投資方針に忠実に退屈な投資で資産形成


 1951 協和エクシオの決算発表を簡単に振り返ります。

 ちなみに当社は相対的に成長性への期待は小さく、
 安定性・安全性を重視して投資した経緯があります。
 私の現状のPFでは異色ですが、
 現時点でNISAから手放す程でもないですし、
 こういう銘柄があってもよいかと考えて、ホールドしています。

 まず業績面ですが、相当に不安を抱いておりましたが、
 以下の通り、会社計画比水準で安定的な着地となっています。
 もう少し、世の中的なコスト高騰影響を受けており、
 今回の結果よりは悲観していましたので、一安心しました。


<受注>
 1Q       733
 2Q       760
 半期     1,493
 半期(計画) 1,490 


<売上>
 1Q       592
 2Q       679
 半期     1,271
 半期(計画) 1,250

<売上総利益>
 1Q        78(13.2%)
 2Q        84(12.4%)
 半期       162(12.7%)
 半期(計画)   158(12.6%)

<営業利益>
 1Q        36(6.1%)
 2Q        39(5.7%)
 半期        75(5.9%)
 半期(計画)    70(5.6%)

当期純利益
 1Q        23(3.9%)
 2Q        22(3.2%)
 半期        45(3.5%)
 半期(計画)    43(3.4%)



 また、決算発表に合わせて増配も発表しています。
 年間24円から8円増配の32円となっています。
 現在の株価で配当利回りは2.4%とまだまだ平凡ですが、
 四季報予想が24円のままでしたので、プチサプライズと思いました。
 といっても当社の現金(剰余金)の多さを見れば、
 十分に予測は出来たわけですが・・・。

 むしろ配当に出してしまうくらい、
 自社の成長性に陰りがあるとも受け止められますが、
 そもそも成長性を重視しているわけではないので、
 割り切って私にはよい材料と受け止めました。


 それからもうひとつ材料があり、M&Aのリリースがあります。

 システム会社のようですが、このリリースからだけだと、
 どのような優位性があってのことかはあまり判断が出来ません。
 ただ過去3年の実績は右肩上がりとなっており、
 当期純利益で3億です。
 当社の今期予想のわずか2%ですが、
 それでも翌年は通期で効いてくるのでしょう。
 その上、もし当社が競争優位性をある程度持ち合わせていれば、
 それなりに寄与してくれるかもしれません。
 業態として当社が主に手掛けている、
 金融機関向けのシステム構築はそれなりに増勢な状況ですので、
 少し推移を期待したいなと思いました。
 直ちに当社のファンダメンタルズに影響を与えるものではありませんが、
 今後を期待したいと思います。


 というわけで、特に懸念もなく極めて無難に通過してくれました。

 めでたしめでたしです。

 今回の決算は今の所、大きなサプライズもないものの、
 本日発表の9090丸和運輸機関も含めてよい状況です。
 (丸和運輸機関の件はまた記事に出来たら記事にします。)

 次はいよいよ戸建住宅事業の桧家HDです。
 軒並みハウスメーカーは苦戦していますので、
 こちらはさすがに覚悟が必要でしょうか。

 私のPFの中では、ちょっと異質の1951協和エクシオの1Q決算が発表されています。

 当社はNISA口座での保有で、
 安定性を重視して組入れた銘柄ですが、
 あまりに保守的な銘柄だと認識しており、自分の目標利回りと照らしても
 やはり異質かもしれません。

 決算を簡単に振り返っておきたいと思いますが、
 結論から先に書くと、良くも悪くも想定通りの決算です。
 受注、売上共に緩やかに好転しており、
 利益面でも収支状況に大きな変調の兆しはなさそうです。


 売上高    : 59,250百万円 (+1.4%)
 営業利益   :  3,627百万円 (+4.3%)
 当期純利益 :  2,327百万円 (▲0.8%)

 営業利益率   : 5.9% → 6.1% (+0.2%)
 当期純利益率 : 4.0% → 3.9% (▲0.1%)

 増収かつ本業部分の営業利益で増益となっており、
 営業利益率もわずかですが向上しています。
 というわけで、特に本業部分では問題はなさそうです。
 当期純利益で減益で利益率が若干悪化しています。
 PLを見ると、前期でその他営業外収益がそれなりの額あったものが、
 今期ではなくなった影響と若干の為替差損が今期発生しているためです。
 特に当社のビジネスにおける影響ではなさそうです。
 唯一懸念していた、人材コストの高騰に関する影響についてですが、
 現時点では数値上は顕在化しているようにはみえません。
 こちらは引き続き利益圧迫要素として注視するようにしたいと思います。

 次に進捗率を確認してみます。
 上期の計画値は減収減益(営業利益、純利益とも)です。
 前2Qには固定資産売却益約2,100百万円を計上していますので、
 今期の減益幅は大きくなっています。

 売上高(上期計画)    : 125,000百万円 (▲2.5%)
 営業利益(上期計画)  :   7,000百万円 (▲3.8%)
 当期純利益(上期計画):   4,300百万円 (▲31.9%)

 対上期計画進捗率(売上高)   : 44.6% → 47.4%
 対上期計画進捗率(営業利益)  : 58.0% → 51.8%
 対上期計画進捗率(当期純利益): 46.9% → 54.1%

 同じように通期計画に対する進捗率も確認しておきます。

 売上高(通期計画)    : 320,000百万円 (+0.5%)
 営業利益(通期計画)  :  22,000百万円 (+6.1%)
 当期純利益(通期計画):  14,100百万円 (▲5.4%)

 対通期計画進捗率(売上高)   : 19.2% → 18.5%
 対通期計画進捗率(営業利益)  : 18.8% → 16.5%
 対通期計画進捗率(当期純利益): 18.5% → 16.5%

 当社は公共工事なども手掛けており、下期偏重ですから、
 まずは上期進捗率を中心にみておけばよいでしょう。
 こちらでは営業利益の進捗率が前年割れですが、
 売上高と純利益で前期進捗率より好転しているようにみえます。

 収支状況をトータルで考えると、売上高は順調に受注残をこなしており、
 旺盛なインフラ投資を着実に成果に繋げているように思います。
 利益面では、前期の特殊要因が剥落しており純利益ベースではほぼ横ばいですが、
 本業部分の利益率では好転しています。
 従って利益面でも前期とほぼ同じような状況だと思います。

 また今後のビジネスを占う意味での受注状況ですが、
 トータルでは前期比5%増と引き続き堅調なようです。
 セグメント単位で見ると、環境インフラが+65%と絶好調です。
 一方NTT向け工事が一服感で▲4%ですが、
 こちらは4月~5月月次の状況でもう少し悪い数値を想定していたので、
 よく巻き返したな、という印象です。

 最後に1Qのトピックスとして面白そうだなと思った取り組みとして、
 以下のようなリリースがされています。

 外国⼈観光客向け Wi-Fi サービスの拡充及び多⾔語⾳声ガイダンス活用実証実験について
 
 詳細はリリース文書を見て頂きたいのですが、
 外国人旅行者が日本国内を旅行していて不便と感じている代表例はwi-fiの整理に関するもののようです。
 実際にオリンピック向けの取組で銀座周辺のwi-fi化をビジネスにしようと、
 ワイヤレグゲート社などが取り組んでおり、その期待感も多少は株価へ反映されているようです。

 当社はNTTとの密接な関係のもとでビジネスを展開しており、
 収支面で大きなイノベーションは期待出来ないものの、
 このような先駆的な取り組みも実施しやすい環境にあるように思います。

 実際に今回の青森市での取り組みを、
 全国の観光地やオリンピックにおけるシステム投資に繋がる可能性も秘めています。

 PERは10倍割れ、PBRも1倍割れということで、
 大変地味な銘柄で、かつ大きな成長性も望めないことから、
 市場からの評価もこのように微妙ですが、一方で大きな失敗もないようにも思います。
 これが異質ではあるものの、敢えてNISAに組入れたひとつの理由のようなものです。

 ただ、当時より最近は更に成長性を重視しているところもあり、
 この安全性を重視した銘柄組入れでよかったかという気もしますが、
 まぁ資金量も1単元ですし、気長にみていこうと思います。
 
主要運用ベース外のNISA口座として保有している、
1951_協和エクシオについて、
決算内容を踏まえてサマリしておきます。


1.事業内容
売上高ベースで、
エンジニアリングソリューションが9割
システムソリューションが1割です。
ほぼエンジニアリングソリューションです。
NTT向けが6割強、それ以外が4割弱で、
NTT向けは縮小傾向、それ以外が拡大傾向です。
通信関連の設備投資が中心でしたが、
通信以外にも電気、環境、土木関連の
インフラ全体の設備投資を扱うようになっています。
とはいえ、日本は新興国ではありませんので、
大きな成長は望めなさそうと思います(笑)。
ですから、ここでもグローバルです。
ASEAN地域を中心に進出しており、
日本のノウハウを存分に生かした
インフラ設備投資を展開しようとしています。


2.投資目的
当銘柄は成長性は低くとも、
5年以上の長期に渡って、安定的に収益を上げ、
緩やかに成長もしてくれればよいと考えています。

緩やかな成長と安定的な事業運営について、
当社の事業環境は比較的明るいと認識しています。

まず、一般的には景況感が好転してくる中で、
設備投資が促されていきます。
もう既に本格的な投資が始まっているようにも思えますが、
特に当社が扱うインフラ面の投資については、
今後も当面は堅調だと思います。

復興や減災というテーマもあり下支えになるでしょう。
最近我が家の近辺でも電柱地中化工事が進められてます。
これも景観という観点もありますが、一種の減災対策です。

エネルギー分野においても、
再生可能エネルギー分野のインフラ構築は、
太陽発電を中心に需要が継続すると思います。
太陽発電が儲かるからと多くの企業が一斉に取り組み始めて、
最近では政府の方でも少しコントロールされつつありますが、
これは太陽発電への一極集中を避け、
風力やバイオマス発電などへの分散が目的だと思います。
当社はそういった分野のインフラ構築も当然対応していますし、
BCPを意識した設備全体の最適化までを視野に入れています。
ですから、大きなエネルギー政策の流れの中で、
当社が活躍出来るフィールドは存在すると考えます。

そして当社のメイン事業かと思いますが、
通信インフラ構築です。
光回線はどうも頭打ちのような様相ですが、
回線保守などのストック型ビジネスの部分もあります。
また地方などではまだ光回線が十分でない部分もあるでしょう。
ただいずれにせよ、先細りかと思います。
一方で、無線通信は需要が旺盛だと認識しています。
3G通信が4G通信になり、更に高速LTE通信、
更に高速化、安定化の通信規格の提供検討が通信各社からも発表されており、
新たな基地局の新設、既存施設の更改と
仕事が減るような状況ではないと思います。

また通信インフラは国策でもあります。
海外旅行者の利便性向上やオリンピックもあります。

こういった国策やイベントに依存した事業環境は
安定面から考えると制御不能部分となり、敬遠もされますが、
私は今回のケースでは強気に見ています。

株価が2倍、3倍となるようなことはないと思いますが、
少しのキャピタルと少しのインカムをバランスよく頂いて、
それをNISAで保有して安全運転で運用しようというのが、
保有している目的です。

3.決算内容について
まず財務基盤ですが、自己資本比率は約62%と高水準。
インタレスト・カバレッジ・レシオは187倍。
銀行からの長期借入金利は0.9%です。住宅ローンみたいです。
ざっとここまで見れば、もう財務面では大きな問題はなさそうです。
銀行は正直ですので、いつも銀行の借入金利は見るようにしています。


収益性ですが、以下のような状況です。

 ・営業利益率(本業での儲け)
  13.3期実績:6.0%
  14.3期実績:6.5%
  15.3期計画:6.9%

 ・当期純利益率
  13.3期実績:3.8%
  14.3期実績:4.7%
  15.3期計画:4.4%  

まず本業部分では着実に利益率が好転しています。
復興関連など採算性がよい案件が増加していたり、
拠点統合などの最適化による費用効率化が
奏功しているものと思われます。
よい傾向だと思います。

当期純利益の部分ですが、
14.3期に何か特別利益なるものがあったようです。
PLを見てみると、固定資産を売却しています。
四季報にも記載があります。

15.3期の純利益が減益となるのは、
14.3期の一過性利益のためなわけですが、
15.3期の利益率だって悪くありません。
ここも問題なしと捉えます。

キャッシュフローは営業CFの範囲内で
適切に投資CFで支出しているようにみえます。
ただ財務CFで短期借入金の純増額が40億程度あるのですが、
なぜ短期で借りているのかよくわかりません。
金利先高感もある上に、低金利で融資もしてもらえそうです。
素人目では長期で借りておいた方がよいように思うのですが、
どういうわけなのか???でした。

全体としてはキャッシュも増えていますし、
特に懸念はありません。

4.株価水準について
14.3期末のBPSは1,350。
14.3期のEPSは147.75。
15.3期のEPSは144.28。

現在の株価は1,283円ですから、以下になります。

 PBR    :0.95倍
 PER(実績):8.68倍
 PER(予想):8.89倍
 配当利回り:1.9%

最大手の1721コムシスHDが
PER11倍。PBR1.1倍、配当利回り1.8%位まで買われています。

あと当社は一応優待もあります。
正直1,000円のクオカードをもらっても・・・なのですがね。

キャピタルゲインはあまり望んではいませんが、
当社もPER11倍位までは評価されてもよいかもしれません。
EPSをざっくり145と考えると、
1600円程度まではいくかもしれません。

それから今回も発表していますが、
当社は自己株買に積極的のようです。
株主価値の向上ということで、IRも丁寧ですし、
安心してNISAで保有し続けられると考えます。



5.その他
リスクとして人材コストの高騰を懸念しています。

建築などの工事現場における人材不足が顕著で、
各所で利益圧迫要因になっています。

今回の決算書でこの点がリスクとして明記されるだろうと思い、
どのようなトーンになるかを確認しようと思っていました。
しかし、今回明示的にそのようなリスク要因は挙げられていません。

その部分を楽観的に捉えていると、
どこかで原価増の要因になりかねません。
特に当社が原価のうち60%が外注費です。
この点は今後も動向に留意が必要かもしれません。
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