投資方針に忠実に退屈な投資で資産形成

シュッピンの決算が開示されています。

noteの記事として決算精査記事をUPしています。
こちらの記事からはリンクのみ貼っておきます。

以下の画像よりご覧頂ければと思います。

SnapCrab_NoName_2020-2-6_23-29-23_No-00.png


【決算精査】 3179_シュッピン(20年3月期_2Q決算)


■銘柄分析シート
PDFファイルリンク

■決算補足資料
会社開示資料


1.サマリ
総合評価:「3」 (☆☆★★★)
※総合評価は5がポジティブ、3がニュートラル(想定通り)、1がネガティブの5段階レーティング

上期は事前の修正通りの着地となりました。

売上を無理に追わず粗利率改善に取り組もうと始まった今期ですが、
想定以上に粗利改善が早期大手に顕在化して利益が大幅に上振れています。
一方で、売上については、新商品の発売時期などの影響もあり、
計画を下振れています。

成長株として売上が伸びていないと敬遠されそうですが、
元々そういう戦略で今期は取り組んでいるので、
首尾一貫していてよいと思います。

市場では既に下期の懸念が台頭しておりまして。
株価は既に調整局面に入っています。
そして10月月次は消費増税の反動減が
しっかり出ていることが確認されました。
加えて台風の影響で土曜日に
1日休業となった影響もあったようです。

下期も引き続き利益率については
高い水準で確保できていそうではありますが、
上期のような楽観はできないとも思います。
消費増税の反動減がどこまで尾を引くのかというのと、
そもそも時計の弱さが単なる一過性なのかが気になるところです。

いずれにせよ、会社計画からは順調に推移しているので、
私としては特に問題ないのですが、
市場は通期の大幅上方修正を期待しており、
それがちょっと難しいかもという様相が出てくると、
株価はもう少し売られるのかなとも思います。
まぁよくわかりませんが。

決算としての総合評価は「3」(想定通り)となります。



2.定量数値の確認


(1)売上・利益の状況


■売上高-粗利推移
SnapCrab_NoName_2019-11-6_18-38-23_No-00.png

売上は順調に伸びていますが、
駆け込みもありそうです。
また粗利率が多少1Qからは落ちましたが、
これは新品比率があがっている影響かと思います。
今後消費増税反動減の期間に入った時に月次コメント通り、
高水準の粗利率が継続出来ているかは決算でも確認したい所です。


■販管費推移
SnapCrab_NoName_2019-11-6_18-38-33_No-00.png


販管費は特段大きな変化はありません。
売上が伸びたので、販管費率は下がっています。
今後、下期で販管費がどうなるかも注目しています。
粗利改善が進む中で販管の動向が利益の項目に効いてきますからね。



■営業利益
SnapCrab_NoName_2019-11-6_18-38-48_No-00.png


営業利益率は高水準が続いています。
また駆け込み需要などもあり、2Qは高い水準が続いています。



(2)今期予想について

10月月次がしっかりと反動減が出ています。

決算説明資料の中に、今後の計画もあります。
数値がないので、グラフの縮尺から推し量るという
いい加減な方法になります。

3Qのところをみると、
売上は97億、営業利益は4.5億くらいですかね。
営業利益率は期初設定なので4.6%となります。

2Qまでの営業利益率が6.3%なのでまぁ6.0%とすると、
利益を合わせるために必要な売上は75億となります。


SnapCrab_NoName_2019-11-6_18-40-53_No-00.png


10月の売上が24.4億ということは、
期初目標の売上のためには11-12月で必要な売上は約72.6億、
利益合わせるための売上のためには同50.6億です。

前期の11-12月の実績は66.5億ですから
期初目標に必要なのは9.2%増収、利益合わせるためには23%減くらいです。

12月は繁忙期となるため嵩上げもされがちですが、
そもそも消費がどうかという問題もありボラも大きいです。
というわけで、こんな皮算用意味ないのですが、
まぁ期初設定の売上は油断を許さない印象ですが、
利益を合わせるためにはそこまでハードルは高くない気もします。

しかしながら、下期も利益大幅超過を期待していると、
そんなに楽観もできないかなという印象でもあります。
上期の貯金もあるので、直ちに下押しということはありませんが、
もう少し通期はおとなしめの上振れで着地となるのではないでしょうか。


3.定性情報の確認

今回の説明資料ではあまりIT投資の動向などのスライドが付いていませんでした。
この辺りはアナリスト向け説明資料で追加されると思います。


4.その他情報の確認


(1)株価推移の状況

SnapCrab_NoName_2019-11-6_18-39-9_No-00.png


株価はどう動くでしょうかね。
全くわかりません。どちらに動いても解説は書けそうですが、
そんな解説いらないんですよね。



(2)IR照会の状況

一連のIR照会結果はツイートした通りです。
詳細は割愛します。



時計の部分のところの弱さはややトーンからも気になりました。
単なる反動減なのかというと懐疑的な印象もあって、
少し長引くかもしれませんね。



5.さいごに

決算の内容としては特に問題はありませんが、
足元の弱さを懸念してまた不安が交錯する展開の中で、
保有上位だとさすがに落ち着かないかなと思います。

私は既に主力から落とした後ですから、呑気に構えていますが、
本来リスクを取りにいかないとダメなんですよね~。
のんびりやりたいと思います。


【決算精査】 3179_シュッピン(19年3月期_4Q決算)


■銘柄分析シート(表紙)
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■銘柄分析シート(詳細)
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■決算補足資料
会社開示資料


1.サマリ
総合評価:「3」 (☆☆★★★)
※総合評価は5がポジティブ、3がニュートラル(想定通り)、1がネガティブの5段階レーティング

前期実績は下方修正後の計画よりは若干上振れて着地しています。
サマリとしてはカメラが不調でそれを時計でカバーしたものの、
リカバリまでには至らなかったということです。

カメラの不調については、今後も当面は厳しいという印象です。
メーカー主導で一眼レフカメラからミラーレスカメラへシフトが始まった年度でした。
しかしながらミラーレス規格のレンズ構成がまだ揃っていないこともあり、
新品売上が不調となり、メーカーの業績も苦戦しています。
そして、魅力的な新品が出てくることで中古の流通が促進され、
マーケットの中で機材が回転していくことがシュッピンにとっては大切な環境なわけです。
しかしながら、新品が流通しないことで、買い替えの中古流通も滞留し、
鮮度を保つために、また新品売上相当をリカバリするために
中古品の粗利率を下げてセールをしないとならなかったことが、
前期苦戦の背景です。

そして、このミラーレスの市況が今期に入り、一気に好転するとは考えられません。
じわりレンズ構成も充実化が図られることで、買い替えも図られていくとは思います。
しかしあくまでじわりだと思います。
そのようなことを十分に考慮されたのか、
今期予想も従来の成長からみるとかなり控えめな見通しとなっています。

時計事業は何とか好調を持続しており、
前期が下方修正に至ったものの、まだこの程度で済んだのはこの時計の恩恵があったからです。
そして今も足元は好調ですが、カメラ以上に景況感に左右されるため、
決して楽観はできない状況です。
今期は増税影響も懸念される中で、上期偏重となっていることからも
会社見通しは慎重であることが伺えます。

前期の不調は既に十分織り込んでおり、
比率自体はマイルドになっており、
中計も2年くらい後ろ倒しになる大幅な後退でもありますが、
既にこの程度は想定していた感覚です。

従って総合評価は「3」(想定通り)となります。



2.定量数値の確認


(1)売上・利益の状況


■売上高-粗利推移
3179_シュッピン(19年3月期_4Q)売上推移


売上はなんとか2桁増収を確保しています。
時計に救われましたね。
粗利率は16.2%となっており前期より更に0.3%下落しています。
微々たるものですがこの辺りのコントロールが外的要因(マーケット)で
なかなか一筋縄ではいかないですね。
システム投資の効果などがもう少し出るといいんですけどね。。。


■販管費推移
3179_シュッピン(19年3月期_4Q)販管費推移


決算補足説明から賞与支給もあり販管費率が4Q単ではあがっています。
18.3期4Qは12.3%でしたが19.3期4Qでは12.9%です。
なかりせば説明もありますが、まぁあったわけですからね。

販管費率は通期では12.0%で前期は11.5%より0.5%の悪化です。
ただ、この11.5%は過去からみても最低だったので、
悪化とはいえそこまで悪いものではない印象でもあります。
今期はフロア移転など一過性コストもありましたからね。


■営業利益
3179_シュッピン(19年3月期_4Q)営業利益推移


粗利と販管費の各比率が少しずつ悪化しつうきでは4.2%となっています。
18.3期は5.0%ですから0.8%悪化です。
この辺りの構造は決算補足説明資料でもう少し細かく説明されています。



(2)今期予想について

2桁増収増益が続いていましたが、
今期ガイダンスは10%を少し割る増収増益計画となっています。
この辺りは四季報予想よりも下回っているので失望ですかね。
私は特にカメラ市況をどういう前提で作っているかとかが気になりました。


3.定性情報の確認

気になる所としては、まずシステム投資としてデジタル化対応の進捗がどうか。
ここは決算説明資料で開示されるようです。

またカメラ市況の変化はやはり影響をだいぶ受けている実感はあるし、
今期もまだまだ影響は続くというシナリオを持っているようです。

時計は足元も好調ですが、景況感や増税影響などもあるため、
特に下期は慎重になっているようです。


4.その他情報の確認


(1)株価推移の状況

3179_シュッピン(19年3月期_4Q)株価推移


株価も随分落ちてしまいましたね~
最近は個人投資家からも聞かなくなりましたしね~。



(2)IR照会の状況

一連のIR照会結果はツイートした通りです。
詳細は割愛します。






5.さいごに

今回の決算では買い戻しはなかなか難しいという判断です。
引き続き、優待をもらいながら、残分を放置しつつ、モニタリングを継続したいと思います。
会社が向かおうとしている方向ややろうとしていることはいいと思うのです。
なので応援はしていきたいとは思うのですが、
なかなか今の株価水準だと本格的な買い戻しをする状況でもないかなという感覚なのです。



【決算精査】 3179_シュッピン(19年3月期_3Q決算)


■銘柄分析シート(表紙)
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■銘柄分析シート(詳細)
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1.サマリ
総合評価:「2」 (☆☆☆★★)
※総合評価は5がポジティブ、3がニュートラル(想定通り)、1がネガティブの5段階レーティング


既に下方修正が発表されていたので、
特段驚きはありませんが、2Qに続き、12月商戦も特段リカバリも叶わずで、
苦しい状況が続いています。

2018年のカメラの新品商戦は新たな規格となる
フルサイズミラーレス一眼レフが主流となった1年でした。

しかしながらレンズのバリエーションの整備や、
そもそもシュッピンのユーザー層において
中途半端な商材だった影響もあったかもしれませんが、
いずれにせよ新品の購入が鈍化してしまったことが主因です。

そして新品の購入が鈍化しただけであればまだよかったのでしょうが、
新品の購入が買い控えられると中古の商品サイクルの鈍化にもこれが作用し、
結果、在庫をフレッシュな状態にすべく、
中古の粗利を削ることになってしまいました。
これが致命的でしたね。

結果、薄利多売の色がより色濃くなり、売上をカバーするために利益を削ってしまい、
かつ新品で想定していた売上分が剥落し、売上もショートした。

更に、マーケティング手法を進化させるプロセスにおいて、
クーポンの発行方法を効率化を狙って従来の一律値引きから手法を変えたことが、
浸透やオペレーション(効率的なクーポンの配布)に時間を要して、
むしろ効率を落としただろうことも残念なこととなりました。

更に更に、上期においては買い取り在庫の倉庫スペースを拡張し、
確かにストックも急増したわけですが、
それを売り物にするためのオペレーションにも最初は手間取り、
仕入から販売のリードタイムこそがリユースビジネスの要なわけでありますが、
回転率を悪化させてしまったことも余計に悪さに拍車をかけました。

既に2Qの決算、並びにIRへの照会等でこの苦戦は認識していたものですから、
この下方修正もむしろようやくゲロってくれたね、という受け止めをしています。


新品の商戦によって影響を受けるのはやむ得ないですし、
IRは否定していますが、12月の販促でpaypayで他社に動いた面もあったのかなと思います。
今後がどうかということですが、
まず修正後の計画には一定程度の保守性が担保されている気がします。

新品の商戦が盛り上がらない中で、
中古のサイクルが再び戻ってくるには少し時間もかかるかもしれません。
更に来期に向けてはよりCRMの機能も高度化されるプロセスでは、
またオペレーション上の停滞もあるかもしれません。

そういう意味ではまだまだ前途多難な面も多いと感じますが、
価値ある商材をEコマースで効率的に販売するという強みそのものは
まだ継続していると私は見ています。

ただ、1月度の月次売上も相対的に弱いものですから、
まだ前述の影響が続いており、
そもそも新商品の商戦の影響と安易に片付けていいものかは
注視を要する気はしています。

シェアとしてはカメラ人口などの統計からもまだ余地はあると思いますが、
そんな顧客層を今後も取り込めるかをみていきたいですね。
足元の月次でも集客は問題なさそうですけどね。


今の状況では足元の転換が見られない限り、
再び買い戻すことは出来ないという判断ですから、
既に単元保有になってしまった状況の中で、
優待を頂きながら、再び成長基軸へ戻ってきてくれることを期待しています。

決算は引き続き軟調ですから総合評価は「2」(ややネガティブ)です。

小野社長にとっては試練が続きますね。
とりあえず、Webページの腕組写真を撤回するところから
はじめるのがいいかもしれませんね(笑)。

※腕組み社長の写真は成長鈍化のフラグと噂されています(都市伝説ですが)


2.定量数値の確認


(1)売上・利益の状況


■売上高-粗利推移
3179_シュッピン(19年3月期_3Q単計)売上推移

売上はきちんと伸びています。
3Q単でも14%程度の増収です。
決算説明資料でも売上面で堅調であることが強調されています。
もちろん、成長銘柄としてトップラインが伸びていることは唯一の救いなのですが、
しかし、セールを強くするなどリカバリしての積み上げなので、
収益性とのバランスを見ると、まぁ売上は伸びて当然です。

粗利率は3Q単でも前期比で0.4%悪化しています。


■販管費推移
3179_シュッピン(19年3月期_3Q単計)販管費推移


セールの強化により販促費を特に増額しており販管費率も3Q単で前期比で0.5%増加しています。
フロア移転などの設備投資も相まって1Qから一貫して販管費率が上昇しています。
こちらも%にすると僅かなのですが、
どうしても利益率が低いビジネスなので、1%利益率が低下するだけで痛いですね。



■営業利益
3179_シュッピン(19年3月期_3Q単計)営業利益推移


営業利益率は四半期単位で見ると3Q単で前期比▲0.9%と約1%下落しています。
売上が95.5億あるので、なんだかんだでここだけで利益で1億削っていることになります。

決算説明資料では2Q単と比較して営業利益率が+1.1%で大きく改善と書かれたページがありますが、
そもそも閑散期である2Qと繁忙期である3Qを比較しても意味はありません。
この比較は不要かなと思います。



(2)今期予想について

修正後の通期予想において、
4Qに必要となる売上、営業利益は以下の通りです。

■4Q単 計画
売上 8,669百万円
営業利益 255百万円(利益率2.9%)

■4Q単 前期実績
売上 8,092百万円
営業利益 308百万円(利益率3.8%)


ついでに1月の売上が出ています。
1月は2,699百万円ということがわかっています。

ということで2-3月の2か月売上は5,970百万円です。
前期の2-3月は3月が好調だったのですが、5,567百万円でしたから、
+7.2%の増収ペースが必要となります。

商品の在庫がだいぶ膨れていることもあり、
まぁ売上はいけるのではないかと思います。

またセールの強さなどにもよりますが、
利益率も4Q単として過去最低水準です。
(16.3期以来ですね)

前期の利益率は約1億程度あったと思われる業績達成賞与もあっての
利益率ですから、今年は残念ながらこれがなくなるので、
利益面ではこれも押上げ効果となります。

ある程度利益率がコントロールできれば多少修正後の予想よりは
上にいくかもしれませんね。

ただ、在庫がここまで膨れていて、
新品からのサイクルも改善傾向はみられないので
(カメラ商戦という外的要因の影響が大きいですが)
せっかくの価値ある在庫を捌くのにも苦労をすることも
想定しておく必要があるかもしれません。

消費者にとってはいいですが、
株で損をしまくっているので、もうレンズを買う余力なんてありません(笑)。
せめて優待がまとめてつかえれば・・・。



3.定性情報の確認

決算説明資料をみていると、買取の施策はだいぶうまくいっているようです。
一方で販売チャネルの部分でマーケティングシステムの進捗や
来期に進化させたシステムへ向けての説明は欲しかったですね。

それから、ビジネスモデルとして新品の落ち込みという一過性なのか、
構造的な影響をはらんでいるのか、
外形的な足元軟調な理由はわかるのですが、
ではこれがいつ頃にどういう形で収束していく見込みなのか、
まだよくわかりません。
まぁ自分で考えろってことなんでしょうけどね(笑)。


4.その他情報の確認


(1)株価推移の状況

3179_シュッピン(19年3月期_3Q)売上推移

さすがに株価はだいぶ下がりましたね。
最近こんなチャートの銘柄ばかり保有している気がします(笑)。

きちんと資金量は調整できているので、
たいした被害はないのですが、
応援している会社がこじらせ中で株価も失望を買っているというのは、
忸怩たる思いですが、何より会社の中の方々が頑張っていると思うので、
それに託して応援したいと思いますよ。


(2)IR照会の状況

概ね今の状況は把握しているつもりで、
良くも悪くも特に変化はないものと思います。
小売りで閑散となる2月の月次をみて、
また年度の着地やその後の状況を必要に応じて
ヒアリングしたいと思います。


5.さいごに


株価は再び600円台ですかね。
5000円の優待があるので結構総合利回りが出るんですが、
そんなことは関係ない機関投資家は売ってきますよね。
MUFGグループはガシガシ売っています。
そして自己株買いを発表していますが、まだ買付余力を残しているようです。
まだ株価下がりそう、ってことですかね(笑)。
※一部記載を修正しています(11/8)


【決算精査】 3179_シュッピン(19年3月期_2Q決算)


■銘柄分析シート(表紙)
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■銘柄分析シート(詳細)
PDFファイルリンク


1.サマリ
総合評価:「2」 (☆☆☆★★)
※総合評価は5がポジティブ、3がニュートラル(想定通り)、1がネガティブの5段階レーティング


売上はほぼ計画通り、利益が未達ということになりました。

利益の未達の要因は複数の事象が絡み合っており、
かつすぐにV字で改善するとはいえない部分もあり、
当面の間は楽観はできない印象の決算と感じます。
IR照会(後述)も踏まえ、自分の狭い了見で判断したつもりです。

但し、Eコマースを主軸として認知度向上型で成長するシナリオは
崩れていないという判断ですので、
今の保有比率であれば十分お付き合いできるという判断です。

決算としては、売上を確保した一方で、粗利及び販管の双方で
一過性のものもあれば、構造的に改善途上のものがあったり、
あるいは新品カメラの商戦時期の影響といった外部要因もあり、
利益がビハインドとなった点はネガティブに受け止めました。
またこれに伴い、業績予想の修正は現時点ではなされていませんが、
かなりハードルがあがったことは事実であり、この点からも懸念が台頭します。

前述の通り、大きな流れで向かっている方向は間違っておらず、
シナリオが崩れているとは考えていないため、
総合評価としては、「2」(ややネガティブ)とします。
「1」(ネガティブ)を付与する目安としては、シナリオが大きく崩れるなどで、
即時に売却を判断しなけれならない想定なのですが、
そこまでではない、というかこの程度の凹凸などこれからもあるだろう、
くらいの感覚であります。

2.定量数値の確認


(1)売上・利益の状況


■売上高-粗利推移
3179_シュッピン(19年3月期_2Q単計)売上推移

売上は確保していますが、
粗利率が0.5%下落しています。

・カメラの新商戦が下期に集中
カメラの買い控えや中古流通が一次的に停滞し、
多少強めのセールをうち、流通を確保したという要素が、
粗利率の押し下げ要素となっています。
ここはある程度今後はコントロールされてくると思います。

・相対的にカメラより時計が好調
カメラの買い控えによる停滞を時計が支えた事になりますが、
時計はカメラに比べると粗利率が出にくい要素もあり、
ポートフォリオの構成変化が粗利率を押し下げることになりました。
これもひとえにカメラの新商戦の影響といえます。


■販管費推移
3179_シュッピン(19年3月期_2Q単計)販売費推移

販管費の低減による運営が同社の大きな特徴ですが、
残念ながら販管費率は前期比でも2Q単としては、+1.2%増となっています。
決算説明資料にもありますが、いくつかの費目に特徴があります。

販売促進費は前期比で1億弱(90百万円)の増加となっています。
これは最近施策として始めている優待チケット(利用者へのクーポン配布)が
当初想定より嵩んで計画比で純増となっています。
当初計画では前期並みの販売促進費の計上を見込んでいたことになります。
この背景としては優待クーポンを効率的に支出するナレッジがなくて、
必要以上に投下してしまった点もあるようですし、
前述の背景で買い控えへの対処という面もあったものと思います。
そして物流スペース拡充もあり、トップラインを伸ばすためにも、
買取強化の施策を打ったこともこの費目の増加が影響したものと思います。

またその他の経費は前期比+84百万円とあり、
これは計画比は不明ですが、フロア移転(筆記具移設+下取り拡充)によるコスト増です。
これは一過性の費用だと認識しています。

越境ECへの対応などはまぁ先行投資としていいと思いますが、
動画撮影の業務委託費は今後、商品数が積み上がる中で、
比例的にあがっていくと今後も販管費の押上げ要因となりそうです。
ここは現時点で未確認ですので、改めて確認したいと思います。

→(11/8追記)
動画撮影等で増えた業務委託費は、当初の環境整備等で使途したものであり、
商品数に比例して委託費が増加するものではないようです。
もちろん、撮影などの手間は労務費として自社コストとして増加の要素にはなりますが、
比例的に増えていくものではないようです。
また、手順の合理化等も進むとより効率はあがるのかなと思います。
1日に数百点をUPなんてこともありますし、これから年末商戦が始まりますので、
これが商品化プロセスのボトルネックにならないといいですね。


販管費が今後上昇トレンドとなり、それが売上伸長に繋がらず、
販管費率の押上げ要素となってはいけないですからね。




■営業利益
3179_シュッピン(19年3月期_2Q単計)営業利益推移

営業利益率は2Q累計で4.2%でこれは確かに低い水準ではありますが、
絶好調だった前期比では悪化していますが(▲0.9%)、前々期比は同水準です。
前期の2Q単が非常に好調でしたので、余計に減速感があるようにみえますね。



(2)今期予想について

決算説明資料 に予実がありますが、
これをみるとだいぶ下期が苦しそうではありますね。

3179_シュッピン(19年3月期_2Q)会開示資料(計画予実)
※会社から開示されている決算説明資料より抜粋


いつもはシングルシナリオで
ここにベタ打ちでシミュレーション(という名の皮算用)をするのですが、
いくつかのシナリオでみてみます。

まず冒頭に現状を確認し、
下期のハードルを確認します。
(即席で手打ちで作ったエクセルのため誤りがあったらすみません)

3179_シュッピン(19年3月期_2Q)上下状況

前期実績は業績賞与が支払われており、利益が下押しされており、
今期は業績達成が危ぶまれている中ですので、この業績賞与はないという前提で、
なしなしでシミュレーションをします。

→(11/8追記)
業績賞与に関する記載は従業員の方の目にも触れる可能性があるため補足します。
私個人としては、業績達成へ向けて利益がリカバリされ、
業績賞与が支払われることを本気で期待しています。
来期以降、長期的なモチベーションにもなると思いますから。
そしてIR担当照会時に、経営としてもなんとか利益水準を確保し、
従業員の方にきちんと業績賞与を支払いたいというご意向を確認しています。
ここでのシミュレーションはあくまで業績未達懸念を前提に、
リスク面に特化したシミュレーションとしているため、
このような無粋な内容となっている点はご容赦下さい。



この場合、前期実績営業利益はざっくり9憶です。
そして上期実績を踏まえて業績予想達成のための下期ミッションは、
売上で190億、営業利益で116億が必要です。
ここから、売上で+15.4%、営業利益で+29%の増収増益が求められます。
(IR電話時に計算ミスで売上を誤っておりました。すみません>IR様)
売上は計画線で来ているので、問題なさそうですが、
やはり利益が厳しそうな印象ですね、ということを念頭に、
シミュレーションしていきます。

売上ラインのパターンで3つのシミュレーションシナリオを設定し、
各シナリオの中で粗利率と販管費率を求めていきます。
粗利率は従来のトレンドなどから頻出値を16.5%と仮定し、
ここに表記するのは0.5%ずつ上下した場合です。
販管費率も同様に11%を頻出値と仮定し、
やや増加側のリスクを多めに見て4つのパターンを設定しました。
こちらも即席で作成したので、数式等にミスがあるかもしれません・・・
(いつも品質が悪く申し訳ありません。)

■シミュレーション①(売上:前期比+12%(期初計画))
3179_シュッピン(19年3月期_2Q)シミュレーション1


■シミュレーション②(売上:前期比+18%)
3179_シュッピン(19年3月期_2Q)シミュレーション2


■シミュレーション③(売上:前期比+22%)
3179_シュッピン(19年3月期_2Q)シミュレーション3


粗利率16.5%、販管費率11.0%を前提とすると頻出設定における
各シミュレーションシナリオでみると、
利益の業績予想対比は、▲7%、▲5%、▲3%となり、
いずれも未達です。
ただ、この程度であれば未達とはいえ、まぁ許容範囲です(個人的には)。

業績予想をクリアするには、
シミュレーション①では粗利率17.0%、販管費比率10.5%まで改善すればよいですが、
これはさすがに厳しい気もします。
シミュレーション②では粗利率16.5%でも販管費率を10.5%まで落とせれば可能性があります。
シミュレーション③でも同様です。

ちなみにBSの商品の積み上がりは前期比で+24%まで積み上がっています。
さすがにこの分がそのまま売上伸長は難しいと思いますが、
そこに肉薄するシナリオが楽観シナリオのシミュレーション③です。
また、前年の下期の各月の伸長率は+10%台にこなれてくることも考慮すると、
今期下期については、商品積み上がりも考慮すると前年比+18%程度は
堅調シナリオとしてあるかなと思います。
もちろん利益率とのバランスなので、どうなるかわかりませんけどね。。。

というわけで、別に当てる事に何の意味もありませんが、
今のところの感覚でいうと、
シミュレーション②の粗利率16.5%、販管費率11.0%が一番しっくり来る感覚です。
この場合の営業利益の未達幅は▲5%ですから、
やはり許容範囲内かなという感じです。




3.定性情報の確認

カメラの買取が好調です。

3179_シュッピン(19年3月期_2Q)会開示資料(中古カメラ買取)

そして確かに粗利率は新商戦の兼ね合いもあって
落ちこんでいるものの、きちんと利益は確保していますし、
流通は順調のようです。
このあたりは、越境ECや動画撮影などコスト優位になっているチャレンジも含めて、
様々な課題は挙げればキリがないのだと思いますが、
同社の成長シナリオが崩れているとは判断しない背景です。

これで価値ある中古の仕入が困難になる、
あるいは、滞留在庫が積み上がってしまい流通が止まる傾向が出てくれば、
シナリオ崩れで株は売却せねばなりませんが、
そうではありませんので、定性的な見立ては変わらないと考えています。

ただ、同社はやはり新たなチャレンジも進めている中で、
なかなかスムーズにはいかないですね。

過去にCRMのシステム導入などでシステム更改をした際には、
4月にシステム稼働が止まり、販売が停滞して、
その後通期に渡りリカバリに追われることもありました。
あるいは、前期から今期にかけて物流拠点の増設も
立ち上げ、とりわけオペレーションにおいて、商品化までの遅れなどが顕在化し、
1Qで顕在化し、2Qでもまだ正常化したとはいえ、
影響は残っているようです。

あるいは動画撮影による商品訴求力向上の施策は、
方向性として間違っておらず、マニアに向けて痒い所に手が届くものですが、
これが業務委託費増に繋がり、トップラインの伸長の効果発現が
優位性を持って出ないと販管費率の上昇だけになってしまいます。

定性面で様々な取り組みがある中で、
チャレンジをすればつまづくこともあるので、
これを許容しながらがんばれ、と応援出来るのかどうかなのかもしれません。
そんな気の長い、不確実性には付き合っていられないというのが
市場の主流でもあり、だから株価も失望して売られるわけですが、
それは自分のスタンスとしてどう受け止めるのか大切なところなので、
適正なリスク管理をしながら、応援していければと思うところです。



4.その他情報の確認


(1)株価推移の状況

3179_シュッピン(19年3月期_2Q)株価推移

株価は1Qに続き失望されると思いますが、
PER18倍まで落ちるでしょうか。
明日ストップ安までいけば1066円ですからPERは20倍ちょうど位となります。
もっとも、そもそも10%程度の未達となると22倍位になるので、
そう考えると、一度ストップ安くらいでせいぜい許してもらえるのではないかなと思いますが、
ただ、市場が不安定で成長株の減益には仁義なき売られ方をすることを考えると、
PER18倍割れなんてこともあるのかもと思います。
そうなると買い戻しも検討出来るのかもしれませんね。


(2)IR照会の状況

IRにお電話です。
一部私の手元の計算ミスでわけのわからない前提で質問してしまい、
お恥ずかしい限りです。
そして利益の未達に謝罪されていましたが、
こればかりはしょうがないことです。
クソ決算とかコケにされることもあるのでしょうが、
私は経営者を期待し、従業員の皆さんが努力された成果なので、
まずは尊重した上で、何がダメで何がよくてを冷静に判断し、
それを踏まえて株を保有するかしないかを判断すればいいだけなので、
その結果だけを対象にいちいち批判するのは避けたいと考えています。
(頭の中、お花畑なだけなんでしょうけどね、私。)

なお、主なやり取りに対して、私の主観に基づいたメモです。
事実と異なる可能性もあります、というかむしろその可能性が高いです。
なにせ、思い込みが激しいですからね(笑)。


・カメラの利益未達は新商戦に向けた買い控えに対応するための
値引きセールなどでフレッシュな在庫群を維持する必要性から対処した影響が大きい。

・時計が相対的にカバーしたが、カバーしきれず利益未達となった。

・時計は株安や景況感の変化、消費マインドの変化に影響をより受けやすいが、
現時点で買い控えや売りにくくなっている、在庫滞留の予兆があるようなことはない。

・新商品がニコン、キヤノンから出て下期リカバリの初月10月の月次として、
新品に多数の注文を頂いている一方で、ミラーレス型ということもあり、
想定していたよりは新品の注文の増勢がない事も事実。
その中で、月次としてはEC中心に高い伸長を維持していると認識。

・商品在庫が急伸しているが、新たに仕入れた商品による効果と、
過去の在庫の滞留の双方がBS上では識別できないものの、
仕入推移は決算説明資料でも開示している通り堅調であり、
現時点で時計同様に滞留傾向が出ているような事はない。

・業績予想達成は決して楽をしてできるものではなく、
上期未達によりハードルが高くなったことは事実。
商品在庫も十分であり、3Qだけで一気にリカバリできるものではないが、
4Qも含めてマネジメントしていけば、通期でリカバリは可能だと認識している。

・優待チケットの配布は手探りで進めていることもあり、
本来の効果的な値引きを標榜してスタートしているものの、
まだまだ効果的でない部分もあり今後改善をするために手を尽くしている。
すぐに最適化され効果が発現する感じでもないものの、改善に向けて努力していく。

・商品在庫の物流拠点が増えたことや積極的な仕入を進めたことで、
価値ある在庫が積み上がった一方で、商品化への遅れなどが1Qで顕在化した。
この部分は2Qで改善した一方で、その後の効果的な値下げや、
AIによる需給バランスを考慮した値付けなどをタイムリーに反映する点で、
適切な利益率確保に課題が残っている部分もある。
この辺りはシステム改修を要するものでもあり、
まずは今期中は人手によるオペレーション改善を進めることで、
暫定処理を講じ、構造的な更なる高度化はシステムの高度化も含めて改善していきたい。




5.さいごに


粗利率と販管費の双方で論点があるので、
私のような素人投資家はあたふたしてしまいました(笑)。

IR照会も踏まえても楽観視は出来ません。
粗利率においても、セールを需給なども踏まえてAIに判断させる部分は、
まだ過渡期でありこの部分のオペレーションももう少し時間がかかりそうです。
販管費も優待チケットの扱い方もまだもう少し習熟する必要性も感じます。
もちろん、新商戦の影響や移転コストなど一過性の部分もありますし、

→(11/8追記)
移転コストは概ね9月までに処理済で、
3Q以降に更にその他の中でフロア移転等のコストがこれ以上大きく
計上されることはなさそうです。


案外人海戦術でも効果がある程度上向く可能性もありますが、
今後もこの辺りの改善がみられず、悲観側に倒れていくと、
上記のシミュレーションを大きく逸脱して、東証の修正基準に抵触する
利益下振れも十分考慮しておくべきものです。

しかしながら、在庫の仕入は順調ですし、会員数の推移も概ね堅調に推移しています。
外部要因として消費マインドの停滞は気になるところですが、
年末商戦に向けて在庫は十分積み上げられていますから、
あとは、上期で課題となった、
商品化までのオペレーションとその後の値付けの管理について、
ある程度コントロール出来ればいいわけです。
またそれが万が一失敗に終わってもそれは仕方のないことですし、
同社の成長シナリオや事業価値の毀損には当たらないという判断です。

どうしてもAI活用や物流面の増設、動画撮影などの販促施策、と
まぁ色々やっているわけで、
そんなにやることなすことうまくいくなんてないですからね。

そんな凹凸を繰り返しながら、基本スタンスをブレずに邁進してもらいたいと思います。

どうしても株式の保有バイアスが働いている気がしますが(笑)、
決して楽観視せず、でもリスクを鑑みて応援出来る程度で
今後も見守りたいと思います。

まぁ、かつては保有上位の時期もありましたが、
今となっては、下位保有になってしまっていますから、
その意味で応援したいが全面に出て、穏やかな気持ちでいられるのかもしれませんけどね。

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