Author:まるのん |
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四季報で目に留まった銘柄のひとつの
3712情報企画について、コメントを頂きましたので、
簡単に定量データを取り纏めてみました。
以下、PDFファイルのリンクとなっています。
銘柄分析シート 3712 情報企画
他の銘柄の調査や、四季報の読み進めもあることから、
乱雑ですがいつもながら書き殴っておきます。
(読みにくくて申し訳ありません)
まず、当社が手掛けるシステムは、
銀行や信金におけるニッチな部分のビジネスです。
銀行の中でもメガバンクは当然様々な周辺系業務について
システム化されていますが、
地銀や更に規模の小さな信金となると、
各種リスク審査や契約事務など周辺系の小さな業務は、
システム化されていないものです。
ここにフォーカスを当てて、ニッチャーとして当社は活躍しているようです。
信金や地銀は多くが共同センタシステムに加盟しており、
NTTデータが提供する信金共同センターやBeSTAブランドなどが大きく、
このほか、IBMが提供するじゅうだん会など各ベンダーが、
共同センタビジネスを展開しています。
しかしこの共同センタビジネスの主たる部分は、
勘定系と呼ばれる部分が中心で、
そこから派生する市場評価システムや、窓販システム、
リスク管理システムや契約稟議システムなど、
周辺系の部分はなかなか共同化が難しく、
商品ラインナップは大手も取り揃えているものの、
勘定系の共同センターの導入進捗に比べると導入数は少ないのが実情です。
こういったニッチな部分は、各行の独特な事務やお作法もあって、
オペレーションが画一化がややしにくい部分で、
それなりにカスタマイズが必要であるわけです。
しかしそもそもニッチな領域なので、
なかなか大手が収益性を確保してビジネスをやるには、
やりづらい部分なのでしょう。
金融分野に強い中堅どころのSIerがそれなりに活躍しています。
追加で調査が必要なのは、
そういう金融に強いと言われる中堅どころのSIerと比較した時の、
当社の強みをより明確にする必要がありそうです。
営業利益率が20%を超えていることから、
それなりの競争力がありそうですが、
クラウド型が主体でもなく、個別SIビジネスでありながら、
これだけの利益率は驚きなのです。
オービックなど本当に尖ったスキルがあるような会社で、
営業力が凄まじい会社であれば高利益率になるのは理解できるのですが、
当社がオービック程ではないにせよ、これだけの利益率を保てているのが、
凄いなと思う反面、何がそうさせているのか、よく精査が必要です。
地銀や信金は、メガバンクと比べるとシステム投資をコストと認識している要素もいまだ強く、
値下げ要請も大きいはずですが、その波に今の所飲まれていません。
その理由を探ることが、今後の安定成長の可否を測るポイントになりそうです。
BSを見ると、現金が多いですが、
2013年を見て頂くと有形固定資産が増えて現金が減っています。
不動産投資の事業を細々と始めて、
その物件取得を行ったようです。
キャッシュフローもこの年に大きく投資CFがマイナスとなっています。
会社HPにあるIR情報を見ると、ようするに有り余る現金を少しは効率化をしようと、
これまでM&Aやベンチャー投資などをしてきたものの、
それがうまくいかず、堅実にかつ安定的にストック収入に繋がる、
不動産投資による賃料収入に落ち着いたようです。
社長のQA集を見ると、新たな事業への進出には消極的なようです。
恐らく過去の失敗?がトラウマなのでしょうかね。
配当性向が高い点も納得です。
これは評価が難しいです。
M&Aは一般的に失敗する方が多い訳でリスキーなものであるという認識は、
共感をしますが、一方で配当を高めていることは、
ある意味では成長限界が近いのか?ともいえなくもありません。
確かに現状ニッチな部分でシステム開発を行っており、
金融以外も狙っているようですが、そう簡単ではないでしょう。
金融は規制や時流などで
新商品による一定の成長はあると思います。
最近では情報セキュリティ事故を受けての、
反社対応など時流があるわけです。
ただ、これに現状のストックと更改だけで、
どこまで成長出来るのかとも懐疑的になってしまいます。
一方で、利益率の向上や足元では受注も増勢のようで、
足元では、少なくても今期は、
好調を維持するでしょう。
この利益率の向上は、
当然金融機関がリーマンショックからいよいよ本格的に回復し、
ずっと抑制していたシステム投資を再び開始してきたということもありそうですが、
内部的な人件費(外注費)の工夫が大きいようです。
担保保証システムでは地図データを購入し、
それをシステムデータとして登録をして使えるようにするわけですが、
地図データそのもののコストがあがったことと、
手作業で登録していたものを自動化するなど、効率化による利益創出を行っているようです。
ただ、これは自動化が完了してしまい、もうここからもう一段の改善幅は少ないでしょう。
そういう意味では、利益率の推移も上昇はしているものの、
そろそろいい具合まできているといえます。
ビジネスと収益性の面を整理してみると、
ニッチで活躍できるフィールドがそこにはあり、
特化型のSIビジネスは一定程度は今後も堅調に推移すると思います。
また高い利益率が何によってもたらされるのか、
この部分はもっと精査が必要ではあるものの、
足元では高い利益率で高収益が当面は期待出来そうである。
但し、効率化という面では限界も来ると思われ、
更なる事業拡大という面でも長期的な打ち手がやや不足している印象です。
四半期毎の業績を見ると、
3Qがやや苦戦する期のようですね。
4-6月ですからね。だいたいシステム更改は年末年始だったりしますから、
それが明ける3Qは仕方ないのかもしれませんね。
そういう意味では、次回の決算が注目ですね。
実は2Qの結果も売上こそ順調であるものの、
2Q単期でみると、利益はやや停滞した感じになっています。
理由も言及されていますが、
それが苦戦する3Qでどのような結果になるのか、まずは注目です。
不動産賃貸事業は微々たるものですが、
主力のシステム構築ビジネスとのシナジーはあるのでしょうか。
どうも単に現金が余っていて、その使途があまり思いつかず、
やっているという印象です。
当社の主力ソリューションである不動産担保評価システムとは関係ないでしょうしね。
リーマン後の落ち込みからの回復ぶりをみると、
確かにここ数年だけの成長性を見るととても魅力です。
しかし、今後の成長がどこまで続くか、
その部分にやや懸念があるかなという印象です。
ただ、財務面では無借金ですし、
健全性は高そうですから、配当も重視しつつ投資するならよいですが、
将来の成長性にもう少し根拠が持てれば投資を検討できるかもしれません。
四季報ベースの独自の今期PERは14倍程度です。
これまでの3年間のEPSのCAGRは50%程度と急拡大しています。
今後も自己株買いなども織り交ぜながら、
かつEPSも伸長させてくれるとは思いますが、
その率はこれまでの推移を維持すると思えば、
相当割安だと思います。
PER25倍くらいまでは狙えるでしょうか。
しかし、私は現時点では事業の成長性と効率化による改善度合い余地を考慮しても、
成長性は10%台後半くらいかなというイメージです。
財務安定性を考慮してもPER20倍程度が限界でしょうか。
2年後に2800円くらいが射程といったところですかね。
現時点からの上昇余地は概算で70%ですから、
まぁ、投資するにしてもよいかもしれませんが、まだ私は理解が浅いので、
強みが成長性の評価がもう少し醸成されている必要がありそうです。