に関する商材は既にデファクトスタンダードとなっていて、
機器の更改販売のフローと消耗品が継続的に発生。
またインフルエンザ以外にも肺炎など様々な感染症に対応するための
商材ラインアップを拡充中。
更に簡易的に検査が出来る機器も独自開発。
そもそも、同社は技術屋会社で一貫した自社製品開発など、
拘りがとても強い。なので、社長もどこか口下手な印象。
佐賀の地方会社でアクのある拘りある系の会社なので、好みの会社。
インフルエンザの流行期になると物色されがちだが、
インフルエンザ以外の様々な新商品の投入や、
既存商品の検体検知力の向上など付加価値向上型も魅力。
遺伝子レベルの検査への対応など、
今後も研究開発や生産ラインの投資も継続的に必要なこともあり、
成長率からするとややマイルドか。
CAGR15%程度で21.12期EPSは184、評価PERは25倍とみると、
目標株価は4600円。4年で+60%程度の上値余地ということで、
今がやはり手が出しにくい価格帯という判断。
なお、需給面で目先JASDAQから将来的に東証1部へ昇格期待もありそう。
(東証2部経由かな)
■3724 ベリサーブ 東1
ソフトのデバック(ソフト検証)を行う会社です。
ゲームソフトにおけるデバックとしては、
ハーツUGやポールトゥウィンなどがありますが、
これらの検証とは違い、
電子機器や車載搭載機器に実装するソフトの検証を行います。
ソフトの構築で人手が足りないことは周知のことですが、
IoTという時流の中で、益々需要は旺盛になっていく分野だと思います。
ソフト構築は工程別に求められるものも異なりますが、
下流になればなる程、人力技という印象です。
従って製造工程(いわゆるプログラミング)や試験工程は、
どうしても労働集約型になりがちであるという点と、
設計工程で実装した内容をチェックしていくわけなので、
上流の設計工程をマネジメントしているキーマンがいないと、
試験工程で品質を網羅出来ない構造があるという点が肝です。
このようなことを念頭におくと、
まず労働集約型であるという点についてですが、
昨今ではテストの自動化というツールが有用になっており、
試験データの作成やその走行をある程度自動化することが出来ます。
同社においてもこのようなツールを活用しているようですし、
その一環として特化型ワークフローで効率を重視している様子は伺えます。
但し、同社ならではという強みまではなかなかすぐには発掘出来ませんでした。
相応のSIer会社であればオフショアやツール適用など、
様々な施策の中で効率を求めて、
出来るだけ労働力に頼らないやり方は既にやられており、
この点で差別化要因があるようには感じません。
(決して劣っているというわけでもないので、良くも悪くも普通という印象)
また2点目の設計工程への寄与度という点では、
開発フェーズからの参画で実績という内容が触れられています。
しかし、同社が開発フェーズで強い優位性がある、
つまりSIerとしての優位性がどこまであるのかは未知数です。
推測ではありますが、SCSKから独立した会社で、
未だ筆頭株主という事を考えると、
要するにSCSKが手掛けるプロジェクトに参画しており、
その中で特にテスト工程に強みのある会社として
請負をしているということなのかなと感じました。
(完全なる推測なので違っていたらすみません)
それであればSCSKの工程分担会社という見方も出来るかもしれません。
そもそもSCSK自体もSI業界の堅調さの中で成長していくでしょうから、
その流れに同社も乗って一定の成長は期待出来るかもしれません。
営業利益率がこの業界としてはやや高く10%を超えています。
固定資産が少なく償却費が少ない構造であることで原価率も低いのですが、
研究開発費なども低く(それでいいのかな?)、販管費率も抑制されています。
とざっくりビジネスの状況を把握した上で同社をみて感じることです。
まず、現金そんなにため込んでどうするの?ということです。
財務は岩盤で現金を還元するなり投資するなりしないとなりませんが、
どうするつもりなのかということです。
投資に回すつもりがあるにせよ、還元姿勢が極端に弱いので、
もう少し見直すべきだと思います。
次に経営姿勢についてです。
SCSKから独立したという会社ですが、大株主には経営陣が一切いません。
この時価総額であればもう少し役員が株式保有でもって
株主の方を向いた経営があってもいいのかなと感じます。
IR活動もかつてはセミナーや資料開示もあったようですが、
直近ではそれも消極的になった印象です。
経営への意欲や株主への姿勢などやや消極的かなという印象を持ちました。
良い点としては、従業員の給与水準ですが、
41歳で平均年収640万は、悪くはない水準です。
こちらも想像ですが、SCSKはホワイト企業に邁進する会社ですから、
その文化をうまく継承できているとすると、
この年収数値以外の従業員の定着という面で良い面はあるかもしれません。
ただ、離職率など定量データで裏どりしたいところです。
株価水準ですが、PER水準は10倍台後半で、
この相場にあって見た目はそこまで高くないかなという印象です。
成長性については、需要は旺盛ながらも対応出来るキャパという観点もあり、
CAGRは10%程度が現実的だと考えています。
22.3期EPSは290、評価PERは20倍くらいとみると、目標株価は5800円位ですかね。
5年で+60%程度なのでまぁ微妙かなと思います。
CAGRがやや控え目でかつ評価PERも20倍程度と控え目で見たのは、
安定性、還元性において低い評価であることによります。
収益構造がフロー型が主体で安定性に凹凸があると思われ、
今でこそ他案件でカバーできているのですが端境期の存在も考慮すると、
CAGR水準もこの程度で、かつ還元姿勢も含めて考えると、
評価PERもこの程度かなと思います。
受注状況の定量データもあるのですが、
試験工程を中心とした領域であることを考えると、
売上計上までの期間はそこまで長くないと思われ、
安定性評価の際の助けになるかといわれるとそこも微妙かなと思い、
やはり安定性評価でもそこまで高い評価が下せません。
ちょうどsunさんのブログで取り上げられていたこともあり、
埋没していた監視銘柄リストからピックアップして、
改めて簡易的な所感をメモしてみました。
監視銘柄が大量になってきて、
少しずつですが、表面的なメモを残しているのですが、
せっかくメモをするのであれば、とりあえず記事にしてあげてしまおうと、
そのままUPしてみます。
他にも機会があれば、またUPしたいと思います。
目的は買い煽りではなく(というか私も買ってないですし)、
もし銘柄にお詳しい方がおられれば、
色々意見交換をさせて頂いたり、
自分の知見の不足している部分の参考にさせて頂きたいとの思いです。
ですので、もしお気づきの点など、
率直なご意見を頂けると嬉しいです。
■3655 ブレインパット 東1
データ分析のアナリスト業務を手掛ける。
専門人材が必須でありこの業界で先駆的でありながら、
足元では人材獲得競争の激化の影響が見られる。
意欲的中計への達成のためには、
人材確保とその戦力化が鍵となる。
ビジネスの旺盛なニーズは不変と思われるが、
リソース面がネックになり今後の成長性評価が大きく分かれる。
1人当たり売上高/利益共に下降トレンドであり、
今後、人材獲得の上、案件の大型化などでパーヘッドの拡大化も必要か。
中計達成を前提としない場合の21.6期EPSは50程度。
PER30倍とすると目標株価は1500円。
中計達成を前提とすると、21.6期EPSは90程度で目標株価は2700円。
中計達成前提なら上値余地は十分だが、
人材獲得とパーヘッドの向上の双方を前提とするのはやはり楽観的か。
■3987 エコモット 札幌
IoTへの対応を進める北海道地場で強い企業。
積雪データの自動計測監視から始まり地場産業の印象だが、
デバイスの自社開発への拘りや、
ゼネコンと組み様々な監視ソリューションを提供することで、
東日本、西日本へ進出本格化のエリア拡大戦略と、
ゼネコン等の中堅・大手との協業姿勢も顕著で販路拡大中。
東証への鞍替えにも意欲はあれど、まだ時間を要する印象。
ストック比率は現状では20-30%程度でまだ収益の安定性確保は過渡期。
競合優位性としても、IoTにおけるワンストップ対応が可能な点があり、
特に最適な計測デバイスの自社開発やそのOEM提供は強みと認識。
IoT関連でもあるテラスカイが大株主にいたり、
協業姿勢からも今後事業性は楽しみな銘柄と感じる。
社長の起業までのストーリーや独自なスタイル、地場を大事にする会社からも、
なかなか見どころがある。
但し、指標面で割高であることは否めず。
目標株価は、22.3期EPS105、評価PER30で3150円。
流動性が極めて低い点も留意が必要。
■3933 チエル JASDAQ
学校への教材ツールなどをクラウドスキームで提供し、
小学校から大学までの幅広い領域に商品を投入。
但し、小学校への導入はやや足元で軟化しており、
この要因や今後の動向はやや気掛かり。
また、今後の成長戦略も10%程度の成長とやや力不足を感じるが、
これが保守的なものなのか、現実ラインなのかはよくわからず。
事業領域やポジショニングは面白く、
教育分野に関心を持っている事もあり興味はあれど、
今の株価指標からすると、成長率が会社アナウンス通りだと心許ない。
CAGR12%程度と見ても、22.3期EPSは約72で、評価PER25~30倍でみると、
ざっくり目標株価は2000円位。
この分野はまだ競争がそこまで激化していない印象で、
今のうちにクラウド型でのデファクト化が図れると強いか。
保有銘柄の最近の値動きはめっきりダメだと思っていましたが、
監視銘柄も実はそこまで冴えていませんでしたね。
監視銘柄の一部についても
気が向くままに定点観測を続けています。
◆3908 コラボス 東マ
コールセンター業務をサービス提供型としてクラウド基盤上で実現。
顧客にとってコスト低減効果が大きく、
限られたリソースをコアコンピタンスに注力出来る環境構築にも寄与。
顧客にとって高シェアの実績と少額導入が可能な点も評価されやすく、
各社での導入が進みストック収益が積み上がる。
一方でコールセンター席数は景況感にも影響しうる点と、
競合によるニッチ戦略の拡充等も見られることから競争環境には留意が必要。
とはいえ既存ベースの成長はクラウド版乗り換え需要で安定的と思われるが、
更なる成長領域としてデータ活用領域への進出を目論む。
この領域は流行や技術競争が既に進み、他社との競争戦略には注目している。
株価は既に相応に評価されておりPER20倍、想定CAGR15%程度。
財務面は安定的も還元姿勢は成長のための内部留保により劣後。
総合:B、成長:A、安定:A、割安:C、安全:A、還元:C
◆2751 テンポスバスター JQスタンダード
中古厨房機器の物販を主業とするも、
飲食店の開業運営コンサルによる再生外食事業や
POS供給を含む情報サービスにも進展し、ほぼ半々の比率。
物販は業者向け中心からEコマースによる個人を含めた販売や、
PB商品開拓による利益率好転が進捗中。
業態多様化や飲食店のReブランディングによる機器ニーズに対応し、
今後もニッチでトップを快走を続ける見通し。
新たな再生案件としてのMAを模索もタイミングや成否は判断を慎重に。
成長力はやや平凡さがあるし、
景況感によっては中古品見直し機運が高まる可能性もあるが、
外食そのものとして総量は減少になるため影響を受けるなど決め手に欠くが、
優待魅力度が高い点は評価したい。
但し、その分株価も割安性に乏しい。
総合:B、成長:B、安定:B、割安:C、安全:B、還元:S
◆3134 Hamee 東1
コマース事業でのスマホアクセサリ等の拡販による事業と、
プラットフォーム事業でのEコマースの基幹システムを提供する事業とで、
相乗効果を機能させている点に注目。
スマホアクセサリそのものはそこまで儲かりそうにないが、
同社の創造性を重視したPB化も推進しており
そこに海外を含めた販路拡張も進捗しており順調な成長が続くと想定。
またこのコマース事業で自社開発のネクストエンジンを活用することで、
そのプラットフォームのニーズを自ら把握し、
製品力を高めることに寄与している。
ブラッシュアップされたエンジンをプラットフォーム事業で展開することは、
痒い所に手が届くスキームの確度を高める構造上の優位さが認められる。
成長に対する意欲も高く、
とはいえ、小田原という地に拘り、創造性を大事にしている社風からも、
ベンチャー志向による自由な発想によりぎすぎすした感じがしない。
IR姿勢にも積極的で東証1部への昇格も早期に実現。
配当はまだ僅かながらも優待も含めて考えると還元姿勢も徐々に鮮明か。
プラットフォーム事業の潜在力やシナジーによる期待が先行し、
株価は割安性が薄まっており、過去に保有も一旦利益確定済。
総合:B、成長:A、安定:B、割安:C、安全:C、還元:B
◆3137 ファンデリー 東マ
食事療法を要する方へ健康食を提供する会社。
医療機関等を介してカタログを提供した販売チャネルとなっている。
購入時にはわざわざ一人一人に自社の栄養士が個別にアサインされ、
電話等できめ細かな療養度合いなどのヒアリングを行うことで、
満足出来る健康食を提供することに腐心している。
成人病患者も増え続け、高齢化が進むこともあり、
「機会」としてはより多くの方が同社のサービスを使う可能性があり、
潜在顧客数を今後間違いなく右肩上がりになっていくと思われる。
同社の「強み」はこの領域に特化したきめ細かなサービスと、
その流通ルートの確立だと捉えている。
口コミも含めて個別の栄養士が相談に乗りきめ細かなサービスが、
既に医療機関を介したカタログ流通モデルが出来上がると、
先行者メリットはあると感じる。
但し、「弱み」としてその食事メニューの製造部分は
外注となっており、今後、
食品メーカー等が競合になる恐れがあるかなと感じている。
「機会」が増えていく中で、それを競合も虎視眈々と参入してきたときに、
同社の既存スキームの先行メリットがどこまで効力があるかというのは注視。
このため、健康食であってもスイーツが採れたり、
量もかさ増しされたメニューだったり多様性に対応出来る企画を
どんどん押し出しており存在感を増やそうと躍起。
また直近ではシャープのヘルシオを使った提携もあり、
製品と結び付けたマーケティング活動にも進出中。
当然、個人データを大量に保有していることから、
その活用というテーマもあり、マーケティングなどに有効活用を期待。
事業内容は実直で地味だが、機会と強みもあることから好みな銘柄。
但し今の順調な契約数(会員数)や販売量で右肩上がりのグラフを見ていると、
本当にどこかで踊り場が来ないのかという点は、
まだ確信が持てない部分がないわけではない。
また財務にだいぶ余裕があるものの、
これをどこに投資するのかにも興味がある。
近い業界や同業界内でのMAを検討しているのか、
もしくは、いよいよ弱みの部分を克服するために製造部分へ投資するのか。
とても楽しみな会社なのだが、割安性が着実に薄まってきている。
総合:A、成長:A、安定:A、割安:B、安全:S、還元:C