Author:まるのん |
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6067 メディアフラッグ 東証マザーズ 【サービス】
①事業内容
全国各地に登録されている覆面調査人やラウンダによる
顧客企業の営業支援全般の現状分析、コンサルティングを行う事業を行っています。
特に流通業出身の方が多く、流通業を中心とした消費財メーカー向けの販促コンサルにも進出しています。
管理のために必要となる日常管理項目をシステム化しており、システム提供にも対応しています。
基本的には営業支援コンサル、流通に特化した販促コンサルが主事業のようです。
更にインストアビジネスのノウハウ蓄積が主目的かと思いますが、
ファミマのFC事業も一応対応しています。(利益の比率は小さなものです)
ごちゃごちゃ書く前に以下のHP資料を見た方がわかりやすいです。

◆自社HP内から抜粋
当社は流通出身者が多く流通を強みにしているので、
この資料上でも流通小売りとありますが、
個人のエンドユーザーが存在するサービスや販売を行う、
あらゆる店舗保有形態を持つ企業が顧客になりうると思います。
実際に地銀や外食なども事例紹介にも挙げられています。
また新たな事業として、再生事業支援と海外進出の2点が挙げられます。
再生事業支援は、営業支援としてのコンサルの域を超えて、
抜本的に経営改革にメスを入れるところまで立ち入るということのようです。
今後個々に最適なやり方は個別に検討していくとはありますが、
最初の事例となる和菓子製販の事例では、当社が完全子会社化して、
経営改革を推進しているようです。
海外進出は中国(上海)、インドネシアに続きインドにも進出し始めているようですが、
これらASEAN各国や中国にとって日本のマーケティングや営業支援の在り方は、
一種のブランドのような安心感と信頼感があるようです。
ですから海外にコンビニが進出していますが、
システム化された在庫管理や陳列などに工夫が施された販促管理など、
目から鱗なのだそうです。
そういえば、前に2352エイジアの社長の話でも、
ASEANの地域でのマーケティングノウハウに関する日本ブランドは大変高いものがあると仰っていました。
流通に特に強みを持つ当社としては、進出していけるだけの武器は持ち備えていそうです。
②事業環境
まず覆面調査とか営業支援コンサルなどというと競合が多そうです。
実際にサービスレベルはさておき事業を始める上での参入障壁は極めて低いでしょう。
参入障壁が低いという点で、もう却下~となるのですが、
ここで諦めたくはありません。差別化要素がないか考えてみます。
まずそもそも上場している点で、信用力はそれなりには高まります。
コンサルのようにPCと体があればあとはそれっぽいことを言えば、
コンサルサービスの提供自体は出来ますが、やはり上場している点は有利に働くでしょう。
しかし、そうはいっても同業で上場している会社もいくつかあります。
調査会社の最大手の3730マクロミルや個人投資家にも人気のある3654ヒトコミュニケーションズなどです。
ヒトコミュニケーションズは単に人材派遣ではなく、営業支援系の領域まで進出していますので。
どちらも東証1部と当社に比べてもより信用力が高い状態がある中で、
マザーズ上場の当社は決して競争優位性が高いわけではありません。
しかし、事実として当社は時価総額20億程度の小さな会社ではありながらも、
主要顧客にアディダスを始めとした流通小売各社、武田薬品を始めとした製薬化粧品各社、
更にお堅く保守的な傾向にある地銀まで業種も様々に展開されてきています。
ちなみに私の保有株の7743シードも当社の顧客のようです。
私がこれを見て思うのは、社長を始めとした流通出身の有識者が、
得意分野で実績を挙げて育て上げ、それが他業態へも浸透し始めているように見えており、
自社の強みを十分に生かして機会創出を努める戦略が奏功しているのではないかと思います。
SWOT分析的にいうと、S(強み)とO(機会)を組み合わせた戦略を取っており強気だなと感じます。
そして設立以来いきなり住友商事や博報堂といった強い味方を作ってみたりと、
設立以来、根本的に高い営業力があるのだと思います。
「参入障壁が低くても差別化要素があってそれは営業力です」
となると、言葉だけ見れば、この分析は浅はかだとなるのですが、
しかしこうとしか言いようがないように思います。
社長の経歴で銀行入行後、いきなり中小融資営業を担当していますが、
そこで磨かれたのか、もしくは元々そういう素質がある方なのかもしれません。
この他に差別化要素を挙げるとすると、
調査者やラウンダーの数でしょうか。
マクロミルのようにWeb上に登録されている調査対象者が多いのですが、
リアル店舗を対象にした調査者やラウンダーについて、
これだけの人数を集められているのは一歩頭が出ているような気がします。
なお、当社はリアル店舗に対するコンサルを手掛けており、
これらをフィールドマーケティングと呼んでいます。
ネットのみでアンケート形式で行われる調査が従来の主体であり、
マクロミルなどまさにこの典型ですが、
当社はリアル店舗でのマーケティングに力を入れています。
ネットを用いた調査ですと、
有効回答のボリュームを集められる一方で質の問題があったり、
コンサルも表面的なものになりがちだという印象です。
しかしリアル店舗で実際に足を運び、覆面でなければ実際に現場の方の声を聞いて、
コンサルをすれば当然のことながら質の面でも差別化できるかもしれません。
いずれにせよ、このフィールドマーケティングの分野は当社も認めている通り、
まだ未知の領域で黎明期にある状況です。
つまりまだマーケットが出来上がっておらず
これから成熟分野にシフトしていき、
新たなマーケットが作られる可能性を共感できるかどうかが重要になりそうです。
この黎明期の時点で投資が出来ていれば、成果も大きくなりますが、
一方で損失のリスクも多くなります。
③成長性
当社はあと数年で売上高100億を目指すと公言しているようですので、
今期見込みが60億ですから70%弱の増収基調を辿ることになります。
当然既存事業だけでは難しいでしょうから、
再生事業と海外事業が牽引していくことになると思います。
一方で利益はこれまでの実績を見ると基本的には年率30%超で成長してきています。
ここまで大きな成長をしているのは、当然トップラインがあがっていることもありますが、
構造的に限界利益率が低い点が挙げられると思います。
これは既存事業における調査人は専業主婦などが多いようで、
必要な案件に対して必要な稼働のみを割り当てるスポット対応のため、
効率的に人件費が使われていると考えられます。
これは言い方を変えると変動費比率が高く、固定費比率が低いことになりますが、
固定費比率が低いということは、
売上が一定のラインを超えると利益を出しやすい構造であると思います。
そして、既存事業に関する収支構造は今後も大きく変わらないと考えます。
人材コストの高まりから単価は上がったとしても、多くが変動費になるため、
コスト悪化の影響も限定的になるような気がします。
一方で海外進出に関しては立ち上がりのところで一時費用が出るでしょうし、
運用フェーズに入ったとしてどのように推移するのかわかりませんが、
ある程度成熟した運用が出来上がっている国内と比べると、
利益率は悪くはなると考えます。
ただ、既に進出済のインドネシアや中国の影響が多少なりとも出ているはずですが、
決算短信によると流通支援事業で利益率が悪化しているものの、
現時点で大きく懸念するまでの状況ではないように感じます。
また再生事業への進出による影響は、
立ち上がりまでは費用面が先行するでしょう。
例えば株式会社十勝の買収による再生については、
のれん代もかかりますし、事業における原価も厚めに張る必要があるでしょう。
ただ、本当に再生を果たした時には、そこから得られる収益のほかに、
それが実績となることで営業面でもプラスになります。

私の今の感覚的な成長率は20%程度で見るのがよさそうです。
今後新規事業や海外進出の本格化も考えると現状の30%成長で見込むのはあまりに
アグレッシブで20%程度がよいところではないでしょうか。
なお、先に数値上の感覚値で書き連ねましたが、
成長のシナリオはいくつかありますが、以下のような感じでしょうか。
(1)海外進出での中国、インドネシア、インドの収益化
(2)国内の新規採用企業による横幅出し
(3)再生事業での成功実績を元にした引き合い増加
④財務諸表等の数値確認
◆BS

特徴は前期に比べて随分と背伸びした点ですが、これはM&Aの効果でしょう。
素直に読めばM&Aして和菓子店舗や工場の設備系等はすべて固定資産へ計上されます。
一方で有利子負債もたっぷりやってきました。そんな所が特徴でしょうか。
流動側も現金等が増えた一方で、流動負債も増えていますし、
その他にもBS上から大きな変化トレンドは読み取れません。
◆PL

これでは上場してから2年間の情報しかありませんので、なんともいえないですね。
もう少し長い期間ををということで、以下IR資料より抜粋です。
7期連続で増収増益のようです。

※IR資料より抜粋
それで、これだけだと情報不足なので、
開示資料からもう少しデータを整理して眺めてみて、
気になる点は以下でした。


・粗利率が足元の四半期で大幅に向上している
粗利益のトレンドを確認すると、
12.12期通期:36.7% → 13.12期通期:36.3%(13.12期1Q:37.6%) →14.12期1Q:41.2% となります。
概ねこれまで36%~37%程度でしたが、最新の四半期では大きく改善しているのです。
・販管費が足元の四半期で大幅に増加しており営業利益率を悪化させている
販管費率のトレンドを確認すると、
12.12期通期:29.9% → 13.12期通期:29.1%(13.12期1Q:31.6%) →14.12期1Q:37.4% となります。
・営業利益率が足元で悪化している
12.12期通期:6.9% → 13.12期通期:7.2%(13.12期1Q:6.0%)→14.12期1Q:3.8%(14.12期通期予想:4.5%)
13.12期決算で社内コスト改革により営業利益率を向上させたそうであるが、
ではなぜ14.12期の営業利益率がここまで悪化(13.12期比で2.7%減)するのかがよくわからないのです。
コスト改革は一時的なものであったのか、新たな体制作りなどの構想があるのか。。。
もしくはなにか構造的な変化が起きているのかもしれません。
1Qの内容では、販管費の使途がポイントなのでしょうが、
この使途によって具体的にいつ頃にどの程度の成果が表れると想定しているのかも確認が必要でしょうか。
この一連の疑問は、IR照会行きかもしれません、、、
(もし照会を行い新たな事実がわかれば、追記の箇所にでも後日追記するかもしれません)
なお、当社は特に四半期による季節要因はあまりなさそうですので、
上記の各比率のグラフは全四半期との比較の観点は入れていません。
◆CF

こちらも期間が短い上に、足元では特異的な状況ですので、あまり参考にならないですね。
投資期という印象と実際の上記表のイメージも合致しており納得です。
が、成長企業ならではの不安定さもありそうですので、資金面できちんと回っているかはモニタリングが必要です(当たり前)。
⑤各指標の確認
株価(7/18終値) 579円
時価総額 26.5億
PER(13.12実績) 18.2倍
PER(14.12予想) 16.5倍
PBR 2.8倍
ROE(13.12実績) 17.0%
ROE(14.12予想) 14.8%
配当性向 未定 →まぁいずれにせよ微々たるものでしょう。
⑥今後の株価動向について

◆ゴールデンチャート社から取得
これまでの株価水準はなんと昨年のアベノミクスが全く反映されていません。
普通に考えると、評価されない「何か」があるはずだと考えるのが自然です。
数値上は売上もEPSも伸びています。
もちろんM&A効果もあってのことですが、
それにしても株価が全く反応していないのは意外です。
当社のようにコンサルサービスは胡散臭い部分も多様にありますし、
前述のように競争激化もしていることから
差別化要素がはっきりこれだとロジカルに言い切れないところは
確かに懸念されますが、それにしてももう少し評価されてもよいように思います。
利益面では20%成長を前提とすると、
17.12期で66.1になります。
一方でその時点での成長率も引き続き海外伸長や再生事業の本格化も見込むと
20%成長が見込めると思いますが、保守的に考えて15%程度としておきます。
一方でフィールドマーケティングという新たなマーケットが構築されているとして、
その先駆者としての地位や将来的に1部上場へ成長していることも考慮すると
PER18倍位の評価は期待してもよいかもしれません。
すると目標株価は1,190円となります。
また当社の企業価値という面から測定してみます。
BS上の現金、売掛金などの当座資産は約12.5億円。
建物機械などの未償却分として約3億円。
土地が16億円。
一方で借入金が約27億円ですから財産価値としての評価は4.5億円となります。
事業価値を簡易的に算出しますが、
本業の儲けを示す営業利益が今期予想で2.7億円で、期待利回りを10%とすると、
16.2億円と計算できます。
財産価値4.5億、事業価値を16.2億とすると、当社の企業価値は20.7億円となります。
これを発行済株式で割り戻して株価にすると、489円となります。
営業利益がこのまま15%成長を続けた前提で事業価値だけ再計算してみると、
17.12期での事業価値は約25億円となります。
現在の財産価値は約30億円となります。株価にすると709円。
いずれにしても企業価値から算出すると現在の株価は妥当ということになります。
ただ、BS上での財産価値で借入金が多いことが影響していると思います。
これはM&Aで負の遺産も引き継いでいるためと思われます。
特に買収したての状況ですので、この計算で適正に評価出来ているのかはよくわかりません。
この借入金が多い点は当社の財務安全性にも影響しているように思います。
ただ、レシオを見てもそこまで留意が必要な状況ではありませんし、
銀行借り入れ利率は長期で1.4%ですからまぁ普通ですね。
自己資本比率が低く、投資期に増資懸念もあるような気がしますので、
その点は心に留めておきたいです。
また、最後に当社の大株主にはまだベンチャーキャピタルが残っているようですので、
どこかで売り圧力が高まる可能性もあります。
⑦サマリ
まず事業内容からすると参入障壁も低くかつ実態が伴いにくいビジネスモデルです。
この点からまずは敬遠した方がよいかなというのが第一印象です。
しかし、一方で再生事業や海外進出など新分野の事業も軌道に乗りつつあって、
これが収益化していきそうな気配は感じることが出来ます。
また、既存のフィールドマーケティングという新たな市場が本当に
確立するようなことがあれば、現状の成長力が持続していき、
企業価値も大きく拡大する可能性も考えられます。
現状で多くの調査員を抱えており、かつ変動比率が高いモデルではあるため、
その点の魅力もあります。
労働集約型とはいえ、変動費が多数を占めていると、
そこまでの懸念は必要ないと思います。
現在の株価水準ではすぐに飛びつくようなものではない気もしていますが、
もう少し監視は続けていきたいと思います。
①事業内容
全国各地に登録されている覆面調査人やラウンダによる
顧客企業の営業支援全般の現状分析、コンサルティングを行う事業を行っています。
特に流通業出身の方が多く、流通業を中心とした消費財メーカー向けの販促コンサルにも進出しています。
管理のために必要となる日常管理項目をシステム化しており、システム提供にも対応しています。
基本的には営業支援コンサル、流通に特化した販促コンサルが主事業のようです。
更にインストアビジネスのノウハウ蓄積が主目的かと思いますが、
ファミマのFC事業も一応対応しています。(利益の比率は小さなものです)
ごちゃごちゃ書く前に以下のHP資料を見た方がわかりやすいです。

◆自社HP内から抜粋
当社は流通出身者が多く流通を強みにしているので、
この資料上でも流通小売りとありますが、
個人のエンドユーザーが存在するサービスや販売を行う、
あらゆる店舗保有形態を持つ企業が顧客になりうると思います。
実際に地銀や外食なども事例紹介にも挙げられています。
また新たな事業として、再生事業支援と海外進出の2点が挙げられます。
再生事業支援は、営業支援としてのコンサルの域を超えて、
抜本的に経営改革にメスを入れるところまで立ち入るということのようです。
今後個々に最適なやり方は個別に検討していくとはありますが、
最初の事例となる和菓子製販の事例では、当社が完全子会社化して、
経営改革を推進しているようです。
海外進出は中国(上海)、インドネシアに続きインドにも進出し始めているようですが、
これらASEAN各国や中国にとって日本のマーケティングや営業支援の在り方は、
一種のブランドのような安心感と信頼感があるようです。
ですから海外にコンビニが進出していますが、
システム化された在庫管理や陳列などに工夫が施された販促管理など、
目から鱗なのだそうです。
そういえば、前に2352エイジアの社長の話でも、
ASEANの地域でのマーケティングノウハウに関する日本ブランドは大変高いものがあると仰っていました。
流通に特に強みを持つ当社としては、進出していけるだけの武器は持ち備えていそうです。
②事業環境
まず覆面調査とか営業支援コンサルなどというと競合が多そうです。
実際にサービスレベルはさておき事業を始める上での参入障壁は極めて低いでしょう。
参入障壁が低いという点で、もう却下~となるのですが、
ここで諦めたくはありません。差別化要素がないか考えてみます。
まずそもそも上場している点で、信用力はそれなりには高まります。
コンサルのようにPCと体があればあとはそれっぽいことを言えば、
コンサルサービスの提供自体は出来ますが、やはり上場している点は有利に働くでしょう。
しかし、そうはいっても同業で上場している会社もいくつかあります。
調査会社の最大手の3730マクロミルや個人投資家にも人気のある3654ヒトコミュニケーションズなどです。
ヒトコミュニケーションズは単に人材派遣ではなく、営業支援系の領域まで進出していますので。
どちらも東証1部と当社に比べてもより信用力が高い状態がある中で、
マザーズ上場の当社は決して競争優位性が高いわけではありません。
しかし、事実として当社は時価総額20億程度の小さな会社ではありながらも、
主要顧客にアディダスを始めとした流通小売各社、武田薬品を始めとした製薬化粧品各社、
更にお堅く保守的な傾向にある地銀まで業種も様々に展開されてきています。
ちなみに私の保有株の7743シードも当社の顧客のようです。
私がこれを見て思うのは、社長を始めとした流通出身の有識者が、
得意分野で実績を挙げて育て上げ、それが他業態へも浸透し始めているように見えており、
自社の強みを十分に生かして機会創出を努める戦略が奏功しているのではないかと思います。
SWOT分析的にいうと、S(強み)とO(機会)を組み合わせた戦略を取っており強気だなと感じます。
そして設立以来いきなり住友商事や博報堂といった強い味方を作ってみたりと、
設立以来、根本的に高い営業力があるのだと思います。
「参入障壁が低くても差別化要素があってそれは営業力です」
となると、言葉だけ見れば、この分析は浅はかだとなるのですが、
しかしこうとしか言いようがないように思います。
社長の経歴で銀行入行後、いきなり中小融資営業を担当していますが、
そこで磨かれたのか、もしくは元々そういう素質がある方なのかもしれません。
この他に差別化要素を挙げるとすると、
調査者やラウンダーの数でしょうか。
マクロミルのようにWeb上に登録されている調査対象者が多いのですが、
リアル店舗を対象にした調査者やラウンダーについて、
これだけの人数を集められているのは一歩頭が出ているような気がします。
なお、当社はリアル店舗に対するコンサルを手掛けており、
これらをフィールドマーケティングと呼んでいます。
ネットのみでアンケート形式で行われる調査が従来の主体であり、
マクロミルなどまさにこの典型ですが、
当社はリアル店舗でのマーケティングに力を入れています。
ネットを用いた調査ですと、
有効回答のボリュームを集められる一方で質の問題があったり、
コンサルも表面的なものになりがちだという印象です。
しかしリアル店舗で実際に足を運び、覆面でなければ実際に現場の方の声を聞いて、
コンサルをすれば当然のことながら質の面でも差別化できるかもしれません。
いずれにせよ、このフィールドマーケティングの分野は当社も認めている通り、
まだ未知の領域で黎明期にある状況です。
つまりまだマーケットが出来上がっておらず
これから成熟分野にシフトしていき、
新たなマーケットが作られる可能性を共感できるかどうかが重要になりそうです。
この黎明期の時点で投資が出来ていれば、成果も大きくなりますが、
一方で損失のリスクも多くなります。
③成長性
当社はあと数年で売上高100億を目指すと公言しているようですので、
今期見込みが60億ですから70%弱の増収基調を辿ることになります。
当然既存事業だけでは難しいでしょうから、
再生事業と海外事業が牽引していくことになると思います。
一方で利益はこれまでの実績を見ると基本的には年率30%超で成長してきています。
ここまで大きな成長をしているのは、当然トップラインがあがっていることもありますが、
構造的に限界利益率が低い点が挙げられると思います。
これは既存事業における調査人は専業主婦などが多いようで、
必要な案件に対して必要な稼働のみを割り当てるスポット対応のため、
効率的に人件費が使われていると考えられます。
これは言い方を変えると変動費比率が高く、固定費比率が低いことになりますが、
固定費比率が低いということは、
売上が一定のラインを超えると利益を出しやすい構造であると思います。
そして、既存事業に関する収支構造は今後も大きく変わらないと考えます。
人材コストの高まりから単価は上がったとしても、多くが変動費になるため、
コスト悪化の影響も限定的になるような気がします。
一方で海外進出に関しては立ち上がりのところで一時費用が出るでしょうし、
運用フェーズに入ったとしてどのように推移するのかわかりませんが、
ある程度成熟した運用が出来上がっている国内と比べると、
利益率は悪くはなると考えます。
ただ、既に進出済のインドネシアや中国の影響が多少なりとも出ているはずですが、
決算短信によると流通支援事業で利益率が悪化しているものの、
現時点で大きく懸念するまでの状況ではないように感じます。
また再生事業への進出による影響は、
立ち上がりまでは費用面が先行するでしょう。
例えば株式会社十勝の買収による再生については、
のれん代もかかりますし、事業における原価も厚めに張る必要があるでしょう。
ただ、本当に再生を果たした時には、そこから得られる収益のほかに、
それが実績となることで営業面でもプラスになります。

私の今の感覚的な成長率は20%程度で見るのがよさそうです。
今後新規事業や海外進出の本格化も考えると現状の30%成長で見込むのはあまりに
アグレッシブで20%程度がよいところではないでしょうか。
なお、先に数値上の感覚値で書き連ねましたが、
成長のシナリオはいくつかありますが、以下のような感じでしょうか。
(1)海外進出での中国、インドネシア、インドの収益化
(2)国内の新規採用企業による横幅出し
(3)再生事業での成功実績を元にした引き合い増加
④財務諸表等の数値確認
◆BS

特徴は前期に比べて随分と背伸びした点ですが、これはM&Aの効果でしょう。
素直に読めばM&Aして和菓子店舗や工場の設備系等はすべて固定資産へ計上されます。
一方で有利子負債もたっぷりやってきました。そんな所が特徴でしょうか。
流動側も現金等が増えた一方で、流動負債も増えていますし、
その他にもBS上から大きな変化トレンドは読み取れません。
◆PL

これでは上場してから2年間の情報しかありませんので、なんともいえないですね。
もう少し長い期間ををということで、以下IR資料より抜粋です。
7期連続で増収増益のようです。

※IR資料より抜粋
それで、これだけだと情報不足なので、
開示資料からもう少しデータを整理して眺めてみて、
気になる点は以下でした。


・粗利率が足元の四半期で大幅に向上している
粗利益のトレンドを確認すると、
12.12期通期:36.7% → 13.12期通期:36.3%(13.12期1Q:37.6%) →14.12期1Q:41.2% となります。
概ねこれまで36%~37%程度でしたが、最新の四半期では大きく改善しているのです。
・販管費が足元の四半期で大幅に増加しており営業利益率を悪化させている
販管費率のトレンドを確認すると、
12.12期通期:29.9% → 13.12期通期:29.1%(13.12期1Q:31.6%) →14.12期1Q:37.4% となります。
・営業利益率が足元で悪化している
12.12期通期:6.9% → 13.12期通期:7.2%(13.12期1Q:6.0%)→14.12期1Q:3.8%(14.12期通期予想:4.5%)
13.12期決算で社内コスト改革により営業利益率を向上させたそうであるが、
ではなぜ14.12期の営業利益率がここまで悪化(13.12期比で2.7%減)するのかがよくわからないのです。
コスト改革は一時的なものであったのか、新たな体制作りなどの構想があるのか。。。
もしくはなにか構造的な変化が起きているのかもしれません。
1Qの内容では、販管費の使途がポイントなのでしょうが、
この使途によって具体的にいつ頃にどの程度の成果が表れると想定しているのかも確認が必要でしょうか。
この一連の疑問は、IR照会行きかもしれません、、、
(もし照会を行い新たな事実がわかれば、追記の箇所にでも後日追記するかもしれません)
なお、当社は特に四半期による季節要因はあまりなさそうですので、
上記の各比率のグラフは全四半期との比較の観点は入れていません。
◆CF

こちらも期間が短い上に、足元では特異的な状況ですので、あまり参考にならないですね。
投資期という印象と実際の上記表のイメージも合致しており納得です。
が、成長企業ならではの不安定さもありそうですので、資金面できちんと回っているかはモニタリングが必要です(当たり前)。
⑤各指標の確認
株価(7/18終値) 579円
時価総額 26.5億
PER(13.12実績) 18.2倍
PER(14.12予想) 16.5倍
PBR 2.8倍
ROE(13.12実績) 17.0%
ROE(14.12予想) 14.8%
配当性向 未定 →まぁいずれにせよ微々たるものでしょう。
⑥今後の株価動向について

◆ゴールデンチャート社から取得
これまでの株価水準はなんと昨年のアベノミクスが全く反映されていません。
普通に考えると、評価されない「何か」があるはずだと考えるのが自然です。
数値上は売上もEPSも伸びています。
もちろんM&A効果もあってのことですが、
それにしても株価が全く反応していないのは意外です。
当社のようにコンサルサービスは胡散臭い部分も多様にありますし、
前述のように競争激化もしていることから
差別化要素がはっきりこれだとロジカルに言い切れないところは
確かに懸念されますが、それにしてももう少し評価されてもよいように思います。
利益面では20%成長を前提とすると、
17.12期で66.1になります。
一方でその時点での成長率も引き続き海外伸長や再生事業の本格化も見込むと
20%成長が見込めると思いますが、保守的に考えて15%程度としておきます。
一方でフィールドマーケティングという新たなマーケットが構築されているとして、
その先駆者としての地位や将来的に1部上場へ成長していることも考慮すると
PER18倍位の評価は期待してもよいかもしれません。
すると目標株価は1,190円となります。
また当社の企業価値という面から測定してみます。
BS上の現金、売掛金などの当座資産は約12.5億円。
建物機械などの未償却分として約3億円。
土地が16億円。
一方で借入金が約27億円ですから財産価値としての評価は4.5億円となります。
事業価値を簡易的に算出しますが、
本業の儲けを示す営業利益が今期予想で2.7億円で、期待利回りを10%とすると、
16.2億円と計算できます。
財産価値4.5億、事業価値を16.2億とすると、当社の企業価値は20.7億円となります。
これを発行済株式で割り戻して株価にすると、489円となります。
営業利益がこのまま15%成長を続けた前提で事業価値だけ再計算してみると、
17.12期での事業価値は約25億円となります。
現在の財産価値は約30億円となります。株価にすると709円。
いずれにしても企業価値から算出すると現在の株価は妥当ということになります。
ただ、BS上での財産価値で借入金が多いことが影響していると思います。
これはM&Aで負の遺産も引き継いでいるためと思われます。
特に買収したての状況ですので、この計算で適正に評価出来ているのかはよくわかりません。
この借入金が多い点は当社の財務安全性にも影響しているように思います。
ただ、レシオを見てもそこまで留意が必要な状況ではありませんし、
銀行借り入れ利率は長期で1.4%ですからまぁ普通ですね。
自己資本比率が低く、投資期に増資懸念もあるような気がしますので、
その点は心に留めておきたいです。
また、最後に当社の大株主にはまだベンチャーキャピタルが残っているようですので、
どこかで売り圧力が高まる可能性もあります。
⑦サマリ
まず事業内容からすると参入障壁も低くかつ実態が伴いにくいビジネスモデルです。
この点からまずは敬遠した方がよいかなというのが第一印象です。
しかし、一方で再生事業や海外進出など新分野の事業も軌道に乗りつつあって、
これが収益化していきそうな気配は感じることが出来ます。
また、既存のフィールドマーケティングという新たな市場が本当に
確立するようなことがあれば、現状の成長力が持続していき、
企業価値も大きく拡大する可能性も考えられます。
現状で多くの調査員を抱えており、かつ変動比率が高いモデルではあるため、
その点の魅力もあります。
労働集約型とはいえ、変動費が多数を占めていると、
そこまでの懸念は必要ないと思います。
現在の株価水準ではすぐに飛びつくようなものではない気もしていますが、
もう少し監視は続けていきたいと思います。